ガンダム00  マイスター始めてみました   作:雑炊

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大変遅くなってしまいました。

仕事が忙しくなったのもありますが、ちょっとそれ以外にも要因あるかなー?と自分では考察しています。

……というか、なんか↑の文章もなんか変な感じ……


まあ、そんな事は置いといて。

というわけで最新話です。
内容は……題名からわかるかなーという感じですね。
では、本編をどうぞ。


色々と終わりに向かって来た頃の話
二十四話――――――間抜けに顔バレし真実知って


逃げ道など無かった。

 

そう思いながら自分の状況を鑑みる。

パイロットスーツを着たまま、相棒共々ココ(独房代わりの一室)に閉じ込められている。

そもそもの段階でアイツを連れてアイツが居る此処に来たのが間違いであった。

精神的に不安定になってる女の子を連れて動き回りすぎた自分にも原因があると思うが、兎に角その時点で逃げ道はなかったのだと思う。

 

相棒共々開かぬドアを見上げる。

固く閉ざされてはいるが破壊できぬわけではない。

が、その結果として起こるゴタゴタを考えると、どうしても実行に二の足を踏んでしまう。

 

 

 

どうにもならん。

 

 

 

そう心の中で呟いてから、俺は再度相棒とともに溜息を吐いた。

 

 

……というかお前そんな機能まで追加していたのか。

なんかシュールだ。

 

 

事の起こりは約3時間ちょいほど前に遡る。

 

「OよりPへ。お宅の緑が満身創痍で宇宙に漂っていた。燃え尽きてはいない。着艦を許可されたし。繰り返す」

 

言いながら幼児をあやす様にネーナの背を叩く。

おそらくは、まあ、限界だったのだろう。

先程から必死に声を出さないようにしていたが、ボロボロ涙を流して泣いていた為に仕方なくメットを外してあげて、そのまま泣かせていたのだ。

 

……前みたいにしがみついて来て離れなくなったのは誤算だったが。

 

「裏山ギリィ」

 

「それ以上言ったら戦争だかんな相棒」

 

言い合いながらもキッチリ操縦とサポートが出来てる辺り俺らだなぁなどと思いつつプトレマイオスへと着艦する。

ここからが面倒である。

 

何せ今回は以前とは違って身バレの可能性が異常に高いのだ。

理由は言わずもがなネーナである。

この状態、不安定な精神状態の彼女に何を言った所でその信頼性は低い。

些細な事からボロが出る可能性がある。

一応出る前に言い含めてはいるが………ぶっちゃけ信用はできない。

 

「…………ままならねぇなぁ……」

 

そうポツリと呟いて虚空を見る。

 

誰からも返事は来ない。

 

解っていた事だがそれは少しの寂寥を心に感じさせた。

 

 

プトレマイオスに着艦した後はとりあえずネーナを降ろした後、相棒と共にロックオンさんをOガンダムの手の平から地面へと移す作業が始まる。

無重力状態なので地上と比べれば負担は減るが、それでも意外と重労働である。

ただ単に手を引けば良いというわけではない。

というか相手が怪我人の時点でそれはダウトだ。

先ずはコクピットから簡易のストレッチャーを引っ張り出す。

折りたたみ式にしてアルミ製。

多分ちょっと力を込めれば一気にヘシ折れそうな見た目に反して、ある程度の剛性を持つように各パーツが構成されているので、何気に鈍器としても使用可能な一品だ。

 

……何故こんな物がOガンダムに突っ込まれているかなどは知らん。

というかいつの間に突っ込まれていた?

何気にあそこも相棒の中と同じように、最近若干四次元ポケット化してるんじゃないかと思ってしまう。

 

……無いよね?

