ガンダム00  マイスター始めてみました   作:雑炊

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詰め込み過ぎた最新話です。

では本編の方どうぞ…



十三話―――貴方達は出てくる作品が違うので早々にお帰りくださ・・・・え?無理?つーかあっちと違う?・・・・ですよねー・・・

 

「…コホン。さて、ちょっと悲惨な事態があったが無視して次に行こう。これからどうするか……?」

 

「今更カッコツケテモ手遅レダゾ」

 

「相棒うっさい」

 

相棒との漫才が終了して一息つき、再び真面目な顔になって正面を見やる。

先程まで大型ユニットの上に居た、赤っぽいオレンジ色のイナクトは此方の様子を窺うように空中に滞空している。

しかし流石は手馴れというべきなのか、右手に持ったリニアライフルの銃口は油断無く此方に向けられている。

 

ちょっと離れた所に以前も見た青いイナクトが居たが、そちらは意識を半分こっちに、半分をサキエルに向けている為、今の所攻撃される心配は無いだろう。

そう考えた所で、エクシアに通信を入れる。

 

「エクシア。動けるか?」

 

『…っ!』

 

それを聞いた刹那が、必死に機体を動かそうとする。

…が、肝心のエクシアは少し身体を揺らすだけで、あまり動いてはくれない。

機体の何処かが故障でもしたか?等と考えたが、よく見れば刹那の体自体があまり動いてない。

どうやら先程の電撃のダメージは思ったよりも深刻な様だ。

 

「動けない、か……ならば、奴の相手は此方で引き受けよう。体が動くようになったら全力でこのポイントまで離脱する事。良いな?」

 

とにかくこのままでは良い的である。

指定ポイントの座標を地図付きでエクシアに送り、そのままビームライフルをオレンジのイナクトへと向ける。

…両者共に動きは、無い。

しかし些細な事でこの沈黙が崩れる事は、明確に分かる。

 

手に汗が滲む。

頬や額から汗が垂れる。

 

そして次の瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……っ!!ハァァァァァァァ!!!』

 

そう言って裂帛の気合を上げながらGN薙刀を構えて青いイナクトにサキエルが突っ込んだ。

対するイナクトはプラズマブレードを展開し、それを受ける。

 

バチィィッ!!というビーム粒子とプラズマの衝突する、特徴的な衝撃音が辺りに鳴り響く。

それが響いた瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っシャアッ!!」

 

『っ、チッ!!』

 

ザフキエルの体勢をわざと崩しながら相手の懐に飛び込むと、ブレイクダンスの要領で蹴りを放つ。

イナクトは咄嗟にその場を跳んで離れると、リニアライフルを4~5発ほど一気に斉射してきた。

それを横に飛びながら、避け切れなかった物だけシールドを使って受け流し、お返しにとライフルからビーム弾をお見舞いしてやる。

すると向こうは此方の攻撃を読んでいたかの如く、空中で側転をするかのように身体を振り回しそれを回避する事に成功する。

 

(おお!?)

 

流石の俺もこれには面食らった。

シミュレータの中では何度か見た事はあるが、実戦で。しかも現行の最新鋭機とはいえガンダムと比べれば耐久性等が数段劣るイナクトが、このバランス的な意味で危険極まりない回避行動を実行するとは!!

 

俺が驚いている間に向こうは体勢を立て直して、今度はリニアライフルの先に取り付けられていたブレードで此方に切り掛かって来た。

咄嗟に肩のビームサーベルを展開してそれを受け止めつつ、シールドを取り付けている以外は何も持っていない左腕を使って相手の右腕を掴んで動きを止める。

そしてそのままビームライフルで相手のコックピットに狙いを付けようとすると、驚くべき事にイナクトは掴まれたままの自身の右腕をパージした後、此方に盛大な回し蹴りをお見舞いしてきやがった!

 

「ヌゴッ!?」

 

思わず呻きながら吹っ飛ばされる。

ただ、このまま地面に突っ込むとそこを集中的に狙われる恐れがあるため、衝撃に身体を揺さぶられながらもしっかりと体勢を立て直す事は忘れない。

 

「ぬごげっ!?」

 

……と思ったのだが、どうやら意外と勢いが付いていたらしい。“前方向”に。

体勢を立て直そうとしてスラスターを吹かそうとしたのだが、勢い余って空中で前転してしまう。

しかもそのまま元の体勢に戻そうとする小型スラスターの作用も相まって、コックピットにかなりの衝撃が来てしまった。

 

……って、対ショック性に優れている筈のガンダムのコックピットな筈なのに、かなりの衝撃を受けるって、結構な事じゃないか?

 

そんなアホな事を考えている間にも、イナクトは攻撃の手を緩めようとはしない。

今度は先程右腕ごと捨てたリニアライフルをサッと残った左手で回収し、それの側面に取り付けられていたミサイルランチャーからミサイルを発射してくる。

しかし………

 

「GNミサイル超大量ならいざ知らず、そんな低速ミサイル7,8発では!!」

 

吼えながらライフルで全弾撃ち落とす。

撃ちながら、俺の脳裏に浮かんで来るのはあの地獄の修行がまだ“地獄の特訓”と呼ばれていた時代に受けた、アブルホール×60機以上からのGNミサイルの一斉掃射・・・・・・・・

 

(……くぅっ!!)

