魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-   作:零式機龍

3 / 24
プロローグ的な?
第0話 目覚めし少年と翡翠の石


 

 

 

人生なんて何があるか分かったもんじゃない。

未来予測? そんなの誰にもできっこない。

不慮の事態なんてものは、ごくごくありふれたものだ。

でも、どんな人生を歩もうと、納得できる生き方が出来ればそれでいいと思う。

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-

 

第0話 目覚めし少年と翡翠の石

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ふと、目を開ける。

しかし違和感。いまいち状況が掴めない。

 

「・・・・・・ここは何処?わたしは誰?」

 

とりあえず言ってみる。・・・・・・が、返事はない。

 

起き上がって、辺りを見回してみる。

白いカーテン。自分の座っているのは白いベッド。傍のテーブルに飾られた花。

て事は、病院か? 何故ここに寝かされているのかは分からんが。

 

次は自身の確認を。

頭。少しボーッとしてるが、寝起きであるせいだろう。

首から下。問題なく動く。小さい指先も、短い手足も問題ない。

ふむ・・・・・・どー見ても、自分はちみっ子である。

 

   ガラララララッ

 

扉の音に振り向く。入り口には女性が1人。あ、こっち見て固まった。

と、とりあえず状況を確認したい。

 

「あ、あの・・・」

「ゆ、祐介ぇぇぇーーーーっ!!」

「どわあぁぁっ!?」

 

いきなり走りこんで来てハグですか!?

ちょ、キツイ、苦しいっす・・・!!

 

とにかく腕をバシバシ叩き、開放を要求。

あぁ、と我に返り腕の力を緩める(意外と逞しい)女性の方。死ぬかと思った・・・

 

「祐介、大丈夫? 痛いところは無い?

 まだ頭が変とか、手とか足とか動かないとか無い?」

 

早口で捲し立てるこの方。とても心配してくれてるのは、その姿勢から分かる。

が、今の僕に言えるのはこの一言しかないわけで・・・

 

「あー、えーと・・・どちら様でしょうか?」

 

空気が死んだ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「記憶喪失、というヤツかねぇ・・・」

 

目の前のツルツル先生が呟く。

先ほどの女性が大騒ぎしてくれたお陰で、僕はわりと冷静になっていた。

あれから10分後、駆け付けた医師(見事な頭だった)に、検査・問診を受ける事になったのだ。

正直いってマジで記憶が無いため、分からない、だらけの問診だったが。

自分の事、周囲の状況、人間関係などなどは完全に出てこない。

しかし一般知識は割と充実。なんとも珍妙な話である。

 

記憶喪失・・・ねぇ。

何はともあれ、現在命に別状はないらしい。

かといって周りの事が分からないというのは落ち着かないものである。

 

「あの・・・できれば色々と教えてもらいたんですけど・・・」

「ああ、そうだね・・・

 まず、あんたの名前。あんたは『神代 祐介』。小学2年生の8歳。

 で、アタシは『神代 真弓』。あんたの母親、ね」

「お母、さん・・・?」

「そんな『お母さん』、なんて。母さんでいいのに」

「君は2日前、家屋の倒壊事故に巻き込まれて、この病院に搬送されたんだ。

 奇跡的に軽傷だったんだが、ずっと意識が無くってね・・・

 さっき、ようやく目覚めたと言う訳さ」

 

先生が状況を補足してくれる。

事故・・・か。頭でも打って記憶喪失になったとか?

 

「にしても・・・」

 

ふと、真弓さん、いや母さんか・・・が呟く。

って泣いてる!? え!? 僕なんかしたっけ!?

 

「ちょ、お母・・・母さん!?」

「あんたがそんなに喋ってるなんて初めて見るよ・・・

 いつも、必要な事だけを淡々と言う子だったから・・・

 なんか・・・嬉しくって・・・」

「母さん・・・」

 

ちっと涙腺が潤む。

そんな泣笑い顔で言われたら、こっちが感極まってしまいそうだ。

 

以前の僕はどんなヤツだったんだろう・・・

親とのコミュニケーションすら碌にしてなかったのか。

記憶の無い自分に腹が立つ。この親不孝者め。

 

「でも、あんたが元気に目を覚ましてくれて、ホントに良かった。

 父さんのお守りのお陰かな・・・」

 