 

 

閑話休題(それは兎も角として)

 

 

「ドーモ。キュウゴ=ハンです」

 

「なんだその言い方はオイ。何処のニンジャだお前さんは」

 

「失敬失敬……何分、ちょっと気分を変えたかったので」

 

思わずポロっと漏れた。

おっと、と呟いて口元を抑える。

どうやら俺もそこそこにショックを受けていたようだ。これは拙い。

 

深呼吸を一つしてから再度ロックオンさんに顔を向ける。

バイザーのお蔭でこっちの表情は読み取れないはずだが、向こうはそんな俺の様子を見て、少し顔を伏せていた。

 

「…スマン」

 

「キニスンナ。キニスンナ」

 

「相棒、それ俺のセリフ」

 

言いながら相棒を小突く。

…と、同時に相棒の声にいつもよりも力が入ってない事に気付く。

コイツにしては珍しく空気を読んだのだろうか?

……或いは?

 

(…まさか……ね?)

 

フッと浮かんだ事を頭の隅から追い出す。

そんな事に構ってる暇は無いのだ。

 

「相棒、そっち持て。ストレッチャー開くから」

 

「OK。OK」

 

言いながら相棒と共にストレッチャーを開いて、その上に目標の怪我人を乗っける。

マジックテープ付きのベルトで体を固定するタイプなので、あまり締め付けないように固定する。

それでも少しキツかったのか、バイザーの下でロックオンさんが顔を歪めた。

 

「グッ」

 

「あ、失礼」

 

「っ……いや、大丈夫だ。ちょっと腕が痛んだだけだ」

 

「いや、駄目でしょ」

 

そう言いながら相棒と共にストレッチャーを移動させる。

目指すはDrモレノ氏の城である医務室である。

状況が状況だけに若干急ぎ気味なのはしょうがない、としても傷に響くのでそんなに無茶なスピードは出したりしないが。

 

 

 

医務室に到着すると中から金色の短髪にサングラスで白衣というこう言うとアレだが中々特徴的な男が飛び出してきた。

みんなお馴染みプトレマイオスの医務室の王、Dr.モレノである。

おそらく現在のCBにおいては最も医学に精通し、同時に人の扱いに長けている人間と言える。

…あと、何気にイノベイドのことについて気が付いており、専用の医療マニュアルで組んでいるというのだから驚きである。

ちょっと師匠対策のために拝見したいと思うのは悪いことなんだろうか?

 

…とと、思考がズレた。

 

「せんせー、急患でーす。ハンコお願いしまーす」

 

「宅配業者か!?……ってグゥォォォォォ……」

 

「ナイスツッコミと褒めたいですが状況をもっと鑑みましょう」

 

「…その言葉は君に贈られるべきだな。ともあれロックオン。皆を心配させた上にこうやって死ぬ一歩手前の状態で此処に居るんだ。今のはその罰と思って素直に受け止めなさい」

 

そう言いながら彼はロックオンさんをストレッチャーから診察台へと移す準備を始めた。

俺も慌ててそれを手伝う。

何と言うか大人だなと思って暫し呆然としてしまった。

あんな事が言える大人になれればなぁ……少なからずそう思う。

 

……忘れられてはいないと思うが、俺まだ16のガキだからね?

 

 

 

アムロの背中が遠くなっていく。

ストレッチャーに緑色のノーマルスーツを着た人を乗せて、運搬していく。

その行動自体に恐怖は湧かないけれども、そこから連想されることに恐怖を抱いてしまう。

 

「――――――」

 

何かを呟こうとして口を開いて―――何を呟けば良いのか解らなくなって、口を閉じる。

さっきからこれの繰り返しだ。

Oガンダムの足に寄りかかりって、そうしている様を客観的に見るとバカみたいだと思う。笑えてくる。

 

でも、口からは乾いた笑い声すらも出なくって。

 

「……」

 

視線を彷徨わせて何度も確認する。

もしかしたら、これはにいにいズとアムロが仕掛けてきている盛大なドッキリなんじゃないかと思って、今にでもミハ兄とヨハン兄がひょっこり出てくるんじゃないかと―――

 

 

 

 

 

 

 

(――――――バカじゃないの?)

