私は教授じゃないよ。大袈裟だよ   作:西の家

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こちら西の家。現在、逃走中‼︎このまま投稿を継続する。

マジでヤバイよ......何なの?黒いコートを着たあの長髪のイケメン......突然、家にやって来て銃をぶっ放してきたぞ。
私が何をした⁉︎



夏だ!海だ!海水浴?⓵

6月

女子寮の自室にてーー

 

「う〜ん......もう朝か......」

 

エアコンの効いた室内で私は床に転がって寝ていた。

カーテンの隙間から差し込んだ朝日で目が覚める。

どうやら眠り込んでしまったようだ。起きないと......

まずはカーテンを開け、外を眺める。

外は燦々と明るい日差しーー6月の夏の日差しが降り注いでいた。

武偵高校に入学して初めての夏を迎えた。

 

「あちゃー、これは流石に片付けないとね......」

 

自分の部屋を見渡してみると、室内はごちゃごちゃしているーー足元には様々なタイトルの本のが散乱しており、開いたままの本もあれば、中には新聞の切り抜きも散らばっている。

我ながらよくここまで散らかしたものだ......べ、別に片付けられないわけじゃないよ!

これには深い訳があるのだ。

 

「だいぶ繋がってきたな」

 

私は目をこすりながら、壁際に移動する。

壁には極大サイズの東京都内の地図が貼られており、様々な箇所に新聞の切り抜き、人物写真、メモが貼られ、それらは赤い糸で繋げらている。

これは現在確認されている未解決事件を私なりに図に表した物だ。

視覚に働きかけることで聴覚ーー聞いただけじゃ見えてこない真実を発見する為にこうしている。

もっと見ていたいが、時刻はすでに6時30分ーー8時頃には学校だから早く行かなければ。

 

「朝食は食べないとね」

 

1日の元気の源だから、しっかり食べないと。

キッチンに移動し、冷蔵庫を開けて卵2個とソーセージ3本を取り出す。

続いて、エスプレッソマシンでコーヒーを入れる。

食材をフライパンで焼いている間にトースターで食パンを焼いてしまおう。

私は朝はパン派だ。ご飯も嫌いではないが、どっちかと言えばパンの方が好きだ。

フライパンで卵とソーセージを焼き終えると同時に、チーン!とトースターが鳴る。食パンが焼けた。

さっそく皿に移して、マーガリンと苺ジャム、コーヒーを持ってテーブルに移動する。

 

「いただきます」

 

まずは食パンに噛ぶりつく。うん、マーガリンと苺ジャムをたっぷりと付けただけあって、甘くて美味しい。

続いて、目玉焼きとソーセージにも苺ジャムを付ける。

これがかなり美味いんだよね。

偶然、食パンに付けた苺ジャムが目玉焼きとソーセージの上に落ちて、退けるのも面倒だからそのまま食べたらこれが美味かったんだよ。それがきっかけで今、様々な料理に付けて食べている。合うか合わないかの実験だ。

今度、金次君と白雪さんにも勧めてみよう。それがいい!仲間が増えることは良いことだ。

2人に進めるとしたらジャム付きの寿司がいいかな。

まだ私は試したことはないが......

さて最後に朝のコーヒー・エスプレッソを頂こう。

私は朝はコーヒー・エスプレッソを飲むことにしている。

これは武偵高校に入学してからだ。入学前は紅茶を飲んでいたが、今はこれに変わった。

多分、金次君の影響かな?彼はよくコーヒーを飲んでいるからね。

エスプレッソは、日本ではあまり普及していないが、イタリアやフランスでは最もポピュラーなコーヒーであるといわれており、コーヒー或いはカッフェといった場合、同地ではほぼ間違いなくエスプレッソのことを指す。

蒸気により高圧をかけて短時間で抽出しているため、シャープで濃厚な風味を持つ。

そうした濃厚さの一方で、深煎りのコーヒー豆(焙煎の途中でカフェインが揮発している)を使用していることや、短時間で抽出しているため、カフェイン含有量は普通のドリップ式のコーヒーよりも少なくなっているのだという。

 

「うん、朝のエスプレッソはソロかリストレットに限るね」

 

飲みだして分かったことだが、私はエスプレッソのルンゴ・ドッピオが苦手、いや、嫌いだ。

ソロはエスプレッソの基本で約7gの豆で抽出する。基本を大事にしている。

ルンゴ・ドピッオはソロの2倍の豆と水量で抽出するから、飲みごたえあるが味の強さが弱くなる。おまけに多めのお湯で抽出するので、やや薄い感じ。雑味が出るため嫌いだ。

リストレットはお湯は少なめで抽出。うま味がぎゅっと凝縮され、パンチの効いた濃い味に。これは金次君にオススメだ。

何度かルンゴ・ドピッオで飲んでみたが、どうしても好きになれない。何故だろう?

