ガンダム00  マイスター始めてみました   作:雑炊

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第三話です。
今回は計画の発動と、マイスターとの接触です。
それでは本編をどうぞ。


自分の足で立ち上がろうとジタバタしている頃の話
三話――――同居する事になりました


「……………………死ねる……」

 

そう言って俺はアジトのテーブルに突っ伏した。

あの後、師匠はマジで俺にあの“地獄の修行改”をやらせ、俺はそれを甘んじて受ける事となった。

……結果として3日位シミュレータから出られなくなったのだが。

 

お蔭様で寝不足&空腹限界MAXだよ。あんの鬼畜師匠めが……

 

で、今俺が何処にいるかと言うと、今は日本のとあるマンションの中にある一室で寝泊りしている。

ひょんな事から、お隣さんと関わりを持ってしまったが……まぁ其処まで大した事ではない。

 

さて、そんな感じで死んでいると、不意にテーブルの上の通信端末から音が鳴った。

どうやら誰かから通信がかかってきたようだが・・・・・ハッキリ言って、もう誰が掛けて来たのか容易に想像がつく。

溜息を吐きながら通信端末を起動させる。案の定出てきたのは師匠だった。

 

『やあ。イイ感じに死んでいるようだね』

 

「……だれのせーだ…だれの……」

 

師匠のからかいに力無く返す。

実際もう疲れすぎて脳味噌がまともに動いていない。

そんな俺を見ながら、師匠は楽しそうな声でこんな事を言った。

 

『フフ…だが、それなりにいい訓練になったろう?実際あれをクリアできるのは僕達の中では君と僕を除いたら、片手で数えるほどしかいないのだから』

 

「…………あれ?それくらいしかいないの?むしろ誰だクリアできるの…って、グラーべさんか」

 

あの人じゃしょうがねーなー等と疲れた頭で考えていたが、次の師匠の言葉でそんな疲れも吹き飛んだ。

 

『彼もそうだけど、実は昨日ヒリングもクリアしたんだよ』

 

…………は?

 

「…ぱーどん?」

 

クリアした?誰が?ヒリング姉さんが?あれを?

何かの間違いでしょう?と師匠を見返すが、この様子だと本当らしい。

マジかよ、と俺は顔を右手で覆って椅子にもたれ掛かった。

こっち来る前には模擬戦で俺にほぼ一方的にボコボコにされていたと言うのに…

 

…流石はイノベイド…って事か?

 

そう考えて俺は頭を振った。

基本的に俺は『あいつはこうだから仕方が無い』と言って人を差別するのは好きではない。

だと言うのに、その自分自身がそんな事を言ってどうするのだ。

どうやら随分と疲れているらしい。

 

頭を振ってから、少しでもそんな事を考えた自分に自己嫌悪していると、師匠がこんな事を言ってきた。

 

『そういえば、計画の発動までもう一週間を切った所だが、そっちでの暮らしはどうだい?』

 

「んあい?」

 

およ?珍しい。普段はこんなこと師匠が言う筈無い。まあ、大抵こういう時は決まって「頼み事があるんだけど」とか、「戻って来る時にこれをお土産として買ってきて貰いたいんだが」とか言い出すのだが、こんな風に単純にこっちの近況を訊いてくる、と言うのは滅多に無いのだ。

で、間違って「師匠。頭でも打ったか?」等と聞いてしまうと、普段の数倍キツイ頼みごと(オシオキ)が待っているので、突っ込みたい衝動をグッと堪えて敢えて普通に応答する。

 

「ああ、特に問題は無いよ。精々お隣と友好的な関係持った位だ」

 

嘘だ。実は数日前に、とある不良グループとイザコザを起こしてしまい、あまりにうっとおしかった為、ヴェーダの機能をこっそり使って、奴らのメンバーを末端に至るまで調べ上げて一人一人懇切丁寧に説得(オハナシ)したと言う事があった。

そのときのイザコザにお隣の弟さんと、その彼女も巻き込んでしまった。

お隣との関係も其処からだ。

が、その事を素直に喋っても面倒なことが起きるだけなので、ここは伏せておく事にした。

 

『ふぅん…まあ、いいけど。ところで、今君が住んでいる部屋には、まだ空き部屋があった気がしたんだが?』

 

……うん?

なにやら雲行きが怪しくなってきたぞ?

第一師匠、何故このタイミングで突然そんな事を訊く?