 

 

 

 

 

心の中の冷静な部分にそう言われて、一気に現実に引き戻される。

そう、馬鹿なんだ。

二人は死んじゃったのだ。それを認めたくないから、そんな馬鹿な事を思っているんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どっかのいつかのどっか

 

 

「ブェックショイ!!!」

 

「うわ、きたねえ!!」

 

「何やってんだよロン毛!」

 

「…っ。うっせぇな……誰か噂してんだろ」

 

 

 

 

 

 

今なんか見えたがぜったいに幻覚だと思う。

 

そう思うことにする。

 

「…ハァ……」

 

泣くだけ泣いたからか、涙は出ない。

代わりにどこか穴が空いた様な気分で憂鬱になる。

さっきまでの、あの本当に身を掻き毟りたい程の悲しい気持ちが、まるで溶けて無くなったのかのようだ。

悲しいという感情はあるのに、それがそこまで表面化しない。

 

 

 

『人間は慣れる生き物だ』

 

アムロやミハ兄と一緒にあのCBの施設に居た際、暇潰しに目に入れた本に載っていた言葉が思い出された。

旧時代―――とは言っても、21世紀初頭に売り出された物だ―――のロボットアニメのノベライズ本に書かれていた一節だったと思う。

その本の中では、その言葉を言った中年の男が初めて人を撃った時には手が震えたのに、段々と震えなくなっていったという体験談が一例として出されていた。

 

そこまで思い出したところで、こう思う。

 

 

 

自分も、そうなんじゃないのか?と。

 

 

 

ひゅっと息を吸い込んで、ゆっくりと吐く。

言葉が、出ない。

否定しようとしても、何も思い浮かばない。

自覚があるからだ。

 

考えてみれば、ヨハン兄の時もそうだった。

あの時は酷く悲しくて、悲しくて、情緒が不安定になっていたと思う。

 

でも、今はどうなんだろう?

 

 

「…………」

 

目を閉じて、ヨハン兄を思う。

確かに悲しみや寂しさは感じる。

あの声がもう聞けないし、話す事も出来ない。それを再度理解して、涙が滲む。

 

 

でも、それだけだ。

 

あの時みたいに、取り乱したりはしない。

 

 

自覚する。

あたしは既に、“家族の死”に慣れている、と。

 

 

「……っ…ハ……ぅ……」

 

途端に酷い吐き気を感じた。

それは自分自身に対する……嫌悪から来る物だったのか。

それとも、人という個体に対する嫌悪感か。

 

考えてみればおかしいのだ。

自分以外の人間も、家族が死んで悲しむが、大体の連中はそう時間も掛からぬ内に立ち直る。

ドラマとかだといつまでも引き摺る人がよく描かれているが、現実ではどうなのか?

きっと、そう言う人は極少数なのだと思う。

或いは、支えてくれる人が居らず、自分一人で何とかするしかなかった人なのだろうか?

 

考えが纏まらない。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒッ………う………ぁ……」

 

動悸が早くなり、マトモに居られない。

ひどく気分が悪かった。

酷く自分が気持ち悪かった。

 

 

 

 

安心したかった。

誰か近くにいて欲しい。

誰でも良いから。

 

 

 

誰でも良いから、今のあたしを慰めて欲しかった。

 

 

 

 

ロックオンさんの搬入(失礼)も終わり、俺は今ブリーフィングルームで相棒と共に残りのマイスター達、そしてスメラギさんと打ち合わせ…と言っていいかは疑問だが、そんな事をやっていた。

 

「―――というわけでこちらに残っているのはオーバーホール中のスローネドライ。それから、私の扱っているOガンダムだけです。実質動かせるのはOだけなので、事実上は1機だけと考えて頂きたい」

 

「…キツいわね…敵の殲滅を考えなければ何とかはなる……そう考えたいけれど」

 

