オリジナルライダー設定集   作:名もなきA・弐

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忍者ライダーのエイゲツ(https://syosetu.org/novel/114713/36.html)に、色彩ライダーファルベ(https://syosetu.org/novel/114713/37.html)の要素を足したら面白そうじゃない?という発想に至り、実際に書いてみました。
 ちなみに今回の元ネタはコロコロで連載していたホラー漫画『世にも奇怪な物語Xゾーン』となっております。


色彩忍者・仮面ライダーエイゲツ(※リメイク版)

よっす!みんなは『テケテケ』ってお化けを知っているかい?

下半身が欠損した姿で描写される上半身だけの亡霊、または妖怪のことで近年になってメジャーになった都市伝説の類でもある。

そいつに出会っちまった人間は、その異常な移動速度から逃げられずに上半身と下半身を真っ二つにされちまうって……考えただけでも恐ろしい話だよな。

今回、俺がみんなに紹介するのはテケテケによく似た怪談話が広まっていた中学校での話。

みんなのトラウマが少しでも和らぐことを祈る!

 

 

 

 

 

消灯された学校の廊下を、一人の少年が走っていた。

月の光も射さない、昼の学び舎とは違う雰囲気の無機質な道をひたすらに走る。

 

「はぁっ!はぁっ!」

 

脇目も降らず、目に涙を溜めながら必死に足を前へと進める。

視界が霞み、肺と胸が痛む……それでも、彼は走ることをやめることが出来なかった。

 

『待ちなさいよぉぉぉぉぉっ』

『何処に行くんだぁぁぁぁっ!』

「ひぃっ!?」

 

地の底から響くような不気味な声。

自分のクラスメイトだった『二つの上半身』が、見開いた両目と狂気の混じった笑みを向けて追い掛けてきているのだ。

「どうしてっ」と自問する。

忘れ物に気付き、仲の良い三人で夜の中学校へと入ったのが始まり。

教室に入って自分の忘れ物を見つけ、後は帰るだけだった。

しかし友人の一人がいつの間にか姿を消しており、見つけた時には彼女の姿は変わり果てていた。

両手を器用に動かして迫り、捕まってしまったもう一人も自分を追い掛ける怪物の仲間入り……人間と思えない嗤い声を聞かないよう必死に耳を抑え、目を塞ぎながら走り続けた。

 

「あっ!?」

 

しかし、そんな追い掛けっこも遂に終わってしまう。

逃げた先は自分の教室、その間にも同級生の顔をした二体の怪物は挟み撃ちをするように別々の扉から入って来る。追い詰められた少年が窓から飛び降りようとしても何故か開かない。

 

『くすくす』

『もう逃げられないぞぉ。ほら、お前もこっちに来いよぉおおおおおおおおっ!』

 

悍ましい声が響く。

逃げ場がないことを悟った少年は、迫る恐怖に耐え切れずに悲鳴をあげようとした。

その瞬間のことだった。

 

「だらっしゃあああああああああああっ!!」

 

妙な掛け声と共に窓ガラスの割れる音が遮る。

同時に突き出された両脚が二体の顔面に突き刺さり、呆気に取られた少年が気づいた時には怪物の身体を大きく吹き飛ばしていた。

 

「……とぉっ!

 

勢いのままに着地した人物は、少年よりも年上だった。

緑色のストールを首に巻き、青いジーンズとそれぞれ赤と青の靴を履いたカラフルな衣装だ。

奇抜なファッションセンスだが、何処か様になっているのは彼の特徴的な容姿が関係しているからなのだろうか。

短く切られた髪は色が抜けたように白く、硝子のような無彩色の瞳がこちらへと向けられている。

 

「あー、君。怪我はない?」

 

自分の安否を確認する高めながらも低い声色で、ようやく目の前にいる人物が『男性』だったのだと、場違いにも気づくことが出来た。

尋ねられるままに「はい」と答え、その人物は少年の身体を確かめる。

 

「怖い思いをしただろ?でも、もう大丈夫……だから」

 

「お休み」と、少年の意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

極度の緊張状態から解放されたことで気を失った少年に結界を施して寝かせた『色ヶ谷彩人』は、先ほど自分が蹴り飛ばした先にいる怪物たちの元まで歩く。

周囲を確認するが、二体のテケテケ擬きの姿は見えない。

 

