魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-   作:零式機龍

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第2話 彼女は叙情詩的で魔法的?

 

 

 

光が収束していく・・・

そして、中心から姿を現すなのは。

ただその姿は・・・・・・

 

「・・・・・・はぁ!?」

「これまた可愛くなりましたねー」

 

白を基調として青いラインの入った服。

手には、紅い珠を冠した杖(の様なもの)。

 

・・・僕はただただ、あっけにとられるだけだった。

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-

 

第2話 彼女は叙情詩的(リリカル)魔法的(マジカル)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あー、えとー・・・何? この状況・・・

とてつもないレベルのエネルギーがなのはから検出されて、

なのはが変身(?)しました、以上。

 

「え、えー!? こ、これ何ー!?」

 

当の本人も戸惑いを隠せないようで、あたふたしている。

 

「来ます!!」

 

突然フェレットが叫ぶ。

 

「しまっ―――!」

 

なのはに気を取られて、ついボーッとしてたら抜かれた!?

黒坊が一気になのはに迫る。

 

「なのはッ!!」

 

くそっ!! もう割り込むには間に合わない!!

 

「え!? き、きゃっ!」

 

咄嗟に杖を掲げるなのは。その時、

 

「Protection.」

 

桜色のバリア(みたいなの)が展開され、黒坊を受け止める。

何あれ!?

そのまま黒坊は弾き飛ばされ、散り散りに弾ける。

・・・その破片が辺りに打ち込まれて、周囲が惨状になってるけど。

塀はボロボロ、電柱は倒れる、道路は陥没。

おいおいマジかよ・・・

驚きは尽きないが、体勢を立て直すチャンスではある。

 

「と、とりあえず離れるぞ!」

「う、うん」

 

 

 

黒坊が復活する(のか分らんが)前に、状況を整理しておきたい。

少し距離をとり、フェレットに尋ねかける。

 

「おいフェレット、この状況を説明してくれ。

 なのはの力とか、あの黒坊とかは何なんだ?

 あれがさっき言ってた魔法とかいうやつなのか?」

「はい・・・僕らの魔法は、発動体に組み込んだ、プログラムと呼ばれる方式なんです。

 発動させるためには、術者の精神エネルギーを必要とします。

 ・・・そしてアレは、歪んた方法で生み出された思念体。

 アレを停止させるには、その杖で封印して、元の姿に戻さないといけないんです」

「・・・美月、解った?」

「そりゃそーですよ。私、優秀ですもん。

 魔法とは言っても、よくあるファンタジー的なものではなく、

 プログラムを介してエネルギーを制御する、普通の技術体系みたいですねー。

 まぁ技術的な事は置いといて、とりあえず今言えることは、

 アレを倒すには、なのはさんの魔法とやらが必要って事です」

 

じゃあ黒坊の始末は、なのはに任せないといけない、って事か。

 

「だってよ、なのは。任せた」

「よ、よく分かんないけど、どうすれば?」

「さっきみたいに、攻撃や防御などの基本魔法は、心に願うだけで発動しますが、

 より大きな力を必要とする魔法には、呪文が必要なんです」

「呪文・・・?」

 

・・・美月はあぁ言ったけど、呪文とか言うと、途端にゲーム的な魔法の方が頭に浮かぶ。

なのはもキョトンとした顔をしている。

 

「心を澄ませて。心の中に、あなたの呪文が浮かぶはずです」

 

言われ、目を閉じ集中し始めるなのは。

取り敢えず邪魔しないように見守―――

 

  グオオォォッ!!

 

「げ!!? やっぱ来た!?」

 

振り向くと、再生した黒坊が再び突撃して来ている。

おまけに何か触手みたいなのを伸ばして攻撃してきてるし!?

 

・・・今のなのはは無防備だ。黒坊の接近を阻止するしかない!!