「十中八九そうは行かないでしょう。次は相手も本気でしょうし」

 

「…そうね……」

 

相手―――つまりは国連大使。裏切り者である。

師匠からのGOサインが出たことで、あたかも最近知りましたと言う風に向こうに報告する。

少々の嘘と大半の事実―――これで大体の人間は騙せる。

或いは惑わせる。

信頼関係があれば、騙せる方向で事を進められる。

 

師匠から習ったことだ――――――だが、この状況ではリスクがデカイ。

無論、原因はネーナだ。

 

さっきチラとバイタルチェックをしたら、脳量子波が乱れ、他のバイタルも乱れているのが確認できた。

思わず汗が流れる。

これが吉とはならない事はもう余裕で推測できる。

だとすれば、今やらねばならない事は何か――――――

 

 

「……まあ、今ここでこうしてウダウダしていても何も変わらないでしょう。兎も角、こちらは一旦戻らせていただきます。Oガンダムを本気で動かすならば、今の兵装ではあまりにも不安要素が大きい。なればこそ、万全の状態にして、直ぐにバックアップに当たれるようにしたい」

 

そう言いながら、スメラギさんを見る。

向こうもその事には理解を示してくれている。

こくりと無言で頷いてから、アイサインでOKを出してくれた。

それに片手を軽く上げる事で感謝を示すと、踵を返して部屋から出る。

 

……が。

 

 

 

 

 

「刹那。見送りお願い」

 

「ああ……は?」

 

「ハイ?」

 

そんなスメラギさんの一言で、一瞬動きを止めてしまい、俺はそのままドアの向こうの壁に激突した。

 

 

 

 

 

 

アムロと刹那が退室したブリーフィングルーム。

そこでスメラギは一人、難しい顔をしながら黙り込んでいた。

 

しかし、それは今の状況に対しての物ではない。

先程の人物についてだ。

 

「……やっぱり、妙よね」

 

「? 妙…って?」

 

そう、ユリが訊ねてくる。

それに首肯しながら、スメラギは淡々と言葉を紡いだ。

 

「まず第一にさっきのあの情報。おそらく、あれ嘘よ。…とは言っても、全部が嘘じゃない。おそらく、最近知ったという事が嘘なのよ」

 

その言葉に、ティエリアとユリが目を剥いて驚く。

アレルヤはどうやらその事に気付いていた様で、神妙な顔で頷くに留まったが。

 

「…スメラギ・李・ノリエガ。それは本当か?理由は?」

 

「人生経験って、意外と馬鹿には出来ない物なのよ………理由としては、まあ簡単に言ってしまえば同族嫌悪」

 

「…同族嫌悪、だと?」

 

そう怪訝な顔になるティエリアに対して頷きながら、スメラギはなおも言葉を続ける。

 

「……褒められた事ではないけれど、私自身嘘を吐いて情報収集をしたこともある。そういう時に使った嘘の中で相手に信用されやすい嘘って、真実に少し嘘を混ぜた物なのよ。相手がこっちを信頼してくれていれば信じられ易いし、信頼されて無くても惑わすことぐらいは出来る……今更彼がこちらを潰しに回る事はないと思いたいけど、さっきみたいな事を言われた以上、完全に信頼するというのは少々危険」

 

「……刹那を使って、ボロを暴ければそれでいいということ、ですね?」

 

アレルヤがそう言う。

それに対して、スメラギは苦笑いをしながら、肯定の意を示した。

 

今まで嘘を幾つも吐いた、女の顔だ。

ユリは無意識にそう思った。

 

 

 

そんな会話がブリーフィングルームで行われているとは露知らず、前を進んでいく白いノーマルスーツの人間を見ながら、私はボンヤリとスメラギの言った言葉の真意を読み取ろうとしていた。

 

(見送り…とは…?)

