魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-   作:零式機龍

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第10話 海上大決戦!

 

 

ここはアースラ艦内。そのブリーフィングルーム。

 

「という訳で・・・本日0時をもって、

 本艦全クルーの任務は、ロストロギア『ジュエルシード』の捜索と回収に変更されます。

 また本件においては特例として、

 問題のロストロギアの発見者であり、結界魔導師でもあるこちら・・・」

「はい! ユーノ・スクライアです!」

「それから、彼の協力者でもある、現地の魔導師さん」

「た、高町なのはです」「神代祐介です」

「以上3名が、臨時局員の扱いで事態にあたってくれます」

「「「よろしくお願いします」」」

 

さぁ、ここからが正念場だ。

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-

 

第10話 海上大決戦!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あーもう・・・・・・あちこち飛び回りやがって。

大きな翼を広げ、大鳥が逃げる。少し右を狙いビームライフルを連射。

翼をはためかせ左へ旋回、攻撃は避けられる。だがそれは予定通りだ。

反撃として飛んでくるの光弾を回避しつつ、射撃と共に目標を追う。

 

「美月、予定地点は?」

「間もなくです」

 

右に左にライフルを撃ちつつ、目標との距離を縮めていく。

 

「ポイント到達!」

「よし、動きを止めるぞ!!」

 

ライフルを消し、装備を持ち換える。

新たに手にするのは、バズーカ砲「Baz-85-Gry/Ver.045」。

そのバズーカを肩に乗せて構え、狙いを定める。

 

「いくぞ美月!」

「魔力弾選択・・・散弾装填!」

「――― ()ッ!!」

 

発射された弾は目標の手前で炸裂、小さな魔力弾が幾つも命中し、その動きを止める。

 

「ユーノ!!」

「分かってる!!」

 

そこに待ち構えていたのはユーノ。

捕獲魔法を発動し、目標が魔力の鎖によって縛りあげられる。

 

「捕まえた! なのは!!」

「うん!」

 

そこへ光臨せしは我らがなのは嬢。レイジングハートを目標へ向ける。

 

「Sealing mode, set up.

 ――― Stand by ready.」

「リリカル、マジカル・・・・・・

 ジュエルシード、シリアル8――― 封印っ!!

「Sealing.」

 

ジュエルシードは封印され、レイジングハートに確保される。

 

「Receipt number eight.」

 

 

 

 

 

「・・・・・・終了、か。今回は鳥だったからなぁ・・・飛び回りすぎ・・・

 でもまぁ、上手くいったかね」

「うん! コンビネーション、ばっちりだよ!」

「本当に2人とも、魔法上手くなったよね」

 

3人でハイタッチ。

アースラに乗艦してからのジュエルシード探索。

ジュエルシードの位置特定をアースラのスタッフにお任せし、

実際の現地捜索・確保を僕たちが担当していた。

3人の役割分担も上手くいっている。

僕が暴走体を誘導⇒ユーノがバインドで固定⇒なのはが封印、という流れだ。

 

「それに祐介くん、そのバリアジャケットもかっこいいよ!」

「そ、そうか?」

 

言われて、自分の格好を見下ろしてみる。

薄いグレーを基調として、所々に明るい紫のラインの走ったロングコート。

アースラにお世話になっている間、ユーノとかクロノとか他の局員の人たちに、魔法の基礎

を教えてもらっていたのだが、『バリアジャケットが無いのは見ていて危なっかしい』とか

言われてしまったのだ。

実際の所、ちゃんと防御機能は働いてるんだけどなぁ・・・見た目が変わらないだけで。

普通は、それぞれの能力に合わせた防護服を構築するのがセオリーだそうな。

例として、なのはのジャケットはかなり防御が厚い。

まぁあの砲撃力だからなぁ・・・防備を固めた砲台ってことか。

で、僕は・・・特に何もなかったので万能バランス型、と判断されたのだが・・・

みんなであーだこーだと相談した挙句、クロノのジャケットを参考に、

このジャケットが完成した。

 

「ま、状況を問わず活躍できるのは利点だと思っておこう・・・

 せいぜい、ただの器用貧乏にならないように頑張りますか」

 

そこへアースラから通信が入る。

 

『状況終了です。ジュエルシードNo.8、無事確保。

 お疲れ様。なのはちゃん、祐介くん、ユーノくん。

 ゲートを作るから、ちょっと待っててくれ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕たちがアースラに乗艦してから10日が経っていた。