と、言うか何で今『ふぅん…』言いやがった!?

頭の中で鳴り始めた警鐘を気にしつつも、どうせ誤魔化しても意味が無い事は分かっているので正直に俺は質問に答えた。ってか、嘘ついて後でバレても怖いし。

 

「ああ。一応一部屋位しかないが、これ位の広さだったら後二人…いや、無理すれば三人位は…」

 

ここで師匠の笑みが深まったのを目撃した俺は一瞬固まった。

もうね、この時点で嫌な予感が物凄い事になっているわけですよ。すんごくね。ただ、ここまできたら言い切ろうが言い切らなかろうが一緒なので俺は一端止めた言葉を再び紡ぎだした。

 

「…………三人、くらいは、住めると思い、ます」

 

『何で敬語になるんだい?』

 

そりゃ、アンタの笑顔が嫌な予感的な意味で怖すぎるからだよ。とは言えず、乾いた笑いでその質問に返す。

それを見た師匠は一瞬不機嫌そうになったものの、直ぐにいつもの表情に戻った。

アブねぇ。

 

『まあ、いいか。それよりも三人は住めるんだね?それはよかった』

 

「……良かったって、何が?」

 

うん。もうお約束になってきたなこのパターン。いい加減にしてくれ、と声に出して叫びたいが、無論後が怖いのでグッと我慢する。

…今情けないとか思ったり言ったりした奴。後で体育館裏に来なさい。先生とお話だ!!

そんな俺の内心の叫びに気付かないまま、師匠はその言葉を言った。

俺にとってのある意味での死刑宣告を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『実は実働部隊のマイスターの内の二人が、当分の間だけどそっちに滞在する事になったんだ。それで早急に部屋を探す必要があったんだけど、それなら安心だ。引き受けてくれる(・・・・・・・・)ね?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……Oh、じーざす。または、がっでむ。神様。俺何か悪い事しましたか?具体的には記憶を失う前とか前世とか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日が経った。

その日俺は、お隣に住んでいる沙慈・クロスロードと、そのガールフレンドであるルイス・ハレヴィに半ば無理矢理表に連れ出されていた。

 

因みに連れてこられた理由は『荷物持ち』である。

 

…聞いた瞬間に「帰って良いか?」と言ってみたが、ルイスは「だめ~♪」と言うだけで全く取り合ってはくれず、沙慈は乾いた笑いを漏らすだけだった。

そんなこんなで、三件目のブティックを出た位の事である。

 

いい加減ウンザリしていた俺の耳に、こんな音声が入ってきた。

 

 

『……地球で生まれ育った、全ての人類に報告させていただきます。私達は、ソレスタルビーイング。機動兵器“ガンダム”を所有する、私設武装組織です……』

 

 

 

そんな歳をとった男の声が、町中から聞こえてきた。

俺達の正面にあるビルに取り付けられた街頭テレビにデカデカと映し出されるのは、CBの創設者“イオリア・シュヘンベルグ”の演説。

街行く人たちは皆足を止め、その演説に戸惑いを見せている。

…というよりも実感が湧かないんだろう。

だって、一応CBの一員である俺が聞いていても、何処と無くイメージが湧いてこないんだもの。

そりゃ、いきなりガンダムなんて物を出された上に“紛争根絶”なんて夢物語とも思えるような物を掲げられても、普通の人間だったら実感なんて湧く筈がない。

 

「沙慈……」

 

俺の左前方を歩いていたルイスが、沙慈に心配そうな声を掛けて歩み寄る。

沙慈もそんなルイスをゆっくりと引き寄せる。

……どうでもいいけど、こんな往来で、しかもこんな状況でいちゃつくんじゃねぇバカップル。

周囲の注意が殆どイオリアのおっちゃんの演説に向いているとはいっても、一部の人間はこっち見てるぞ。

つーか実感とはまた違ったドス黒い物湧いてくるからいい加減にやめろ。

 

 

内心でそんなしょーも無いことを呟きつつも、俺はイオリア・シュヘンベルグの演説に耳を傾けていた。

 

 

 

 

 

 

 

西暦2307年。この日この時より、地球上に存在する殆どの文明は大きな変換点を迎える事となった。

その先駆けとなったのは、プトレマイオスのガンダムマイスターたちが駆る、太陽炉を搭載した5機のガンダム。

そしてサポート組織であるフェレシュテが保有する太陽炉の内の1個と、それを動力とする5機のガンダム。

 

