処女作です。
色々原作と違ったり、表現がおかしかったりするかもしれませんが、至らないところがあったら批評とかお願いします。
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3月某日、桜舞い散る通学路にて
通いなれたこの道を通るのも今日が最後になる。
なんの感慨もないと言えば嘘になるけれど、正直、この学校自体にはそこまで思い入れはない。
もともと、姉さんの背を追う形でこの学校に入ったのだから当然と言えば当然なのでしょうけれど。
色々、それこそ本に書けるほどたくさんのことがあった。平塚先生に勧められる形で奉仕部を作り、そこで部長をやっていたが、最初の方は驚くほどにみにつくことがなかった。
飢えた者に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える。という理念のもとに奉仕部は始めたはいいものの、依頼人との食い違いや、私の傲慢なものいいに耐えきれず帰っていく人しかいなかった。
そんな私が、変わることができたのはあの日に彼が来てくれたお陰かもしれない。あの日でなければいけなかった。少なくとも、由比ヶ浜さんが来る前でなければいけなかった。そうでなければ今の私との、いや私たちとの関係はなかったかもしれないから。
比企谷八幡。
ひねくれた性格に、意外と整った顔立ちとそれを台無しにする腐った目。そして、青春を諦めた人。
変化を逃げと称し、私の意見を真っ向から否定した。
思えば、あれが初めてだったのかもしれない。
男は私に機嫌を伺うイエスマン。
女は影でなにかをするしかできない卑怯者。
そんな人しかいなかったせいか、私はとても苛立った。私自身、そんな環境に甘えていたところもあるかもしれない。だから私も彼を否定し、罵倒した。それからもそんな日々だった。楽しい、とは少し違うかもしれないけれど、満たされていた。
そんな日々も、修学旅行のある依頼を境に一変した。
それが、最善の方法だったのだろう。
それしかなかったのだろう。
わかっている。だてに学年一位を維持してはいない。けれど、彼のその自分をないがしろにするような行動、もっと言えば私達以外の女性に嘘でも好意を伝える行動が、とてつもなく嫌だった。
嫉妬だった。
その時自覚した、私は、雪ノ下雪乃は、比企谷八幡が好きなのだと。
由比ヶ浜さんなら許せた。身を引けた。
でもそれ以外は嫌だった。
その他の有象無象に彼の魅力がわかるわけないと、たかをくくっていた。
気づけば私は彼に自分勝手なことを抜かしていた。その時、そのつまらない嫉妬のせいで、奉仕部の時間はとまった。
修学旅行から帰ったあと、奉仕部の空気は最悪だった。
由比ヶ浜さん気遣いが痛かった、彼女が来るまでの凍った空気が痛かった。
すべての痛みが私のこころを傷つける。
そんなとき、またも依頼が来た。
生徒会長の選挙に無理矢理立候補させられたので、自分の面子に傷がつかないように選挙を失敗させてほしいという。
チャンスだ、と思った。
これで生徒会長になればまたあの頃に戻れるかもしれない。
凍った空気にさらされ続けた私は、冷静ではなかったのだろう。気づけば行動を開始していた。
戻れる、これで戻れる。あの満たされた日々をもう一度。いっそのこと、奉仕部などやめてみんなで生徒会を運営するのもいいかもしれない。
普段の私ならありえない思考のしかたをしていた。
そんな私をを止めたのは、やはり、彼だった。
その時、目が覚めた。
私は、何をしようとしていた。居場所を、出会った場所を壊そうとしていた?
混乱した私は、なにかをいっていたのだろう。
彼も、由比ヶ浜さんも、どこか悲痛な顔をしている。
もう、ここから飛び出してしまおうかと思ったその時、彼は口を開いた。
彼も冷静ではなかったのだろう、色々なことを言っていた。このときのことはあまり覚えてはいないけれど、最後の、最後の言葉だけは覚えている。
本物が、ほしい
その言葉には、きっと私には計りきれないほどおもいがつまっていたのだろう。彼の目には少し、涙がたまっていた。
それからも色々なことが起きて、今日を迎える。
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通いなれた校舎。
いつも部活動の生徒が朝練をしているが、今日は卒業式のためか通学する生徒しかいない。
正面から誰かが歩いてくる。
「おはようございます。平塚先生」
「あぁ、おはよう。雪ノ下」
挨拶を交わし、ふと平塚先生の服装を見る。
卒業式だからか、いつもと違い白衣を着ていない。
まあ、着ていたら大人としてどうかと思うけれど。
「なにかご用ですか」
「いや、なに。知った顔見つけたからな、声をかけただけだ」
「そうですか、私は挨拶のことで職員室に用があるので、失礼します」
今年の卒業生に、生徒会長がいなかったので、私が卒業生代表として挨拶をすることになったのだ。
「そうか、時間をとらせて悪かったな、じゃあまたあとで」
「いえ、大丈夫です。またあとで」
そう言って別れようとしたときに、平塚先生必ず言おうと思っていたことを思い出した。
「そういえば、平塚先生、言い忘れてたことがありました」
「ん、なんだ?」
この人には、絶対言わなければならないことがある。
私が子供なせいで、ずっと言えなかったこと。
「今まで、本当にありがとうございました。」
平塚先生は、おどろいたようで、目を見開く。
「先生に、奉仕部にいれてもらったお陰で、変わることができました。」
私が彼と出会えたのも、由比ヶ浜さんと友達になれたのも、変わることができたのも、平塚先生が奉仕部を勧めてくれたからだ。
「本当に、ありがとうございました」
「―――」
深く、深く頭を下げる。
前ならできなかったことも、こうしてできる。