言って、僕の首元に目を見やる。

そこには、菱形をした翡翠色のクリスタルが

金色の地金に嵌め込まれたペンダントが架けられていた。

 

「そのペンダントは、あんたの父さん『神代 誠』さんが持ってた物でね。

 いつも大事にしてたよ。・・・今となっては形見になっちゃったけどね・・・」

「父さんの・・・お守り・・・・・・

 って形見!? ということは・・・・・・」

「・・・事故現場には父さんもいてね・・・・・・あんたにお守りを押し付けて、

 瓦礫から押しのけるように手を伸ばしていたそうだよ・・・・・・」

 

・・・・・・ッ! 父さんが・・・僕を庇って・・・・・・

頭を殴られたかのような感覚。

顔も覚えていないとはいえ、父さんの死は僕にとって大きなショックだ。

知らず、涙が流れる。

 

「そんな・・・僕のせ―――」

「言っとくけど、自分のせいだなんて思ったら大間違いだよ。

 自分が代わりになってればとか思う位なら、精一杯生きなさい。

 父さんに守られた命、大事に生きてこそ恩返しになるものなんだから・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・うん・・・・・・分かったよ・・・」

 

2人とも涙を拭う。

 

父さん・・・守ってくれてありがとう・・・

なのに、それを覚えてないのはごめん・・・

でも、僕は生きようと思う・・・この命、大事に・・・

自分でも、父さんから見ても納得できるよう生きるから・・・・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5日後、僕は病院の正面入り口で、先生方に見送られていた。

精密な検査の結果も問題なく、元気だったので退院が許可されたのだ。

しかし・・・

 

「本当に1人で大丈夫かね? 記憶の無い子供1人だなんて、危ないと思うんだがねぇ」

「まぁ、地図で自宅の場所は分かりましたし。

 タクシーも呼んでもらったんで、大丈夫だと思います」

 

そう、1人だ。先生方も呆れていらっしゃる。

普通は付き添いの人間がいるだろうに・・・

え? 母さん?

 

『ひと足先に帰って、お迎え準備しとくからー!

 記憶が無いって言ったって、それだけしっかりしてれば大丈夫でしょ。

 姉ちゃんと一緒に待ってるからねー。早く帰ってくるのよー』

 

とか言ってましたね、確か。

なんともあっけらかんとした性格である。

ん? あぁ、姉さんの話? そう、僕には2つ年上の姉がいるらしい。

とは言っても、僕の感覚では会ったことがない訳だが・・・

この数日、ずっと家に篭ってるらしい。

・・・・・・やっぱり、ショックだったんだろうな・・・父さんの事・・・・・・

母さんだって、父さんの事で色々と心労はあるんだろうけど・・・

 

『「過去を忘れるつもりはない。過去に縛られるつもりもない。

  人生とは常に前へと進むものだから」

 ・・・・・・父さんの言ってた事だよ。

 だからアタシも、前向きに行こうと思うんだよ。あんた達のためにもね』

 

と言って、明るく振舞ってくれていた。

だから僕も見習おうと思う。母さんの様にできなくても、姉さんを元気づけたい。

・・・よし、帰ろう!

 

「それでは、お世話になりました!」

 

そう言って、みんなに礼をする。

みんなの拍手を背にタクシーに乗り込み、行き先を告げ、まだ見ぬ自宅へ向かう。

さてさて・・・これからどうなる事やら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後、とあるマンションのとある部屋の前。

 

「ここ・・・か」

 

表札には『神代』の文字。

あー、無駄に緊張するなぁ・・・

 

意を決してチャイムを鳴らす。

・・・・・・反応なし。

もう一度鳴らす。

・・・・・・・・・・・・やはり反応がない。

ドアを開ける。

あっさりと扉が開く。鍵かけろよ、無用心な。

・・・てか、とーっても静かなんですが。どゆこと?

とにかく、廊下を歩き、正面ドアへ。恐らくリビングなのだろう。

ゆっくりとドアを開け、踏み込んだところで・・・・・・

 

パーンッ! パカパカーンッ!! パカーンッ!!

「のわッ!!?」

 

響く破裂音に思わずのけぞる。

・・・・・・えーと、クラッカー・・・?

