ガンダム00  マイスター始めてみました   作:雑炊

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今回は前回が長めだったので、少し短めに抑えました。

それと、最後に残酷描写がありますので、それが嫌な人は、今すぐにブラウザバックを実行してください。

それでは本編をどうぞ



運命とかそういう何か得体の知れない大きな物に足首ひっ掴まれて棺桶へとズルズル引っ張られてる頃の話
十一話―――性質の悪い三兄妹は勘弁してください。あと、ソレスタルビーイングの粛清は恐過ぎます。


「来て貰っていきなりで悪いけれど、ちょっと機体を乗り換えてくれないかな?」

 

「またいきなりだな師匠。いや、もう慣れたけどさ…」

 

突然師匠に呼び出されて、太平洋上某所に在るソレスタルビーイング所有の施設に来たら、いきなりこんな事言われました。

いや、何か師匠の後ろにMSみたいなシルエットが在るから何かな~とは思っていたけどさ…

 

「……で、何に乗ればいいんだ?」

 

「おや、意外とすんなり聞くんだね?もうちょっとごねるかと思っていたのに」

 

そう言いながら、師匠が珍しく驚いたような表情になった。

この人でもそんな顔するんだな…なんか新鮮。

まあ、正直な話、こんな状況で師匠の頼み事(命令)を拒否なんぞしてみろ。絶対に碌な事にならない。

…まあ、もう既に嫌な予感メッチャするけどな!!

具体的には、何かこう、“面倒を見なきゃならない人が増える”、という感覚がする!

ただMS乗り換えろと言われただけなのに!!

 

「…どうしたんだい?素晴らしく面白い表情になっているけど」

 

「眉間にメッチャ皺寄せて顔顰めてる表情の何処が“素晴らしく面白い表情”!?」

 

相変わらずな師匠の言葉に、思わず声を荒げる。

対する師匠はそれすらも面白そうに、ニヤニヤとした笑いを口元に浮かべてこっちを見やがる。

……本当に、いや~な性格してるよなぁ…この師匠。

 

「…で?一体どんなのに乗り換えればいいんだ?」

 

「あ、面白かったのに」

 

「うっさいわ!これ以上やると話進まないから!圧倒的にグダグダになって前回のような惨劇が起きるから!!また作者が泣くから!!」

 

「もうなってると僕は思うけど?というか作者が泣こうとどうなろうと僕らには一切関係無いだろう?」

 

「喧しい!!まだ序盤も序盤の方だ!!修正なんぞいくらでも効く!つーか作者がどうにかなったらこの小説終わっちゃうから!!」

 

ええい!ああ言えばこう言う!!

何だ!?もしかしてストレス溜まってるのか!?

何かいつもよりも当社比20~40倍の勢いでねちっこい様な気がするぞ!?

 

「気のせいだよ。むしろ早朝からあのクソ金ぴか好き変態ウェーブロン毛大使に叩き起こされて、気分は清々しいよ」

 

心の声(地の文)を読むなよ!?っていうか、その口調からすると絶対切れてますよね!?むしろそれが原因ですよね!?というかもしかしなくても、今回俺がここに呼ばれた理由って、そのストレス解消が目的ですよね!?つーか師匠!青筋隠して隠して!顔中に浮き上がってるから!今にも血が飛び出そうだから!!」

 

「そんな訳無いじゃないか。決してラグナ・ハーヴェイというクソデブ中年が私利私欲の為に生み出した、デザインベイビーのイノベイドモドキ3兄妹の監視もしくはドサクサに紛れて抹殺しに行って貰いたいな~なんて思ってないよ?あと、青筋なんてデテルワケナイジャナイカハハハハハハ」

 

はい、俺が呼ばれた理由確定。

要は、新しく用意した機体に乗ってその3人を変な事しない様に監視しろって事ね。最悪ぶっ殺せ、と。

つーか師匠今日一体どうした?

何か後半ぶっ壊れてきてるし………つーか怖っ!

