ハイスクールD×D 破壊を司る神の弟子   作:狂骨

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交換留学のヴィランズ
紛れ込む禍


 

ゼノとの勝負は奇しくも敗北に終わってしまい、それによって各々が自身の無力感に苦しみながらその日を過ごす事となってしまった。

 

中でも朱乃と小猫のショックは大きく、あの日を境にたとえ家にいようと学校に向かおうとも決してゼノと会う事はなくなってしまったのだ。

 

「……」

 

目を覚ますと、目の前に広がるのはやや広い寝室。横では同じ時刻に目を覚ました小猫がいたが、その目元は少しばかり黒く染まり弛んでいた。

 

「小猫ちゃん…眠れませんでしたの?」

 

「朱乃さんこそ…」

 

「…まぁ、そうですわね」

 

二人は布団から起き上がると寝室を後にし食事の支度をするべくリビングへと向かう。

 

するとそこにはエプロンを着用しながら食事の用意をするティアマットの姿があった。

 

「姫島朱乃と塔城小猫か。相変わらず早いな………師匠の事か?」

 

「…」

 

ティアマットの言葉に二人はコクリと頷いた。それに対してティアマットも表情を曇らせる。

 

「まぁ、君らにとっては酷だろう…私も少しばかり距離を置かれている」

 

「彼は…いつ帰ってくるのでしょうか…?」

 

彼女の話を聞いてくる度に、彼に会いたいと思うようになり、朱乃はついゼノがいつ戻るのか口を溢す。

それについてティアマットは首を傾げ不思議そうに思いながら答えた。

 

「師匠なら昨日の深夜に帰ってきていたぞ」

 

「え!?」

 

その言葉に朱乃と小猫は驚き、食事の手を止めるとティアマットへと目を向けた。

 

「まぁ君達が起きる前に出ていったがな。見かけてもあまり関わるな…だそうだ」

 

「そうですか…」

 

彼からの伝言を耳にすると、自身らが完全なる足手纏いである事を再び自覚させられる。

 

そんな中であった。小猫はずっと疑問に思っていた事を、自身らよりも長く同居しているティアマットへと尋ねた。

 

「あの…ティアマットさんに一つ聞きたいんですが」

 

「ん?」

 

「仙術を習得してから気がついたんですけど、ゼノさんの中に変なものを感じて…何か知りませんか?」

 

「変な物?」

 

「はい。それも…何だかとても黒い物で…」

 

 

 

その後、小猫から事情を聞いたティアマットは即座にサリに頼みウイスへと連絡するのであった。

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーー

 

場所が変わり、駒王学園にて。ゼノに敵わず返り討ちにされ、淡々と弱点を言い渡されたイッセーは溜息をつきながら登校していた。

 

 

___弱い。コントロールがなってない。遊びじゃない。

 

先日、ゼノから告げられた言葉は今もなお、イッセーの頭の中に残っていた。

 

「シャキッとなさいイッセー。今の私たちは目の前の目標に向けて努力するしかないわ」

 

「そうっすね…」

 

共に投稿していたリアスから励まされたイッセーは調子を改めて、彼女と別れると自身のクラスへと向かっていく。

 

 

ーーーーー

 

魔界とは全く違う人間界の学校の風景。久々に見るその光景にイッセーは懐かしみながら教室へと向かっていた。

 

 

すると

 

 

ドドドドドドドドド

 

「おおおいイッセーぇええ!!!」

 

教室からクラスメイトである松田が駆け寄ってきた。

 

「うぉ!?どうした松田!」

 

「どうしたもこうしたもねぇよ!元浜が変なんだ!!!」

 

「元浜が!?」

 

「そうなんだよ!!いつものお通しのエロトークしたら反応するどころか見向きもしねぇんだよ!!」

 

「な…なんだって!?それは重症だ…!」

 

松田の話を耳にしたイッセーはすぐさま元浜の元へと向かった。

 

 

「「松田ぁ!!」」

 

教室の入り口を潜り抜け、いつも彼が座っている席へと目を向けると、そこには机に頬杖をつきながら座り、窓の外を眺めている元浜の姿があった。

 

だが、その姿はいつもとは全く違っていた。

 

「…」

 

トレードマークであるメガネを外し、髪も猛々しく逆立つようにして後ろに流しオールバックにしており、まるで不良の様な雰囲気を漂わせていた。そんな彼は性格までも変わったかのように頬杖をつきながら右手で端末を操作していた。

 

だが、問題なのは見た目ではない。真相を確かめるべく、イッセーは松田と共にすぐさま彼へと駆け寄る。

 

「どうしたいきなりそんなイメチェンして!?もしや…夏休みの間にエッチをして俺たちに申し訳ないと思い心を閉ざしてしまったのかぁ!?」

 

「安心しろ元浜ぁ!たとえどんな事があろうと俺達はお前を決して見捨てはしない!よし今夜はお前の童貞卒業を祝って祝杯をあげようじゃないかッ!!」

 

すると 画面を操作していた指の動きが止まると、元浜はゆっくりと立ち上がり、自身や松田へと目を向ける事なくゆっくりと席を立ち上がると廊下の方へと向かっていく。

 

「お…おい待て元浜!!なぜ俺を無視す___ゴハァ!?」

 

「邪魔だ」

 

 

「な…!!」

 

その瞬間 肩を掴んだ松田の身体が壁へと叩きつけられた。元浜はそれにも目を向ける事なく教室を出ていった。 

 

「お…おい松田!大丈夫か!?」

 

それを見たイッセーは即座に松田を介抱するも、当たりどころが悪かったのか、鼻から血を流していた。

 

「うぅ…アイツまじでどうしちゃったんだよぉ…!!」

 