 

これまで彼を見送りに誰か出された事があったのだろうか?と考えてみるものの、前々回は兎も角、前回はアリー・アル・サーシェスの機体から受けたダメージの所為で自分は気絶していたのだったと思い至る。

…では、前回から見送りが付いたのだろうか?

そう考えてみるも、それもないと否定する。

考えてみればあの場に居たティエリアとユリも驚いた顔をしていたのだ。

起きた時に自分を看病してくれていたユリは兎も角、確実に会談の場に居たであろうティエリアが驚いているとなると、確実に前回はそんな事がなかったのだという予想が立つ。

 

――――――では………何だ?

 

そこまで考えて思い当たるのは―――疑念。

つまりスメラギは、目の前の人物―――O-01に対して、疑念を抱いているという事。

 

(……何に対して?)

 

そこから先を考えようとした所で格納庫に到着してしまう。

スペースがない為に彼の機体はトレミーの中央部分に格納されている。

中央部分は他のコンテナと比べるとブリーフィングルームからの距離が近い。

なので普通に向かうと軽い考え事1個考える余裕もない。

 

「すまんな」

 

「いや、こっちこそ。仲間を助けてもらってありがとう」

 

「気にするな。仕事なのでな」

 

そう言いながら、白いノーマルスーツが外套を纏った機体の腹部へと飛んでいく。

それに吊られる様にして、私も機体を見上げた。

該当を目深に被っているせいか顔はよく見えない。

が、シルエットからしてどこかで見た事があるような気がする。

とても懐かしいような、新鮮なような、不思議な感覚だ。

 

「…ふん」

 

そう呟いてから、私は踵を返した。

なんとなく、こんな事をしている場合じゃないなと思ったからだ。

自分の機体のチェックなど、やる事は山ほどある。

余計な時間など食ってはいられないのだ。

 

 

 

 

 

『……うぉっ!?』

 

が、直後そんな声が聞こえて私は振り返る。

視界の先では、O-01が機体のコクピット内に強引に引きずり込まれるようにしている。

 

(…なんだ?)

 

純粋な好奇心が鎌首を擡げる。

今、あそこにはネーナ・トリニティしかいないはずだ。

だとすれば……彼女が引きずり込んだ?

また何故?

 

(……よし)

 

それはちょっとした好奇心だった。

二人には悪いと思ったが――――――まあ、これでも私も女子だし。

そういう事に興味がないという訳ではない。

 

ありえないとは思うが―――まあ、後学の為にもなるだろうし?

 

そう思いながら機体の腹部へと飛ぶ。

無用心にもハッチは開いたままだ。

なのである程度近付くと段々中の会話が聞こえてくる。

 

……んが、想像していたものとは違い、聞こえてきたのは揉めている様な声。

どうもO-01が必死に誰かを引き剥がそうと―――つまり、ネーナ・トリニティを引き剥がそうとしているような声が聞こえてきたのだ。

そっと覗いてみる。

見ればO-01がシートに陣取ったネーナ・トリニティに思い切り抱きつかれていた。

 

「はーなーしーなーさーい~~~~~~~!!!!!!」

 

「い~~~~~~や~~~~~~だ~~~~~!!!!」

 

「オイチョットソコ変ワレヤ相棒ゥ……」

 

……思わず溜息を吐いた。

ガキの喧嘩か。ガキの。

そう言いそうになったが、グッと我慢する。

まあ、頃合を見て仲介してやろうと思い直して経過を見守ることにした。

この男が狼狽しているのは珍しいからな。(メットで本当に狼狽しているかはわからないが)

 

そう思いながら入口近くで二人と1体を見守る。

…しかし、完全にこっちに気付かないというのも何かアレだな。

こう、腹立たしいな。

 

そう思った私は、ふと、ある事に気付く。

 

O-01のメットとノーマルスーツの間。

二つを繋げる為の固定具が、解除されている事に。

はて、さっきまでこんな状態だったのだろうか?