そして…………

 

 

 

 

「…あ、そういえば今日の夕飯どうすんべ。スーパーって今開いてっかな?」

 

「「何でこの状況で夕飯の心配なんかできるの!?」」

 

「いやいや。むしろこんな状況でいちゃつけるお前らにこそ、その言葉を送りたいよ」

 

 

……今ここでこんな状況だというのに夕飯の事を心配し、尚且つ友人達と漫才をしている、一見すると普通の一般人にしか見えない少年が保有(?)している、出自不明の太陽炉を搭載する『Oガンダム(ファースト・ガンダム)』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三日後。

ソレスタルビーイングのアジト(表向きはアムロの家)。その玄関の前。

其処にはアタッシュケースを持った、二人の少女(・・)が静かに佇んでいた。

一人は沙慈やアムロと同じく日系で、年の頃は大体17,8歳といったところだろう。

背も高く、175cm位はありそうだ。

しかし肌の色は白く、髪が黒くなかったら白人と言っても通りそうだ。

彼女はその長く伸ばした黒髪を、首の後ろで束ねていた。

 

もう一人は肌が浅黒く、見た目も何処か少女と言うより少年っぽい感じがする。

辛うじて服装で女の子と認識できるが、髪型がボーイッシュということもあり、男物の服を着ても特に違和感が無さそうだ。

此方は前述の少女とは対照的に、背は160cm程しかなく、アタッシュケースもかなり小さい。

年の頃は……大体15,6歳位だろうか?

 

「…刹那。本当に、荷物それだけで良かったのか?」

 

日系の少女が、浅黒い肌の少女に問いかける。

どうやら彼女の荷物が異様に少ない事を心配しているらしい。

 

「大丈夫だ。問題無い。必要最低限の物は持ってきてある」

 

それに対して浅黒い肌の少女(・・)―――刹那は言葉少なく返す。

それっきり二人の間に会話は無くなった。

1分か、5分か、10分か……このまま永遠にこの無音空間が続くのではないか?そんな事を日系の少女が考え始めたくらいだった。

 

「…ユリ。押さないのか?」

 

突然刹那が日系の少女―――ユリに問いかけた。

問いかけられたユリは、一瞬彼女が何を言っているのか分からなかったようだが、すぐにその意味が分かり、顔を赤くした。

確かにこんな真昼間から、人の家の前で未成年の少女が二人、何分も佇んでいたら怪しいことこの上ない。

ユリは慌てて目の前の玄関の脇にあるインターホンを押した。

 

ピンポーン

 

そんな音が鳴り響く。

と、次の瞬間。

 

 

 

 

 

 

ジリリリリリリ!!ジリリリリリリ!!

 

ガタッ

 

ガゴッ!!

ゴッガッ

ガン

ゴビン!

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ・・・・・・・・・・

ビッターン!!!

 

・・・・・・・・・・・・・・・ダダダダダダダダダダダ!!!

 

コツン

 

ズザザザザザザザ!!

ゴトン

ッホワァァァァァアァァアァァアァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ホワッホワァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!

ゴッチーン

 

ウルサイゾ!

 

メメタァ!!

 

アッー!!!!!

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

と、そんな音が聞こえてきた。

 

「「…………」」

 

二人は何も喋らない。否、喋れない、と言ったところだろう。

何せ今日から潜伏する場所に既に入っていたエージェントを呼び出そうとしてインターホンを押したら、中から聞こえてきたのは、何かがずっこける音、何かを打ち付ける音、転がる音に壁に激突した音。

極め付けは走って来るような音がしたと思ったら、なにかが軽くぶつかったような音がして、とんでもない声量の叫び声が聞こえて来たのだから。

 

よく見ると二人とも大量に冷や汗をかいていた。

 

そのまま数分間ほど周囲を気まずい空気と沈黙が包む。

そしてユリがこの空気に耐え切れず、意を決してもう一度インターホンを押そうとした時だった。

 

ガチャっという音が鳴り、玄関が開く。

其処から出てきたのは……

 

「……はいいらっしゃい。師匠の言ってたホームステイの二人か…とりあえずずっとそこに居るのもどうかと思うから中に入りなさい。丁度昼飯の時間だし…」

 

……頭を抑えながら凄くやる気の無い声で喋る、刹那によく似た彼女と同じくらいの少年だった。

彼の姿に二人は呆気に取られる。

 