 

自ずと目から涙が零れ落ちる。

ハッキリ言ってあれは一種のトラウマ物だ。

空が一斉に白い飛行機に埋め尽くされるや否や、次の瞬間一気に緑色の粒子によるカーテンが出来上がり、そのまた次の瞬間オレンジ色の弾頭の雨が全部此方を目指して降ってくるのだから。

当時はされた瞬間に「オーバーキルにも程がある!!!」と泣き喚きながら必死に逃げるか撃ち落そうとしたものだ………

因みに今でもシミュレータでキュリオス、デュナメス、ヴァーチェ(実弾メインのフィジカル装備)、アブルホール(黒、白混合)の大群からよくやられるが、むしろ当事よりは敵機体の数も比べるまでも無く増えており、上手くいけば同士討ちが狙えるのでむしろ「ラッキー!」と叫ぶ位になっている。

 

(……思えば遠いとこまで来たもんだ。)

 

しみじみと思う。

と、爆風の中からイナクトがソニックブレイドを左手に展開した状態で此方に突っ込んできた。

チラと見ると、先程まで奴が居た所の下側にリニアライフルが落ちていた事からどうやらミサイルが打ち落とされる事を見越していたらしく、爆風が上がると同時にライフルを投げ捨ててブレイドを抜いたらしい。

しかし予想していなかった訳ではないので、俺は咄嗟にビームライフルを腰の横―――というか足の付け根の部分に在るハードポイントにマウントした後に、日本の武術の一種である“合気”や“柔術”等で使われる体制、“半身”の状態から“転換”と呼ばれる動作を使ってそのまま左手で相手の右手をブレイドの根元ごと引っ掴むと、“一本背負い”の要領でイナクトを投げ飛ばす!!

 

『うおおおおおお!?』

 

接触回線で、中年くらいの男の声が聞こえてきた。

どうやら此方の方に乗っているのが、以前もう一方の青いイナクトに乗っていた人物らしい。

まあ、今は特に気にしていられるような場合ではないので、スルーするが。

 

そうしている内に重苦しい音を立てながら、イナクトが地面に落ちる。

しかし流石にその程度では沈黙してはくれないようだ。

今度は掴まれたままの左腕までパージして起き上がると、連続して蹴りを入れてきた。

直ぐに掴んだままの左腕を棍棒のように振るいながら応戦するも、やはり限界という物がある。

 

「ぎっ!」

 

辛うじて受け切れなかった内の1,2発が腹部に当たり、さっきと同じ様に吹っ飛ばされる。

ただ、今度は特に体制を崩していたわけではなかったので、咄嗟にビームライフルを右手にマウントして、お返しと言わんばかりに3連射する。

 

放たれた光弾は、真っ直ぐに両腕を失ったイナクトへと向かっていく。

が、向こうもよくやるもので、それらをスライディングしながら回避すると、そのまま此方へと再び突っ込んでくる。

 

(……特攻か?それともただ単に馬鹿なだけか?)

 

両腕が無い状態で向こうができる事と言えば、後は蹴りだけだ。

ハッキリ言って普通はそれだけで戦おうなんていうのは自殺行為も甚だしい。

…しかし、このイナクトのパイロットはそれを“実行”した。

その事を疑問に思いながら、迎え撃つ為に、俺はザフキエルの左手にビームサーベルを抜かせる。

 

しかし次の瞬間、イナクトが空中へと飛び上がった。

その背後に見えたのは……先程オレンジのイナクトが捨てたリニアライフルを左手で持って、右手のそれと一緒に此方へと狙いを定めている、青いイナクトだった。

 

「…っ!!!」

 

咄嗟にシールドで防御体制をとりながら、ビームライフルで向こうを狙い打つ。

それと青いイナクトが銃弾と共にミサイルを撃ったのは、ほぼ同時だった。

 

 

 

 

 

 

「ヌグゥ……!!」

 

此方の銃弾に巻き込まれずに落とされなかったミサイルとリニア弾が、全てシールドに着弾し、コックピットをかなりの衝撃が襲う。

それでも此方が体制を崩さなかったのは、単にザフキエル自体の性能のお蔭だろう。

 

気を取り直して、着弾による噴煙をシールドで振り払いつつ周囲の状況を確認する。

するとまず最初に目に入ったのは、正面に居る青いイナクトだった。

どうやら此方の攻撃が上半身の左側を丸々吹き飛ばしたらしく、左腕と背面バーニアの左半分が綺麗さっぱり消えている。

 

次にオレンジ色のイナクト。

青いイナクトの隣に移動しているが、まだその体から発散されている殺気は衰えている様には見えない。

きっとまだ腕が残っていたら、武器が無くても襲い掛かってきそうだ。

 

イナクト二体の後方大体50mくらいの所にサキエルが武器を持った状態で膝を付いていた。

胸部の表面に少し煤が付いていたりする以外は特に傷が見当たらないので……たぶん、鍔競合いの最中至近距離でミサイルの直撃でも食らった時に、軽い脳震盪でも起こしたのだろう。

実際、今見ている感じだと、必死に立ち上がろうとしている感じがするし。

 