変なラスボス笑いはいつも通りだけど…なんか…こう…目にハイライトが無い上に首をイイ感じに傾げているのが地味に怖い!

兎も角、今は師匠を落ち着かせる事が先決だ!

 

「ちょっと落ち着け師匠。後半片言になってきてるぞ。ほれ、お土産のレモン牛乳」

 

そういいながら、来がけに買ってきたお土産のレモン牛乳をパック開けた上で渡す。

師匠はそれを受け取ると、腰に手を当てて一気に飲み干した。

…って、あ、青筋無くなった。

…なんか一瞬刹那と同じ感じがしたぞ今。

 

「無いね。断じてそれは無い。刹那・F・セイエイと同じなどありえないね。身の毛がよ立つよ」

 

「だから心の声(地の文)を読むなよ師匠……とりあえず、さっさと本題の続きを教えてくれ。これ以上グダグダしてると、どっかから怒られそうだ」

 

「大概君もメタな発言をするね……まあいい。今に限った事じゃないからスルーする事にするよ。話を戻そう。あ、さっき言った抹殺云々は冗談だからそのつもりで」

 

「だろうな」

 

やっと落ち着いてくれた師匠が、先程と比べて爽やかな笑顔で此方に向き直る。というか、やっぱ冗談だったんだ、アレ。あぶねー…下手したら実行してたな。

と、思うと同時に、

 

バサァァ

 

という音と共に、師匠の後ろにあったMSのシルエットを持った何かに掛かっていたカバーが取り去られる。

…って、ああ、さっきからあれの下と上に誰かいるなと思ってたら、デヴァイン兄さんとブリング兄さんとグラーベさんとヒクサーさんか。

ご苦労様です。

そんな事を考えながら、カバーの下から出てきた物に、目を凝らす。

と、次の瞬間、それに周囲から光が当てられ、そのMSはハッキリとその姿を見せた。

 

白を基調とした三色(トリコロール)なのは、Oガンダムと一緒。

ただ、全体的なシルエットとしては一般的なMSと比べるとやや逆三角形を重ねたような感じがする。

GN粒子の循環ケーブルが他のガンダムと違い、Oガンダムの様に表面には露出していないが、機体の各所にエネルギーラインの様な物が見受けられる。

その顔には、Oガンダムと同じ様に赤い顎と二本のスリットが存在していた。

初見での感想としては、「なんか少し手を加えたら変形しそう」である。

 

「GNW-00P・XX“ガンダムスローネ・ザフキエル”」

 

「スローネ?座天使(スローンズ)って事か?相変わらずウチ(ソレスタルビーイング)は天使関係が好きだねぇ…しかもザフキエルって…」

 

「其方ではなくて、“ソロネ”からとっているんだと思うよ。まあ、あまり天使に拘るのもナンセンスな話だと僕も思うけどね。ただ、天上人(ソレスタルビーイング)という名前を冠している以上、其処に悪魔の名前が出てきたら場違いだと思わないかい?」

 

「いや、別に?閣下とか元々天上の人じゃん?むしろそのくらいが丁度良いと思うけど?…まあいいかそんな事。とりあえず、どんな機体なんだ?これ?」

 

そう言いながら、“ザフキエル”の姿を見上げる。

 

ザフキエル。

ユダヤ教の伝承に伝えられる天使の一人で、ツァフキエルまたはヤフキエルとも呼ばれる。

その名は“神の番人”を意味し、生命の木“ビナー”の守護天使とされ、一説ではラファエルに並んで座天使の指導者とも考えられている。

 

今は関係ない事だが、つまりこの名前を付けられてるって事は師匠の事だから監視だけじゃなくて指揮も俺に取らせる心算なのか?