「逃げた?……いや」

 

手応えは確かにあった。

もしも逃げたのなら、何かしらの痕跡が残っているはずだが最初から何もいなかったように消滅している。そうなれば、あれは今回の騒動を起こした犯人の手駒のようなものかもしれない。

 

『彩人!』

 

自分の名前を呼ばれて振り向けば、そこにいたのはスーパーボールに手足が生えたようなマスコットキャラクターを思わせるメカニカルな蛙のガジェット。

メタリックグリーンに彩られたそれに驚くことなく、情報を共有する。

 

「どうだった?」

『間違いない、この辺り一帯に結界が上塗りされてやがった!姿を消していた生徒たちも全員いる後は…』

「『本体を見つけるだけ』……だろっ!」

『あぎぃっ!?』

 

その言葉を最後に、彩人が強烈な回し蹴りを背後へと放った。

高い位置で繰り出されたハイキックは不意を打とうとした『何か』の顔面を捉え、潰れたような悲鳴をあげながら地面へと叩きつける。

 

「ようやくお出ましか?本体さん」

『ぐぅぅぅぅぅぅっ』

 

忌々しそうな唸り声と共に頭を抑えながら、この中学校に潜んでいた『何か』が起き上がる。

クシャクシャになった紙細工で構成された白い素体に、プラムカラーの茶色が混じった赤紫に染まった装飾に身を包んだ怪人……。

何処か生物染みた装甲は蟲を彷彿させ、その手には不気味なデザインが施された巨大な鋏を持っている。

 

「『グラフィティ』……膨れ上がった未練で本来の姿を塗り潰された怨霊。お前の正体は既に分かっているんだぜ?」

『……だったらっ、だったらボクの邪魔をするなっ!!』

 

ハサミムシの魂を中心に混ぜ合わせたグラフィティ『イヤーウィッグ・グラフィティ』は癇癪を起したように地団太を踏む。

すると、怪人の影が揺らめいて人の形を……ひ弱な少年の輪郭を描き出した。

 

『父さんも母さんも、一人で歩けないボクを憐れむように見下ろした!クラスのみんなもっ、何も出来ないと決めつけてボクに声を掛けてきやがった!!』

 

イヤーウィッグの動きと連動するように影が叫ぶ。

生前の彼は、親しい友人がいなかった。

両脚の不自由で車椅子生活を強いられ、誰もかれもが同情の視線を向けてくる。

そんな学校生活に苛々し、一人で歩けると強がって無理に立ち上がった途端、彼はバランスを崩して後頭部を強打。そのまま帰らぬ人となった。

しかし、世の中の理不尽を呪った想いは強い未練となり、この中学校に巣食う地縛霊として現世へと留まってしまったのだ。

霊とは肉体という器と枷から解き放たれた者……何の色も持たない彼らは本来なら誰の目にも触れることなくあるべき場所へと還っていく。

しかし、生前への想いや寂しさが未練によって色付けされ、やがては現世という景色を塗り潰す悪霊へと変貌してしまうのだ。

 

『歩ける足も手に入れた、ボクの気持ちが分かる友達も手に入れた!ボクはこの城で、死ぬこともない身体で永遠に暮らすんだっ!!』

 

両手を広げ、悦に浸った声色で嗤うイヤーウィッグ。

肉体と同時に理性すらもなくなったグラフィティは己の本能に従うがまま、欲望の限りを尽くす。

現世すらも塗り潰さんとする未練の塊は現世の人間や武器では止められない。

そう……『普通の人間』なら。

 

「いいや、俺が止める。お前が塗りたくった不出来な城ごと、な……」

 

不敵に笑った彩人が取り出したのは絵描きタブレットのような形状をしたデバイス。

横向きになった長方形の右横には縦向きの巻物を模した緑色サイドハンドルが施されており、最新機器と江戸時代の道具が合体したデバイスを軽く腰に当てる。

瞬間、両側から着物帯のようなシルク製のベルトが伸びて腰に固定されるとデバイスはバックルの役割を果たす。

 

【EIGETSU DRIVER! KENZAN!!】

 