「…」

 

松田が痛みのあまり涙を流す一方で、イッセーは無言で出ていく元浜の後ろ姿を見つめていた。

 

 

それからしばらくして、彼は戻ってくるものの、相変わらず自身らには目を向ける事はなく、そのまま放課後となった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

帰りのホームルームが終わると、イッセーは同じクラスのアーシアと共に部活へ行く準備を進めていた。元浜の変わりようがあまりにもショックだったのか、松田の姿はすでになかった。

 

 

「元浜さん…何かおかしいですよね…」

 

「あぁ。アイツ本当に何があったんだ…?」 

 

元浜の異常な様子を見て、イッセーは何か悪魔などに関する者の仕業ではないかと考え、リアスへと相談するべく荷物をまとめて席を立った。

 

 

その時であった。

 

「きゃああああー!!」

 

廊下から女子生徒の悲鳴が聞こえた。

 

「「!?」」

 

その声を耳にしたイッセーとアーシアはすぐさま廊下へと飛び出した。

 

 

「な…!!!」

 

その光景を目にしたイッセーは固まってしまう。

 

見ればそこには一人の女子生徒の首を掴みながら締め上げている元浜の姿があったのだ。

 

「おい女。俺にぶつかってくるとはいい度胸だなぁ」

 

「が…ぁぁ…!!!く…くるし…い…」

 

男子でも小柄な部類に入る元浜の細い腕が、彼よりもやや身長が高い女子生徒を易々と持ち上げており、その首を握る手は今にも女子生徒を絞め殺してしまいそうであった。

 

「やめろ!!!」

 

それを見たイッセーは即座に間に入ると、女子生徒の首を掴んでいた腕を掴み、彼女から離した。

 

「おい何やってんだよ元浜!!下手すれば死ぬところだったんだぞ!?」

 

イッセーが強く言い放つ中、腕を掴まれた元浜がゆっくりと口を開く。

 

 

「黙れ」

 

 

「…!!!」

 

その声を耳にした瞬間 全身から鳥肌が立つ。声を聞いただけであると言うのに、修行を行い禁手化しタンニーンの攻撃からも逃げ、ライバルであるヴァーリとも対峙し、どんな相手だろうと構わず立ち向かっていくほどの胆力を持つイッセーの闘争心が一瞬にして消え去ったのだ。

 

それに置き換わるように、全身が凍りつく程の寒気と恐怖に襲われた。

 

「(な…なんだこれ…声を聞いただけなのに…寒気が止まらねぇ…)」

 

 

目の前にいるのは元浜でもない。否____

 

 

 

 

_______この世のものではない。

 

 

「誰だ…テメェ…」

 

「ほぅ?人間にしては勘がいいな」

 

 

その時であった。

 

 

「はいはい。廊下で喧嘩すんなお前ら」

 

廊下に集まった生徒たちの間を掻き分けながらアザゼルが現れた。

 

そこから現れたアザゼルは元浜によって首を掴まれた女子生徒を代わりの生徒達に保健室に送らせると、周囲の皆に伝えた。

 

「ほら、お前らも今日は早く閉まる日だからさっさと帰りな。思春期真っ盛りなこの二人は俺がミッチリ言っておくからよ」

 

その言葉に周囲の生徒達は頷き、次々と去っていった。それによってその場から人の足音が少しずつ少なくなっていき、皆は帰路についていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その場から生徒の気配が消えた瞬間_____

 

 

 

____アザゼルは額から大量の冷や汗を流しながら咄嗟に光の矢を元浜の首筋に突きつけた。

 

 

「アザゼル先生!?」

 

「お前ら!!下手に動くな!!コイツはガチでヤベェぞ!!!」

 

アザゼルのその表情に駆けつけたリアス達は完全なる非常事態であることを認識し、それぞれ戦闘態勢を取った。

 

その一方で、元浜はリアスやアザゼル達へと目を向けると笑みを浮かべる。

 

「ほぅ?貴様らが悪魔と堕天使…とやらか」

 

「テメェ…何者だ…!?」

 

アザゼルが冷や汗を流しながら尋ねると、今度は元浜はアザゼルへと目を向ける。

 

「この光…なるほど。貴様が堕天使総督か…」

 

「何者だって聞いてるだろう…!?見るからに魔力らしき物も感じられねぇ。テメェまさか…禍ノ団か何かか…?」

 

背後を取り、首筋に光の矢を向けるアザゼルは元浜の中にいる男に対して再び問いかける。

この状況下で仕掛けてくる勢力は禍ノ団しか当てはまらないだろう。だとすれば、この男は自身らにとって排除対象となる。

 

 

 

すると

 

「禍ノ団?フハハハハ!」

 

元浜…否、男は初めてアザゼルの問い掛けに答えるかの様に高笑いする。その笑い声はもはや元浜の限界はなく、地球人や悪魔には見られない全くの別の生命体の笑い声であった。

 

 

その直後

 

「…」

 

「「「「「「!?」」」」」」」

 

突然と笑い声が消えたと同時に男の顔からは一切の笑みが消えると同時に怒りに満ち、その表情を見たリアス達は全身を硬直させた。

 

そして、男は不愉快を表すかのような怒りの表情を浮かべながらアザゼル達へと言い放つ。

 

「俺をあんなカス共と一緒にしてくれるなよ…!!!」

 

 

その直後に男はアザゼル達に目掛けて手をかざす。

 

 

「俺に名などない、だが、俺を復活させるために作ったメインプログラムはこう呼んでいた。____

 

 

 

 

 

______【ベビー】と」

 

 

その直後、男の腕が輝きだすと同時にその場が爆炎に包まれた。

 

 

 

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