口には出さないが、俺には指揮スキルなんぞ無いのだが……

 

そんな俺の心の内を知ってか知らずか、オホンと咳を一つした後、師匠は機体の説明を続ける。

 

「先程言った、ラグナ・ハーヴェイの私兵と言っても過言でもないそのイノベイドモドキ3兄妹に与えられた機体、“ガンダムスローネ”のプロトタイプを君の技量に追いつける様、大幅な改修を行った機体がこれだよ。ただ、改修を行った結果として第三世代レベルの機体であれば君の技量があれば一方的な展開に持っていける程度の性能は有している」

 

ほう。

 

「そいつは結構。武装は?」

 

「肩にビームサーベルを一対。それと君の戦闘スタイルに合わせて、GNABCマントとシールド。それから、Oガンダムからの変更点として、GNビームガンではなくGNビームライフルを持たせているよ。まあ、少々の照準の誤差は、君の相棒が何とかしてくれるだろう」

 

「実に俺好みでますます結構。あと肩と腰にアタッチメントみたいなのがあるが、ありゃ一体なんだ?」

 

「スローネは元々、背面装備、肩部装備、腰部装備と頭部の仕様を変更する事で、幾多の状況に対応できるように設計されているのさ。無論、そのプロトタイプの改修機とはいえ、この“ザフキエル”にもそのシステムは搭載されているよ。まあ、今回は使わないとは思うけどね」

 

ふーん、と言いながら、俺はとある事が頭の中に浮かび、それをおくびも無く口にする。

 

「GNドライブはどうするんだ?」

 

と。

それに対して師匠は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無論。Oガンダムの物を使うよ」

 

と、さも当然の事の様に言い放った。

見ればもう既に、GNドライブの積み替え作業が開始されている。

 

(…なんだかなあ…)

 

ふと、この施設の入り口の方に目を向ける。

来た時にはもう沈みかけていた太陽の光は、今はもう届いてはいなかった。

その無機質な闇をバックにして立つOガンダムからは、なんとなく物悲しさが感じられる。

それが何故か、無性に虚しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗礁宙域 合流ポイント

 

「さて、結局来てしまった訳だが…向こうは何処に居るんだ?」

 

あの会話から2日後。

俺は機体を慣れ親しんだOガンダムから、この“スローネ・ザフキエル”―――面倒なのでザフキエルと呼称する―――に乗り換えて、イノベイドモドキ3兄妹―――チーム・トリニティとの合流の為に、向こうが指定してきたこの合流ポイントへと来ていた。

……嫌な予感が凄くするのは何故だろう?

ちょっと前に感じた物とは違い、今回のは襲われる的意味で嫌な予感がする。

 

「…ハロ。周囲の警戒レベルを最大に」

 

「了解!了解!」

 

ハロの返答と共に、コンソールに映っていたレーダーの感度が上がり、其処に僅かな大きさの小石すらも映し出し、同時にこちらが射程圏外からロックオンされた事も一緒に伝えて…ってなにぃ!?

 

「っっつおっ!!??」

 

咄嗟に機体を思いっきり振り回して、回避行動をとる。

同時にロックしてきた方へとビームライフルを最大出力で発射する。

ゴッ!!と言う音が聞えてくるような光の奔流が銃口から迸り、その方向へと向かって一気に光の矢が伸びる。

一拍遅れて、向こうもビームを発射したようだ。

血の色をした極大のビームの奔流が、こちらが撃ったビームと真正面からぶつかり、エネルギー干渉によってとんでもない量のプラズマが、周囲に飛び散った。

 

(…!! 反応が鈍い!!)

 

こっちではなくて、向こうが、である。

普通こんなプラズマで視界が遮られれば、それを利用して相手に接近できる。

俺はプラズマが来ると予測した瞬間に飛び込み、一気に間合いを詰める事に成功したが、向こうはそんな事微塵も考えていなかったようで少々こちらに対しての反応が遅れていた。

 

視界に三機の赤系統でカラーリングを統一された、“スローネ”が目に入る。

それぞれ、装備を見るに長距離特化、白兵戦特化、それと…なんだあれ?

背中に大きなバインダーを背負ってるし、武器も右腕の外側に取り付けられたビームガンと左肩と右肩のシールドと、ビームサーベルしかないから……なんだろう?オールマイティーな万能型かな?