『多彩霊装エイゲツドライバー』が名を告げたのを聞きながら、今度はコートの懐からソレイユオレンジカラーに彩られた円柱型の容器を取り出す。

掌に収まるサイズに蓋を模したスイッチが施されたインク壺型アイテム……『ソウルライドポット』には忍者刀を咥えた橙色の飛蝗のラベルイラストが貼られている。

 

『なっ!?』

 

イヤーウィッグが目に見えるほどの狼狽を見せる。

何故ならそれは、自分が今の姿になった道具と同じ形状をしていたからだ。

 

【HOPPER!】

 

蓋部分のスイッチを押し込んで起動すると、インク壺の内部に容器と同色のソレイユオレンジのインクが蓄積される。

それをスロットに装填した瞬間、待機音声が響き渡った。

 

【DORON DRAW! DORON DRAW!……】

 

巻物型のサイドハンドル『ニンポウスターター』を握り締め、 手に持った大鋏を開閉して威嚇するイヤーウィッグに不敵な笑みを見せたまま彩人が叫ぶ。

自らの存在を塗り替える『あの言葉』を。

 

「変身!」

【GRADATION UP!】

 

スターターを押し込んだと同時に音声が響き、ディスプレイに炎を纏った飛蝗の絵図が映し出されると、全身を黒いスーツに包んだ彩人の頭上にスロットへ装填したカラーライドポットと同じ形状をした壺型エネルギーが出現。

それは下へ傾くと同時にインク型の霊力が降り注がれ、変身者のイメージが戦闘に適した姿を描き出していく。

 

【霊装体現!HOPPER NINJA!!】

 

照らされるはずのない塗り潰された世界を、月光が照らす。

そこに立っていたのは仮面の忍者。

忍装束を思わせる黒いスーツの上にはメカニカルな軽鎧に身を包み、鮮やかなオレンジが恐怖や不安を和らげるように光輝く。

銀色の触覚と赤く光る飛蝗の如きマスク、首元から生やした白いマフラーはまさしく『忍』。

それ即ち、刃の心を秘めた耐える者。闇夜と共に生きる者。

汚れた未練を祓い、世界の景色を護るべく己の技と心を鍛えし退魔の者……それこそが本来の忍者、真名は霊装忍者。

 

「『仮面ライダーエイゲツ』……その歪んだ色を塗り潰すっ!」

 

自らをそう名乗ったエイゲツが地面を蹴った瞬間、離れていたイヤーウィッグとの間合いがゼロになる。

動揺し、反応すら出来ないグラフィティに叩き込まれるのは強烈な拳打によるラッシュだ。

 

『がっ、あぁっ!?』

「そらっ!」

 

よろめいたところに容赦のない蹴りを叩き込み、追撃のハイキックによってイヤーウィッグの身体が大きく吹き飛ばされる。

廊下から教室へと放り込まれたハサミムシの悪霊が起き上がるころには、エイゲツの手に専用の武装が握られていた。

 

【口寄せ忍法!エイゲツトウ!】

 

インクのようなオレンジのインクで構成されたメカニカルな忍者刀は緑色の柄と鍔、そして白い刀身で構成されており、切っ先の部分が橙色に染まっている。

巨大な絵筆にも見えるエイゲツトウが間髪入れずに振るわれる度、鮮やかなオレンジ色の軌跡を描いた斬撃がイヤーウィッグの身体にダメージを与える。

しかし、現世への未練から生まれるグラフィティが黙って倒されるはずがない。

 

『嘗めるなぁあああああああああああっ!!』

 

怒りを露にしたイヤーウィッグが叫ぶと同時に、手に持った大鋏を使って反撃に出る。

攻撃事態は単調だが、一度でも射程圏内に入ってしまえば真っ二つに両断されてしまうだろう。

そして、敵はグラフィティだけではない。

 

『『さっきはよくもぉぉぉぉぉっ!』』

「なっ!?」

 

エイゲツが蹴り飛ばしたテケテケ擬きが再び出現したのだ。

二体の怪物は動きを阻害するように両腕を使って拘束すると、イヤーウィッグに差し出す。

武器も没収され、完全に身動きを取れなくなったエイゲツを前に大鋏を掲げたグラフィティが得意気に笑う。

 

