ガンダム00  マイスター始めてみました   作:雑炊

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10話です。
今回は一気に話が飛んだりするので、何時もよりも2倍近く長いです。
そして今回も一部のキャラにキャラ崩壊注意報。

それでは本編をどうぞ。


十話―――折角キリが良い話数だというのに、果たして今回、俺が此処にいる理由はなんだったんでしょうか?つーかいつもよりも長くね?

(一体如何してこうなった?)

 

そう俺が思うのも仕方の無い事だった。

正面には、中から物凄い凶暴な声が聞こえてくる上に、大絶賛此方へと武器を向けてきているキュリオス。

後ろには、先程まで目の前のキュリオスにコックピットをシールドに隠されている小型ナイフでゆっくりと串刺しにされかけていた宇宙用ティエレン。

俺はもう恒例となった新装備(という名の実験兵器の一つ)を取り付けたOガンダムに乗って、キュリオスと対峙していた。

 

(……いや、マジで、如何してこうなった?)

 

それは思い返すこと、今から4~5時間前。実にあの親睦会という名の酒と腹ペコとゲームの饗宴から3日後の事である。

思いがけぬタイミングでの人革連による“ガンダム鹵獲作戦”。その担当となった特殊部隊“頂部”の攻撃を受けた実働部隊の援護をする為に、寝耳に水の状態で急いで宇宙へと上がった俺だったが、現場に着いた時には既に遅く、ヴァーチェはその外部アーマーをオールパージして本来の姿といっても過言ではない“ナドレ”を晒してしまい、更に最悪な事にキュリオスは一瞬の隙を突いて特殊部隊に鹵獲された後だった。

とりあえず、見た所まだ特殊部隊の母艦は遠くには行ってはいなさそうだったため、俺は実働部隊の母艦へと謝罪文を送る事もそこそこに急いでその後を追う事にした。

 

(…ああ、そういやそうだっけ…)

 

ところが追っている最中に、正面に翠色の粒子を散布しながらシールド兼用のクローでティエレンを抑えているオレンジの機体―――キュリオスをちゃっかり発見してしまったのだ。

これ幸いとばかりに、俺はキュリオスに通信を入れてさっさと母艦であるプトレマイオスへと戻るよう促そうとした。

 

……ところが通信を入れた途端に聞こえてきたのは、狂ったようなキュリオスのマイスターであるアレルヤ・ハプティズム“である筈”の男の笑い声と、これまた聞いてるだけで胸糞が悪くなるような、一人の男が死の恐怖に震えて命乞いする情けない声が聞こえてきた。

と、次の瞬間、キュリオスは一時的にシールドアームからティエレンを放すと、一気に止めを刺そうとその腕を突き込もうとする。

 

瞬間的に、俺の身体も動いていた。

一気にOガンダムをティエレンの後ろまで近寄らせると、左手で徐にティエレンの頭を引っ掴んで後ろに引っ張る。

 

…結果的に、突き出されたキュリオスの左腕は空を切り、ティエレンは上手い事Oガンダムの後ろで止まる。

現在は、其処から膠着状態が続いているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、如何した物か?」

 

なんともし難いこの状況。

とりあえず、接触回線を使って、ティエレンのパイロットに呼び掛けてみる。

 

『…ティエレンのパイロット。生きているか?生きているのなら、返事をしろ』

 

『な、何だ?何のつもりだ?』

 

間髪入れずに返事が来た。

どうやら先程よりも、幾分かは落ち着いてきているらしい。

流石は軍人といった所か。

 

『それなりに落ち着いてきているようだな。機体は動かせるか?』

 

『…助けるとでも言うか?』

 

『質問に質問で返すな。お前は答えを返すだけでいい。機体は動かせるのか?』

 

『…コンソールを破壊されたお蔭で、レーダーや手足を動かす事が出来ないが、スラスターを噴かす位はできそうだ』

 

『なら向きはこっちで指定してやるからさっさと母艦に戻れ。丁度良く視界は開けているだろう?ハッキリ言って邪魔だ』

 

そう言いながら、武器を持っていない左手でティエレンの胴体を掴むと、ぐるっと向きを変えてやる。

勿論、視線はキュリオスから一瞬も外してはいない。

つーか外した瞬間に襲い掛かられそうな気配がプンプンするんですけど。

 

『……すまない』

 

向きを変え終わった所で、ティエレンのパイロットから、謝罪の言葉が入る。

 

『お互い様だ。というよりも、言ってる暇があるのならさっさと離脱してくれ。向こうももう限界らしいのでな』

 

そう言うと、今度は何も言わずにティエレンはスラスターを噴かして離脱していった。

…キュリオスからの追撃は、無い。

それに内心ホッとしつつ、今度はキュリオスに通信を入れる。

 

「…待たせてしまったかな?」

 

そう言って、Oガンダムの右手をひょいと上げて少しおどけてみせる。

 

『…テメェ、この間のヤツか…何のつもりだ』

 

キュリオスが、何時の間にかその手に持ち直したビームマシンガンを此方に向けてきた。

どうやら、直ぐにブっ放してくるほど短気ではないらしい。

内心正直言って恐怖でガクブル状態だが、それを表に出さないように気をつけつつ、返答する。

 

「…一応、助けに来たつもりだったんだが……別に要らなかったようだな。それと、タイムオーバーだ。君としてはもっと楽しみたかったのかも知れないが、生憎と此方にそんな時間は無いのでな。さっさとプトレマイオスに戻ってくれないか?というかああゆう事をすると例え粒子コーティングされていたとしても武器が消耗するから止めた方が良いと思うのだが?」

 

『ケッ。こっちはあの時もう終わらせるつもりだったんだがよ…それに、武器云々の事なんぞ俺様には知ったこっちゃねぇよ』

 

「非道いなそれは……イアン・ヴァスティが聞いたら頭から湯気を出して怒り狂うぞ?…まあ、いいか。それではさっさと母艦に戻ってくれ。邪魔をして済まなかったな、“ハレルヤ・ハプティズム”」

 

そう言って、俺は機体を翻す。

こっちとしてはこの後さっき迄実働部隊を襲っていたあの特殊部隊が何処を拠点にしているか、さっさと確かめたかったので半ば強引に会話をぶった切って、そちらに向かおうとしたかったのだ。

…が、俺は直後に、自身が今犯した過ちに気付く事になった。

 

『……おい』

 

「? 何かね?」

 

不意にキュリオスから通信が入る。

何なのかと、疑問に思いつい振り返ってしまう。

 

…それが失敗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチィン!!!

 

「っ!?」

 

咄嗟に左手にビームサーベルをマウントして展開し、いきなり切りかかってきたキュリオスの凶刃を防ぐ。

そのまま右手のビームガンで反撃するが、簡単に避けられる。

 

「何のつもりだ!?」

 

思わず口から言葉が漏れた。

…まあ、いきなりこんな事されれば、誰だってこうも言う。

それを知ってか知らずか、キュリオスからハレルヤの狂ったような声が聞こえてきた。

 

『ハッ!!よく言うぜ!!テメェなんで俺の存在を知ってるんだ!?仲間内でも知ってる奴はそうそう居ないぜ!?』

 

「何を言っているアレルヤ・ハプティズム!?」

 

『惚けんじゃねぇ!!!』

 

そう言いながら、キュリオスは高速形態に変形して此方に突っ込みながらビームマシンガンを乱射する。

急いで機体を捻りつつ、避け切れなかった物をGNABCマントで受ける。

案の定、着弾した部分は少し赤熱化しただけで、次の瞬間にはまた何も無かったかのように元に戻った。

 

『何っ!?』

 

キュリオスから驚愕の声が発せられるが、構っていられる様な状態ではない。

瞬時にマントの裏から“ある物”を引っ張り出すと、右腕にそれを装着して、キュリオスの進行上に、それを発射した。

 

バフッ!!

 

という音と共に、黒い玉がそれから発射される。

と、次の瞬間玉は弾け飛び、中から所々が緑色に発光している巨大な網が姿を現した。

案の定キュリオスはその中に突っ込み、網に身体を絡め取られる。

それを見た俺は、気合の入った雄たけびと共に一気に網を引っ張る!!!

 

「どっせぇぇぇぇい!!!!」

 

『うおぉぉぉぉ!?』

 

急に網ごと引っ張られて、ハレルヤ・ハプティズムが驚愕の声をあげる。

その叫びの発生源が、Oガンダムの目の前まで来たところで、

 

「必殺!!ガンダムパーンチ!!!」

 

そんな叫び声を挙げながら、俺はキュリオスを殴り飛ばした。

 

『技名ダサッ!!!』

 

……そんな声が聞こえたような気がするが、今は無視だ!!無視無視!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……?」

 

軽い衝撃と共に、僕は目を覚ました。

ハレルヤはどうやら眠ってしまったようで、今は僕が身体の主導権を手にしていた。

 

『…気が付いたかね?』

 

ふと、接触回線で、声が掛けられる。

目をそちらへと向けると、先程ハレルヤの操るキュリオスを、難無く網で絡め取ってから容赦無く殴り飛ばしたあのマントの機体―――“O-01”が居た。

 

「……うん。ちょっと身体の節々が痛くて、頭がグラグラするけど」

 

『…フム、その様子から鑑みるに、“ハレルヤ”から“アレルヤ”に戻ったようだな。あと、身体の節々が痛かったりするのには、少し目を瞑ってくれ。あの時はああする以外に止めようが無かったのだ』

 

そう言いながら、器用にMSの手で頭を掻く“O-01”。

そんな見ようによってはコミカルな仕草をを見ながら僕は思わず苦笑を一つこぼす。

…が、今言った彼の言葉の意味を理解した瞬間に、一気に頭が冷える。

 

彼は今、何と言った?