の割には長距離武器が無いけど…

 

と、次の瞬間向こうも動き出した。

頭の長い黒に近い赤茶色の長距離特化型は、右肩に背負ったキャノンを中距離型に可変させて、右手に持ったビームライフルでこちらを狙ってくる。

 

が、狙いが甘い。

少しこちらの機体をブレさせて、上下左右に機体を揺らすと、あっという間に照準できなくなったのか若干のうろたえが感じられた。

 

次にオレンジの白兵戦特化が、腰から遠隔兵器である“ファング”を射出して、それと同時に右肩のバスターソードで、襲い掛かってきた。

 

が、遅い。

ファングは相棒がハッキングして、あっという間にコントロールをこっちの物にして無力化し、本体の方は動きが大振りすぎる上になんかバスターソードをただ振り回しているような感じで攻撃してきたため、肩のビームサーベルを出力してからそれで受け止めると、そのまま回し蹴りで吹っ飛ばした。

途中、長距離特化型がオレンジの機体の援護目的でこっちをロックしてきたが、上手い事オレンジの機体を盾にするように動いて、攻撃させない。

 

残った赤い機体は、途中途中でこっちを狙ってきた。

 

が、たぶん一番こいつがショボイ。

照準はちゃんと出来てないし、なんか一々指示を受けながら動いているような感じがする。

 

生半可な照準の銃弾ほど、嫌なものは無い。

あまりにも鬱陶しかった為、相棒にファングを動かさせて少しからかってやると、そっちに意識を集中し始めてしまってこっちには一切興味を示さなくなった。

その内長距離特化型もそっちの援護に入ってしまい、結果的には(いたぶる方)VS白兵戦特化型機体(いたぶられる方)という、なんとも微妙な空間が形成してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後

 

「おーい、いい加減にしろー…」

 

襲い掛かられては受け止めて反撃し、また襲い掛かられては受け止めて殴り飛ばす……

そんな行動を数えるのも嫌になるほど繰り返した所で、俺は向こうの中で一番地位がある者と考えた、長距離特化型の機体に通信を入れる。

つーか向こうはなんか赤い機体がエネルギー切れを引き起こしたらしく、さっきから動いてない。

遊んであげてたファングも、何個かは動かなくなり、残っているのは後一個。

白兵戦特化型は所々凹んでボコボコになっており、背中から出てる粒子も雀の涙。

残った長距離特化型からも、疲れが滲んでいた。

因みにこっちは無傷…という訳ではないものの、精々殴ったりした所に細かい擦り傷が出来ているだけである。

 

どっちが優勢かなんぞ、一目で分かる状況だった。

 

『っ!なんだと……』

 

と、向こうから通信が返って来た。

なんか驚いてるみたいだが…特におかしな事した心算はないし、無論変な事言った覚えも無い…よな?

 

「何か可笑しいか?そっちは一体がEN切れで、一体は満身創痍。お前自身も疲れて動きにキレが無い。そんな状況で戦っても、結局こっちの一方的勝利に終わるだけだ」

 

厳然たる事実である。

つーかこいつらコッチをなめ過ぎでしょ?

ダメ押しのつもりでもう一言呟くように言う。

 

「…三対一なら勝てると思ったか…?滑稽だな…愉快だな……だが無意味だ」

 

『テメェ!』

 

と、突如白兵戦特化機体から通信が入る。

大分頭にきている様だ。

まあ、いきなり襲ってきたのだから、これ位言われてもしょうがないと割り切って頂きたい。

 

「…自己紹介がまだだったな。私の名は“O-01”。君たちの監視、及び戦闘指揮を任命されてきた」

 

そう言ってから、三機を見回すように首を動かした後、こう言う。

 

「……いきなり襲い掛かってくるような礼儀知らずで、挙句の果てにこんなへっぽこな馬鹿共だとは思わなかったがな……」

 

『くっ!!「甘い」なっ!?』

 

咄嗟にこちらにライフルを向けてきた長距離特化型の手を狙い撃って、その手からライフルを弾き飛ばす。

 

「悪いが不意打ち、隙あり、待ち伏せなどの卑怯な手には慣れっこなのでな……その程度では、此方に傷一つ付けられんぞ?」

 