その間確保したジュエルシードは3個。

本日捜索した範囲も空振りだったため、僕たちは食堂で休憩していた。

 

「フェイトちゃん、なかなか会えないね・・・・・・」

「うん・・・こっちとは別にジュエルシードを集めてるんだと思うけど」

「こっちで見つけたジュエルシードも、2つくらい先に取られたみたいだしな。

 なのはが確保したのが合計9個。とすると・・・・・・」

「残りは6個、ですねー」

「こりゃもう少し時間かかるかもな・・・」

 

そんな時、ユーノが呟く。

 

「ごめんね・・・2人とも・・・寂しくない・・・?」

「・・・どうした、急に。

 大丈夫だよ、独りきりって訳でもないしな」

「うん、わたしも、全然寂しくなんてないよ。

 それに独りでも・・・多分平気。

 昔は・・・結構独りだったから・・・・・・」

「そうなのか?」

 

そういえば、高町家の昔の話とか聞いた事無かったな。アリサたちとの話は聞いたけど。

 

「わたしがまだ小さい頃ね・・・・・・

 お父さんが仕事で大怪我しちゃって、しばらくベッドから動けなかった事があるの。

 喫茶店も始めたばっかりで、お母さんとお兄ちゃんは、いつもずっと忙しくて。

 お姉ちゃんも、ずっとお父さんの看病で・・・・・・

 だからわたし、割と最近まで、家で独りでいる事多かったの。

 ・・・だから、結構慣れてるの・・・・・・」

「そっか・・・・・・」

「小さい頃の経験って、やっぱ尾を引くもんなのかな。

 まぁ僕には分からんが・・・・・・記憶無いし」

「えぇっ!?」

「そ、そうだったの祐介くん!?」

 

そりゃまぁ、普通は驚くか。

そうそうあるもんじゃないしな、記憶喪失なんて。

 

「1年くらい前か、父さんと僕は事故にあったらしくてな。

 病院で目覚める以前の記憶がまるっきり無いんだ。

 医者に言わせれば事故のショックらしいけど。物理的にも精神的にも」

「精神的・・・?」

「・・・事故の時、父さんは僕を庇って・・・・・・死んだらしい。

 美月は、その父さんが大事に持ってた、形見なんだ・・・・・・」

「そんな・・・・・・」

「あーもう! そんな顔するな。昔よりも今だ。

  『過去を忘れるつもりはない。

   過去に縛られるつもりもない。

   人生とは常に前へと進むものだから』

 これが家の家訓だからな」

「その『過去』を忘れてる人がいますけどねー」

「ま、前に進んでるからいいんだよ!

 はいもうこの話終わり! 次、ユーノ! お前の家はどうだったんだ?」

 

暗くなる前に、半ば強引に打ち切り、ユーノに訊ねる。

 

「え? あぁ、僕は元々独りだったから。

 両親はいなかったんだけど、部族のみんなに育ててもらったから・・・

 だから、スクライアの部族みんなが、僕の家族」

「そっか・・・」

「お前も色々大変なんだな」

 

みんな、それぞれ何かあるもんなんだな・・・・・・

 

「・・・色々かたづけたら、もっと沢山色んなお話できるかな・・・・・・」

「うん・・・色々かたづいたら、ね」

「そうだな。

 フェイトとも・・・・・・きっとできるだろ。

 もう残りの数も少ないし、そろそろ遭遇しても―――」

 

  ビーッ! ビーッ!

 

「「「!!?」」」

 

突然響く警報。揃って顔を上げる。

 

『エマージェンシー!

 捜査区域の海上にて、大型の魔力反応を感知!!』

 

「言ってるそばから早速ですかねー」

「なのは! ユーノ!」

「うん!」

「分かってる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリッジに上がると、目に入ってきたのは凄まじい光景だった。

海上の嵐の中、フェイトが戦闘を開始している。

その周りに屹立する竜巻、ひぃ、ふぅ、みぃ・・・6つ!?

 

「フェイトのやつ、残りのジュエルシード全部発動させたのか!?」

「あ、あの! わたし、すぐ現場に―――」

「その必要は無い」

「何でだよ!? 暴走体6体を同時に相手なんか、2人じゃ無理だろ!!」

 

クロノの制止に思わず食って掛かる。

 

「放っておけばあの子は自滅する。

 仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たしたところで叩けばいい」

「そんな!!」

「今のうちに、捕獲の準備を」「了解」

 

事務的に指示を出すクロノに腹が立つ。

いや、理屈では分かってる・・・公的組織としてそれが正しい方策である事も・・・・・・

もちろんフェイトたちを見殺しにする事はないだろうが、それにしたって・・・!!