 

彼は今、確実に僕の事を“アレルヤ”と呼び、あまつさえ“ハレルヤ”から“戻った”と言った。

…つまり、彼はもう一人の僕とも言える存在―――“ハレルヤ”について、知っている?

確かにさっきまで、僕はアレルヤと身体の主導権を交換していた。

…だとは言え、一瞬で、例え此方が二重人格だと分かっても、その人格の名前まで分かったりする筈がない!!

 

『…あ、すまない。実は君達をサポートするに当たって、予めヴェーダを使って、君達の経歴以外のデータを全て見させてもらっていたのだ。君のもう一つの人格を知っている理由も其処にある』

 

けど、次の瞬間彼が申し訳無さそうに言った言葉を聞いて、僕は警戒を解いた。

それだったのならば……まあ、すんなりと納得は出来ないけど頷ける物はある。

勿論、個人情報を勝手に見られたのは不快な物もあるけれど、それも僕達をサポートする為に必要だったと言うのならば我慢できる。

 

「…ハレルヤに変わってしまってたとは言え、悪かったね。いきなり襲い掛かってしまって」

 

『何、気にするな。丁度良く試作装備のテスターが現れてくれたと思えば、このくらいは何とも無い。というか上司に無茶苦茶な理由で罠に嵌められたり、家に押しかけてきて早々に飯を集ってくる身内に比べれば、果てしなく楽な物だ』

 

「…苦労してるんだね」

 

『やかましい大きなお世話だ』

 

そう言うと、彼は声に少しの苦笑を滲ませながら、マントを翻して去って行った。

…なんとも気障な帰り方だなぁ……不覚にも、一瞬だけカッコイイとか思っちゃったよ。

 

『アレルヤ!!無事なの!?』

 

暫らくの間、彼が去って行った方を眺めていると、突然スメラギさんの心配そうな声が耳に入った。

後ろを振り返って見ると、何時の間にか、もうトレミーが目と鼻の先まで近寄ってきていた。

 

(…ボーっとしすぎちゃったかな…?)

 

そう考えながら僕は苦笑を一つ零すと、スメラギさんに無事な事を伝えながらキュリオスをトレミーに向けて、帰還の準備を始める事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経済特区東京 某マンション

 

「…ックショー…ビームマシンガンの弾受けながら回転したり、ネットガンでキュリオス一本釣りしたのは流石に不味過ぎたか……まさかオーバーホールする事になるとはなー…」

 

先日のハレルヤの暴走から約2日。

俺はマンションの廊下を歩きながら頭を抱えていた。

その原因は今口に出したように、Oガンダムをオーバーホールする破目なった事に起因する。

と、言うのも、あの小規模な戦闘の後、軌道エレベーターに隠してある小型ドックに入った途端に突如としてOガンダムの両肘関節部分から嫌な音が鳴ったかと思うと、次の瞬間ビシィ!と言う音と共にフレームに罅が入ってしまったのだ。

おそらく原因は関節の酷使による疲労。

それを聞いた瞬間に、俺の頭にはボンヤリと「よく考えてみれば、計画発動直後から今迄、まともにメンテしてなかったな」と言う言葉が浮かび上がってきたので、おそらくそれも原因の一つだと思われる。

まあ、そんなこんなでOガンダムは簡単な改修も兼ねて、全体をオーバーホールする事に。

お蔭で軌道エレベーターのステーションから歩いて帰ってくる羽目になってしまった。

 

「チクショー……今度からマジ気をつけよう……もう金輪際、戸籍の偽造とか変装とかしないぞ……」

 

そう、愚痴りながら自室目指して進んでいくと、不意に眼鏡をかけた女性と長い髪の少女が言い争っている姿が見えた。

遠めなので少し分かり難いが、どうやら少女が眼鏡の女性を引っ張ってどこかに連れて行こうとしているようだ。

 

(…あれ?ルイス?何やってんだ?)

 

案の上、少女はルイスだった。

…と、言う事は、あの眼鏡の女性は彼女の身内なのだろう。

髪の色とか一緒だし。

…それにしても厄介だ。

何しろ彼女たちが争っているのは自分の部屋の前。

近づいていくごとに、二人の間に流れる険悪な雰囲気が俺の神経を突き刺していく。

 

「ルイス!私は彼に会うとは一度も言ってないわよ!」

 

「少しは私の話を聞いてよ!」

 

……話を聞く限りでは、どうやらルイスは女性を自分の彼氏―――沙慈に会わせようとしているのだろう。

何は兎も角、このままでは二人が邪魔なので一端退いて貰うべく、したくは無いが二人に声を掛ける事にした。

 

「あの~……すいません。あまり言いたくは無いのですが…其処、俺の部屋なんですけど」

 

「あらごめんなさい。お騒がせしたわね」

 

「ああ!アムロ!!ねぇ聞いてよ、ママが!!!」

 

「…んぁ?何?一体如何したの?」

 

言いたい事は大体分かるけど……って、いうか、やっぱり身内だったのか。

そう、俺が口に出そうとしたときだった。

 

「あれ?アムロ?何してるの?ってルイス!?」

 

タイミングバッチリで、俺の後ろから沙慈がやって来た。

しかし、ヤツはルイスと彼女の母親を見た瞬間、顔をひきつらせる。

 

「……………………」

 

そして、この状況を作り出した元凶の一人であるルイスの母親は、その沙慈の顔と俺の顔を交互に見ながら何かを考え込む。

その結果、

 

「ルイス!あなた、この子とこの子で二股をかけていたのね!!」

 

「「ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」」

 

「はいいいいいいいいいいいいい!?」

 

如何してそうなった!?

やはり親子!?

少々ぶっ飛んだ思考は、ルイスと同じかそれ以上だ!?

 

「ち、違うんです!お母さん!」

 

「そうよママ!!って言うか、如何してそんな考えに行き着くのよ!?」

 

「ルイスは黙ってらっしゃい!」

 

「…………」

 

…言いたくは無いが、何じゃこのおばちゃん?

日本のおばちゃんとさほど変わらないそのテンションには、若干頭痛さえしてくる。

つーかおばちゃんってもしかして全世界通してこんな感じなのか?だとしたら師匠が以前呟いていた「おばちゃんという生物はね……下手をすればイノベイターよりもはるかに上位にいる生命体なのかもしれないよ…」といういつもの師匠らしからぬ若干背中の煤けた状態で言われたあの一言にも頷ける物が出てくる。

というか今だに思うが、師匠、あの時何があったし。大阪にでも行ってきたんか?

…まあ、兎も角としてこのまま黙っていたら、問題が何一つとして進まないのは明白。

俺は頭痛を覚えながらもルイスの母親に話しかける事にした。

 

「あの…すいません」

 

「ああ、ごめんなさいね、ウチの娘が……あなたからもじっくりお話を」

 

「いい加減に家に入って夕飯の支度をしたいのですが…」

 

「へ?」

 

そんな俺の言葉を聞いた瞬間に、以前計画の発動時に俺の独り言を聞いた沙慈とルイスと同じようにキョトンと間の抜けた顔をした。

見れば二人もあの時と同じ様にキョトンとしている。

 

「……」

 

「「「………」」」

 

「…あの…」

 

「?! は、はい?」

 

「入っても良いですか?というか入れてください頼みますからこのままだと夕飯食うのが遅くなる具体的には3時間分」

 

「あ…は、はい。ごめんなさいね?」

 

そういって、彼女はその場を退いてくれた。

すかさず、俺はドアの前に立って鍵を使ってロックを解除すると、そのまま部屋に入った。

 

「………今日のところはお暇させていただきます。それでは」

 

ドアが締め切るか締め切らないかくらいで、向こうからルイスの母親のそんな声が聞こえたが、無視してドアをそのまま閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アザディスタン王国 居住区

 

人革連による、“ガンダム鹵獲作戦”が失敗に終わってから、約1週間後。

ここ、アザディスタンで、一つの大きな事件が起きた。

 

アザディスタンの保守派の高名な宗教的指導者である、マスード・ラフマディー。

その彼が、何物かに誘拐されたのだ。

 

ソレスタルビーイングはこの事件を何時までも二の足を踏み続けるマスード氏に業を煮やした保守派による自作自演か、改革派による強攻策。又は第三者による内紛を引き起こす為のものと睨んで、実働部隊をアザディスタンへと潜入させていた。

目的は、内紛を止める為、誘拐されたマスード・ラフマディー氏を保護し、全国民に無事を知らせること。

そして、現時点で起こっているどんな小さな紛争にも介入する事。

 

先日は、最近新設された太陽光発電受信アンテナ施設に、保守派の中でも、特に過激な超保守派と呼ばれる一派が、施設の警護に当たっていたMSの内数体を強奪し、施設を破壊しようと行動を起こした。

