「じゃあ、行きますよ?遠山先輩!!」
そう言って昼行灯に向かって飛び掛かる。
「聞いといて返事聞く気無しかよ!?」
く、逃げるなぁ!!
「ええい往生際が悪いですよ!!」
「るっさいわ!下負けしてたまるかぁ!!」
そんなこと行って、鬼ごっこしてる私達を強襲科の先生が怒鳴る。
「真面目にやれや遠山ぁ!!負けたら今日の掃除はお前だからなぁ!!」
「クソが!当番制じゃなかったのかよ!?」
おもっきし暴言を吐き捨てた後、ヤケ糞気味に私と相対する昼行灯。この昼行灯が私の今の格好を、直視出来ないのは理解してる。だけど、舐められてちゃムカツクのが人ってもんでしょう!!?
「往生してください!!」
そう言って
「ええい、こうなりゃヤケだ……覚悟してもらうよ、お嬢さん?」
ムカ、この昼行灯、私で
死ね、そんで生き返って、もう一回死ねぇ!!
「動きが直線的だよ、冷静にならなきゃ、お嬢さん?」
「先輩のバカ、ロリコンじゃないと思ってたのに!!」
「なっ!?」
フッ、隙を作るなど造作も無いわ!
「隙あり!!」
体操着を掴んで、そのまま背負い投げの要領で投げ飛ばそうとした瞬間、手応えがいきなり軽くなる。
「惜しかったね、そら!」
意表を突かれて、動きが一瞬止まった私に、先輩が後ろから足払いをしてきた。
「きゃっ!?」
慌てて転がるようにして距離を取るも、
「はい、僕の勝ちだよ、大丈夫かい?」
立ち上がろうとして、首筋に訓練用のゴムナイフを突き付けてきた先輩に、その場で座り込んで大人しく降参する。
昼行灯を睨み付けながら、私は女の子座りの状態を、昼行灯の手を引っ張って立ち上がる。
むぅ。
あの里のオッサンども、小中までなら、赤ちゃんとかそのレベルの扱いと同じだから、悪意無くセクハラしてくるの止めて欲しい。
「怪我は無いかい?」
「大丈夫です、組手ありがとうございました」
一応、戦兄妹だから、敬意を払わないとダメなんだけど、何かムカツクから、言葉遣いだけ敬語で通す。
「いや、こっちもあかりちゃんと出来て良かったよ。いつもは、してもらってばかりだからね」
おいこら、誤解を生む言い方止めい!周りが勘違いするでしょ!?
「え、いつもしてもらってるって、何を?」「そりゃナニだろ、死ねば良いのにモテ男。ケッ‼」「あんなロリ体形の子まで守備範囲とか」「アイツホントに女なら誰でも良いのか?」「何でそんな奴がモテんだよ、死ね!!」
ほら、勘違いされてる。今ヒステリアモード何だから、多分気付いてるでしょ?
「あかりちゃん、次は仮想訓練しよっか」
あ、ちょっと、いきなり腕掴んで行かないでよ!
「ちょっ先輩、どうしたんですか?」
大方、私に話し声が聞こえないようにだろうけど、私聞こえちゃってるんだよ~。
「ん、あかりちゃんは考えるの得意だし、組手より仮想訓練の方が、経験値になるかなって、嫌だったかな?」
キザッたらしく言ってくるなぁ、もう!
何か嫌な気分じゃないのが、一番ムカツク!!
私は金一お兄さん派だ!断じて昼行灯ではない!!
昼行灯を金一お兄さんに重ねたせいで苛立ったのを、深呼吸をして落ち着ける……………よし、落ち着いてきた。
「いえ、大丈夫です。私のために、ありがとうございます、先輩!」
そっちがその気ならこっちも、思いっきりやってやろうじゃないか!
対年上異性用轟沈モード二『セーンパイ、大好きです!』モード発動!!
「!!………嫌じゃないみたいで良かったよ、じゃあ速く四階に行こっか、時間は有限だしね」
ニコニコ笑うんじゃないわよ、お兄さんと被って見えるでしょ!?
う、ヤバイ落ち着け私、こんなに早く撃墜されるとか、許されないわ!
「私は、先輩となら、ずっと二人っきりでも、良いですよ?」
首を傾げて、ニコニコ笑う、ちょっと上目遣いするのがポイントォ!!
この時、少し目を潤ませていると、効果倍増!!
よし、ヒステリアモードの気配が強まった、これなら、少しずつギアを上げても、平気そうね。
仮想訓練で、仕返ししてやるんだから!!