 

「おっかえりー、祐介。どう? 初自宅の感想は」

 

おいおい・・・テンション高いな、母さん。

自宅感想といっても・・・正直、家は普通としか言えん。

 

「感想は特に無し! てか何なのさ、この騒ぎは。

 お迎え準備ってコレ? ちと大げさ・・・」

「なーに言ってんの、つれないわねー。

 あんたの快気祝いだってのにー」

 

言って、キッチンへと向かう母さん。

と、横で驚きの表情でこちらを見ているお方が1人。

母さんに良く似ているところから察しますと・・・

こちらがお姉さまでいらっしゃいましょうか?

 

「あー、えと、姉さん・・・?」

「驚いた・・・本当に普通に喋ってるなんて・・・

 一応自己紹介はした方がいいのかな?

 私は『神代 咲』。あなたの姉よ。

 改めて、っていうのは変だけど、よろしくね、祐介」

「あ、うん。よろしく、姉さん」

 

・・・・・・元気に振舞ってはいるが、少し憔悴した感が見て取れる。

だからだろうか、言うべき事は決まっていなかったが、何か言わずにはいられなかった。

 

「姉さん・・・父さんの事は・・・・・・」

「・・・分かってる・・・・・・」

 

少し寂しそうに、それでも微笑みながら言う。

 

「父さんはもう帰ってこない・・・

 でもね、私も母さんと同じなの。前向きに行きたい。

 今はまだ空元気でも、きっといつか心から笑える日が来るって思いたいの」

 

・・・・・・そう、そうなのだ。

みんな、決して小さくはない傷を心に負った。

でも・・・それでも僕たちは、前に進まなきゃいけない。

だから僕は、笑って頷いた。

 

「ちょっとー、まだー? もう準備出来てるんだからー」

 

向こうから母さんの声が聞こえる。

 

「待ってるわね。行きましょ」

「そうだね。なんか飢えた声だけど」

 

2人で苦笑しながらテーブルへと向かった。

 

 

 

 

 

「さー、祝・祐介退院パーティー始めるわよー!!」

 

そう言ってテーブルを示す母さん。

その上には様々な料理が・・・あるのだが・・・

 

「一応聞いておくよ・・・母さん、料理に関するスキルは?」

「無いわよ?」

「躊躇い無く言い切りましたよ!?」

 

テーブルの上には、スーパーの惣菜や冷凍食品が所狭しと並んでいた・・・

あ、でも一部に手作りであろうおかずが存在している。

ということは・・・

 

「姉さん・・・次からは、僕も少しは手伝うから・・・」

「うん・・・ありがと・・・」

 

ちょっと疲れた表情で頷く姉さん。

食事に関しては苦労人だったのね。

 

「なーにしてんのー? 早く食べないと無くなるわよー!」

 

もう食ってるし!?

 

・・・なお、本人の名誉のために補足しておくが、

母さんは料理以外の家事スキルは万能だった・・・・・・

 

 

 

 

 

その後は、まぁドタバタと騒いだ訳だ。

母さんとの料理争奪戦が勃発したり、姉さんの学校の話を聞いたり・・・

初めての家族団欒といっても過言ではない・・・そうな。

まぁ、覚えてはないケド、以前の僕は半端なく人形然としてたらしい・・・

記憶が戻るかは分からないが、この家族が一緒なら何が起きても大丈夫、そんな気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リビングを片付け、それぞれ寝室に向かう。

退院やらパーティーやら色々あって疲れたなぁ、寝よ寝よ。

 

が、僕にとっての事件は、まだ終わっていなかったのだ・・・

寝るために着替え、形見のネックレスを外し脇に置こうとした時、それは聞こえた。

 

「あのー、ちょっと待って下さい。わたしの話、聞いてくれませんか?」

「・・・・・・は?」

 

ちょっと待て、今の声、何処から聞こえた?

部屋には誰もいない。母さんも姉さんも、もう自分の部屋に戻ったはず。

 

「幻聴か? そうか幻聴か。なら問題ない。寝よう寝よう」

「ってこら~! 勝手に自己完結しないで!!話聞いて下さいってば!!」

「・・・何処だよ? 声の主」

「手の中ですー! てぇのぉなぁかぁ~!」

 

はい? 手の中って・・・

翡翠色のクリスタルがキラリと輝く。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

あれか? ひょっとしてこのペンダントは超近代型の通s・・・

 

「言っときますけど、通信機とかじゃないですよ。」

「地の文を読むな。じゃあ何者なんだよ、今喋ってるのは」

「・・・・・・さぁ?」

「一応聞いとくが、ふざけてんじゃないよな・・・?」

「ち、違いますよー! ホントに分からないんですってばぁ!!」

 

なんなんだ、この摩訶不思議な石は・・・・・・謎すぎるぞ。

実は恐ろしい過去の怨念が封じられていました、とかだったら洒落にならないよ!?