施設自体は、たまたま其処の警備に当たっていたユニオンのMS一個小隊と、事前に情報を得て既に待機していたロックオンとハロによってある程度は防衛できたものの、その乱戦の最中に第三者の手によって放たれたミサイルで少なからず被害が出てしまっていた。

追撃した“とあるエージェント”の話によると、その第三者はおそらく傭兵で今だこの近くに潜伏している物と考えられているらしい。

これを受けて実働部隊はその傭兵、もしくはその仲間が今回のマスード・ラフマディー誘拐の件に少なからず関係していると考え、調査を開始。

 

その調査の一環として、今、刹那はこの国の一般的な衣服に身を包んで街中を歩いていた。

 

彼女が街を歩いていると、否が応でも人々の視線を集めた。

刹那の出身地は確かにアザディスタンだが、より正確に言うなら元クルジスである。

アザディスタンの人間は戦争が終結した後も宗教上の理由からクルジスの人間を忌み嫌い、クルジスの出身者もまた、自分の故国を滅ぼされた恨みからアザディスタンに対してドス黒い感情を抱いていた。

そして、地元の人間が見れば、クルジスとアザディスタンの人間との区別は、実は意外とあっという間についてしまう。

まるで日本人が、中国人や韓国人を何となく見分けられてしまえるように。

つまり、街に出た瞬間に刹那は周りから警戒と侮蔑を集める対象になっているのだ。

そんなこの国の人間の様子を見ていると、刹那はあの頃のことを思い出す。

 

瓦礫と化した街を駆け巡りながら、死の臭いが充満する中で、神のために仲間や自分を本当の双子の妹のように可愛がってくれた彼と共に戦っていた、あの頃のことを。

 

(あんな無意味な事を……まだ続けるつもりなの?この国は…)

 

それは一種の絶望でもあったのかもしれない。

今はあの頃から、既に5年以上経っている。

故に刹那は、心の何処かではそれ位経てば嘗ての蟠りは消滅ないしは緩和している筈だと淡い希望を抱いていた。

…というのに、其処に住む人々は未だに何も変わっては居なかった。

故の怒りであり、絶望。

彼女はギュッと無意識に両手を握りしめた。

そんな風に刹那が静かに怒りに燃えていると、目の前に10歳ほどの少年が歩いてきた。

肩には二つの壺がくくりつけられた棒を担いでいる。

 

「お姉さん!!水買わない?」

 

それを見た刹那は、その姿が少しだけ微笑ましくて、口元に少し笑みを浮かべてこう言った。

 

「いや、間に合っている」

 

そう言いながら、刹那は肩に下げたバッグから白と青のツートンで塗装された若干大きめの水筒を取り出す。

以前の買い物で、潜伏先のエージェントであるアムロが「一応持っとけ」と言って買い与えてくれた物だ。

 

「え~?ちぇ、残念」

 

少年はそう言いながらなかなか刹那から離れようとしない。

 

「ねぇねぇ、ひょっとしてここは初めて?」

 

「……いや、ずっと世界を旅している。此処に来るのは…2回目か?」

 

その言葉を聞いた少年が目を輝かせる。

 

「あのさ!族長に聞いたんだけどさ、この世界にはものすっごく高い塔があって、宇宙まで行けるって本当なの!?」

 

「…軌道エレベーターの事か?ああ。本当だ」

 

「もしかして行ったことある!?」

 

少年は怒涛の勢いで、彼女に質問する。

さしもの刹那も、16年生きてきてこういった質問攻めにあうという事は初めてだったため、思わず半歩下がってしまう。

ティエリア辺りが居たら、「なんて情けない」とか言いそうだ。

 

「ま、まあ…何度かは」

 

「すっげぇ~~!!」

 

少年は感極まって両手を強く握る。

 

「マリナ様が言ってたよ!いつか僕たちも宇宙に行けるって!」

 

「……?マリナ…?」

 

「知らないの?ほら、あそこにあるポスターが、マリナ・イスマイール様だよ」

 

そう言って、少年は町の一角を指差した。

刹那が指の先に視線を向けると、そこには以前、ミッションの最中に出会ったあの女性の写真が確かにそこにあった。

 

(マリナ・イスマイール……)

 

不思議な人間だった、と彼女は記憶していた。

最早形骸化してしまった、母親の記憶が呼び覚ませられるような、そんな女性だった。

 

「おい、なにしてる」

 

以前彼女と出会った時の事を思い出し、刹那が考えに浸ろうとした時、後ろにいた老人から敵意がこもった声をかけられる。

刹那が振り向くと、その老人はその顔に更に嫌悪感を募らせる。

 

「お前クルジス人だな。顔見りゃわかる」

 

「おじいちゃん?」

 

少年は自分の祖父が何を言っているのか理解できない。

先の紛争を知らないのだから当然なのだが、そんなことなどお構いなしに老人はまくし立てる。

 

「ここはお前がいていい場所じゃない!とっとと出ていけ!」

 

その声に反応して、周囲の人間もがなり立て始めた。

おそらく、これまで一応の静観を決めていた人間達が、「もうあの爺さんが始めちゃったからもう我慢しなくてもいいか」という俗物的思考により溜め込んでいた物を吐き出し始めたのだろう。

それらの罵声や怒号を聞きながら、刹那は怒るでもなく、どこか呆れた、そして諦めのような顔をして歩きだそうとした。

 

 

 

 

……筈だった。

 

 

 

 

 

だが、次の瞬間。

 

「オラァ」

 

という声が聞こえると共に、

 

「プゲェッ!?」

 

という声を出しながら、老人が横から誰かに突っ込まれて……いや。

“誰かから蹴っ飛ばされて”横向きにすごい勢いで吹っ飛んだ。

同時に、周囲でがなり立てていた人間達も、一瞬で黙る。

少年が反射的に「おじいちゃーん!?」と、先程とは違うニュアンスで祖父を呼ぶ。

しかし刹那の方はそれ所ではない。

その目は老人を蹴っ飛ばした人物を凝視している。

 

老人を蹴っ飛ばした人物は男性だった。

しかしその格好は、場違いにも程があり、下は砂色のカーゴパンツで、上は灰色無地のシャツの上からボマージャケットを着込んでいた。

髪は黒く、肌は黄色人種特有の色で、彼が中東ではなく、アジアの出身であるという事を如実に物語っている。

しかしそこら辺だけを見れば、下手をすると普通に何処にでも居そうな観光客とも解釈できる。

問題はその顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

言い表すならば、顔は刹那とよく似ていた。

まるで双子かと見間違えるくらいに。

彼女は此処まで自分に良く似ている人間を二人しか知らず、また、その二人の内の誰であるか、直ぐに分かってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アムロ!?」

 

「おう、刹那。観光旅行はどうだ?楽しいか?とりあえずあのジジイ+そこら辺の馬鹿どもには今から俺とお前が本当の兄妹で、クルジス人って言うのは勘違いだと、徹底的に教えてくる」

 

案の定、老人を蹴っ飛ばしたのは彼女にとって、(御飯的な意味で)絶対に逆らえない相手だった。

その彼は次の瞬間心が清い者が見たら発狂するんじゃないかと思うくらいに凄惨な笑顔(別名:オリジナル笑顔orダイナミック笑顔or顔芸)をその顔に浮かべて周囲を見渡す。

そして次の瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kill them all, die.(皆殺しだ、死ね)

 

そう彼がつぶやいた瞬間、地獄が始まった。

刹那は咄嗟に少年の目を塞げた自分を心の底から褒めてやりたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー儲かった儲かった!」

 

(……うわー……凄く嬉しそうだ……悪魔か。)

 

先ほど大暴れをかました後、ボッコボコにした人達を路地裏に連れ込んで暫らくして、手の上でこの国の硬貨を手で弄びながら此方へと戻ってくるアムロを見て、思わず普段なら絶対に考えないような事を心の中で呟いてしまった。

当のアムロは、ニコニコしながらおそらく先程の人達から奪ったのであろう硬貨を見ている。

…何故そんな事がわかるかって?

それは簡単だ。

彼らがが姿を消してから、物凄い鈍い音が再び周囲に響き渡った後、悲鳴のような物が幾つも聞こえて、それから彼が出てきたのだから。

 

「……アムロ…あの…怒ってくれたのは嬉しいんだが…それは流石に…」

 

「その人の事が人種が違うからという理由で一方的に嫌う奴らに、人権なんぞ無い」

 

「…いや、それでも……」

 

そう言うが、アムロは全然気にする様子は無い。

 

……良いんだ、ろうか?