で、最後にエクシア。

これが一番問題である。

体制が一切変わってない。

つーかハッキリ言ってなんかダメっぽい。

 

 

…うあー、なんともし難い。

とりあえずイナクト二体は、まだ動けそうなので、また襲い掛かられる可能性は大きいだろう。

ただ、その矛先が問題だ。

もし、このタイミングでサキエルに襲い掛かられたら…まあ、ビームライフルで狙えばいいのだが、下手をすると誤射の可能性がある。

エクシアの方に来られても困る。

その時は一応俺が盾になって迎撃すれば良いが、それでも2対1で碌に動けないエクシアを守りながら戦うと言うのはキツイ。

 

(…どうするかなぁ……)

 

そんな事を考えている間にも、睨み合いは続く。

そのまま5分くらい経った時だろうか?

突如として、イナクト二体はお互いを支えながら撤退していった。

 

(んな!?)

 

突然の行動に、俺は戸惑うが、ハッキリ言って好都合だ。

すぐさまサキエルへと通信を入れる。

 

「サキエル無事か?聞こえているなら返事をしろ」

 

『……う………なん…だ…?』

 

どうやらまだ幾分か辛そうだ。

直ぐにポイントの座標を送りつつ、言葉を続ける。

 

「今送ったのが、合流ポイントだ。追撃されても敵わんから今すぐに向かえ。行けるな?」

 

『っ…あ、ああ。まだ少しふらつくが……たぶん』

 

「そうか…なら、私はエクシアを連れて行くから、先にい【ビー!ビー!ビー!】っ!!何ぃ!?」

 

突如としてコックピットに、ここ最近聞きなれた“あの”警告音が響き渡る。

…って、このタイミングでか!?

やば過ぎるだろう!!

 

「チィッ!!ハロ!!直ぐに再調整開始!!動けるまで立て直してくれれば、後は何とでもできる!!」

 

「任サレタ!!任サレタ!!」

 

「頼む!」

 

咄嗟にハロに指示を出すと共に、各部の細かい調整をする為にキーボードを引っ張り出す。

ハロの方はどうやらリンクを開始したようで、正面のコンソールには膨大なプログラムコードが流れている。

しかし、流石に毎度見ている光景とは言え今回ばかりはそれが遅く感じてしまう。

 

『オイ、どうした!?何があった!?』

 

此方の様子が一変した事に気付いたのか、サキエルのマイスター―――ユリが、心配した様子で問いかけてくる。

心配掛けないようになるべく気持ちを落ち着かせ、できるだけ声のトーンを平坦にして言葉を返す。

 

「いや何、此方の太陽炉が臍を曲げたらしい。出力が不安定になってまともに動けん」

 

『んなにぃ!?大丈夫なのかそれは!?』

 

大丈夫なわけなかろう。

言われると同時にそう口には出さずに愚痴ると、俺はレーダーに目を走らせる。

今の所追撃部隊の影は無いが、レーダーのかなり端っこの方に何やら赤い点がワラワラと……へ?ワラワラと?

 

ハッとしてレーダーの範囲を広くし、確認を取る。

すると縮尺を3kmに設定した時に、“それら”はまるで天気予報の雲のように姿を表した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイ、聞こえているのか!?オイ!!」

 

突如として目をモニターに向けずに、おそらくレーダーがある所に固定して固まってしまったO-01に、私は困惑してしまっていた。

青いイナクトから受けたミサイルの直撃による振動によって、軽い脳震盪を引き起こしていた頭は、今はもう正常に戻っている。

機体の方も特に問題は無い。

 

『……ん?ああ、すまん。ちょっと衝撃的な事が発覚して、意識の外に追いやってしまった』

 

「地味に酷いな!泣くぞ!?……で、一体どうした?」

 

『あ?…ああ…いやはや参った参った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何か知らんが、ティエレンとかアンフとかといった機体ざっと50機位に囲まれているぞ。私達』

 

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?

 

「……は?いや、今なんて…」

 

『だからな、囲まれてしまっているのだ。ざっと50機位の敵に。いやー参った参ったハハハ…』

 

(…おい。どうして笑っていられる?大量の敵機に囲まれているんだぞ?)

 

私が軽く混乱していると、乾いた笑いを漏らしていた彼は、今度は一転して真面目な声色になってこう問いかけてきた。

 

『…で、少し聞きたいのだが』

 

「…んあ?あ、ああ。どうした?」

 

『いや、少し聞きたい事があってな…そっちの機体、何処か故障してたりとかは無いな?』

 

そう言われて、私は反射的に機体の各部をチェックする。

結果、胸部装甲が少し損傷しているだけで、特に問題は無かった。

その事を伝えると、彼は少し何か考えた後でこんな事を言ってきた。

 

『そうか…なら話は早い』

 

「……何がだ?何か少しだけ嫌な予感がするんだが……」

 

『いや、何、簡単な事だ。

 

悪いが、この機体(ザフキエル)を持って、合流ポイントまで行って欲しい』

 

「くたばれ」

 

思わず汚い言葉が口から飛び出してしまったが………ウン。これはこいつが悪いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見上げれば、ザフキエルを抱えて合流ポイントまで向かっていくサキエルが見える。