そう疑問に思って考えるも、さっきの通路に居た時はそうではなかったと思いだせる。

 

では、ついさっきだろう。

そう結論づけて、再度二人を見る。

 

見れば先程よりも二人の戯れあいはエスカレートしており、ネーナ・トリニティのメットがガツゴツ当たり、O-01のメットはかなりズレていた。

時折直しているが、あまり効果はなさそうだった。

 

 

………そこで、私の中に一つの疑問が浮かび上がる。

 

 

そういえば、こいつ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんな素顔をしてるんだろうか、と。

 

 

 

 

 

 

 

二人は私に気付いておらず、私は丁度奴の真後ろにいて、手を伸ばせば即座にメットを取れる距離だ。

万が一ヤバかったのだとしても、直ぐに戻せば問題あるまい。

最悪、どさまぎでネーナ・トリニティのせいにすればいいしな。

 

そう考えた私は早速実行に移る。

ゆっくりと手を伸ばして、メットへと近づく。

気づかれていない。

 

メットに手が触れる。

気づかれていない。

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、

 

 

 

 

瞬間的にメットを持ち上げて、即座に手を離し、入口まで戻って今来たばかりなように見せかけ――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んお?」

 

 

 

 

――――――瞬間、私は固まった。

 

聞こえた声はとても聞き覚えがあるもので。

同時に、見えた髪の色と肌の色はある人物をとても想起させるもので――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アム、ロ………?」

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

思わず出た問い掛けに奴は答えなかった。

そのまま固まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから先はもう何が何やら。

 

気が付けば私は奴の手を無理やり引っ張ってスメラギ・李・ノリエガ達の前に引っ立てて、それから事情を聞くために奴を営倉代わりの一室にぶち込み、それからネーナ・トリニティを連れてきて――――――

 

 

 

――――――那。刹那!」

 

「……はっ!?」

 

――――――あの外套を纏った機体の近くでぼーっとしていた。

アレルヤ・ハプティズムに肩を叩かれて、やっと自分が棒立ちになっていたと自覚できるとは……どうも、思っていたより精神的にストレスが大きかったらしい。

 

「どうしたの?何かあった?それとも彼についてまた何かあったのかい?」

 

動揺を表に出さないように努める。

いつも通りに、冷静に。

 

「………うん。まずはその表情をなんとかしようか」

 

鏡を見なよ、と言われて手渡された折りたたみ式の手鏡を見て、私は驚いた。

映ったのは、いつもより無表情で、それでいてちょっと目元の潤んでいる女の顔。

 

馬鹿馬鹿しい事だが、一瞬それが誰だか解らなくなる。

 

そしてそれが誰の顔だかわかった瞬間に、私は首を傾げた。

なんで自分はこんな表情をしているんだろうか、と。

 

「…………」

 

「……刹那」

 

「…………顔を洗ってくる」

 

「あ、うん」

(…これは重症かな……?)

 

そう言葉を交わしてから、私は自室へと戻る。

そうしてから洗面所に何故か駆け込み、蛇口の水を全開にして、そのまま手で掬って顔にぶち当てた。

何度も、何度も繰り返す。

 

6回目を越えた辺りだったろうか。

ふと、鏡の自分の顔が目に入った。

 

…………ビショビショに濡れていて、泣いていても判らなさそうだった。

 

 

 

 

 

 

「……では、君達も彼の正体を知ったのは最近ということか?」

 

「う、うん……でも、元々“O-01”っていうのは複数人で担当を請け負ってたみたいで……」

 

「……彼自身が嘘を言っている可能性もあるからその情報は鵜呑みにはできない。それに、毎回声が違っていたのもそれなら頷けるが、ボイスチェンジャーを使っていたという線も捨てきれない」

 

「う……」

 