 

「美月! こっちもバリアみたいなのとかない?」

「検索します・・・これです!」

「じゃあこれ! 『Absolute Terror FIELD』ってのを!」

 

腕を前に掲げ、意識を集中。

黒坊との接触と同時に、緑色で八角形の縞模様のバリアが展開され火花を散らす。

おぉ! 何かカッコイイ!! ・・・とか言ってる場合じゃない。

 

しばらく拮抗する。

黒坊も引き下がるつもりはないのか、唸り声と共に押し込んでくる。

 

「くッ・・・このッ・・・下がれってのッ!!

 

こちらも負けじと黒坊を押し返し、力任せに弾き飛ばして距離を開ける。

なのはは? まだか!?

 

 

 

「封印すべきは、忌まわしき器。ジュエルシード!」

 

背後からフェレットの声が聞こえたかと思うと、桜色の光が輝きをます。

 

「ジュエルシードを、封印!」

「Sealing mode. Set up.」

 

なのはの声に続き、その杖が形状を少し変える。

先端部が上昇し、光の翼の様なものが、根元から噴出する。

そして、杖から伸びたロープの様な光の束が、黒坊を捕らえ捕縛。

すると、黒坊の額に浮かぶ、XXIの字。

 

「Stand by ready.」

「リリカルマジカル。

 ジュエルシード、シリアル21。――― 封印っ!!

「Sealing.」

 

光の束が数を増し、黒坊に突き刺さっていく・・・

 

そして激しい光と共に、黒坊の姿は消えた。

 

「あ・・・」

「何だ? アレ・・・」

 

なのはと二人、黒坊の消えた跡へ歩き出す。

そこに残っていたのは、青い宝石。

 

「これが、ジュエルシードです。レイジングハートで触れて」

 

言われる通りに、なのはが杖を差し出す。

すると、青い宝石は、なのはの杖(こいつがレイジングハートらしい)に吸い込まれた。

 

「Receipt number twenty-one.」

 

なのはの服も元に戻り、手元には紅い宝石が残る。

お? いつの間にか、辺りの空間も元に戻ってる・・・

 

「・・・終わり? 美月」

「みたいですね」

「終わった・・・んだ」

「はい・・・あなた達のお陰で。

 ありがとう・・・・・・」

 

そこまで言うと、フェレットは倒れこんでしまった。

 

「あ、ちょっと! 大丈夫!? ねぇ!?」

 

慌てて抱きかかえるなのは。

 

  ウ~ゥ カンカンカンカン ウ~ゥ

 

遠くからサイレンらしき音が聞こえてくる。

あの音は・・・消防!? 警察!?

 

はたと気づいて周りの状況を見てみる。

破壊された塀、倒れた電柱、大穴の開いた道路・・・

なのはと顔を見合わせる。

 

「も、もしかしたら、わたしたち、ここにいるとまずい事に・・・?」

「だ、だよなぁ・・・」

「被害の半分は祐介のビームライフルのせいですもんねー」

 

美月がぼやくが、今は無視。

 

「と、取り敢えず・・・」

「三十六計逃げるに如かず! 撤収だ!」

 

僕たちはすたこらと逃げ出した・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走ってやって来たのは、夕方フェレットを見つけたあの公園。

とりあえず、2人ともベンチに座って休む。

 

「すみません・・・・・・」

 

お? フェレットも目を覚ましたようだ。

 

「あ、起こしちゃった? 怪我、痛くない?」

「怪我は平気です。もう殆ど治っているから」

 

そう言って体を揺すると、するりと包帯が外れる。

言うとおり、その下には傷はなくなっていた。

 

「ほんとだ。怪我の跡が殆ど消えてる」

「ほー、凄いなこりゃ」

 

なのはと2人で関心する。

 

「助けてくれたおかげで、残った魔力を治療にまわせました」

 

あの魔法とやらは、治療までできるのか。

ますますゲームっぽい。

 

「良くわかんないけど、そうなんだ。

 ね、自己紹介していい?」

「あ、うん・・・」

 

それはいきなり過ぎないか、なのは・・・

唐突な自己紹介にフェレットも戸惑ってるし・・・

 

「わたし、高町なのは。小学校3年生。

 家族とか仲良しの友達は、なのは、って呼ぶよ」

 

そこまで言うと、こちらを見るなのは。

え、何? 僕もやれと?