見下ろせば、未だに倒れたまんまのエクシアのコックピットハッチ。

 

「…さて、お仕事お仕事……っと」

 

とりあえず、ハッチの開放コードは事前に教えられているので、それを使ってハッチを外から開放する。

中を覗き込んでみると、案の定青いノーマルスーツを着た小柄な少女がぐったりとしているのが見えた。

ゆっくりと中に入っていき、ヘルメットのバイザーを上げて呼吸と脈をチェックする。

…どちらも特に問題は、無い。

どうやら疲れ果てて眠ってしまっているだけらしい。

その事に内心ホッとしながら俺はエクシアの操縦桿から彼女の手を退かすと、丁度彼女の前の方に座りながら機体を動かす。

 

ギュオォォーン……という、そんな音を鳴らしながら、エクシアがゆっくりと立ち上がる。

それを確認してから刹那をシートから下ろし、入れ替わりに座ってから彼女を抱えるようにして座らせる。

……役得とか思った馬鹿。ちょっと後で来なさい。

そんな事思えるような状況じゃないからなこっち。

 

…さて、ここで何故俺がこんな事をやってるのか簡単に説明しよう。

ぶっちゃけると、このままエクシア動かして逃げます。

……いや、ちゃんと理由もある。

 

一つは刹那の今の現状だ。

かなり消耗している今の彼女では、おそらく逃げている途中で気絶してしまう可能性がある。

故に俺がこうやって、代理でエクシアを動かしているわけだ。

流石にOガンの直系機だけあって、中々シックリ来る上に動かしやすい。

 

二つ目はザフキエルの現状。

出力不安定な現状であれを動かしてここから逃げるのは、流石の俺でも無理という物である。

今のところハロが調整を続行しながら何とか動ける所まで持って行ってくれてはいるが……それでも“動けるだけ”である。

これではアッサリと捕捉されてしまう可能性がある。

一応サキエルに抱えて持って行ってもらったが、半分位は賭けだ。確率は五分五分だろう。

ま、彼女の技量なら大丈夫だと思うが。

 

そして残る三つ目は……

 

 

 

 

 

 

「っ!」

 

咄嗟に機体を捻って上空から飛んできた砲弾を避ける。

これは…多分ティエレン長距離射撃型の大砲だろう。

どうやらもう来たようだ。

 

「…っし。やるか。地獄の修行よかマシだろ」

 

そう言いながら、GNソードを展開して再び飛んできた砲弾を真っ二つにぶった切りながら、砲弾が飛んできた方へと直進する。

オーウなんという性能か。

多分Oガンダムでは無理である。

流石は近接特化の第3世代機という所だろう。

面目躍如というべきか。

 

と、暫らく飛んでいると案の定長距離射撃型が3機。通常の地上型が1機。

そしてアンフが3機いた。

何故か全機体右肩が赤かったが…まあ、特に問題ではない。

 

向こうも一気に自分達に接近してきたエクシアに気付いたのか、弾幕を張ってくる。

しかし、そのどの攻撃も先程のイナクトや普段の地獄の修行の敵と比べれば遥かに遅い。

一気に接近してから左手に持ったビームサーベルと右手のGNソードを使い、アンフを全機纏めて胴切りにする。

そのままわざと体制を崩して、ライフルモードにしたGNソードで長距離射撃型の主砲を吹き飛ばし、序でと言わんばかりに脚部も吹き飛ばす。

そこで地上型がカーボンブレイドで切りかかってきた。

すぐさまハンドスプリングの要領で飛び上がってそれを回避するも、今度は右腕の滑空砲で狙ってくる。

どうやら予め初撃を回避される事を予測していたようだ。

 

身体を捻ってそれを回避すると、もう一度滑空砲でこちらを狙ってきた。

それを回避しながら、GNダガーを地上型と長距離射撃型の二体に投擲する。

結果は命中。

2本とも相手のコックピット下の腹部に当たった。

当たり所ならぬ刺さり所が悪かったのか、二体はモノアイから光を無くしてから一切動かなくなった。

 

「ふぅ…」

 

思わず口から溜息が出る。

出たような気がした。

 

 

 

その時だった。

 

(……?)

 

不意に、装甲に何か当たったような音がした。

疑問に思って、目を下に向ける。

 

そこに、居た。

 

 

人革連のティエレン用スーツを着た数人の兵士が、

 

 

 

その手に銃を持って。

 

 

銃口を此方に向けて、

 

 

 

 

そこに立っていた。

 

(……は?)

 

思わず内心「馬鹿か?」と呟いてしまう。

そんな豆鉄砲でMSの、しかもガンダムの装甲を抜けるとでも思っているのだろうか?

…まあ、確かにカメラアイ等に当たれば効果は有るかも知れないが……

 

と、其処まで考えた所で、

 

――――――!!!