金次君にはルンゴ・ドピッオは作らないように言っておこう。

 

 

朝食を食べ終えて、制服に着替える。

半袖の白い薄手の制服ーーもちろん、これも防弾性だ。

時刻は7時30分ーーあちゃー、この時間帯だと白雪さんとは一緒に登校はできないね。

 

「身だしなみ良し。帯銃よし」

 

もう習慣的になった決まり文句を言いながら、鏡で自分の装備を確認する。忘れ物はないね。

 

「これもちゃんと付けないとね」

 

私は左手の人差し指にそれをはめるーーシルバーのリングだ。

これはオペラ座のお礼として金次君から貰ったものだ。折角、貰ったのだから、はめないと勿体無い。

最初、左手の薬指にはめて登校し、彼に見せると「もうはめてきたのかよ」と言ってきたな。

その後、「金次君から貰ったのだからはめるのは当然でしょう?」と言うと、それを聞いた同級生達に「遠山金次を確保。これより尋問科に連行する」と拘束され連行されて行った。何故だろうね?未だそれがわからないな〜。私にも理解できないね〜。

そういえば、りこりんがやけに食いついてきたな。

その後、解放された金次君に何故連行されたのか聞いてみても「俺が知りてえよ!」の一点張りだったし。

また連行されるのも可哀想なので、今は左手の人差し指にはめている。

 

玄関のドアに立てかけてあるステッキを手に取り、部屋を出る。

今日も一日頑張りますか!

 

 

教室にてーー

いつものメンバーと共に登校して来なかった私が教室に入ってくると、みんな物珍しい目で私を見てきた。

りこりんの姿は見えない。どうやら任務で海外に行っているようだね。

あっ、金次君を発見。机に顔を伏せている寝不足かな?

そんな彼を見ながら自分の席に着席すると、

 

「おはよう零!珍しく遅れてきたな」

 

武藤君が声をかけてきた。朝から見ていて清々しいね。

 

「おはよう武藤君。いやね、寝坊しちゃってさ」

 

「ははは、寝坊って何をしてたんだよ?」

 

「秘密だよ」

 

犯罪捜査についてはあまり外部には話さないようにしている。

たとえ同級生でもね。

 

「しかし、今日も暑いね。武藤君は暑くないのかい?いくら室内は冷房が効いていても、外は暑いよ」

 

私は思わず襟首をパタパタさせる。

うん?どうしたかな武藤君。そんなに私の首元を見つめてさ?

 

「こ、これくらい真夏のエンジン点検に比べたら、へでもないぜ」

 

「おお〜、流石だね」

 

室内派の私には言えないようなセリフを言ってくれるじゃないか。

やはり武藤君は野外派だね。それも夏が似合う男の子だ。

 

「そういえば、夏は山か海のシーズンと聞くね。武藤君は夏は山派?それとも海派かい?」

 

武藤君の性格からして山派ーー山岳地帯でドライブを楽しむタイプ。

 

「俺は山派だぜ!山でのドライブがこれまた最高なんだよ」

 

やっぱりか。でもね、飛ばし過ぎて山から転落しないようにね。

傾斜面を転がり落ちて、そのまま炎上なんてしたら山火事に成りかねない。

 

「でもよ。今年は海にしようと思ってるんだ」

 

おや?どういった心境の変化かな?車でのドライブが大好きな武藤君にしては珍しいね。

 

「おやおや、どうしてかね?」

 

「特に深い理由はねぇけどよ......なあ零。今度の休みにみんなで海水浴に行かないか?」

 

「それは金次君、不知火君、白雪さんとかな?」

 

「おう!いや、実は不知火は行けないみたいでよ。なんか都合が悪いみたいでさ」

 

不知火君がね。そういえば、教室を見渡してみたが今日は来ていないね。

 

「大丈夫だよ。OKOK」

 

「じゃあ、決まりだな!詳しい日程は後でこっちから連絡するぜ」

 

そう言って武藤君は席に戻っていった。

海か〜いいね!

ならば水着を用意しないとね。生憎、今持っている水着は学校の授業で使うものしかない。

海水浴用を購入しておこう。

 


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