これも、平塚先生のお陰だ。
「――そうか」
目元を抑え上を向く。
「君がそう思えたのなら、良かった」
そういい、こちらを向かず去っていく。ここで呼び止めるのは野暮だろう。
先生に向かってもう一度頭を下げる。
「ありがとうございました」
先生は、背を向けたまま手を振り、去っていった。
今度、雪ノ下の伝でお見合い相手を探すのも言いかもしれない。姉さんも喜んで協力するだろう。
このときばかりは、先生か結婚出来ないのが不思議で仕方なかった。
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体育館、いつもは味気ないけれど、今日に限り派手に装飾が施されていた。
校長の言葉、来賓の言葉ときて、次に生徒会長の一色さんが壇上にあがる。
一色さんも、最初に比べれば成長したと思う。生徒会を理由に彼を連れ出すのは到底許せたものではなかったけれど。
『三年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。』
普段のおちゃらけた雰囲気は影を潜め、生徒会長らしい威厳を持って祝言を言う。普段からこのようにしていれば彼にあざといなどと言われないでしょうに、その辺は本人にもなにか複雑な思いがあるのでしょう。
祝言を一通りいい終え、彼女は壇上から降りる。
さて、次は私の番だ。
『在学生の皆さん、先生方、ご来賓の皆様も、此度は卒業式にご出席していただき、ありがとうございます。』
個人的には、もっとほど細かに語りたいのだけど、ここは公の場だ。さすがに私情はあまり挟めない。
『恩師や、先輩に後輩、そして同級生に恵まれ、かけがえのない三年間を送ることができました。』
この場で言うことでもないかもしれないが、彼に面と向かって言うのも何だか柄じゃない。
だから、ここで言おう。
『――私は、海外の大学に通います』
少し、場がざわついた。
『この学校での経験を生かし、向こうの大学でも頑張りたいと思います』
すべてをいい終え、壇上を降りる。
校歌を歌い、体育館を出る。教室での最後のHRも終わり、すぐに教室を出る。
向かうのは、私達が出会ったあの場所。
すると目の前に見覚えのある人がいる。
見間違えるはずがない。
「よう、…随分なあいさつだったな」
だって彼は
「…あなたの腐った目よりましよ」
私の初恋の人なのだから
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奉仕部に行くときに必ず通る廊下。
人通りがないせいか、どこか寒々としている。そんな廊下も彼と通ると暖かく感じる。
「…由比ヶ浜は三浦たちと話していたから、それが終わってから来ると思うぞ」
「…そう」
会話が止まる。
歩いていると気づけばもう部室の前だ。
いつものように紅茶をいれ、いつもと同じ場所に座る。
…これも、最後。
会うこと自体なくなるだろう。海外に行くのだ。そう簡単に会えるわけがない。
「…なにも言わないのね」
「…なにがだ?」
「黙っていたことよ、向こうの大学に行くこと」
それでも、私に後悔などありはしない。会えないことは悲しい、きっとこの恋は叶わないでしょう、母さんにはちゃんと言えば聞いてくれるでしょうけれど、それはしない。
「お前が、決めたにことだ。俺が言うことなんてなにもないだろう」
「そう、…じゃあ、お別れね。もう今週には日本は出るつもりだから」
覚悟もできた。なにも言うことはない。
なのになぜだろう
目からこぼれる雫を止めることができない。
「…っ!」
それでも、やはり割りきれないのが思いと言うのかもしれない。
「……」
彼はなにも言わない。
最後くらい、いつもの私でいさせてくれたらいいのに、思いが流れ出て止まらない。
この気持ちは、口にすまいと思っていたけれど。
もう、だめ。
「比企谷君」
「…なんだ」
「好き」
思いが溢れる。
「あなたのことが好き。
その腐った目も、ひねくれた性格も、全部、全部…っ!」
彼はまだなにも言わない。
「本当は離れたくない、一緒にいたい、でももうダメ」
「私のこと少しでも思ってくれるのなら、拒絶して、そうしたら私、吹っ切れるから」
それでも彼はなにも言わない。
でも、その方が助かる。思いも伝えたから、思い残すことは今度こそなくなった。
席を立ち、部室を出ようとすると。
「…ふたつ、お前にいい忘れてたことがある」
彼が、そう言う。
「お前が向こうの大学に行くことは大分前から知っていた。」
その言葉に私は目を見開く。
なぜ、と思う瞬間にある人の顔が思い浮かぶ。
…姉さんか。
本当にあの人は何をしでかすかわからない。
「あと…」
どんな言葉が出てくるのだろう。
出てきた言葉は私の予想を遥かに飛び越えた。
「俺も、そっちいくから」
…は?
一瞬、何をいったかわからなかった。
そっち?そっちってどっち?あっ、こっちか。
混乱している私をよそに話を続ける。
「この前な、陽乃さんに留学の枠が余ってるて聞いてな」
じゃあ、なにか?私の覚悟も何もかもすべてむだだったてことかしら?
…ふふっ
「ふ、ふふふふっ」
「お、おい。大丈夫か?」
「忘れなさい」
「は?」
「今聞いたこと見たことすべて忘れなさいといっているのよ。それともそんなこともできないくらいあなたの頭は腐っているのかしら、腐り目谷君」
「や、何で俺こんなディスられてんの?」
「それとも床に頭を叩きつけて忘れさせた方がいいのかしら?」
「は?いや、ちょ、やめろ!目が、怖いって目が」
ああ、もう。本当に最悪。
やはり私の青春ラブコメディは間違っている。
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先日、先輩たちが卒業したので書いてみました。