 

警告音が鳴り響いた。

咄嗟にその場を飛び退くと、コンマ5程遅れて、先程までエクシアが立っていた場所一帯に砲弾の雨が降り注ぐ。

着弾により上がる爆風、砂塵、倒れ伏していたティエレンやアンフの破片。

 

…その中に混じって飛び散る、赤い塊、液体、衣服の切れ端、銃の破片。

そして――――人間の首ぐらいの大きさの、ボールのような、物。

 

「―――――――――――――」

 

それを認識した瞬間、喉の奥―――胃の部分から、何かが込上げるような、そんな不快感が一気に襲い掛かってくる。

それを歯を食い縛りながら一思いにに飲み込むと、直ぐに意識を切り替えて砲弾が飛んできた方を睨む。

 

案の定その方向にはピンク色の目玉を持った無数のティエレンやアンフが、団体で此方に向かって来ていた。

目測大体20機。

その後ろからも、続々と後続の部隊が近付いて来ているのが見える。

 

ふと、抱えている刹那を見る。

相変わらず、意識は無い。

ただ、呼吸音等から先程よりもマシな状態である、という事だけは分かった。

――――それで、十分。

 

無意識に舌で乾いた唇を、舐める。

目を見開いて、敵の動きを見据え続ける。

操縦桿を握る手に力を込め、フットペダルに乗せた足を何時でも動けるように強張らせる。

 

目的は、敵の全滅ではない。

――――そう、“敵の全滅”ではない。

目的はただ一つ……『この戦域からの離脱』

ただ、それだけだ。

あの“地獄の修行”よりも遥かに難易度は低い……筈だ。

 

「…………」

 

沈黙。

 

聞こえてくるのは自身の少々荒い呼吸音。

心臓の音。

エクシアの駆動音。

そして――――敵部隊の足音。

 

「…………………………ふぅ」

 

敵はまだ撃っては来ない。

そんな状況が何時間…いや、何日も続くのではないかと思えるような静寂の最中、思わず溜息を一つ。

 

 

 

 

 

………それが引き金だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

轟く発砲音。

そして、大量の加速音。

それは、俺に敵の攻撃が始まった事を知らせた。

 

同時にエクシアを一気に最大速度で敵の群に突っ込ませる。

最早文字通りに“弾幕”といえるような状況の中、確実に一発一発を避ける。

それでも避けきれない物は、シールドで防御、もしくはGNソードやロング、ショートソード。

或いはビームサーベルで切り落としていく。

 

気付けばもう目の前には、突っ込んできた敵部隊の第一波。

反射的にGNソードで縦に両断する。

序でにそのまま縦方向に回転しつつ、その後ろに居た敵機に踵落としを決め、カメラを潰す。

その反動を利用して、後ろへと一回転しながら飛び去る。

着地。しかし勢いを殺し切れずに、膝を深く曲げてしまう。

その隙を逃さず、両脇からカーボンブレイドでアンフが2体切りかかってくる。

それを敢えて体制を崩す事で避け、敵が勢い余って空振りした所で、ライフルモードのGNソードを使い、コックピットを打ち抜く。

 

キチンと敵機の撃墜を確認しない内に、その場からスラスターを全開にして退避する。

瞬間その場に着弾する砲弾の雨霰。

巻き込まれ、爆散していく敵部隊のMS。

それらはそのまま砂漠に新たな汚い花火を咲かせる。

同時に巻き上がる砂塵。

序でに磁気嵐まで起こり、優秀である筈のエクシアのセンサーにすらノイズが奔る。

…ただ、エクシアでさえこれだけの影響を受けるような磁気嵐だ。

ならば、ティエレン系統やアンフのセンサーに出る影響は尋常ではない筈……

 

そう思いながら、砲弾を避けつつ、奴さんを見る。

案の定それは正解だったようで、此方から見て手前の方にいる一団は、ほぼ全機動きがおかしくなっていた。

これ幸いとばかりに、そいつらの上を跳び抜けて、先程から延々と砲撃を続けている長距離射撃型の一団を探す。

跳び抜けてから一瞬の間の後、後ろから幾つかの着弾音が聞こえた次の瞬間、爆音が鳴り響く。

が、勿論何一つ確認もしないし気にも留めない。

そのまま全力で飛び続ける。

 

砲弾の雨と爆風の森は、いまだに衰える気配を見せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アムロがエクシアを駆ってティエレン系統及びアンフの混合部隊と交戦をしているとほぼ同時刻

 

タクラマカン砂漠 三大陣営合同演習地範囲外

人革連に割り当てられた仮設駐屯基地:司令部

 

「…此度の救援、感謝します。閣下」

 

「礼はいらん。丁度私もどんな物か見ておきたかったのだ……ガンダム、をな」

 

―――………白々しい。

 

目の前に立つ自分よりも高い階級の男に対して、左目の上から頬にかけて大きな傷跡を持つ男―――――人革連軍中佐“セルゲイ・スミルノフ”は、軽い嫌悪感を覚えた。

口ではこう言っているが、実際の所、彼の標的は自分達だったのだろう。

その目に浮かぶ若干の落胆が含まれた光を見て、セルゲイはそう考察もした。

 

“カルロス・A(アクシオン)・ペールゼン”。

普段、自分よりも立場が上の人間に対して、些細な事に至る所まで礼儀を失する事の無いセルゲイも、この男に対してだけは細かい礼儀をする事を躊躇っていた。

 