言いながら、白兵戦特化の機体を引っつかむ。

 

「ともかく話は君たちの母艦に戻ってからにしよう。そこで何故いきなり襲ってきたかの事情も聞かせてもらう。あと、拒否したり、降りた所を攻撃してきたら君達のマイスター権限を、“私の相棒が”消去させて貰うからそのつもりで」

 

言ってから、俺は機体を長距離特化型の方へと動かす。

とりあえず、ラグナ・ハーヴェイっておっさんは後で個人的にお仕置きだな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チームトリニティ母艦 ハンガー

 

「さて、襲い掛かって来なかった所を見る限りでは、利口ではあるようだな。……約二名今にも爆発しそうだが」

 

「申し訳ありませんO-01」

 

「いいさ。もう慣れっこだ」

 

特に姉さんとか師匠とかでな。あの二人に比べたら理不尽現象やネタ技を駆使して襲いかかってこないだけ幾らか可愛いもんだ。

 

とりあえず機体から降りた俺は、ザフキエルに相棒を残すと、メットは外さずに、彼らの前に姿を出した。

声からすると、今目の前で受け答えしてくれた肌の浅黒いこの青年が、長距離特化型のパイロットらしい。

 

「「(ギリギリギリギリギリギリギリギリギリ…)」」

 

「…フム、いい加減鬱陶しいな……オイ、あの二人ぶん殴って黙らせて良いか?なんで襲い掛かられたのを撃退しただけなのに此処まで睨まれねばならん?いい加減切れるぞ?」

 

「出来れば勘弁してもらえると助かります。あの二人には後で私から厳重に注意しておきますので」

 

「…まあ、良かろう。話の妨げにならなければ良いがな「んだとテメェ!!」…さあ、神様においの「ミハエル!!いい加減にしろ!!」りは……?」

 

済んだか?そう言おうとした瞬間に、目の前の青年が此方に敵意を剥き出しにしていた内の、青い髪の青年の方を叱咤した。

咎められた青年は「いや…でも兄貴!」といって反論しようとしているが…

 

「ラグナからのミッションプランに従ったからとはいえ、今回先に手を出したのはこちらだ!それに、先程の戦闘からも解る通り、彼のほうが実力は上だ。下手をすれば、我々は消されていてもおかしくは無かったんだぞ!」

 

…という言葉で、渋々引っ込んでくれた。

 

…うん。それは否定しない。

実際戦闘中に何度か事故に見せかけて消そうとしたし。俺。

それでも消さなかったのは、師匠からのお仕置きが怖かっただけだから…たぶんそれさえなければ実行してたな。

……あれ?意外と俺って外道じゃね?

 

そんな自分の知られざる一面にショックを受けている間に向こうの話は終わったらしく、気がつくと先程よりも此方に向けられる敵意は少し軟化していた。

……それでも敵意を向けられるのは良い気分じゃないけどな!!

 

「失礼しました」

 

「いや…うん。こういうのも慣れっこだ……とにかくまずはこれだけ聞いておこう。何故いきなり襲ってきた…と、少し考えればわかるな。ラグナ・ハーヴェイか」

 

そう言うと、浅黒い肌の青年は、表情を硬くして頷いた。

つまりは…

 

「狙いは私の保有するGNドライブか」

 

「…その通りです。今回、私たちはラグナからあなたの保有しているガンダムに搭載されているオリジナルのGNドライブを奪取するよう、ミッションプランを受けました」

 

「で、ものの見事に返り討ち…と。見てて思ったのだが、もしかして君達自身の個々の能力は、そんなに高くないのか?もしくは一個の分野に突出し過ぎとか」

 

俺がそう言うと、青年は顔を顰めて苦々しげにこう返す。

 

「それはありません。我々兄妹はガンダムマイスターとなるべく、高い能力を持たされた状態で生まれてきました。基本的な能力だけなら、実働部隊のマイスター達よりも高いと自負しています」

 

…ふーん。イノベイドみたいなもんか?でも、戦った感じだと戦闘重視のタイプじゃないリジェネ兄さんよりも弱い感じしたけど。…と、すれば?