『あっはははは!ボクの城に土足で踏み入った罰だ、お前もボクの「友達」にしてこき使ってやるよっ!!』

 

勝利を確信したようにテケテケ擬きたちを不気味な笑い声を響かせるが、エイゲツに焦った様子は見られない。

むしろ、余裕さえも感じられる。

 

「はっ。そんな下手くそな鋏捌きで仲間に出来るのかよ?」

『……あっ?』

「ちゃーんと胴体に向けて真っ直ぐにチョッキンしろよ。禄に歩けなかったガキンチョじゃ難しいかもしれないけどな」

 

その言葉は、イヤーウィッグの地雷に等しかった。

大鋏を持つ手に力が入り、表情こそ分からないものの態度や動きから明らかに怒っているのは明白だ。

 

『だったら、望み通りにしてやるよっ!!』

 

怨嗟に染まった叫び声をあげながら、勢いに任せて大鋏がエイゲツの身体を捉える。

そして鋏を閉じたことで、真っ二つになった。

 

『はぁっ、はぁっ!ボクを馬鹿にするからだっ、この忍者被れがっ!!』

 

両断された身体を蹴り飛ばそうと足元に視線を移すが、その余裕が完全に消え失せた。

何故なら、そこにあったのはエイゲツの身体ではなく単なる木材だったからだ。

 

【変わり身忍法!危機一髪!】

 

突如響き渡る音声の後、球体状の『何か』が落ちてくる。

瞬間、強烈なまでの爆音と衝撃がイヤーウィッグたちを襲った。

 

『『『ぎぃぃぃぃやぁあああああああああああああっ!!?』』』

 

中に詰まっていたと思われる水が直撃した二体のテケテケ擬きはひっくり返って悶え苦しむと、インクが溶け出したように消滅。

残ったイヤーウィッグも大鋏を手放して「痛い痛い」と地面を転がった。

 

「隙ありっ!」

『ぐっぎゃああああああああっ!?』

 

だが、それだけでは終わらない。

サッカーボールのように見立てた強烈なキックがグラフィティの顔面に命中し、机と椅子を薙ぎ倒しながら吹き飛ばす。

辛うじて顔を上げると、そこには無傷のエイゲツがいた。

 

「忍法・変わり身の術ってな、俺は忍者だぜ?お前みたいに暴れるだけが脳じゃないんだよ……ここに来る前に対策もある程度してきたからな」

 

よろめくイヤーウィッグを見下ろしながら、破邪の水を圧縮して詰め込んだ丸い爆弾を見せびらかす。

エイゲツトウを拾い、ゆっくりと歩きながら言葉を続ける。

 

「大鋏で切った半分の魂に自分の霊力を混ぜ合わせた分身を作るってのが、お前の本当の能力だ」

『ぐっ、うぅっ』

「お前が恐れられたのは、姿も正体も能力も分からなかったからだ」

 

人は本能的に未知を恐怖する。

原理も素性も分からないからこそ人は霊を恐れてしまう。

だが、霊装忍者は違う。

悪霊たるグラフィティを倒せる存在だと認識し、それを知ることが出来る。

大鋏を蹴り飛ばし、胸倉を掴んで無理矢理イヤーウィッグの身体を起き上がらせたエイゲツが仮面越しに睨みつける。

 

「もう、お前なんか怖くねぇ」

『あっ、あぁっ』

 

イヤーウィッグは本能で悟った。

勝てないっ、勝てるはずがない……!

幽霊になったことで人間の法に縛られなくなったと、自分を裁ける者は誰もいないのだと思い上がっていた。それは間違いだった。

今目の前に、自分を倒す存在がいるのだと理解してしまうが、もう遅い。

 

「最後の仕上げだ!」

 

エイゲツがイヤーウィッグの身体を窓に向かって投げる。

細い身体はガラスを突き破ると、月が照らす闇夜へと叩き出される。

その間にも、仮面ライダーは準備を進めていた。

 

【FINISH!】

 

ニンポウスターターにある軸先型の黒いスイッチを押す否や、助走して自身も突き破った窓に足を掛けて跳躍。

満月を背後に、射程圏内に収めたイヤーウィッグから視線を外すことなくスターターを押し込んだ。

 