 

いや、悪い事に決まっている。

そう考えて、再び彼を咎めようと口を開こうとした、その時だった。

 

 

「…あの…」

 

「ん?」

 

「…お、おじいちゃんは、大丈夫、ですか?」

 

…先程の水売りの子だ。

おそらく自分の祖父が心配なのだろう。

彼も真っ先に路地裏に連れ込まれていたし。

不安そうな光を目に湛えている。

 

「……」

 

それを見たアムロが、一瞬で渋い顔になる。

まだあまり付き合いの長くない私でもわかる事だが、彼は基本的に善人だ。

少々偽善的な所もあるし、先程のように、凶暴で理不で独善的な所もあるけれども、それでも基本的に誰かが“正当な理由で困ってたら”自分の事など放っぽり出して、その人の事を助けようとする。

実際、以前買出しに行った際に、迷子になった子供を見つけてしまい、一緒に親を探してあげた後、無事見つけ出して引き渡したら、今度は自分が迷子になった事があると言っていたし。

実際にハロがコッソリ撮っていた映像もあったので、法螺話でもなんでもない。

 

閑話休題だ。

 

そんな彼の前に、不安そうな顔をした子供―――しかもその原因を作ったのは自分自身―――が居たら、彼は間違いなく、その子供を笑顔にしようとして、無茶な行動をし始める。

 

「……あ、そういえば、さっきから喉が渇いてるんだっけ。さっきのジジィと糞どもの所為で忘れてたわ」

 

…ほら、こんな風に。

 

「坊主。丁度いいから、その水全部俺に売ってくれ。それと、お駄賃でこいつもくれてやるよ」

 

そう言いながら、彼はポケットからそれなりのお金―――明らかに、本来払うべき金額を少しだけ超えている―――を取り出すと、先程から手で弄っていた硬貨と共に少年に手渡した。

驚いて彼を見つめる少年から、アムロは水を受け取ると少年に何か耳打ちした。

すると、一瞬で少年の表情は明るくなり、次の瞬間「ありがとう!」と彼にお礼を言うと、そのまま先程アムロが入っていった路地裏に消えていった。

 

「…さて、と。刹那。水も買えたし…んじゃ、行くか」

 

そう言って、アムロは私の手を取って歩き始めた……って!

 

「あ、アムロ!?」

 

「…んあ?何だ?」

 

「何故手を取る理由がある!?普通に私が付いて行けば良いだろう!?」

 

「いや…だってお前、なんか美味そうな物があると、用事とかスッカリ忘れてそっちに飛んできそうなんだもん」

 

「んなっ!?」//////

 

心外な!!

流石の私でもそんな事あるはずな「あ、露店で肉が焼いて売ってるぞ。串焼きで」

 

「何っ!?何処だ!?」

 

…………あ。

 

「………」

 

「………」(゜∀゜)ニヤニヤ

 

「…………」

 

「…………」(゜∀゜)ニヤニヤ

 

「……………………」

 

「……………………」(゜∀゜)ニヤニヤ

 

「…………………………………………うぇ」

 

「Σ(゜д゜||)!!!何で泣くの!?」

 

「うぇ…うぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

「あああああああ!!!ちょちょちょちょちょ!!!!ゴメン!!ゴメンって!!!な!?本当にゴメン!!!!流石にからかい過ぎた!!!!後で美味しいもん買ってあげるから泣き止んで!?ね!?」

 

「……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「何でもっと泣き出すのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??」

 

うるさい!!

お前はもっと女心(と、言ったか?)を学習しろ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「なー、本当にゴメンって……マジで気まずいから機嫌直してくれって……なんか周囲の人の目が、心なしかキツイから。お豆腐メンタルの俺には拷問以上の威力を与えてくれてるからって。マジで」

 

…誰が許してやるものか。

一応私だって女なんだぞ?ガラスのハートなんだぞ?

お前の豆腐で出来たハートなんかよりも脆いんだぞ?

そこらへん分かってるのか?

 

「ほら、このプリンあげるから」

 

「ん、許す」

 

なんだ。最初からそう言ってくれれば良かったのに。

……なんか一瞬だけ、「うわやっす……」とか聞こえたような気がするが、気のせいだろう。

……む、意外と美味いな」

 

「そりゃどうも。言いたかないが、口に出てるぞ刹那」

 

「むぅ……」

 

…意外と恥ずかしいな。

以前クリスやユリが、何か考え事をしている内に考えていた事を声に出していた事があって、それを指摘したら直ぐに顔を赤くしていた。

当時は何故顔を赤くしたのか良く分からなかったが……成程。実際に指摘されてみると、これは恥ずかしい。

 

「どした?いきなり手、止めて」

 

「ん?いや、何でも無い」

 

「あ、そう……って、あそこか?目的地?」

 

暫らくしてから、アムロが何かを見つけた。

其処は近くに小さな崖がある岩場だった。

咄嗟にプリンを簡単に包装してからしまい、端末を取り出して目的地の場所と現在地を照合する。

結果はビンゴ。

直ぐに計器を取り出して、近づいていく。

 

其処は昨日、アンテナ施設の防衛戦中に、第三者によってミサイルが発射されたと思われる場所だった。

昼間にも関わらず人っ子一人いない。

昨晩あれだけ激しい戦闘が行われていたとは思えないほどだ。

まあ、当たり前の事だが。

 

「ロックオンの情報では、確かこの辺りからミサイルが発射されたようだが…」

 

私はは地面に計測用の端末を近づけて様々な数値を計測する。

するととある地点で、微量ながらMSのスラスターに使われるプラズマによる、残留反応が見られた。

 

「残留反応?という事は、確かに此処にMSがいた……?しかし、どこに……」

 

私は立ち上って、計測しながら小さな崖になっている場所へと歩いていく。

が、その途中で、いきなりアムロに肩を掴まれて、動きを拘束された。

何をするのかと抗議の声を出そうとしたが、口に手を当てられて、声が出せない。

ならばと目で抗議しようとした所で、アムロは自分の口元に指を当てて、「シ…」と言って来てから、崖の下をコッソリと指差した。

訝しげに指の先を目で追うと、そこにフラッグと二人の人影を見つけ、ハッとして体勢を低くした。

それに体勢を崩されて、アムロが倒れ掛かってきたが、何とか支える。

アムロの体勢が元に戻り、彼も体勢を低くしたのを見計らって岩陰に隠れ、あちらの様子を窺う事にした。

 

「フラッグという事はユニオン?奴らもここの捜索を?」

 

「おそらくな。大方、昨日の戦闘で施設の防衛に当たってた連中の一人じゃないか?もう一人はパイロットって言うよりかは、学者みたいだがな」

 

私の呟きに、アムロが明確に返す。

どうやら向こうからこちらはまだ認識できてはいないらしい。

…認識されていたら、それはそれでアウトな気もするが…

同時に特に風も無いため、向こうの話し声も明確に聞こえた。

 

「回収したポッドもそうだけど、この反応はやはり間違いないね。」

 

「PMCトラスト側の見解は?」

 

「モラリアの紛争時に紛失した物、とは言ってはいたけど……」

 

其処まで眼鏡を掛けた白衣を着た男が話を進めると、軍服を着た男がの話を手で制止し、鋭い視線を私達がいる崖の上まで向けてきた。

 

「なんだい?」

 

「……立ち聞きはよくないな」

 

(ッ!?見つかった!?)

 

見ればアムロも……あ、いや。どうやらあまり驚いてはいないらしい。

それでも、一瞬だけ「おや」という声は聞こえたから、それなりに驚いてはいる…んだろう。

たぶん。

 

「出てきたまえ!」

 

そんな声を聞いた私は、慌てる事なく、訓練の通りに一般人を装って岩陰から出ていく。

アムロも一緒に立ち上がった。

私は弱気な地元の少女を演じながら。

アムロはそんな私の兄役を演じながら。

彼らの前に姿を現した私達は、両手をあげて無抵抗の意志を示す。

 

「あれ?地元の子かな?」

 

「どうかな」

 

白衣の男は疑っていないようだが、軍服を着た男は此方を警戒したままだ。

 

「あ、あの……私、このあたりで戦闘があったって聞いて、それで……」

 

私はあくまで興味本位でここを訪れたと思わせようとする。

この国の……厳密には、元クルジスという隣国出身である私だからこそできるカモフラージュだ。

 

「なるほど」

 

白衣の男はフムとうなずく。

が、軍服の男の視線は更に鋭い物となった。

 

(…何かミスでもしたか!?)

 

私はそう思って不安になる。

が、彼の視線の先は、よく見るとアムロの方に向けられていた。

 

(…そうか!アムロは私とは肌の色が違う!例え顔の形がよく似ていても、これでは下手な誤魔化しはできない!)