・・・・・・しょうがないなぁ。

 

「僕は神代祐介。なのはと同じ小学3年。まぁ学校は違うけど。

 僕も、祐介と呼んでくれていい。

 で、これが・・・」

 

クリスタルを顔の前に掲げる。

 

「こいつは美月。出自は良く解んないけど、僕の大事な相棒、かな」

「きゃー、私って愛されてます?」

「黙らっしゃい」

 

馬鹿を言い出した美月を指で弾いて黙らす。

そこで、なのはが今更ながらに驚く。

 

「そ、そうだよ! さっきまで気にしてなかったけど、

 そのペンダント喋るなんて知らなかったよ!?

 それにさっきの祐介くんの魔法(?)だって・・・」

「まぁまぁ、その話はまた追々な・・・

 で、そちらのフェレットだけど」

「あ、うん。

 僕はユーノ・スクライア。僕もユーノと」

 

そこまで言うと、何かを思うようにうな垂れてしまう。

 

「すみません・・・あなた達を・・・」

「なのは、だよ」

「なのはさん達を、巻き込んでしまいました・・・」

 

申し訳なさそうにユーノがつぶやく。

それに笑顔で答えるなのは。

 

「えと、多分平気だよ」

「なのははともかく、僕は勝手に割り込んだだけだし」

「あ、そうだ。ユーノくん怪我してるんだし、ここじゃ落ち着かないよね。

 とりあえず、わたしの家に行こ。後の事は、それから。ね?」

 

少々話が強引だが、それがいいだろう。

魔法(?)で治療したとはいえ、怪我人もとい怪我フェレットだ。

当初の予定通り、なのはに任せよう。

 

「じゃ、僕達も撤退するよ。

 後は頼んだな、なのは。色々話すことは、また今度で」

「うん、ユーノくんは任せて。

 また明日ね、祐介くん」

 

 

 

1人と1匹に手を振り、歩き出す。

・・・急いで帰らないとマズイかなー。

 

「真弓さんと咲さん、気付いてるでしょうか?」

「さぁ。時間が時間だし、こっそり出てきたけど・・・妙なところで鋭いからなぁ・・・」

 

 

 

案の定、しっかりと感付いてた2人によって、

夜遊びについて長々と説教される事になったのである・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ち、ちかれた・・・・・・」

 

母さん・姉さんから解放され、這う這うの体で自室へ戻る。

 

「波乱に富んだ1日でしたねー」

「他人事みたいに言うな。お前も当事者の1人だろうに。

 ・・・でもまぁ、怪我フェレット拾っただけで、こんな事になるとは思わなかったな」

 

美月に謎な登録したり、機械のブーツ履いて走ったり、黒坊とバトルしたり・・・

 

「器物損壊して逃げたり?」

「おぃ、あれは不可抗力だろうが。

 そうだ、黒坊のせいだ。黒坊が避けるのが悪い。

 でも、これからもアレじゃあマズイよなぁ・・・」

 

どうしたもんか・・・

相手にダメージを与える事ができ、なおかつ傷つけない。

そんな都合のいいシロモノにできればいいんだけど。

 

「なぁ美月」

「はい?」

「あの能力の情報って編集したりできないかな?

 こう、出力の調整とか、効果の変更とか・・・」

「まぁ、多分できない事はないと思いますよ。

 簡単な情報書き換えなら可能じゃないかと。

 根本的な、深い階層の情報は変更できないでしょうけど」

「マジか。なら早速やってみよう。

 これ以上、街壊して捕まりたくないし」

「はいはーい、じゃあ行きますよー。

 落ち着いて、さっきみたいに楽にしていて下さいね。

 

 ――― 管理AI権限により、プログラム編集モジュールを起動。

     能力データベースへのアクセス権を開放。

     所有者による閲覧・編集を行います。

 

     仮想空間を構築、各データとのマッチング完了。

 

     ・・・・・・ダイブ・・・!!