そう言って黙り込むネーナ・トリニティを見ながら、スメラギは考えていた。

おそらく、今彼女が言った“複数人居る”という情報は確率として低い部類に入るだろう。

ボイスチェンジャーを使っているのは先程確認できていたし、そもそも身長などもほぼ同じ、挙句MSの操縦技能までも高レベルかつほぼ同じ人間を何人も用意するのは不可能だろう。

それこそクローン技術などの応用をしなければならない。

 

……もしもそれが可能だとしたとしても――――――

 

 

「……アレルヤ。刹那の調子はどうだった?」

 

仮説を幾つも立てて混乱している暇はない。

そう判断して彼女はアレルヤにそう問いかける。

O-01―――アムロ・レイという少年と付き合いが長いのは、この中ではユリと刹那、それからフェルト程度だ。

その内一人は先程満身創痍以上の状態で帰ってきたおバカの傍に付きっ切り。

あとの二人も……

 

「……こう言うとアレですけど………あれは重症ですよ。自分で自分の感情に気が付いてないっていうか何と言うか……」

 

「少なくとも、今は下手に会わせることは出来ない?」

 

「そこはスメラギさんの方が解るんじゃないですか?」

 

苦笑いでそう返される。

スメラギはそれに苦笑いで返すしかなかった。

確かにそうだ、と自分でも納得してしまったからだ。

 

「それじゃあ……ユリ?」

 

「やっぱりそうなるのか……まあ、別に大丈夫ですけれど」

 

次に白羽の矢が立ったのは付き合いが長い最後の一人。

幸運にも、彼女自身はそこまでダメージはないらしい。

溜め息一つ吐いてから、踵を返してアムロが収監されている営倉替わりの部屋へと歩を進め始めた。

 

「悪いわね」

 

少しだけ申し訳なさそうに、スメラギがその背に呟く。

それに対してユリは軽く苦笑いすることで返した。

 

 

「……さて、とは言ってもどうしたものか…」

 

あいつが居る部屋へと向かいながら、私はそう独り言ちた。

何と言うか、アジトで共同生活(ほぼ居候みたいな状態だったが)をしていた頃からだが、私はアムロに対して口で勝った事は一つもない気がする。

…………というかあれか。口論や口喧嘩を殆どした事がないからか。あいつとは。

 

(刹那達とは違って、比較的最初からオープンだったからな。)

 

それが演技だったとしても、と心の中で付け足すことは忘れない。

というか、真面目に最初会った頃の刹那とかティエリアとかフェルトといった“トレミー三大無愛想”と比べれば、どんな人間もあそこまで可愛く見えるというものである。

フェルトは兎も角刹那はガンダムの事で頭がいっぱいでガン無視とかあったからな。

 

………いかん。思い出したら泣けてきた。

 

 

「……っと……もう着いてたか」

 

部屋の前に着いたところでハッと現実に戻る。

あの頃の事は……うん、やめよう。

思い出したらまた泣けてくる。本当にあの3人は成長したと思う。

 

「…よし」

 

気合を一つ入れて身構えながらドアを開ける。

もしも襲いかかられても対処できるようにだ。

付き合いがある程度はある、といっても、本当にあの時見せてくれていた顔が素であるかなどはまだ分からない。

演技じゃないなどとは言い切れない。

そう自分に言い聞かせる。

 

 

そんな私の目に、飛び込んできたのは――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バッ!ちょ、相棒隠せ隠せ!!俺まで疑われる!!!」

 

「ダガ断ル。私ノ自由ハ止メラレナイ!!」

 

「お願い自重してぇ!!!!製作者からのお願い!!!」

 

 

……大量のエロゲーをうず高く積み上げている一つの球体と、それを前にして撃沈しているアホの姿だった。

……何してるんだ?お前ら………?




如何でしたでしょうか?
どうも雑炊です。

というわけでアムロは顔バレです。
次回から、尋問が始まりますかね。
まあ、絶対に平穏無事では終わらないでしょうが。


と、今回はこんなところで。
では、また次回。
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