「嬉しいこと言ってくれるね、そんなこと言われると、サービスしたくなっちゃうよ」
サービスとか、嫌な予感バリバリですがなキャーコワイオソワレルー
っていうか、昼行灯理性大丈夫なのだろうか?思いっきり削りに行ってる身としては、ちょっと心配何だけど。
「サービスって、何です?」
常に笑顔を絶さない、作り笑いと思われない、相槌は、常に相手の味方であるべし。お母さんの教えだよ!
「未だ秘密だよ、ほら、もう着いた。最初はここの部屋から使って行こうか」
そう言って、水難事故の部屋に入ってく昼行灯。
この仮想訓練施設は、シミュレーションした空間をある程度再現し、その空間で参加者が決めた状況にそって、訓練をすることを、目的としている部屋。
で、昼行灯が今入ったのは、水難事故が発生して、沈没しかけてる船の中って構造の部屋。
訓練棟の殆んどを使って、造られているのが、仮想訓練施設。入り口は他にも沢山あるし、同じ部屋を合同で使うこともある。
「失礼しまーす」
前世でも入ったことあるけど、今世では初めて、ちょっとドキドキしますねぇ。ま、一緒に入るのは昼行灯なんだけど。
………あれ?急にドキドキ感が無くなった。
「じゃあ始めようか、最初の設定はそうだね、船に取り残された人の救助、かな。人数は秘密、救助するのはダミーの人形。時間は十五分、範囲は下層階一帯で、出来るかな?」
む、中々難しい、ってかその難易度中学生には無理でしょ!?
「む、難しく無いですか?それ」
そう言って、訓練内容を変えようと頑張ってみる。
あ、何か昼行灯こっち来た、嫌な予感するんだけど?
「あかり、俺はお前の全力がみたいんだ、頼むよ」
あ…………………………………分かりました、先輩。
「はぁい、先輩の為なら私、何でも出来ますよ?」
何か、喋ってる私と考えてる私が別々にみえる、意識が薄い、何これ?
あぁでも、悪い気分じゃないなぁ、ずっと浸ってたい気持ちがある。
「ありがとうあかり、俺が心を許せるのは、君だけだよ」
あぁ、先輩に耳元で囁かれたら、何か気持ちよく、いしき………が……………たも……て……………………ない
「パーフェクトだよ、あかりちゃん」
気が付くと、何故か昼行灯が拍手してた。
周りを見ると、近くにある大量のダミー人形、進んでる時計。部屋の中は、見える範囲は少し荒れた程度。銃の重さから、発砲はしてない。ナイフは使った形跡あり。服は何故かブルマの上から、昼行灯のブレザーを掛けられてる、髪が少し濡れてる。
………………………………
「先輩!!私に何かしたでしょ!!?」
「ん?何かって何だい?」
!!?!?!?
あくまでも知らぬふりで通すつもりの昼行灯に、恥ずかしさとか悔しさとか怒りがごちゃ混ぜになって、爆発する。
こ、のぉ、ド変態!!!!!!!!!
しらばっくれるなぁ!!
「え、いや、ちょっと、あかりちゃん?何をするつもり」
「問答無用!!変態!変態!ド変態!!」
両手でベレッタ90‐Tow TypeFを持ってフルオートで撃ちまくる。本来はフルオート出来ないけど華ちゃんにマガジンと一緒に改造してもらったんだよ!!
「ぬぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ええい、逃げるなぁ!
私に催眠術使って何したのよ!!一片死んで来なさい!!!
「誤解だ!あかりが変に隠すのが悪いんだよ!!」
む、私が実力を隠してるのが気に食わないと?
なら、こうよ!
リロードして、今度はバラ撒かずに、本気で昼行灯に狙いを付ける。
「だったら、今ここで魅せてあげますよ、先っ輩!!」
感情の高ぶりで発動。発動キーは怒り、時間は五分。掛かり具合は二割って所。もう、キレた、催眠解けた時、すっごく怖かったんだから、思いしれぇ!!
「な!?うぉぉぉぉぉおおおお!!!」
ええい、しぶとい奴め、さっさと怪我して記憶消せぇ!
どうせ、恥ずかしいことしたんでしょ私!?前世の自分に誘惑したんでしょ!!しかも本気で!!!一生の恥じよ!!
だから、記憶を消してやる!!!