 

美月の声と共に、意識が遠くなる。

 

 

 

 

 

気付くと、そこは不思議な空間だった。

強いて表現するなら・・・電脳空間?とでもいうのか。

景色は数多の光の線が縦横無尽に駆け巡っているだけ、そして周りには無数のディスプレイ。

 

「えーと・・・何ですか此処は?」

「何処も何も、プログラムの内部を分かりやすく仮想表現したものですよー。

 さ、ちゃっちゃとやっちゃいましょう」

「お、おうさ」

 

とりあえず、目の前のコンソールらしきものに近寄る。

 

「で、どうします? 操作は直感的に解ると思いますけど」

「やっぱり、まずは武器関連能力の威力設定かなぁ。

 

 えっと・・・

 Program Fileから・・・Skill Data confirm/editに入って・・・

 Select CategoryはWeaponを選択、と。

 え~と、Master power levelの設定・・・これか。

 ・・・美月、概要を教えるから、エディタ編集は頼む」

「りょーかい。Weapon Data、エディット開始」

 

正直、プログラムの羅列なんか読めないし書けないし・・・直感的に解ってたまるか。

 

 

 

色んなデータを流し見しながら待つこと数分。

 

「終わりましたよー。

 ・・・まぁこんなものですかね」

「お疲れさん。とりあえずはこれで大丈夫か。

 あと何かあったっけ?」

「あぁ、そういえば。

 今って、能力を使う時いちいち検索してから使ってますよね。

 今のうちに、ここのシミュレータでデータを確認しておいて、

 どんな能力なのか把握しときましょうよ。

 で、よく使いそうなのは、Quick launcherを構築して登録しておくとか。

 毎回検索するのも面倒ですし、咄嗟の時に手遅れになるのは困るでしょう?」

「確かにな・・・

 今のうちに、使いやすそうなヤツをピックアップしておくか。

 えーと、じゃあまずはコレから・・・」

 

とりあえず、役にたちそうな能力を探して試してみる。

遠・中・近距離それぞれに合わせた武器を幾つかと、移動系、防御系の機鋼を登録しておく。

 

「よし、こんなもんだろ。美月、エディタ閉じていいぞ」

「分かりました。じゃ、帰りますよー。

 

 ――― 編集エディタ、変更点を保存。

     仮想空間、閉鎖開始。

 

     モジュール、シャットダウンします」

 

 

 

 

 

・・・・・・目を開けると、そこは元の部屋。

どうやら無事に終了したらしい。

 

「・・・そういや、何で僕達わざわざこんな事してんだろ?」

「ですねー。

 戦闘データの編集なんて、また面倒事に首突っ込むこと前提ですよ?」

「まぁ、気にしても今更か・・・

 

 そういえば・・・

 なぁ、この能力の出力源ってどうなってるんだ?

 トンデモクリスタルなだけに、トンデモジェネレータとか積んであった?」

「あぁ、能力源は祐介の精神力ですよー。

 というかエネルギー源的には、

 ユーノさんが言ってた『魔法』と呼ばれるものと同じっぽいんですよねー。

 でも、運用体系が違うみたいで出力は全然似てませんでしたけど」

「・・・さらっと重要な事を今更言うな。

 てか精神力とか言われても、いまいちピンとこないんだが・・・

 あれか? RPGでいうMPみたいなやつ」

「そんな便利に分かれてなんかいませんよ。基本的に肉体と精神はリンクしてるものです。

 MPは0だけどHPモリモリ~なんてのはゲームだけですよ。

 当然、体力とある程度は同調します」

「妙に疲れたと思ったらそのせいか・・・寿命とか縮んだらどーしてくれるんだよ」

「たぶん大丈夫だと思いますけど・・・

 そんな大きな能力使おうとしたら、死ぬ前に気絶とかしますよきっと」

「そんなもんかなぁ・・・・・・」

 

まぁ・・・考えてもしょうがない。

とにかく、疲れを癒すためにも、さっさと寝るとしよう。

今頃なのはとユーノはどうなってるんだろなー、とか思いながら眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、午後の退屈な授業を受けながら、ノートに落書きなどしてた時のこと・・・