歳は49と、彼よりも若干年上。

軍需産業から身近な日用品まで、ありとあらゆる分野の企業を参加に置く“アクシオン財団”の元御曹司にして、現人革連軍准将。

しかしその高い能力は他に類を見ない物で、会社経営、株取引、軍事指揮、MS操縦技能、機械技術etc……………と、とにかく多才である。

現在では若い時よりも歳を取ったとはいえ、それらの能力は未だに衰える所を見せる事はない。

同時に、自身の持つ豊富なコネクションを一切使わず、軍学校から自分の力だけで今の地位に上り詰めた生粋の叩き上げ軍人である事から、同じ様な叩き上げの軍人からの憧れの的でもある。

 

……しかし、実際の所、彼はかなり物事に関してドライであり、同時に目的の為に手段は選ばないときた。

例としては次の様な出来事が挙げられる。

今から数年前の事である。

当時、セルゲイはカルロスが新たに新設した特殊部隊の査察の為に、彼が当時赴任していた南京近くの基地まで赴いていた。

理由は至極単純でありながら、同時に曖昧な物であった。

カルロスは当時、新たに配属されたメンバーの中から飛び切り高い能力を持つ者だけを選別し、合格した者だけを受け入れるというスタンスでその部隊を運営しており、その選別方法があまりにも度を越している物だという噂を上層部が小耳に挟んだからだ。

 

その方法とは……所謂“共食い”。

新たに入って来たメンバーは最初、“模擬戦”という名の下に古参のメンバーとMSに乗って戦わせられる。

しかし、実際は両者とも模擬弾一切無しのガチ戦闘。

無論、古参のメンバーはその事を知っている為………いや。

“知っているからこそ”、新任のメンバーを“全員殺しに掛かる”。

つまりこれは、先輩から後輩への所謂“洗礼”というものだ。

この共食いという鬼畜の所業を生き残れた者……いや、“物”だけが、その特殊部隊への参加を認められていた。

 

もう一つは、自身の特殊部隊が果たして何処まで実力をつけたのか確かめる為に、大混戦のドサクサに紛れて味方の部隊を一個丸ごと壊滅させた、という物だ。

ただ、これは偶々その部隊が参加していた作戦が本当に泥沼の大混戦に突入してしまい、その状況下で、本当に味方の部隊が一個丸ごと壊滅してしまった事から作り出されたデマであった。

 

………筈、だったのだ。

 

セルゲイは当初この査察任務の事を上司から聞かされた時、真っ先に上層部の頭を心配した。

たかが噂の確認……その為だけに、MS2個小隊を彼の護衛として付かせようとしたからだ。

彼も当時は既に少佐の任に就いていたから、護衛の一人や二人くらいは付くだろうとは思っていたが、まさかのMS2個小隊である。

 

兎も角、彼はその護衛を丁重に断った。

しかし上層部は何を思ったのか、今度はMS5個小隊を護衛にしようとしてきた。

流石のセルゲイもこれには「何かあるのでは?」と思い、妥協点としてMS1個小隊を護衛にさせてもらい、その4日後、当時の任地であったモスクワから南京まで飛んだ。

 

はたして彼がそこに辿り着いた時、真っ先に出迎えてくれたのは、意外な事にカルロスその人だった。

これにセルゲイは面食らってしまい、思わず呆然としてしまう。

そのまま基地までリムジンで案内され見せられた物は、何処までも統制が行き届いた隊員達による歓迎。

これで更に呆然としてしまう。

そしてそのまま司令室まで案内された時には、もう既に全てが終わっていた。

 

カルロスは司令室に、これまで自身がしてきた事の全てを記した物―――――後に人革連軍内部で『禁書』として忌み嫌われる物だ―――――を用意していた。

その内容を見せられた瞬間、セルゲイは驚きのあまり言葉を失う。

 

そこに書かれていたのは、あの共食いや、デマだと思われていた、あの味方襲撃も含めた、非人道的――――――というよりかは、兵士を“物”としてしか見ていないような――――――訓練や、適性検査の数々。その詳細な内容だった。

 

無論、基本的に善人であるセルゲイも、これを見た瞬間声を荒げて彼に詰め寄った。

 

「兵を――――いや、人を一体なんだと思っているのか!!」

 

――――と。それに対してカルロスが返した言葉は、一瞬でセルゲイをゾッとさせる様な物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の下にいる以上、奴らは人革連軍最強の部隊として戦うだけの“兵器”だ。

 

 

 

 

……………それ以上に、何か理由が必要かね?少佐」

 

 

 

 

その一件以降、セルゲイはカルロス・A・ペールゼンを、公人、軍人としては嫌ってはいないが、一個人としては彼に良い感情を抱いてはいない――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「准将。長距離射撃型ティエレンの損耗率が全体の70%に達しました」

 

その言葉で、若干過去に思いを馳せていたセルゲイは、意識を現実に戻す。

見れば、自身がカルロスに礼を言ってから、まだ15分程度しか経ってはいない。

 

「部隊全体の被害は如何程か」

 

カルロスが淡々と部下に問う。

対する部下も、それに対し淡々と答えた。

 

「投入した50機の内、既に48%が戦闘行動続行困難な状況下に追い込まれています。内5%は、我が部隊の長距離射撃型の集中砲火を利用して撃破した模様」

 

「…フム、予想以上だな。たったの10分足らずで我が部隊の精鋭24を、たった一機で撃破、か…」

 