 

思わず冷や汗が頬を伝う。

そんな私の同様など何処吹く風か、男はアムロへと問いかける。

 

「…君の方は、何故此処にいるのかな?」

 

やはり来た。鋭い視線だ。背筋に思わず薄ら寒いものが感じられる。

しかしアムロは何でも無い様に、平然としてこう言った。

 

「俺はこの子の双子の兄貴分でな。こいつがどうしても此処を見たいといったから、付き添いで此処まで来ただけだ。服装が地元のと違うのは、最近まで経済特区の方に住んでたからで、今日はたまたま里帰りしていただけだ。因みに伏せたのは、見つかったら面倒な事になりそうだったからだ……一応、自己紹介でもしたほうが良いか?人物照合しやすくなるぞ?」

 

それを聞いた私は、驚いてアムロを見る。

だが、それを聞いた軍服の男は、彼をじっと見据えたまま動かない。

対するアムロも、ジッと彼の方を見続ける。

 

「……フッ…其処まで言われてしまっては、仕方が無いな」

 

「お、信じてくれるのか?」

 

「悪いが、これでも人を見る目はあるのでね」

 

が、暫らくしてから、軍服の男はフッと笑って、警戒を解いた。

それを見てアムロもいつも通りにヘラッとした笑いを作る。

そのタイミングを見計らったのかどうかは知らないが、次の瞬間白衣の男が会話に入ってきた。

 

「…まあ、そういう事に興味を抱く年頃であるのはわからなくはないけど、このあたりはまだ危険だよ。早く立ち去ったほうがいい」

 

どうやら二人とも、私たちの事を信じてくれているようだ。

が、これ以上下手な会話をしたら、襤褸が出ないとも限らない。

再び疑われない為にも、早くここから立ち去ったほうが得策だろう。

 

「はい、そうします。失礼します」

 

「ほんとだよ全く。付いて来させられる、俺の身にもなれってんだ……お仕事の邪魔してすみませんね」

 

「いやいや、気にしてないから大丈夫だよ」

 

「それでもお仕事の邪魔したのは事実ですから。ほれ。ナイナも頭下げろ」

 

そう言うと、アムロは私の頭を掴んで、無理矢理お辞儀させる。

一瞬彼の言った言葉が何なのか分からなかったが、無理矢理お辞儀させられた後で、彼が咄嗟に考えた私の偽名なのだと気付いた。

 

「お兄ちゃん。自分で出来るよ…」

 

「アホ。そんな素振り全然しなかったろうが……すみませんね、何分人見知りの激しい子で…」

 

「はははは…いや、可愛い妹さんじゃないか。大事にしてあげるんだよ?」

 

「そりゃもう。例え婚約者連れてきたって手放したりしませんよ?」

 

アムロはそう言って一礼してから、「それじゃ」と言って踵を返した。

私も、彼に続くようにして一礼すると、彼らに背を向けて歩きだそうとした。

その時、

 

「少女。そして少年よ」

 

突然、軍服の男に声をかけられた。

瞬間、私は凍ったように固まる。

アムロは「んあ?」と言いながら気だるげに振り返った。

……相変わらず思うのだが、何故こんなに彼は余裕なのだろうか?慣れているのか?

 

そんな私の心中にお構いなく、軍服の男は言葉を続けた。

 

「君達は、この国の内紛をどう思う?」

 

「え?」

 

「…はい?」

 

…? 私たちの事を探っているのだろうか……?

それとも、たまたま…?

それとも……?

さまざまな推測が私のの頭の中を埋め尽くす。

 

「グラハム?一体何を…?」

 

「カタギリ。スマンが少しだけ静かにしていてくれ……もう一度、聞こう。君達は“祖国である筈”のこの国の内紛を、どう思うかな?」

 

鋭い視線と、それに対応した鋭い声を背に受けながら、私は軽くパニックになった脳をフル回転させる。

…しかし、答えは中々出ては来ない。

 

「…わたし、は……」

 

「…フム…客観的には、考えられんか。なら、君はどちらを支持する?」

 

その時、まるで頭の靄が晴れたかのように、ハッとした。

同時に、ある答えに辿り着く。

それは、この状況から逃れるための物ではない。

そんな物ではなく、自分が素直にそう思った答えを彼に告げる。

 

「……支持は、しません。どっちも。どちらにも、その人達也の正義が、あると思うから。……でも、この戦いで人は死んでいきます……沢山、沢山、死んでいきます…」

 

言いながら、私の頭の中には、あの時失った仲間達の顔が、“彼”の笑った表情が、浮かんでは消えていく。

…だからこそ、分かる。

これはマイスター刹那・F・セイエイとしてではなく、素の自分の、ソラン・イブラヒムとしての考え。

戦う事以外の事ができない道にいるから、だからこそ辿り着けた、自分なりの、自分だけの答え。

…今の自分自身と矛盾している事は、痛いほどに解っている。

まともな答えにすらなっていない事も、しっかりと解っている。

だがそれでも、悩んで悩んで、悩み抜いた果てに導いた私だけの答え。

 

「……同感だな」

 

意外な事に、私のそんな答えになっていない答えを聞いた軍服の男は、目を瞑ってそう答えた。

 

「……軍人のあなたが言うんですか?」

 

「…やはり、この国に来た私達はお邪魔かな?」

 

子供のように無邪気な、それでいて凛々しい男の笑みを見て“刹那”としての私は少し気を緩める。

 

「だって……軍人がたくさん来たら、私達みたいな市民の被害が増えるし…」

 

「…成程。確かにそうかもしれないな……だが、君だって戦っているだろう?」

 

「え!?」

 

そう言われた瞬間、再び緊張が奔った。

咄嗟に腰の後ろ側に隠した銃に手が伸びる。

 

「その後ろに隠しているものは何かな?」

 

「ッ!!」

 

男の笑みが鋭いものに変わり、私の後ろにやった手に注目する。

瞬間、この男が私の腰に隠された銃に気付いていた事に、今更ながら私は気付かされる。

私はそれまでの気弱な表情から一変して、鋭い目付きになって、男を警戒した。

 

「怖い顔だ」

 

二人はそのまま睨みあうが、軍服の男は一息つくと今度はアムロの方に目を向ける。

 

「君もそうかね?」

 

…それは、彼も銃を持っている事を確認する為の言葉だったのか、それとも先程の私の答えと同じ事を考えているのか、と、問いかける物だったのか……

少なくともアムロは、暢気な頭で後者だと思ったらしい。

先程となんら変わらない口調で、彼に答えを返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん……個人的にくっだらないな~…とは思ってますね」

 

「!?」

 

「!…ほう。どういう事かな?」

 

そう言って、男は更に眼光を鋭くした。

だが、アムロはそれに気付く素振りを全く見せずに、再び彼に答えを返す。

 

「いや、そもそもこの国の紛争の根幹にあるのって、お互いの利益どうこうって話じゃなくて、宗教上の理由でお互いが気に食わないから引き起こされてるもんが大半でしょう?たぶん……いや、その場合、一応利益云々の話も絡んでくるからそういうものになるのか……?…うーんちょっと違うような気がするんだよなぁ…」

 

「…ふむ。確かに、私の目から見ても、利益どうこうと言う話では無さそうだったが…」

 

「あ、でしょう?此処らへんは特にそういうのが多いんですよねぇ…利益目的ならまだ人間らしくて、個人的にはまだ良いとは思うんですけど、信仰する物の違いで殺し合いするって言うのは、何か人として間違っているような気がしましてね……あ、お二人は軍服から見る限りユニオンの方ですね。すみません。お二人には少し分かりにくいですかね?」

 

それを聞いた男は、不意に驚いた顔をして、こう彼に問いかけた。

 

「…いや、興味深い意見を聞けた。礼を言わせて貰……む?君もこの国の出身なのだろう?随分と周囲の人間とは違った、独特な考えを持っているのだな」

 

「……俺はコイツと違ってハーフなんですよ。日本人と、この国の人とのね。簡単に言ってしまうと、俺とこの子―――ナイナは、種違いの兄妹なんです。詰まる所、母親が一緒だけど、父親は違うって事なんです。元々、俺の親父は此方に永住するつもりだったらしいんですが…まあ、そこらへんは地方特有の変なしきたりでどうやらダメだったらしくて、結局親父は生まれたばかりの俺を連れて日本に戻ったんですよ。だから俺はコイツと違って、生まれはこっちなんですけど育ちは日本なんです。簡単に言っちゃうと……準日本人って感じなのかな……?だから、そういった宗教云々の事に対する考えっていうのは、かなり日本人のものに近いんです」

 

(……よくもまあ、次から次へと口から出任せをポンポンポンポン出せる物だな……)

 

誤魔化す為とはいえ、結構作りこまれた話だ。所々無茶苦茶だが。

…だが、情報によると、この国の村の幾つかの所では、確かにそんな古いしきたりを持つ村は存在しているらしい。

それに、確かに私とアムロの顔は良く似ているから、これ位の法螺話であれば、おそらくかなり突っ込まなければ十中八九信じ込ませられるだろう。

実際、向こうは納得したような顔をした。

 

「……確かに、それならば感性も変わってくるか……成程。済まなかったな、少年」

 

「いやいやしょっちゅう言われますし。それに、俺って結構我慢強い方ですから、これくらいならへっちゃらですよ」

 

「ほう。そうだとすれば、私とは正反対だな。基本的に私は私は我慢弱く、なおかつ人の話を聞こうともしない上に、落ち着きも無い。俗に言う嫌われ者だ」

 

「へえ、そうですか。サラッと言っただけなのに、必要以上の自己紹介ありがとうございます。因みにコソコソするのも得意です」

 

「ならば、君は私の嫌いな人種の一人のようだ。 私は基本的に粘着質で諦めが悪い上に、姑息な真似をする輩が大の嫌いときている」

 

「……ん?一番最後の言葉だけなら、すんなり納得できるのに、その前の聞いてすらいない質問の答えで一気に訳が分からなくなったぞ?」

 

「気にするな」

 

「いや、気にしますよ」

 

「気にするなと言っている」

 

「いや、そりゃそうですがね……因みに和食は何が好きですか?」

 

「寿司と鍋だ。因みに甘味ならば、ドラ焼きと団子。飲み物であるならば緑茶が好物だ」

 

「あ、其処は俺も同じです。意外と気が合いますね」

 

「うむ、そこは同意しよう」

 

「でも、日本以外の甘味も好きなんですよね。食べ物は美味い物は美味いし」

 

「うむ、確かにそうだな」

 

「でしょう?」

 

(……あれー?如何してこうなった?)