「いい加減、記憶喪失しやがれですぅ!!」
「ふざけんなぁ!!!」
何この人、何でヒステリアモードに入ってんの!?まさかアゴニザンテ?この状態がアゴニザンテの発動条件を満たしたと?…………………そんなに、私のこと信用出来ないの?頭の中で何かが切れる音を聞いて、思考が止まらなくなった。ただ、
毎日甲斐甲斐しく、通い妻よろしく、白雪先輩とお弁当作ったり、女の子から守ったり、女の子の体の事教えてあげてるのは誰よ!!
「先輩。そんなに私が信用出来ないの?そう、なら、うふ、うふふふ、うふふふふふふふふふふふふふふ」
「落ち着け、あかりちゃん!落ち着くんだ!!」
何か昼行灯が言ってるけど、無視よ無視。こうなりゃヤケだ、お父さんに言って、任務出してもらおう。
里に呼び出すの、一週間以上欲しいなぁ。
どうせ貰い手は白雪先輩位でしょ?なら、私の男避けにもなってもらおう、セーンパイ♪満面の笑みを浮かべて、昼行灯を見る。
「セーンパイ♪ちょっとオイタが過ぎますよ?怪我しても、看病してあげます。ぜーんぶお世話したあげます。ずっとずっと、先輩が死んだ後も、先輩の事をお世話します。先輩が他の人にいっても、良いですよ?私は許します。だって先輩はモテるんですもん、私としては鼻が高いです。私の先輩が、皆から認められるんですから。でも、何で私を信用してくれないんですか?私が先輩を殺すと!思ったんですか!!」
目の端に溜まってるのは汗だ、塩分だ。こいつなんかに泣いてやるものか。
「!?!!!?……………………くっ、おぉりゃぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
な、何で無理矢理突破しようとするの!!?こいつ、ホントに怪我じゃすまないよ!!ええい、器用に頭周辺だけは無傷だし、私が狙ってないのもあるけど、何なのよホントにぃ!!
「止まってよ!どうして!?止めて!!」
視界が何故か歪んできてるけど、汗が目に入ったんだ、そうに決まってる。
「止まらない、絶対に!!」
あ、あぁ、何で目の前に居るの?
「どうして…………………きゃっ!?」
なんで、抱き締めてくるの?私、何で安心してるの?相手は前世の私よ?何でされるがままなの?
「大丈夫だあかり、俺はずっとお前の側に居る。安心しろ、お前のこと見捨てたりなんか、絶対にしない。だから、俺を許してくれよ」
なんで私、もっと言って欲しい何て想ってるの?どうして私、こんなに胸が苦しいの?
「…………もっと」
無意識に口から出た言葉に、自分が一番驚いてる。私何言ってるの?
「ん?」
ほら、
「もっと言って下さい、先輩」
何で、そんな声出してるのよ、それじゃあまるでキンジに!!
「分かったよ、ずっと側に居てくれ、あかり」
あ、…………………もうだめだ、嘘付けないや。
「ギュッとしてください。先輩」
「あぁ、良いよ、あかり。」
私の言った様に、優しく抱き締めてくれるキンジに、私も腕を回して抱き付く、思いっきり抱き付く。
「私、重いですよ?」
「あかりは重くなんか無いよ、俺には丁度良い」
何でこう、欲しい言葉を言ってくれるんだろう、もう毒だよこれは、女の子をダメにする毒。
「先輩、誰にでもこうなんですか?」
私が一番知ってるじゃん、何言ってんのよ、バカ。
「あかりにだけだ」
ほら、キンジはこういう男何だもん、そう言うに決まってる…………………何で嬉しくなってるんだろ、ホント、バカだなぁ。
「男の人は皆そう言うんですよ?」
もっと言って欲しいなら、素直に言いなさいよ、意地悪したらキンジ困るじゃん。
「なら、どうしたら認めてくれる?」
キンジも意地悪、そりゃそうか、中身同じ何だもん。
「私の里に来てください、それで認めます」
何言ってんだろ、キンジを里に呼んで、何するのよ。
うぅ、想像したら恥ずかしくなってきた。絶対に顔真っ赤だ。見られたくないから、キンジの胸に押し付ける。
私、前世でこんな匂いだったんだ、安心する匂いだなぁ。ずっとこのままが良いな。
「良いよ、二人っきりで行こうか。挨拶もしないとね」
!?!!!?!?!!!?!?!!!!???!!!?!
つ、つまり、それは、その、あの、で、でも!!準備が出来てないし、その、そういうのはもっと、大きくなってからって、だから、えっと…………………………うぅ、頭痛い…………
「な、大丈夫か、あかり!おい!!」
最後に聞こえたのは、キンジの焦った声だった。
何か主人公じゃなくて、もうこれヒロイン何だよなぁ、どうすっか( ̄0 ̄;)