【超NINPO! HOPPER NINJA!!】

 

エイゲツの身体からソレイユオレンジの炎が噴き出す。

霊力で描いた炎は飛蝗の幻影を作り、両脚蹴りの姿勢で急降下する霊装忍者の身体へと纏っていく。

 

「はぁああああーーーーーーっ!!」

『がっ、ごあっ!?』

 

それは回避を取れないイヤーウィッグに直撃し、その身体を焼いていく。

やがて、エイゲツのライダーキックが貫いた途端。

 

『ぁぁぁぁああああああああああああああっ!!』

 

イヤーウィッグ・グラフィティの絶叫と爆発が響き渡った。

エイゲツが校庭へと着地すると同時に、二つの物体も落ちてくる。

一つは大鋏を持つハサミムシが描かれたグラフィティライドポット、そしてもう一つは。

 

『うっ、うぅっ』

 

変異者だった少年の霊だ。

その表情と言動には先ほどまでの残忍さはなく、涙を流していた。

ただ泣いているだけの彼にエイゲツは彼と視線を合わせる。

 

「君の両親とクラスメイトや担任だった人から、メッセージを預かった」

『……えっ?』

「『可哀そうと思ってごめん』、『あの時助けられなくてごめん』……だってさ」

 

少年は、親しい友人はいなかった。

それでも嫌われていた訳ではなかった。両親からも愛されていた。

その事実に、今になって分かった少年は涙を零す。

 

『ごめんなさい、ごめんなさいっ』

「もう大丈夫。さぁ、あるべき場所へ」

 

エイゲツの言葉と共に少年は優しい光へと包まれ、この世から旅立っていった。

霊装忍者……それは未練に染まった霊を解放し本来のあるべき場所へと還らせること。

現世への未練を晴らし、今ある世界の景色を護ることが仮面ライダーエイゲツの使命だ。

 

『お疲れ様』

「んっ」

 

結界もなくなったことで攫われていた生徒たちも解放されており、既に救護の連絡は済ませている。

蛙型ガジェットからの労いに頷いたエイゲツは、変身を解除すると静かな夜空を見上げるのだった。

 

 

 

 

 

とある廃屋。

グラフィティとエイゲツの戦闘を映していたテレビが、一人の人物によって叩き壊された。

けたたましい音と共にモニターの破片が散らばるも気にすることなく、苛立ちを剥き出しにした異形が叫ぶ。

 

『あのクソガキ、負けやがった!わざわざ俺が見出してやったのに、あんなにあっさりと……畜生がっ!!』

 

その姿は宝瓶が人型になった存在……と表現すれば良いのだろうか。

瓶を思わせる巨大な機械鎧に覆われており、あちこちには炎が噴き出したような装飾品があしらわれ、腰にはカラースプレーを思わせるバックルが装備されている。

怒りを隠すことなく異形は周囲にある物に当たり散らすが、恐れ知らずにも制止の声が響く。

 

「静かにしてくれないかなぁ?君がそうやって暴れ回る度に、こっちも苛々してくるんだが」

 

牧師を思わせる風貌の男性が鋭い視線を向ける。

端正ながらも神経質な顔立ちの彼は相手を睨みつけるような視線で見上げており、その眼光は一般人なら簡単に委縮してしまうだろう。

腰に同型のカラースプレー型のバックルを巻いた牧師の言葉に、宝瓶の異形も「ちっ!」と盛大な舌打ちと共にソファに座る。

ようやく落ち着きを取り戻した同胞に牧師は呆れの溜め息を吐くと、懐からグラフィティポットを取り出す。

 

「さて、次はどんなグラフィティを描こうかな」

 

牧師が笑みを浮かべる。

その微笑みは獰猛さと陰湿さが入り混じっていた。




 小さい頃に考えていた「忍者のヒーローが怖いお化けを倒す」という発想から生まれたのが退魔の忍者ライダーという設定です。
 仮面ライダーシノビと差別化するためにも色々と考え、忍者=古いという価値観を壊すべく科学技術も組み合わせたのが仮面ライダーエイゲツですね。
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