 

先程のあのシリアスな空気から一変して、今やなんだかよく分からないカオスな空間が何時の間にか完成している。

…以前ロックオンが、「ツッコミ役不在だと、ボケが飽和して宇宙の法則が乱れる」と言っていたが、今が、まさにそんな状態だった。

流石にこれ以上は話が進まなくなるし、任務にも支障が出る。

そう考えた私は、アムロを諌めようと、口を開こうとした。

が、

 

 

「……グラハム。そろそろいい加減にするんだ。それ以上ボケられると、流石の僕でも捌き切れなくなる。そっちの子も」

 

「「何だつまらん」」

 

「………ハア……君らね…」(泣

 

……白衣の男に、遮られてしまった。

何か悔しい物がある。

そう思って、私は頬を膨らませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんで彼女は、僕を睨みながら、頬を膨らませているんだろう…?」

 

「自業自得だな。カタギリ、君はもっと乙女心を解ってあげるべきだ。それだから、私と同じ様に何時まで経っても彼女が出来ない」

 

「そうそう。女の子の見せ場を奪っちゃダメですよモヤシ博士」

 

「そして君らは地味に酷いな!!後グラハム!!彼女云々は大きなお世話だよ!!!と言うか君!!モヤシ博士って一体何!?」

 

「見た目」

 

「おお、成程。言い得て妙だな」

 

「これ以上僕を虐めて何が楽しいのさ君達は!?あと、君ら実は初対面じゃないだろう!?息ピッタリじゃないか!?」

 

「「いやいや、初対面だが(ですが)モヤシ博士?」」

 

「ああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カタギリ。落ち着いたか?」(*´∀`*)

 

「……ああ、何とかね……」

 

「すみません。調子こき過ぎました。ごめんなさい」(*´∀`*)

 

「いやいや………」

 

…どうやら、私が拗ねている間に、一悶着あったらしい。

白衣の男性は半泣きの状態となり、軍服の男とアムロはかなり生き生きとしている。

…本当に何があった?

 

「あ、それじゃ、これ以上邪魔しちゃ悪いと思うので、俺達はこれで。ナイナ、帰るぞ」

 

と、突然アムロがこんな事を言い出して、此方へと歩いてきた。

チラと時計を見ると、予定されていた時間をかなりオーバーしている。

流石に拙いと思ったんだろうか?

気付けば、彼はそのまま私の隣を通り過ぎて、スタスタ歩いていこうとしていた。

置いてかれてはマズイ…そう思い、私は急いで彼の後を追いかけようとした。

その時である。

 

軍服の男が、計ったかのようなタイミングで、隣にいた白衣の男に話しかけた。

まるで私達に聞かせるように。

 

「そういえばカタギリ。先日、ここから受信アンテナを攻撃した機体はAEUの最新鋭機、イナクトだったな」

 

「!?」「…?」

 

私は思いがけない情報に、そして、自分の前で話し始めた男に驚く。

アムロは相変わらず「何を言っているのか解らない」と言った感じだが、よく見るとしっかりと聞き耳を立てているという事が分かる。

 

「うん?グラハム、いきなり何を…?」

 

カタギリと呼ばれていた白衣の男もそれなりに驚くが、それでも軍服の男は話すことを止めない。

 

「しかもその機体は、モラリアのPMCから奪われた機体という事らしいじゃないか」

 

そこまで話すと、男は満足そうに一息つく。

 

「さあ、撤収するぞ」

 

「あ、ああ……」

 

男は素早く背を向け、フラッグの元へと歩いていく。

白衣の男も慌ててその後を追いかけて行った。

 

 

 

 

「…さて、刹那。意外な所から情報が入った訳なんだが……心当たりあるか?」

 

その後、私は暫らくの間動かずに、アムロから声を掛けられるまで彼の言葉を反芻していた。

 

「PMCのイナクト……?」

 

「…微妙か?個人的には、あのモラリアの時の情報にあった赤と青のイナクトが怪しいと思ったんだが…」

 

アムロにそういわれた瞬間、ハッとする。

 

「………まさか!?」

 

あの時、イナクトの中から姿を現した赤髪の男、アリー・アル・サーシェスのことを思い浮かべる。

 

「奴が…あの男が、この内紛に関わっていると言うのか…!?」

 

「……心当たり、あるみたいだな。やっぱりその時のイナクトか?」

 

「私の予想が当たっているならば、おそらく……いや。十中八九、奴だ」

 

…だが、奴はもう戦いが終わったこの国に用は無い筈だ。

なのにまた、戦いを引き起こしている。

 

「何故だ?何故、今になって………」

 

分からない。奴が何故、再びこの国で戦いを引き起こそうとしているのかが………

だが、もしそうだとすれば、奴がいるかもしれない場所は……いや、いるであろう場所はあそこしかない。

 

 

 

ピピピ・ピピピ・ピピピ

 

「うん?通信?一体誰……ってうわ師匠かよ。嫌な予感するなぁ……刹那、ちょっとスマン」

 

そう言うと、アムロは少し離れた所まで歩いていった。

師匠、という事は数日前の親睦会という物で会った、あの中性的な顔立ちの、黄緑色の髪の少年(?)の事だろうか?

そんな事を考えながら、私は彼の話し声に聞き耳を立てる。

悪いとは思ったが、万が一という事も有り得る。

 

「お疲れ様です。総務のアムロです……はい?マジ?もう?……はい……はい……あ、そ。んで、今度は一体何を取っ付けたの?……ふーん………は!?何で!?俺も一緒に行った方が…って、ああそういう事で…………オイ、今の音一体何………何?リヴァイブ兄さんが何時の間にか姉さんになってて、結果として姉さんが発狂した!?一体俺がいない間に何があったのそっち!?え!?グラーベさんとリジェネ兄さんとブリング兄さんで今必死に押さえ込んでるけど、もう直ぐ拘束が破れそう!?ちょ、ヒクサーさんとデヴァイン兄さんは一体如何し………発狂直後にレバーブロー食らって沈んだだぁ!?どんな状況よそれ!?……ああもう!!」

 

そう言うと、彼は必死な形相になって此方に振り向き、こう言った。

 

「すまん刹那!!今緊急事態が起きて、色々とやばい事になってるらしいから、ちょっと応援行ってくる!!!俺がいなくても、もう大丈夫だよな!?」

 

「あ、ああ。うん…あ、でも「それならいいや!んじゃな…とと。道中買い食いして、遅れるんじゃな」さっさと行け!!!!」「……ああうん。分かった!んじゃな!」

 

「行け!!さっさと行って、その姉さんとやらにマウントポジション取られてボコボコにされて来い!!」

 

「地味に酷いな!」と言って、彼は走って行った。

…それにしても、心外だ。

私は其処まで食いしん坊じゃな「お!お嬢ちゃん!!ラム肉焼いたんだがいかがかな!」……

 

「頂こう」

 

「あいよ!毎度あり!!」

 

……ムグ…フム、美味いな………ん?私は今、何故怒っていたのだっけ?

……うう、思いだせん…………まあ、忘れてしまうという事は、別に大した事でもなかったんだろう。

それよりも、今はミッションの方を優先しなければ………ム?アレはスイカか?……

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「…………案の定かいおんどりゃあ」(#^ω^)ビキビキ

 

「( ゚д゚)ハッ!?」

 

数分後。やっぱり心配になって様子を見に来たアムロに説教される間、私は今後一切許可無しに買い食いすることはやめようと心に誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから2日後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アザディスタン首都 郊外

 

其処に、俺は居た。

あの後、マスード氏の奪還を実働部隊に任せた俺はバックアップの為という名目の元、Oガンダムを“O-01”として回収し、一旦家に戻って発狂した姉さんを延髄切りで気絶させた後に、今回のミッションでのサポートの為、此処に機体をカムフラージュしながら待機していた。

 

「に、しても斬新なミッションだよなぁ……一応保険として俺も待機してるけど、武器は最低限だし…」

 

「基本装備!基本装備!」

 

「いや、そうだけどさ……」

 

今行った斬新なミッションというのが、今回俺がサポートを行う事になった、マスード氏の返還ミッションだ。

が、ただの返還ではない。

なんとエクシア単機でアザディスタンの王宮まで、大観衆が見ている中で向かい、王宮の前まで来た所でやっと返還するという物だ。

しかも、今回作戦に参加する機体は、俺のOガンダムを除くと、刹那のエクシア―――しかも完全(という訳ではないが)非武装―――だけである為、ある意味益々心配である。

 

ピッピッピッピッピッピ

 

「!! ハロ!ハロ!エクシア接近!エクシア接近!!」

 

「…来たか」

 

あれこれ考えている間に、作戦時間になったようである。

レーダーを見ると、俺から見て六時の方向に、上空から緑の粒子を撒き散らしつつ、エクシアが降り立って来ていた。

Oガンダムの頭を動かして、そのエクシアの姿を視界に入れる。

…どうやら当初の予定通りに完全非武装のようだ。

 

「…あ、良い事考えた」

 

ふと、そのとき俺の脳裏に、事ある毎に彼女が呟いている、とある言葉を思い出した。

確か、『私がガンダムだ』…だったっけ?