言いながら、彼は司令部の天井に取り付けられていた幾つかのモニターの内の一つを見上げる。

攣られてセルゲイもそのモニターを見る。

映っている映像は、おそらく部隊に組み込まれている偵察型から送られてきている物なのだろう。

正しく雨と形容出来る様な砲弾の嵐の中でたった一機のトリコロールの機体に襲い掛かっていくティエレンの集団の姿が見える。

直後、トリコロールの機体は砲弾の嵐を避けつつ、襲い掛かってきたティエレンの胴を右手の大剣で纏めて斬り飛ばし、次の獲物を探すように姿勢を低くして走り出す。

走り出して直ぐに別のティエレンが滑空砲で狙うが、トリコロールの機体はまるで来るのが解ってたと言わんばかりに腰から抜いたビームサーベルを左手で振って砲弾を切り捨て、そのまま腕から小型のビーム弾を投射して、ティエレンのコックピットを潰した。

 

(……ガンダム。)

 

ポツリ、と、セルゲイは心の中で呟いた。

自身の目に映るあの機体……その機体は、以前セイロン島で交戦したあの近接戦闘用の機体だった。

あの時、自分はあの機体に乗っている人間に、少女のようなイメージを持った。

……だが、今は如何だ?

 

また、モニターの中でティエレンが撃墜(おと)される。

今度は長距離射撃型だ。

近くに居た同じ小隊の仲間であろう機体がガンダムにカーボンブレイドで挑みかかるが、ガンダムはその腕を左手で引っ掴み、そのまま身動きが取れなくなった所を右腕のソードで真っ二つにした。

 

(…動きが、違う。)

 

少なくとも、あの日セイロン島で相対した時とは確実に。

また、機体が破壊された。

もう既に先程のカルロスとオペレーターの男との会話からは、10分が過ぎている。

そして、その間も、モニターの中でガンダムは戦い続けている。

まるで、戒めから解き放たれた悪魔の如く、襲い掛かってくるティエレンやアンフを一撃で破壊し、物言わぬ骸にしていく。

降り注ぐ砲弾の雨を全てかわし、あまつさえそれを利用してこちらの機体を確実に戦闘不能にし、果てには出所を確認し次第、優先的に右腕のソードを変形させたビームガンで、吹っ飛ばしていく。

 

ふと、ガンダムの目が此方を向いた。

瞬間、背筋に寒気が走る。

まるで、自分が猛獣に追い詰められた獲物の様な、そんな気さえする。

 

と、次の瞬間、ガンダムが一気に巨大化した……いや、厳密には、“カメラを持っていた偵察型に急接近した”が正しいのだろう。

事実、直後からそのモニターからは何一つとして情報が入ってこなくなった。

映っているのは灰色のノイズだけだ。

 

「……今ので、部隊の約、78%が戦闘不能に陥りました…」

 

先程まで、淡々と機械の様に状況報告をしていたオペレーターも、流石に驚愕で声が震えている。

…それもしょうがないのかもしれない。

何せ機体性能はあちらの方が圧倒的に上だとは言え、1:50というこの戦力差を事実上無傷で覆しかけているのだから。

同時に、彼らは“あの”カルロス・A・ペールゼンが育て上げた、彼自慢の“人革連軍最強の部隊”なのである。

少なくとも雀の涙ほどのプライドくらいはあったのだろう……………………たぶん。

それよりも、彼の興味は直ぐに彼らの上司に向けられた。

部下ですらこうなのだから、もしかすれば当の本人はもっとショックを受けているのではないか――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それは間違いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……らしい」

 

その声が聞こえた瞬間、セルゲイはギョッとしてカルロスの顔を見る。

その瞬間。

 

「素晴らしい!!!」

 

カルロスが、感嘆の声を上げた。

続けて彼は言葉を繋げる。

 

「素晴らしい、素晴らしいぞ!!この私が半生をかけた我が部隊をたったの30分弱で壊滅寸前まで追い込む!?有り得ん、有り得ん事だ!!だが現実にこれは起きている!!!恐るべき事。そう、恐るべき事だ。しかし、最強を名乗るのであればあれだけの技量が無くてはならない!!」

 

そう、喜色満面の笑みを浮かべながら言った後、カルロスはその表情のまま、セルゲイに振り向いた。

そしてこう言う。

 

「中佐!やはり今日、私はここに来た意味があった!!いや、感謝するよ!!君達が全滅していたら、今日、此処、この時間に、私はこれを見る事は敵わなかった!!!」

 

彼がそう言った瞬間、レーダーに映っていた味方の意味を示す為の最後の光点が消え、同時にオペレーターの悲痛な声が響き渡る。

 

「我が部隊の損耗率、80%に達しました!!」

 

「ガンダム、現戦闘区域を離脱していきます!!」

 

それを聞いても、カルロスは眉根一つ動かさず、表情に笑みを貼り付けたままだ。

彼はその表情のまま、部下に指示を出す。

 

「現司令部に残っている戦力は?あるのであれば、生き残っている残りの10機と、運良く生き残って未だに砂漠に転がっているであろう連中の回収に行かせろ・・・・・中佐。君達の部隊も、貸してはくれないかね?」