 

「私たちは、常に最善の選択をしないといけないわ。

 残酷に見えるかもしれないけど、これが現実・・・・・・」

 

モニターには、どんどん疲弊していくフェイトの姿。このままじゃ・・・!

――― けど、彼らを説得できる理由が見つからない。

今の段階でフェイトの助けに入りたいっていうのは、所詮は子供の我儘だ。

でも何か・・・何かないか・・・・・・!

 

 

 

「待て! 君は・・・!!」

 

クロノの声に、ハッと振り返ると、なのはが転送ポートに走り込んでいた。

何を・・・ってポートが起動してる!?

 

「ちょ!? おい、なのは!?」

 

そして僕たちと彼女の間に立ち阻むやつ。

ゲートを開いたのはお前か、ユーノ・・・・・・

 

「ごめんなさい・・・・・・

 高町なのは、指示を無視して勝手な行動をとります!!

 

そう言って、なのは、続いてユーノの姿はブリッジから消えた。

 

 

 

 

 

「あ~ぁ、行っちまった・・・」

 

頭を掻きながら、モニターに視線を戻す。

モニター上では、なのはがフェイトに接触しようとしていた。

 

「馬鹿な! 何をやってるんだ! 君たちは!!」

『ごめんなさい! 命令無視は後でちゃんと謝ります!

 だけど・・・放っとけないの!!

 あの子きっと・・・独りぼっちなの・・・・・・

 独りきりが寂しいのは・・・わたし少しだけど分かるから!!』

 

まったく・・・たいした行動力だよ。

あれこれ考えてモタモタしてたら先を越されちゃったな。

・・・しょうがない、こっちも行くとしますか。

 

「リンディ艦長」

 

艦長席に向き直り、進言する。

 

「このまま静観するって訳にもいかないんじゃないですか?

 こうなってしまった以上、この事態はさっさと片付けた方が良いと思います。

 ・・・出動許可、もらえませんか」

「・・・・・・はぁ。仕方ないわね。

 祐介くんは、なのはさん達と合流。ジュエルシードの封印とフェイトさんの保護を」

「ありがとうございます!!」

 

待ってろなのは! フェイト! すぐ行くから!

 

《アルフさん忘れてません? あとユーノさん》

 

わ、忘れてない忘れてない・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海上に転送され、すぐに飛行機鋼を発動する。

 

「なのは! フェイト!」

 

2人の所に到着すると、ちょうどなのはが魔力分与を終えたところだった。

ユーノは・・・アルフさんの所か。バインドで暴走体を抑えてくれている。

 

「とにかく、さっさとアレを止めるぞ! この際ジュエルシードは半分ずつな!」

「え・・・?」

「ユーノくんとアルフさんが止めてくれてる! だから・・・今の内に!!」

「Shooting mode.」

 

なのはが飛び出し、高度をとる。

それじゃあ、こっちも・・・!

 

「美月、砲撃準備!」

「りょーかいっ! メガ・バズーカ・ランチャー、よーい!!」

 

ランチャーを正面に構え、砲撃体勢に入る。

隣を見ると、目に入ってきたのは戸惑いの表情。

なのはを、そして僕を交互に見ていたフェイトに笑ってやる。

 

「どうした? ジュエルシード欲しいんじゃなかったのか?

 このままだと全部貰っちゃうぞ?」

「そ、それは・・・・・・」

「Sealing form, setup.」

「バルディッシュ・・・?」

 

封印体勢に入るバルディッシュ。

空気の読める、良くできたデバイスだこと。

 

「なのは! 準備いいか!!」

「うん!! 行けるよ!!」

 

隣を見ると、フェイトが激しく雷を迸らせていた。

 

チャージ完了・・・いっけえぇぇぇッ!!」

「サンダー――― レイジッ!!」

「ディバイン――― バスタァァっ!!」

 

臨海公園で大樹を封印した時よりも格段に規模の大きな一斉攻撃。

瞬く間に6つの光柱を呑み込み、嵐が沈静化する。

 

・・・何とか、なったか・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはがこちらに降りてくる。

目の前に上がってきた6個のジュエルシード。

そしてそれを挟んで向かい合う、僕たちとフェイト。

・・・・・・いざ事が一段落してしまうと、何を言っていいか分からない。

とりあえずの目的、危険な状況だったフェイトを助ける・・・それは終わった。

でもその後の事は考えてなかったな・・・

向こうも同様なのか、困惑と思案の表情を浮かべている。

 