 

「…では、実戦慣れしていないだけか。序に言うと、機体性能に頼りきってる感が否めないから自分の能力を最大限生かせてないという事も挙げられるな」

 

「しかしそれは「だが事実だ。現にお前達はお前たちの機体のプロトタイプにちょっと手を加えただけの機体に乗る私に負けている」…おっしゃる通りです」

 

悔しそうな顔で俯く青年。

まあ、しょうがないとしか言えないな。

素人が最初から高性能な機体を使ってると、こうなる事は良くある。

…とはいえ、俺の場合は“地獄の修行”というドーピング剤使ってるだけなんだけどな。

昨日やったら、こいつらの機体に良く似た白いのが増えてたし。

確かスローネヴァラヌス…だっけ?

 

ま、如何でもいいか。

 

ふと、手元にある端末の、カレンダー部分を見やる。

…確か予定では1週間くらい後に、3大陣営の合同演習がタクラマカンの方であったはず。

師匠曰く、その一大イベントに実働部隊が介入するから、それの手助けをこいつらと共にしろとの事。

 

(……残り1週間。1週間で、こいつらを俺と同じとまでは行かなくとも、刹那達レベルの実力で戦闘が可能なレベルまで育てろと?)

 

無茶苦茶だ!

言いたくは無いが、戦ったから分かる。

こいつら自分たちの優位性が失われた瞬間に、一気に一般兵と同じレベルの実力まで成り下がる!

因みにその優位性とは、コンビネーション能力の高さと機体性能の事。

もしもそれぞれに分断されて、数の暴力で各個撃破に持ち込まれたら……

 

「…考えるだに恐ろしいな…」

 

「? 何か?」

 

「いや、別に?…さて、ではどうしたものか?」

 

…とりあえず、地獄の修行でもやらせるか?

あれさえ真面目にやり遂げれれば、及第点レベルの実力にはなるだろ。

何せ最初パイロット適正0だった俺がここまで生き残れるくらいの腕前にはなってるんだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某所

 

(…全く、この男にも困ったものだ。まさかアムロを命令無視に対する正当な処置を装って消去しようとするとは……)

 

そういう僕の目の前には、赤い血溜りの中に倒れて、荒く息を吐いているラグナ・ハーヴェイが、まるで今から殺される家畜の豚のように転がっていた。

因みにやったのは僕ではない。

いや、確かに実行したのは僕だが、厳密に言えば、この身体自体は、予め彼の経営する会社に潜り込ませておいた、全く別のイノベイドだ。

今はヴェーダを通して僕とリンクしている。

 

「…さて、ラグナ・ハーヴェイ。監視者である筈の君が、何故こんな事になっているか理解できるかい?」

 

「…き、きさ、ま…一体…?」

 

…ハァ…

 

「質問しているのは、僕だよ?」

 

ダンッ!!

 

「!!! ぐああああああああああ!!!」

 

全く五月蠅い物だ。

高々左膝を撃ち抜いただけだというのに。

アムロなら「あにするだこのクソ師匠!!」と言って、殴りかかってくるのに。

つくづく、彼以外の人間はこんなにも脆弱なのだと痛感させられる。

 

「…ハァ……ハァ……」

 

「もう一度聞こう。君は今のこの状況を理解できているかい?」

 

すると彼は恨みがましい目を此方に向けながら、ゆっくりとこう呟いた。

 

「…ハァ…ハァ……わ、私を、今、此処で殺せば……貴様一体どうなる…か……ハァ……わか、って、いるのか?……」

 

「……」

 

どうやら彼は、今の自分の現状を理解できていないようだ。

仕方なく、癪には触るけれど、彼の疑問に答えてあげる事にした。

 

「…少なくとも、明日の朝刊の一面に載るね。“リニアトレイン事業の総裁、国際経済団のトップ暗殺される!!”…とね。そしたら僕は一瞬で犯罪者だ」

 