「…何をしている?」

 

そう言って訝しげに此方を見てくる少年。

ユリと刹那は慌てて中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「着替えはそこの箪笥の中にでも入れておけ。どうせ幾つか棚は余っているから好きに使っても構わんぞ。それが終わったら早速昼飯を………って、HEYオイ待てコラお嬢。幾らなんでも荷物少な過ぎないか?服とかはどうなっているんだ?」

 

「問題は無い。必要最低限の物は入れてきた」

 

私がそう言うと、私に良く似たエージェントの男は溜息を吐きながらこう言った。

 

「…あのな、それじゃダメなんだよ。確かに最低限の物があれば活動に支障は無いだろうが、君とあっちの姉ちゃんは少しの間とはいえ当分此処に住むんだぞ?男ならそこまで問題じゃないが、君みたいな可愛い女の子がそう毎日同じ服ばっかり着てたら逆に怪しまれる」

 

そこまで言ってから、男は「まったく…」と言いながら私の荷物を探る。

 

……よく分からない。

確かに言っていることは一理あるのだろうが、何故私が毎日同じ服ばかり着ていたら怪しまれるのだろうか?

 

そのまま男は荷物を探っていたが、暫らくすると動きを止めてゆっくりとこっちを振り返ってきた。

 

「……おい」

 

「? どうした?」

 

「…いや、マジでお前の荷物ってこれだけか?」

 

「ああ、そうだが……何か問題でもあったのか?」

 

「……」

 

そう私が返すと、男は突然頭を抱えて俯いた……どうしたのだろうか?

私が少し不安になりながら彼を見ていると、部屋の奥からユリが出てきた。

どうやら荷物の整頓は終わったらしい。

彼の様子に気付いたのか、不思議そうな顔で此方に近づいてきた。

 

「…刹那。彼は一体どうしたんだ?何か困っているようだが……」

 

「…分からない。どうやら私の荷物に何か不備があるという事は分かった……だが、それが何なのか分からない。本当に分からないんだ。あれほど何度も再チェックを重ねた上に、あのティエリアにも不備が無いか確認を取ったというのに……」

 

「そうか……って待て?確認を取った、と言ったな?もう一度、誰に確認を取ったのか、ハッキリと教えてくれないか?」

 

私の答えに一瞬納得したような素振りを見せたユリだったが、次の瞬間何かを聞き間違えた、といった風に、再び私に質問してきた。

それに対して、私は特に誤魔化す必要も無い為、正直に話す。

 

「ティエリアだ」

 

と。

それを聞いた瞬間に、ユリも彼と同じく頭を抱えた。

 

「…刹那。今度からそういった荷物を人に見せる場合は、あいつ以外の人間に見せろ。それこそロックオンやスメラギさんとかにしておけ。じゃないといつか痛い目見るぞ…」

 

そう言って溜息を吐くユリ。

…どういう事なんだろうか?

何故ティエリアはダメで、ロックオンやミス・スメラギは良いのだろうか?

 

「…よし、決めた」

 

私が疑問に思っていると、彼が突然そんな事を言った。

一体何を決めたのだろうか?

彼がゆっくりと此方を向く。

その顔には少しの決意と、諦めが浮かんでいた。

 

 

 

「……この後昼飯を食べたら、ここらへんの地理の把握も兼ねて、お嬢の服を買いに行く。流石に“女の子”として“お嬢の服が下着とかも含めて、今着ているのを含めても各2着しかない”のは、問題がありすぎる」

 

 

 

 

私の後ろでユリが盛大に溜息を吐く音が聞こえた。

何故溜息を吐く?荷物を最小限にしたのは、やはり不味かったのか?

 

「……神よ。出来ることなら聞いてくれ。出来ることなら私は貴方を今すぐ愛弓でぶち抜きたい……!」

 

…ユリ、何を言っているんだ?

神はこの世にはいないんだぞ?

 

 




いかがでしたでしょうか?
どうも雑炊です。
今回は一応日常パートということで、戦闘シーンは無しです。
次回は日常と戦闘パートを半々位にしようと思います。

…しかし当時から思っていましたが果たして刹那の口調はこれで合っているのか……(汗
TSしてるから少し変わっててもいいのか?

とにかくまた次回!

追記

今更ながら某所の小説とちょっと似てない?
と言われたので、全編にわたり現在それっぽい部分を絶賛改訂中です。

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