ガンダム馬鹿らしい刹那の言いそうな事だが……どういう意味かは分からなかった。

だが、良い機会だからこの言葉の意味を教えて貰う事にしよう。

その行動をもって。

 

「ハロ。エクシアにメッセージを送ってくれ」

 

「了解!!ナンテ?ナンテ?」

 

「ん?結構シンプルだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“――――――――――――――――――――――”って」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アザディスタン王宮前

 

その日、王宮の前には多くの市民が集まっていた。

王宮の前には、武装した市民や、軍の兵隊、そして輸入品であるアンフが、まるで睨み付けるかの如く、空を見上げていた。

それを取り囲むようにして集まっている市民のその全員が、口々に配置されたアンフに向かって、罵声や恨みの言葉を浴びせる。

よく見ると、物も幾つか飛んでいた。

また、各国のテレビ局の人間も、王宮前の至る所からからカメラを回しながら、これから起こる事を決して撮り逃すまいと集中している。

見れば、配置されているアンフ達から距離を置いた所に、ユニオンのフラッグが立っているのが見える。

その内の一機は黒く塗装され、また、一目で分かる位に手が加えられていた。

グラハム・エーカーのカスタムフラッグだ。

普段は自分で明言するだけあって、落ち着きの無い彼ではあったが、流石に自重して、黙ってこれから起こる事の成り行きを見守ろうとしている。

また、他のノーマルフラッグのパイロットである“ダリル・ダッジ”と“ハワード・メイスン”も、彼らが敬愛する上官と同じ様に、その場を固唾を呑んで見守っていた。

 

そんな中、一人の市民が後ろの空から近づいてくる光に気付いた。

 

「あ、あれは!?」

 

その声にアンフに罵声を浴びせていた人々が、一斉に後ろを振り向く。

空から降りてくる青と白の機体、ガンダムエクシアにその場にいた全員の注目が集まり、大きなどよめきが起こる。

そしてエクシアが王宮の前に着地した時、兵器について多少の知識がある者はある事に気付いた。

カスタムフラッグを駆っている、グラハムや、彼の部下であるダリルとハワードも、ほぼ同時にその事に気付いた。

 

「っ!?武装を解除しているだと!?」

 

基本的に心臓に毛が生えていると揶揄されたりするほどに肝が据わっているグラハムも、これには流石に驚いた。

そのままノコノコと此処まで出向いてくれば、間違いなく此処にいる殆どの人間から反感を買うのは目に見えていたが、まさかここまでとは思わなかった。

 

「馬鹿よ!ここに非武装で来るなんて!!」

 

そのとき、王宮の二階にいたマリナ・イスマイールの付き人をしている“シーリン・バフティヤール”は、慌ててそう叫んだ。

と、同時にマリナも慌てる。

昨夜、ソレスタルビーイングのエージェントと名乗る人物から、まさかのホットラインによる連絡を受けた際に、マスード・ラフマディーを保護したという耳を疑うような知らせを受けて、彼女達は会談の準備をして彼らを待っていた。

しかし、約束通りに現れた当の本人は、周りに旧式とはいえ中隊並みの量のMSが王宮を守る為に出張っている所へと、わざわざ非武装でやって来るという、半ば自殺行為も同然の事をしながら、ここまでやってきていた。

この場合、もしもマスード・ラフマディーがガンダムの中に、そのパイロットと共に居たとして、万が一ガンダムが攻撃されて中にいるであろう彼のの身に何かがあれば、それこそ大変な事になる。

 

「ガンダムに攻撃はしないで!」

 

アザディスタン王女―――“マリナ・イスマイール”は、その場にいた兵士にそう命令する。

 

「し、しかし……」

 

「これは命令です!!」

 

その時、遠くにいるマリナ達にもエクシアの居る辺り―――丁度彼女らが居るテラスの正面くらいから、銃声が聞こえた。

それは、おそらく過激派の内の何人かであろう、若い男達だった。

彼らは憤怒の形相を浮かべて、こちらへと歩いてくるエクシアに、カービン銃を撃ち続けている。

 

「来たなガンダム!!」

 

「約束の地から出ていけ!!」

 

男達がエクシアに向けて銃を発砲する。

しかし、ただの対人用の銃で、MSの、しかもガンダムの装甲が抜ける訳も無く、空しく放たれた銃弾はエクシアの装甲に当たって砕け散った。

当然の如く、エクシアはこれに動じる事無くゆっくりと着地すると、王宮へ向けて歩きだす。

それを見たアンフ隊は慌てて右腕の滑空砲の矛先をエクシアに向けた。

それでもエクシアは止まらない。

それを見たアンフ隊は、それまでおざなりに銃口を向けているだけだったが、直ぐに本格的な物へと体勢を変え、同時に付け焼刃でもこれだけあればと言わんばかりにメインカメラの下の対人用機銃の銃口もエクシアへと向けた。

アンフ隊の纏う雰囲気が変わったのを察知したのか、それまで彼らに罵声を浴びせているだけだった市民達が、我先にと慌てて逃げ出し始めた。

その間も、エクシアは王宮へと歩き続ける。

暫らくして、アンフ隊の足元から、市民や歩兵の影が完全に消えたのを見計らって、隊の隊長機から、エクシアへと警告が発せられた。

 

『ガンダムに告ぐ。保護した人質、マスード氏を解放せよ!繰り返す、マスード氏を解放せよ!』

 

だが、それでもエクシアはゆっくりと、しかし確実に王宮へと近づいていく。

そんな中、エクシアを王宮へと進めている刹那は、こんな事を考えていた。

 

(……まだ…まだだ……今ここで開放すれば、また何者かに撃たれる可能性がある。そうなれば、今度こそこの国の紛争は終わらなくなってしまう。)

 

エクシアを動かしながら刹那は思考を働かせる。

しかし、無情にもアンフ達の大砲から轟音とともに弾が発射されてしまった。

 

ドォン!!

 

「グゥっ!」「ぬっ!」

 

強い衝撃を受けて、コックピットの中にいた刹那とマスード氏は、思わず苦悶の声を漏らす。

特にマスード氏に至っては、狭いコックピットの中に立ちっぱなしの状態である。

高齢である彼には、この状況は辛いのだろう。

 

「…まったく。世間であれほど騒がれている“ガンダム”という物の乗り心地がここまで悪い物とは思わなかったな。足腰にくる」

 

「申し訳ありません。ですが今は我慢して下さい」

 

「なに、単なる老い耄れの独り言だ。気にしなくても良い【ドォン!】ぬぐぉ!?」

 

「クッ…」

 

再び、アンフ隊の内の一機から放たれた滑空砲の砲弾が、今度はエクシアの左肩に直撃する。

それを受けたエクシアは、今度こそその衝撃から、一瞬歩みを止めてしまう。

そして、それを見逃すほど、この国の兵達は馬鹿ではない。

アンフ隊はここぞとばかりに、ありったけの砲弾や機銃の弾をエクシアへと撃ち込んだ。

 

「どうして!?」

 

マリナから悲痛な叫びが上がる。

彼女はそのまま居ても立ってもいられずにテラスに飛び出そうとするが、もう少しでテラスの扉に手が届くという所で、シーリンに袖を掴まれて止められた。

 

「っ、シーリン、離して!」

 

「…マリナ、落ち着いて。…ほら、あれを見なさい」

 

シーリンに促されるままマリナが外を見る。

と、目の前に広がっていた爆煙の中から、体の前で両手を十字に重ねて攻撃を防いだエクシアが無傷で現れた。

 

「ガンダム……」

 

マリナは小さくその様子を見ながら呟く。

……あの日、スコットランドで出合った少女が乗っているであろう機体。

自分とは違う方法で平和を作ろうとしている小さな子供。

彼らのしている事を理解できない訳ではないが、認めたくはない。

でも、確かに今、自分の目の前で彼女は戦っているのだ。

この国にある、多くの人間の悪意や策謀などから生まれた、“紛争”という怪物と。

たった、一人で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砲弾や銃弾の嵐が止んだのを見計らって、刹那は再びエクシアをゆっくりと歩かせ始める。

普段の自分ならここまでされれば、容赦なく目の前のアンフ達を手に馴染んだ獲物で斬り捨てているのかもしれないが、今は武器がないせいか不思議と落ち着いたままエクシアを操縦できている。

 

まるで、自分がガンダムになったように。

 

 

 

ピピピピピ・ピピピピピ

 

不意に、そんな電子音が耳に届く。

何事かと正面のコンソールに目を向けると、其処にはミッション中にマイスター間で使われる極秘回線用のメールが届いている事を告げるメッセージが表示されていた。

 

(…メール、だと?一体こんな時に誰が―――――

 

其処まで彼女が思案したところで、勝手にメールが開封された。

有り得ない事に、(ヘルメットの上からでは分からないが)刹那は目を見開いて驚く。

しかし次の瞬間。

其処に表示されたメッセージを目にした瞬間、彼女は思わず声を上げそうになった。

メールの内容――――それはこんな物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ここがお前の、お前が目指す“ガンダム”になる為の第一歩だ。だから、しくじるなよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、刹那の脳裏に、昨晩のロックオンとの会話が甦る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初、スメラギから送られてきた、今回のミッションの概要を見た刹那達は驚きを隠せなかった。

なにせ一切の武装無しで、王宮にマスード・ラフマディー氏を届けろと言うのだ。

無謀などというレベルをすっ飛ばして、気が狂っているという言葉がピッタリなその内容に、ユリが疑問を留美になげ掛けた。

 