突然に、美月がこんな事を言い出す。

 

《祐介、なのはさんから思念波による通話が来てますよ?》

《通話? ユーノが使ってたみたいなのか?》

《はい。もっとも、例の波長による通信は、祐介はまだできないでしょうから、

 私が受信した後で、秘匿通話で繋いでるんですけど》

《ほー。まぁいいや、繋いでくれ》

 

そういえば、ユーノが僕やなのはを呼んだ時、確かに僕は途切れ途切れにしか聞こえなかったな。

 

 

 

《あ、え~と・・・

 祐介くん、聞こえてる?》

《おー、聞こえてるよー。

 お前もユーノみたく思念通信できるようになったのか》

《うん。あ、でもレイジングハートに手伝ってもらってるんだよ?

 あのね、ユーノくんが、魔法の事とか

 ジュエルシードの事とか話してくれるって言うから・・・》

《そうか。おーいユーノ。状況の説明、始めていいぞー》

《その前に・・・悪いんだけど祐介、君の事を話してくれないか。

 君のその力は一体・・・? 僕らの魔法とも違うし・・・

 あのクリスタルも、デバイスというわけでもなさそうだし・・・》

《あ~、良いけどさ、正直話せる事はほとんど無いんだよなぁ・・・

 美月の出自とかは不明だし。稼働したのも1年前だっていうし。

 取り敢えず現時点で分かってるのは・・・

 美月の中にはメカトロニクスに関する情報があるって事、あと理論は知らないけど、

 システムに登録した者は、データベースに存在する能力を発現できるって事。

 あぁ、そういえば美月が言ってたけど、使ってるエネルギーは魔法と一緒らしいよ?

 運用体系が違うらしいけど。

 今はそれしか分かんないや。悪いなユーノ、役に立たなくて》

《いや、気にしないで。分からないものはしょうがないよ。

 でも・・・僕達の魔法とは別の技術系統での魔力運用か・・・

 聞いたことが無い訳ではないけど・・・》

《そう言えば、デバイスって何なの? さっき言ってたけど》

《昨日も言ったと思うけど、僕らの魔法は、プログラムによって魔力と呼ばれる

 エネルギーを制御するものなんだ。その制御は、基本的には使用者本人が行うけど、

 何らかの道具によって補助する場合もある。その道具を一般的に、デバイスと言うんだ》

 

魔法=杖が必須、っていうお約束事情な訳じゃなかったのか・・・・・・

 

《それはそうと、ジュエルシードなんだけど・・・・・・

 ジュエルシードは、僕らの世界の古代遺産なんだ。

 簡潔に言うと、願いを叶える魔法の石、みたいな物なんだけど、力の発現が不安定で、

 昨夜みたいに単体で暴走して、周囲に危害を加える場合もあるし・・・

 たまたま見つけた人や動物を取り込んで暴走する事もある》

《そんな危ない物が、なんでうちのご近所に・・・?》

 

確かに。物騒極まりないな。あんな物、警察で取り締まる訳にもいかないだろうし。

 

《・・・僕のせいなんだ・・・・・・》

 

ユーノが申し訳なさそうに呟く。

 

《僕は故郷で、遺跡発掘を仕事にしているんだ。

 そしてある日、古い遺跡の中でアレを発見して、

 調査団に依頼して保管してもらったんだけど、

 運んでいた時空間船が、事故か、何らかの人為的災害に遭ってしまって・・・

 21個のジュエルシードは、この世界に散らばってしまった。

 今まで見つけられたのは、まだたった2つ・・・》

《あと19個かぁ・・・》

 

ふむ、まだ先は長そうだな。

っていうか、ユーノ働いてたのか。働くフェレット・・・すげー。

・・・・・・あれ? さっきユーノは、自分のせいだー、とか言ってたけど

事故(もしくは事件)なら、別にユーノ悪くないじゃん。

 

《あれ? でもちょっと待って。

 ジュエルシードが散らばっちゃったのって、

 別にユーノくんのせいじゃないんじゃ・・・》

《あ、やっぱりなのはもそう思うか?