 

それを聞いて、セルゲイも数瞬目を閉じて考えた後、はっきりと口にする。

 

「……了解しました。我々もそちらの部隊の救援に当たらせて頂きます」

 

「結構」

 

そう言いながら、彼は満足そうに頷く。

それを見たセルゲイは、「それでは」といって司令室を出ようと踵を返した。

が、その背中にカルロスが思い出したかのように声を掛ける。

 

「ああ、そういえば、これを機に我が部隊も何か部隊名を名乗ろうかと思う」

 

その言葉を聞いて、セルゲイは驚いた。

 

「…まだ、無かったのですか?」

 

「ああ。何時か付けようとは思っていたのだが……なぜか、何時の間にか“赤肩”と呼ばれていてな」

 

心外だ、と呟いてから彼は黙った。

それを聞いて、セルゲイは彼にこう問いかける。

 

「……閣下には、何か候補がお有りで?」

 

それは、もうさっさとこの男から逃げたいというのも在ったし、早く救援に行きたい、というのも在ったからこその言葉だった。

それを聞いたカルロスは、今度は苦笑いのような顔になってこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ。

 

 

 

 

 

もういっそ開き直ってしまって――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――“レッドショルダー”とでも名乗ってしまおうかと思っている―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人革っぽくは無いがな」

 

そう言って、彼は苦笑を深くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これっでぇ……40ぅ!!!」

 

40機目を、GNソードのライフルモードで撃墜する。

残りは10体だが、距離が少しあるので頑張れば逃げ出せない訳ではない。

 

(はあ……)

 

溜息が出てくる。

いや、本当に。

…ただ、まあ、これ位減らさないとと、逃げられなかった感はあったけれども。

 

チラ、と刹那の顔を覗いてみる。

まだ眠っていた。

あれほど激しく動いたというのに……肝が据わっているというかなんと言うか……

 

「……帰る、か」

 

言いながらエクシアを飛ばす。

後ろから残った地上用ティエレンやアンフが一斉に滑空砲を放ってくるが、元々長距離用ではない上に戦闘時に起きた砂塵の影響で磁気嵐までおきている為、レーダーもイカれているらしい。

全部が明後日の方向へと飛んでいく。

長距離射撃型がいればもっとマシな結果になったかもしれないが、そいつらはもう既に全滅している。

 

…あ。

そういえば、ネーナからパフェを作れと言われていたような気がする。

とにかく合流地点には今頃皆居るだろうから………何とかなる、かな?

 

と、次の瞬間空が血の色に染まる。

どうやらネーナがステルスフィールドを発動させたようだ。

……今更かよ、と口の中で毒づくも言っても意味の無い事だと自分に言い聞かせて、その後に続きそうになった愚痴を飲み込む。

 

「……ん………くぅ…………」

 

不意に刹那が声を漏らす。

どうやらそろそろ起きるみたいだ。

そんな刹那を見て、微笑ましいと笑みを零してから、再び真顔になって正面を向く。

理由は簡単。

これから、今回のミッションの事後報告の為に、トレミークルーと合流する事になるのだ。

具体的に言うと、チームトリニティの説明しなきゃならんからだが…

 

「ああ…気が重い……」

 

言っても、いつもの様に返してくれる相棒は居ない。

その事で更に空しくなって、再び溜息が出る。

古来から溜息を吐くと幸せが逃げるというが……だとしたら、俺は今年に入ってからどれだけ幸せを逃がしているのだろうか?

 

「……ハァ………」

 

再び幸せが逃げていく。

同時にドッと疲れも押し寄せる。

眠気も襲ってきた。

……なんだか、最近いろんな意味で踏んだり蹴ったりな気がする。

 

そんな俺達を乗せて、エクシアは悠々と真っ赤に染まった空を飛んで行く。

まるで、血で出来た川の流れに逆らうように、緑色の粒子を出しながら。

 

 

 

 

 

 

「ハァ……」

 

再び、俺は溜息を吐いた。

盛大な物だったので、きっと一気に幸せは逃げていっただろうな。そう思えた。

 

 




如何でしたでしょうか?
どうも、雑炊です。

今回は前回のあとがき通り、“あの部隊っぽい物”を出してみました。
……まあ、ほぼ完全にパチモノですが。
因みに当時はあの部隊書くために野望のルーツとか土日潰してほぼ全部再び見直しました。
…うん。あれは描けない。私の力なんかじゃ全然……

と、言うわけで解説です。
とりあえず今回出した部隊は、あの部隊の前身みたいなもんだと思ってください。
今後メインで出てくる予定はありませんが、後々外伝みたいな物を書く予定なので、それで出そうかなとか思ってます。
(まあ、厳密に言うと、出し様が無い、と言った方が正確かも知れませんが)

そしてセルゲイさん初登場。
そこまでいい所も無く初登場。
好きなキャラの一つだと言うのにこの扱い……!

まあ、二期でメッチャ頑張って頂きますがね。色々と。



そして次回は初っ端からプトレマイオスに突撃します。
あ、いや、比喩表現ですよ?

・・・・さて。三馬鹿ならぬ三兄妹を纏める為に、アムロにはもうちょっと働いてもらうかなぁ・・・・・


それではまた次回。

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