 

「・・・・・・祟らない・・・?」

そんな事しません!! っていうか幽霊とかじゃないですよ!!

 ・・・・・・多分

「多分!? 今、多分って言った!?」

「私だって分からないんですからしょうがないじゃないですかぁ!

 とりあえず分かってるのは、この宝石が良く分からない構造である事、

 自分の意識がある事、ここ1週間の身の回りの出来事・・・

 それくらいなんですよぉ!」

「構造が謎って・・・そんな『分からないという事が分かった』みたいに言うなよ。

 意識の始めは・・・1週間前・・・父さんが死んだときくらいか・・・・・・」

「・・・・・・ちょうどそのくらいです。周囲の情報の収集と整理に時間がかかり、

 ようやく会話ができるまでにこぎつけたんです」

「じゃあ僕や周りの事は、もう分かってるんだ? 記憶喪失の事とか・・・」

「ええ、まぁ。過去の記憶がないのは私も一緒ですが」

 

そうか・・・まぁ説明をする必要がないのは助かる。面倒だし。

 

「それで? これからお前はどうするつもりなんだ?」

「正直私だけでは何ともなりませんし。何かあてがある訳でもないので・・・」

「そっか・・・・・・

 じゃあ、とりあえず現状維持でいい? お前が嫌じゃなければ、このまま一緒で。

 記憶のない者どうし、仲良くしようじゃない」

「は・・・はい! こちらこそ、よろしくお願いします!!」

 

僕もそうだけど・・・不思議すぎる展開の割に、すんなりと現状を受け入れてるな。

記憶がないって、神経が図太くなる事・・・じゃないよな? 別に困らないからいいけど。

 

「それはそうと・・・今更だが、お前の名前を訊いてなかったな」

「名前・・・ですか?

 記憶がないんで分かりませんよ。

 そうだ! 祐介がつけて下さい。わたしの名前!」

「え!? 僕が?

 参ったなぁ・・・名付けのセンスなんて自信ないよ」

 

言いつつ、窓の外を見やる。

空にはちょうど、白い月が浮かんでいた。

 

暫し見とれる。

 

「月、か・・・うん、美月。お前の名前は美月だ! いいだろう?」

「美月・・・はい! 気に入りました!」

「そうか、良かった。

 これから・・・よろしくな、美月」

 

 

 

 

 

こうして僕は、月の夜に、新たな出会いをしたわけだが・・・

美月がいなかったら、人生は丸っきり変わってただろうなぁ。

自分で言うのもなんだが、正直、普通~っな生活を送った事だろう。

 

まぁ何にせよ、この出会いが僕の人生において、大きなファクターを占めていた事は間違いない。

これが、その後の数奇な生活に繋がっていったのだから・・・・・・

 

 

 

 

 

      第0話   終

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ~あとがき・・・もどき!!~

 

 

 

祐介「・・・なんで座談会チックに?」

美月「他のSS読んでて楽しそうだったから、だそうですよ?

   まぁ、もともと自己満足で書き始めた物なんですし、いいんじゃないですか」

祐介「そんなもんかね・・・で、一体ここでは何を扱うんだ?」

美月「設定説明とか、言い訳とか、裏話・・・とか?」

祐介「裏話ってなんだよ・・・

   よし、ではまず言い訳を聞こうか。何で僕や美月は記憶喪失に?」

美月「あ、ここに作者からのカンペがあります。

   えーと・・・・・・便利だから、だそうです・・・

   当初は記憶喪失じゃなかったそうですが、この方が都合が良かったそうで」

祐介「その割には何回も改訂してるな・・・」

美月「妄想し過ぎて、収拾がつかないみたいですよ。

   これ、ちゃんと完結するんですかね・・・?」

祐介「不安だ・・・激しく不安だ・・・・・・」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。