 ユーノ、お前はどっちかっていうと被害者だろ?》

《だけど、アレを見つけてしまったのは僕だから・・・

 全部見つけて、ちゃんとあるべき場所に還さないと・・・!》

 

・・・責任感の強いヤツなんだな。

被害者として、届け出(制度があるのか知らんが)とかすればいいのに、

わざわざ危険を冒してまで、異世界くんだりまで来て回収しようとするなんて。

 

《なんとなく・・・なんとなくだけど、ユーノくんの気持ち分かるかもしれない。

 ・・・真面目なんだね、ユーノくんは》

《・・・・・・え・・・?》

 

予想外の反応だったのか、当惑気味な声を漏らすユーノ。

しかし、すぐに気を取り直したのか、真面目な声で続ける。

 

《ええと、昨夜は助けて貰って本当に申し訳なかったけど・・・これ以上は巻き込めないよ。

 魔力が戻るまで・・・1週間、いや5日もあれば力が戻るから、

 それまで少しだけ休ませて貰えれば―――》

《・・・戻ったら、どうするの・・・?》

《また1人で、ジュエルシードを探しに出るよ》

《それは駄目》《そうだな、却下だ却下》《危険ですよねー》

《だ、駄目って・・・》

 

3人でダメ出し。大怪我までして懲りてないな、このフェレットは。

それに、この状況でなのはが黙ってるとは思えない。

 

《わたし、学校と塾の時間は無理だけど、それ以外の時間なら手伝えるから》

《だけど、昨日みたいに危ない事だって・・・》

 

昨日・・・黒坊とのアレか。

確かにあれだけ破壊活動されたなかで、怪我もなかったのは幸運だったと言えるかもしれない。

でも、このまま放っておく訳にもいかないんだよなぁ・・・

 

《だって、もう話も聞いちゃったもの。放っとけないよ。

 それに、ユーノくん、一人ぼっちで助けてくれる人、いないんでしょ?

 わたしにもお手伝いさせて?

 困っている人がいて、助けてあげられる力が自分にあるなら、

 その時は迷っちゃいけない、って・・・

 これ、家のお父さんの教え》

 

良いこと言うなぁ士郎さん。流石なのはのお父さんだ。

 

 

 

「きり~つ、礼」

 

おっと、授業終わったか。

 

終礼を終えて、下校を開始。

今日は3人娘と合流はしないため、直接家路へとつく。

その間にも、2人と話をつけていく。

 

《ま、あきらめろユーノ。

 なのはは良くも悪くも頑固者だからな。お前がうんと言うまで納得しないぞ》

《えぇ!? ちょっと祐介くんひどくないかな!?

 でも・・・ユーノくんは困ってて、

 わたしはユーノくんを助けてあげられるんだよね。魔法の力で・・・》

《・・・・・・うん》

《わたし、ちゃんと魔法でお手伝いできるかどうか、あんまり自信はないけど》

《なのはは、もう魔法使いだよ・・・多分、僕なんかよりずっと才能がある》

《確かに、昨夜なのはさんが放出してたエネルギー量は半端じゃなかったですしねー》

《そ、そうなの? 自分では、よく分からないんだけど・・・

 取り敢えず、色々教えて? わたし、頑張るから》

《・・・うん。ありがとう・・・・・・》

 

どうやらユーノも納得してくれたようだ。

これでこの話は決着ついたな。

 

《よし、なのは、ユーノ。

 じゃあ後で合流だな。ジュエルシードの捜索、急ぐんだろ?》

《え? 祐介くんも手伝ってくれるの?》

《当たり前だろ。ここまで聞いといて、じゃあ後は頑張れー、なんて言えるか。

 なのはじゃないけど、僕にもやれる事はあるだろうし、協力させてくれよ》

《うんっ!! ありがとう、祐介くん》

《ユーノも、いいか?