「!! それが分かっていながら「だから」!?」

 

「僕は、“彼”を用意したんだ。来たまえ」

 

そう言って、僕はドアの向こうにいた彼を呼び出す。

其処に立っていたのは――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……わ、たし……だと…!?」

 

「そうだ。私よ。始めまして…と言うのもかなり可笑しいがね」

 

―――そう。僕が用意した、“もう一人のラグナ・ハーヴェイ”だった。

 

タネはこうだ。

予めソレスタルビーイングに参加する者は、その殆どがイノベイドを作ったりする時に必要な遺伝子提供を行う。

今回は、運良く彼自身の遺伝子があったから、それを培養して文字通り“もう一人の彼”を作り出す事が出来た。

 

「…という訳だよ。つまり君が死んでも、君の代わりをしてくれる人物はちゃんと居るんだ」

 

「そういう事だ私よ。だから……」

 

チャキ

 

「!!! ま、待て!!!!」

 

「安らかに、逝くがいい」

 

 

 

「…さて、粛清も終わった事だし。後は君に任せるよ、ラグナ」

 

「はい、リボンズ。仰せの通りに。……この生ゴミは如何しましょう?」

 

そう言って彼が指さすのは、カーペットの上で滑稽なオブジェと化した肉塊。

ぶっちゃけ、もう僕はそんな物には興味がない。

だが、確かに処理はしないといけないかな?

 

「んーそうだな……一応見つかると厄介だから、ミンチにして適当にばら撒いておいてくれ」

 

そうした方が無難だろう。完全にミンチにする事によって、常人はそれが元々人間であったなどという事実には気づけなくなる物だ。

特に、その死体の正体が今だ生き続けている人物なら尚更だ。

 

「畏まりました。直ぐに手配いたします」

 

「頼むよ」

 

そう、返した僕の声を聞くと、彼は直ぐに受話器をとって予め用意しておいた場所へと連絡する。

おそらく後10分もすれば、イノベイドの工作員達がこのゴミを回収して、然るべき処置を施すだろう。

そのことを確認した後で元に戻るとしよう。

なにやらイノベイドモドキの末妹が所持しているHAROから、面白い悲鳴が此方に届けられているからね。

早く戻って、じっくり観賞したいものだ。

 

…今「コイツ性格悪っ!!」とか思った奴。師匠怒らないから素直に手を挙げなさい。じゃないと今すぐ世界の壁を越えて、“黄金の矢”を直撃させてやる。手を上げた奴は大リーグボール1号の実験台にしてあげるよ。

 

 

 

どっちみち死ぬって?喧しい。僕だってストレス溜まってるんだ。神じゃないんだから。




如何でしたでしょうか?

今回はいつもとは違うリボンズ師匠をお送りさせて頂きました。
この世界の師匠も悪くなると此処まで怖くなります。

そしてトリ三兄妹初登場。そしてこの扱い。
まあ、仕方ないです。
次回からちゃんと活躍します。

そして新機体の“ザフキエル”登場です。
元ネタは、OOで“スローネ”や“ガデラーザ”のデザインを担当した、『鷲尾直広』氏が、OO主人公機のデザインコンペに持ってきた後にスローネの基礎になる“コンペ版ガンダム”です。
あれにGNドライブを取っ付けて、マント被せてライフルとシールドを持たせたやつをイメージしてください。
因みにコックピットは胸部にあります。
見た事がない人は、“機動戦士ガンダムOO メカニック―Final”等の書籍に載っているため、其方をご参照ください。

という訳で、Oガンダムは一時離脱。まあまた直ぐに戻ってきますが。
ま、これまで頑張ってくれたので、一足早い大型連休に入ったと思ってあげて下さい。
きっと今頃どっかの山の中で、何か美味いものでもたらふく食ってる事でしょう。
SD体形になってwwww

ちなみに最後に師匠が凄く気になる事をサラッといったと思いますが、まだそこに触れるのは当分先なので、頭の隅に置いておくだけにしておいてください。



それではまた次回。

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