「……すまない。私は目がイカれた様だから、ちょっと目薬差してくる」

 

「ご安心ください。私にも同じ物が見えていますわ」

 

「それじゃ、貴方の目もどうにかなってるんだ。一緒に目を洗いに行こう」

 

「ユリ。いい加減に目の前の現実を直視しようぜ。大丈夫。俺はもう色々と諦めた」

 

何時までも目を洗いに行こうとするユリに、ほっといても何も変わらないなと感じたロックオンが、止めの一撃と言わんばかりに、彼女に現実を突きつける。

そんな彼の言葉を聞いたユリは、ガックリと肩を落とした後、再び留美に向かって問いかける。

 

「……本当にこのプランが送られてきたのか?」

 

「信じられませんか?なんならこの場で確認をとってもよろしくてよ」

 

「……いい……ある意味あの人らしいと言えば、あの人らしいプランだ…ただ、何で刹那なんだ?ただ送り届けるだけなら、強力なGNフィールドの張れるヴァーチェや、ある程度装甲の厚い、私のサキエルの方が適任だと思うんだが……?」

 

「…私もそう思う」

 

確かに刹那自身もそう思う。

機体の特性を考えれば、今ユリが言ったように、ヴァーチェやサキエルの方が適任だ。

それに、最近問題ばかりを起こしている自分よりも、基本的に模範となるようなユリとティエリア二人の方が人間的にも適任だと彼女は感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは、刹那だから…じゃねえのか?」

 

そんな彼らの疑問を払拭する様な答えを導き出したのは、ロックオンだった。

 

「知っての通り、このおてんば娘は誰よりもガンダムとしての戦いに憧れるてる……というか、“ガンダム”という絶対的な存在その物に憧れてんだ。だからこそ、このミッションはコイツに最適なんだろうよ」

 

そう言いながら、彼は刹那の方を向いて、少し笑いながらこう言った。

 

「行ってこいガンダムオタク娘。お前の信じる“ガンダム”になって来い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……そうだ………!)

 

操縦桿を握る手に力が漲る。

 

(今度こそ………!!)

 

見据える先は、あの日会った女性―――マリナ・イスマイールが居る、王宮。

 

(…………ガンダムに!)

 

その前に居るアンフなど、眼中に入らない。

 

(……ガンダムに!!)

 

目指す所はただ一箇所のみ!!!

 

「ガンダムに、なるんだ!!」

 

――――――――――私は!!!!!

 

裂帛の気合と共に、刹那の口から咆哮に良く似た声が上がる。

そんな彼女の手足も同然となっているエクシアもまた、彼女の堅い決意を受け、真っ直ぐにに王宮を見据えながら、まるで修験者か何かの様に、力強く歩を進める。

同時に、刹那の心に応えるかのように、エクシアの太陽炉から膨大な量のGN粒子が生成され、エクシアの背後に広がっていく。

…まるで、光の翼が広がるかのように。

その姿に圧倒されたのか、王宮の前に居たアンフ達は、段々と武器を降ろし、まるでモーゼの十戒の如く、その中央を行くエクシアに道を譲った。

 

その場に居た全ての人々は、エクシアを見つめていた。

マリナも、

 

シーリンも、

 

グラハムも、

 

ダリルもハワードもアンフ隊の面々も歩兵の人達も王宮前に居る市民も各国のテレビ局の人間もその人たちが流している映像を通して世界中の人間も、

 

果ては王宮の屋根の上で羽を休めていた鳥や、近くの路地裏に居た野良猫や野良犬ですらも、

 

力強く王宮へと歩き続けるエクシアを、見つめていた。

まるで、尊い物を見るかのごとく。

 

 

 

 

 

 

その内、エクシアは王宮のテラスの直ぐ前で、立ち止まっていた。

刹那はエクシアとテラスの距離、そして周囲の状況を確認すると、エクシアをその場に屈ませて、右手をハッチとテラスの間に持って行く。

そして、ハッチを開くと、安全確認の為にまず自分から外に出て、その直ぐ後にマスード氏を降ろした。

無論、何処からも狙撃されない様に、自分の身体とエクシアの右腕を盾にしつつ、しっかりと彼の手を取って。

 

「王宮へ」

 

「うむ…やはり、最後まで良い乗り心地ではなかったな」

 

「申し訳ありません」

 

そう言いながら、刹那は頭を下げた。

無論、氏が狙撃されないように、調整するのも忘れない。

マスード氏は自身の皮肉に変わらず真面目に答える彼女に対し、軽く頭を下げた。

 

「……すまない。礼を言わせてもらう」

 

「お早く」

 

彼は刹那に促されテラスへと降り立った。

すぐさま、王宮のSPが周りを固め、マリナの許へと彼を(いざな)う。

…狙撃されるような様子も、襲撃されるような様子も、無い。

氏の背中を見送り、周囲を一度見渡してからそう判断した刹那は、さっさとエクシアのコックピットへ戻ろうとした。

だが、後ろから声をかけられる。

 

「刹那・F・セイエイ!」

 

その言葉に、聞き覚えのある声に、刹那は足を止めて後ろを見る。

其処には来ている服はあの時と違って、青と紫主体のドレスに変わってはいるものの、確かにあの時の女性が、必死な顔で自分を見つめていた。

 

「本当に……本当に貴女、なの?」

 

それを聞いた刹那は、少しの間黙ると同時に動きを止める。

そして数秒の後に、彼女は後ろにいるマリナの方へと振り返り、しっかりと真正面から向き合った。

 

「…マリナ・イスマイール、私達がまた来るかどうかは、これからの、この国次第だ」

 

違う。そういう事ではない。

マリナとしてはもっと話したい事があるのに、今改めて彼女の前に立つと、それらは全く言葉にはならなかった。

辛うじて、再び彼女の名前を呟く。

 

「刹那……」

 

「………戦え。お前の……お前自身が信じる、唯一の神のために!」

 

それだけ言うと、刹那は素早い身のこなしで、エクシアのコックピットへと戻っていく

 

「刹那!」

 

マリナが彼女の名前を叫ぶが、刹那はそれに応じる事無くハッチを閉めると、そのままエクシアを遥か上空まで、一気に飛び立たせた。

 

マリナは、その後姿をただ黙って、悲壮な表情で見上げる事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『中尉、追いかけましょう!』

 

『今ならあのガンダムを追いかけられます!!』

 

ダリルとハワードが追跡を申し出る。

しかし、

 

「できるものか!」

 

グラハムはそれらの考えを、一喝すると共に一蹴した。

 

「そんな事をしてみろ。我々は世界の鼻つまみ者だ……!」

 

だが、グラハムが追跡をしなかった理由はそれだけではない。

先日会ったあの少年と少女の言葉が胸を締め付ける。

 

『……支持は、しません。どっちも。どちらにも、その人達也の正義が、あると思うから。…でも、この戦いで人は死んでいきます……沢山、沢山、死んでいきます…』

 

『う~ん……個人的にくっだらないな~…とは思ってますね』『利益目的ならまだ人間らしくて、個人的にはまだ良いとは思うんですけど、信仰する物の違いで殺し合いするって言うのは、何か人として間違っているような気がしましてね……あ、お二人は軍服から見る限りユニオンの方ですね。すみません。お二人には少し分かりにくいですかね?』

 

この国へと支援名目でわざわざやって来ておいて、結局何もできなかった自分へ苛立ち。

そして、一方で、あれほど世界から嫌われているガンダムが、結果的とは言え、この国を救ったという事実。

それらがグラハムの心の中に、様々な思いとともに渦巻き、結果的にガンダムを見逃すという選択肢を与える事となった。

 

「……すまんな、少女………いや、もしかすると少年か…………これが今の私にできる、私なりの精一杯だ」

 

グラハムは顔を顰めて上を見上げながら、無意識に操縦桿を強く、強く握りしめた。

見上げた空は、思い切り飛べたらどれだけ気分が優れるのかと思うくらいに綺麗で、其処に撒き散らされた、あのガンダムの発する緑色の光る粒子と相まって、とても幻想的な風景を映し出していた。

思わず、グラハムはそれを美しいと感じ、また、そう感じてしまった自分に軽い嫌悪感を覚えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ?これってもしかして、終わっちゃった感じ?」

 

「今回出番無シ!出番無シ!残念!残念!」

 

王宮のある首都から少し離れた郊外で、マントに身を包んだとある機体の中から、そんな少年の声とその相棒の機会音声が響いたが、気付く者は誰も居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…今回、俺がここに居た意味って……?」

 

「特ニ無シ」

 

「…だよなぁ……」

 

めげるな主人公(笑)

 

「うるせぇ」





如何でしたでしょうか?
どうも雑炊です。

今回はハレルヤの暴走と、マスード氏の誘拐事件を纏めてみました。

そして刹那が書いている内に完璧な食いしん坊キャラへと昇華しているという現実……
如何してこうなった……!

そしてアムロとグラハムの絡み。
基本この二人が絡むとツッコミ不在の場合は今回のようにカオスな空間が展開されます。
たぶん真面目な場面ではないとは思いますけど……

では、また次回!








今日のトレミー:

「っくしゅん」

「? どうしたのティエリア?」

「いや、何故かクシャミが……なぜだ?」
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