 巻き込んでしまったなんて考えずに、使えるものは使ってしまえ》

《う、うん。2人とも、ありがとう。本当に》

《とりあえず一旦家に帰ってから、出かけるときは連絡を――― ッ!?》

 

そこまで言ったとき、突然何かを感じた。

なんていうか、こう、良くないモノが出現したような・・・

 

《ユーノくん、今のって・・・》

《なのはも感じたか。美月!》

《はい、黒坊と同じ波動を確認!》

《新しいジュエルシード! すぐ近くだ!》

《ど、どうすれば?》

《一緒に向かおう。手伝って!!》

《う、うん!》

《こっちも向かう! 現地で合流だ!!

 美月、発信源は?》

《郊外の神社、境内です!!》

 

え~、あそこの階段って長いから嫌いなんだよなぁ・・・

しかしそんな事を言っている場合じゃないか。

悪態をつきながらも、神社へ向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

境内への階段の下でなのは達と合流し、一気に駆け上がる。

 

「なのは! レイジングハートを!」

 

ユーノに言われ、紅い宝石を取り出すなのは。

 

「祐介、こっちも心の準備はいいですか?」

「あぁ、やるだけやってみるさ!」

 

 

 

そして境内へと辿り着く。

相手はまた黒坊かと思っていたのだが・・・

そこにいたのは犬・・・っぽい何か。

 

「何だアレ!? ヘルハウンド?」

 

いや、実際に見たことはないが、いたらあんな感じなんじゃないだろうか。

 

「原住生物を取り込んでる・・・!」

「ど、どうなるの?」

「実体がある分、手強くなってる!」

 

原生生物って・・・野良犬でも取り込んだか?

しかし黒坊より厄介な相手か・・・

でも、やるしかないな。

 

「大変です! あそこに女性が倒れてます!!」

 

美月の声に注意して見ると、犬っち(と呼ぼう)の近くに、

トレーニングウェアを着た女の人が倒れている。

ぱっと見では外傷は無さそうだ。恐らく、犬っちを見て気絶したのだろう。

 

 

 

「・・・取り敢えずあいつをあの人から引き離す!

 僕が牽制するから、なのはは昨日の・・・えと、封印?を頼んだぞ!」

 

そう言って、直ぐにランドスピナーを展開、犬っちへと突進する。

相手のベースは犬・・・か。 何とかこっちに注意を・・・!

 

「美月、少し喧嘩売るぞ!」

「了解! 0式レールガン、ユニット展開!」

 

取り回し重視として登録していた武器を選択。

両下腕部に、それぞれ2連装の砲口がついた篭手のようなものが装備される。

そして右手を犬っちに向け、牽制として10発くらい撃ち込む!

 

  ウガアァァッ!!

 

よし、関心はこっちに向いた! そのまま女の人から引き離す。

そして、動きを止める事のないように気をつけながら、犬っちに弾丸を連射する。

 

ダメージ通ってるのか通ってないのか分からないが、

出力は抑えてるから、必要以上に傷つけてはないはず。

後は上手く動きを封じて、なのはに任せる事ができれば・・・・・・

 

「よーし、こっち来いこっち来い!」

 

  グワオウゥゥゥッ

 

突然、犬っちが身を翻して走り出す。

って、なんでそっち行くんだよ!?

 

「くッ・・・! なのはッ! 悪いそっち行った!!」

 

振り返り叫ぶ。しかし・・・

そこには未だあたふたしてるなのはの姿が。

 

「ええぇぇーーー!?」

 

ってまだ準備できてないー!?

マズイ、このままじゃ間に合わ―――

 

「レイジングハートのエネルギーが上昇しています!」

 

なのはの手の中で、あの宝石が強く輝きを増す。

 

「Stand by ready. Set up.」

 

光が収まり、なのはの手には昨日の杖。レイジングハート起動したか。

それを目にした犬っちは進行を止め、様子を伺う。が、再びなのはに向かって飛び掛かる。

 

「なのは! 行ったぞ!!」

「う、うん・・・!」

「Barrier jaket.」

 

  グワオウゥゥゥッ

 

激しい衝撃音と土煙が立ち上る。

ッ!? 間に合わなかったのか!?