「わたしが・・・」

 

ポツリと最初に口を開いたのは、なのはだった。

その声に、フェイトもハッと顔を上げる。

 

「今わたしがフェイトちゃんに言いたい事は・・・実は決まってるの・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・友達に・・・なりたいんだ」

 

・・・・・・・・・・・・そっか。

難しく考える必要なんて無かったんだ。

無理に色々と、もっともらしい理由付けをしなくってもよかった。

その寂しそうな瞳で、何か重いものを抱えてるなら助けてやりたい、そんな理由でもいい。

 

「・・・単純な事だったんだな・・・・・・

 フェイト。僕たちは―――」

「空間に異常発生!! 上空より攻撃が来―――!!!」

 

突然の美月の叫び。

その警告が終わらないうちに、周辺に降り注ぐ紫色の雷。

 

「なッ!!?」

「っ!? 母さん・・・!?」

 

その時、雷の一筋がフェイトを打つ。

 

「フェイトちゃん!!」

「フェイト!! ――― ぐッ!!」

 

助けに行こうとした瞬間、別の雷に弾き飛ばされる。

なんとか体勢を立て直し、周囲を見回す。

フェイトは・・・・・・アルフさんが受け止めていた。

良かった・・・・・・

 

――― って、アルフさんがそのまま向かう先にはジュエルシードが!!

この状況でジュエルシード6個全部持ち逃げする気か!?

 

「ちょ!? アルフさん!!それはあんまり―――!!」

 

ここからじゃ間に合わない!

そう思った瞬間、アルフさんの前に立ち塞がる黒い影。

クロノ・・・あいつも来たのか。

 

「邪魔ぁ・・・すんなぁぁっ!!!」

 

突進するアルフさんに、あっさり殴り飛ばされるクロノ。

 

「おいおい・・・しっかりしてくれよ・・・・・・

 これじゃジュエルシードが・・・」

 

そう思って、アルフさんの手にしているジュエルシードを見上げる。その数3つ。

・・・あれ? 3つ?

慌ててクロノの方に振り返ると、その手には3つのジュエルシードが。

 

「ちゃっかりしてる人ですねー」

「こんな状況でも冷静なやつだなぁ・・・」

 

あとはアルフさんを・・・って、超怖い顔してるー!?

 

「うあぁぁぁっっ!!!」

 

アルフさんによって海面に撃ち込まれる魔力弾。

大きく水しぶきが上がり、全てを飲み込む。

 

 

 

視界が収まった時には、2人の姿は無く・・・

降り注ぐ雨の中、僕たちはただ空を見上げていた・・・・・・

 

 

 

 

 

      第10話   終

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ~あとがき・・・もどき!!~

 

 

 

美月「後で怒られますねー」

祐介「命令無視の事? え、僕も怒られんの? ちゃんと許可もらったよ!?」

作者「一刻も早くフェイトを助けなきゃならん時に・・・このやろう、出遅れてやんのー」

祐介「あんたが書いたんだろうが! だったらもっと早く出動させろよ!」

作者「いやー、祐介はそこまで熱血キャラじゃないし・・・

   ――― そういえば、今回はバズーカぶっ放してたね」

祐介「話の切り替えが唐突だな・・・

   序盤でジュエルシード鳥に撃ったやつ? 『Baz-85-Gry/Ver.045』だっけ?」

美月「しかも散弾でしたよ?」

作者「RX-178 ガンダムMk-Ⅱの持ってたハイパーバズーカですねぇ。

   装填するカートリッジで、通常の炸裂弾と散弾を撃ち分ける事ができるのよ」

祐介「便利だなー」

作者「ただ散弾って事は至近距離でもなければ威力は低めだから、適当には撃たないように。

   考え無しに撃ったら『散弾ではなぁ!!』って反撃くらうぞ。某少佐から」

祐介「何の話かさっぱり分からん」

美月「それはまぁ置いといて・・・そろそろ事件も終盤なんじゃないですか?

   ジュエルシードも全部見つかった訳ですし」

祐介「こちらに12個、向こうに9個か・・・・・・」

作者「さてさてどうなることやら・・・」

祐介「あんたが書くんだよ!?」

 

 

 





一応、10話時点でのキャラ設定を書き出してみたり・・・

 ⇒キャラ紹介1

よろしければ。
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