 

「なのはッ!!」

 

慌てて土煙の中に飛び込む。視界が開けると、そこには地面に座り込んだなのはの姿。

服装は昨日と同じになっている。防護服間に合ってたか。

ひとまず怪我などはないようだ。ふぅ・・・ヒヤヒヤさせてくれる・・・

 

「美月、犬っちは!?」

「鳥居の上です!!」

 

見ると、鳥居の上から再びなのはに向かって飛び掛かって来ている。

なのははレイジングハートを掲げ、防壁を展開、犬っちと拮抗する。

 

「Protective condition, all green.」

 

しばらくせめぎあった後、犬っちを弾き飛ばす。

あの防壁、硬いなぁ・・・さっきの、結構な衝撃だったと思うんだが・・・無傷ですか。

 

「痛・・・くは無いけど。

 えと、封印ってのをすればいいんだよね。

 レイジングハート、お願いね」

「All right.

 Sealing mode. Set up.」

 

昨日と同じく、デバイスを変形させ、光の帯で犬っちを拘束する。

そして、犬っちの額に浮かぶ、XVIの文字。

 

「Stand by ready.」

「リリカルマジカル。

 ジュエルシード、シリアル16。――― 封印っ!!

「Sealing.」

 

 

 

光と共に犬っちは消え、後に残ったのは、小犬とジュエルシード。

とりあえず小犬に近寄る。

 

「こんな小犬が、あんなヘルハウンドにねぇ・・・

 なのは! これ頼む!」

 

ひょいと宝石をつまんで、なのはに放る。

ジュエルシードは、レイジングハートに格納された。

 

「Receipt number sixteen.」

「ふぅ・・・これで、いいのかな?」

「うん・・・これ以上ないくらいに・・・」

「周囲の反応、全てクリア。状況終了です」

「ふぃ~、なんとかなったか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ・・・? 転んで頭でも打ったかな・・・」

「ワンッ!」

 

小犬は、あの女の人のそばに置いといたのだが、どうやらあの人の飼い犬だったらしい。

抱きかかえられて、神社を去っていった。

 

 

 

石段に腰掛けながら、それを見送る。

 

「お疲れ様、かな?」

「そうだな、とりあえずは上手く収まったか」

 

あー今日も日が暮れる・・・

夕陽を見ながら、この事件に首を突っ込んだことに関して今更考える。

後悔してる訳じゃない。けど不安が無い訳でもない。

これから何が起こるかは分からないが、とにかくやると決めたんだ。

なら、頑張るしかないじゃないか。

 

「よし、僕達も帰るか!」

「うん!」

 

前向きに考えよう。

ジュエルシードは現在3つ。まだまだこれからだ。

色々あるかもしれないけども、できる事をしていこうと心に思いながら、

僕達は階段を駆け下りていった。

 

 

 

 

 

      第2話   終

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ~あとがき・・・もどき!!~

 

 

 

祐介「・・・なぁ、ひとつ思うんだけど」

美月「なんですか?」

祐介「ひねり無くない?」

美月「作者に創作の才能がありませんからねー。

   まぁ一応オリジナルの話も多少は考えてるみたいなんで勘弁してあげて下さいよ」

作者「小説書ける作家さんって尊敬するわぁ・・・」

祐介「そんなんで大丈夫か・・・?

   で、今回登場の能力はなんだったっけ?」

美月「前回に引き続き、ランドスピナーが出てましたね。

   あとは、『Absolute Terror FIELD』でしたか? あのバリアーっぽいの」

作者「説明不要じゃないかと。超有名な汎用人型決戦兵器の心の壁」

祐介「うわ・・・説明がぞんざいだ・・・」

美月「それと、初登場は『0式レールガン』です。これはどんなモノなんですか?」

作者「MFS-3 3式機龍の手に装備されてるアレ。牽制に便利」

美月「・・・・・・え、終わりですか!?」

祐介「随分と雑な説明だなぁ・・・・・・」

 

 

 

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