オラリオ屈指の男がいた。
男の実力なら女性は他から寄ってきた。
しかし、彼は恋人は求めない。
何故なら、恋人よりも何より友達が欲しいから。
男は今日も友達探しにダンジョンに潜る。
一番初めに言うが俺は転生者である。
前世は東京でそこそこの大手企業に入り、普通にリーマンを全うしていた。ある一点を除けば。
そんな順風満帆な人生を送ってきた俺だが、遂にピリオドを打つことととなった。
きっかけは、営業先の一人娘に強姦が襲っているところを発見し、反抗したところをナイフでグサリってところだ。
娘さんも毎回あんまり話をしてくれなかったけど、最後くらいかっこいいところを見せることができたが、無事だろうか。
そんな男気を見せたところが認められたのか、俺は別世界に転生と言う形で第二の人生を過ごすこととなった。
そして、現在、転生して18年経った。オラリオに来たり、なんとかロキ・ファミリアに入ることができたりしたりする。そんなざっと紹介したが、今はダンジョンの深層に潜り、モンスターと戦っている。一人で。
「飛べ、飛天翔」
短刀が心臓部に、とどめの一撃を決め、モンスターは魔石へと姿が変わる。俺が今いる階層は50階層。本来は二人以上で行かなければ、生きては帰ってこれない危険地帯。その危険地帯に俺が来れる理由がある。一つは俺のステータスが俊敏に大きく振られていることだ。魔法も攻撃系ではない。とのことから一人で逃げられる。もう一つは俺がオラリオにおける立った二人のレベル7のうちの一人だということ。ファミリアのみんなは知らないが、俺はよく一人でここに来て、モンスターを狩り、帰宅という日々を繰り返している。
「にしてもここにも人がいない・・・」
周りには誰もいない。今日は遠征に出てると聞いたから、ここに来ていると思ったのだが、あたりに人の気配は感じられなかった。
「やっぱり遠征には行ってないのかな・・・」
ファミリアのみんなを探して辺りを見回していると、背後からザザッと何かが近づく音が聞こえた。だが、そこにいたのは人ではなかった。いるのは、100を超えるモンスターの群れ。
「・・・こそ、・・ょうこそ、今日こそ、一緒に行けると思ったのに!」
一人でダンジョンに行く悲しさ・怒りをモンスターに向ける。
「今日はあの店の一番いいボトル開けてやる~!」
男の名はヒリア・ソロボーチ。ヒリアは飛び出す。
「プハァ~~!上手いよ~~」
なんとか帰ってきた俺は豊穣の女主人にて今日の疲れを癒していた。一人で。
「今日もありがとうございます。ソロボーチさん、貴方のおかげで今日もミア母さんの機嫌がいいです」
「あ、ありがとうございます。リューさん」
料理を運んできた女はここで働いている店員のリュー・リオンだ。お礼を言われるのは、俺がここに来る回数は週に3回。週の半分は夜をここで過ごしている。
「ここに来れば、誰かに会えるかなぁとか思ってきてるんですけど、もしかして、自分みたいなのが毎日来て迷惑ですか!?それなら今すぐにでも出ていきます!」
「落ち着いてください、ソロボーチさん。先ほど言った通りです。貴方が来てくれた方がミア母さんが機嫌がいいので、助かります」
「・・・それに私もソロボーチさんが来てくれて嬉しいです」
ボソッと小声で何かを言ったが、たいしたことではないだろう。リューさんの顔は赤い。恥ずかしいようなことでもあったのだろうか。別になかった気がするが・・・ハッ‼ 恥ずかしい→もしかして俺との会話が→一刻も早く離れたい。もしやさっきの小声も・・・
「リューさん、あっちでお客が呼んでますよ」
「はい、それでは、また後で」
このままいると、マインドブレイクされそうなので、都合よくリューさんをそちらに行かせる。落ち着くために、水を一杯、口にする。だが、唐突に自分の名を呼ぶ者がいた。突然の驚きに肩をびくつかせた俺だった。
「またボッチですか、ソロボーチさん?」
次に話しかけてきたのは店員のシル・フローヴァ。彼女はことあるごとに俺にちょっかいを出してきて俺はよく困らされている。
「ボ、ボッチじゃないし」
「じゃあ、なんで一人で飲んでるんですか~ ロキ・ファミリアのメンバーの一人とでも飲みに行けばよかったじゃないですか。それにさっき名前呼ばれた時、ビクッてなってたじゃないですか、それってキョドったんですよね?」
「ち、違うもん。みんな、ホームにいなかったんだし、遠征に行ってるって言ってたし。キョ、キョドってないし・・・」
「今度は噛みまくりじゃないですか」
そう、俺は前世からある1点だけが恵まれないことがあった。それは、俺がコミュ障だということだ。そのおかげで、幼稚園から死ぬまで友達何て一人もいなかった。高校の時、勇気を出し、クラスの女子とメアドを交換し、その日のうちにメールをしたが、返信は彼女からではなく、メーラーダイモンさんからだった。同窓会も呼ばれてないし、おまけにその様子を一人で晩御飯の時にリアルタイムで見て、その夜は枕を濡らしたのは言うまでもない。
「そ、それよりシルさんは仕事をしなくていいの? ミアさんに怒られるんじゃ」
「残念でした。今はお客さんの方が少ないので休憩していいとのことです。ふふふ、私がミア母さんから怒られて仕事に戻ることを期待していましたか。残念でしたね、ふふふ、残念でしたね」
なんで二回も、いや、三回か。
「大事なことなので」
「こ、心を読まないでよ」
「それにしてもひどいですねー オラリオきってのレベル7がボッチでコミュ障だなんて」
俺だって成りたくってコミュ障と冒険者の二足の草鞋を履いているわけではない。転生するときに、神に願ったのだ”友達が欲しい“と。ただいまだにその願いがかなってるとは思えない。神めェ、恨むぞ・・・
「ボッチじゃないし・・・」
「コミュ障は否定しないんですねー」
「シル、ミア母さんが呼んでますよ」
リューさんに呼ばれて、シルさんは去っていった。とりあえず、一難は去った。さて、このまま、食べ終えてホームに帰ろう。もう疲れた色々と。主にシルさんのせいだけど。
だが、彼に至福の時間は訪れない。店のドアを蹴り開けて、大人数の客が店に入ってくる。ある程度大きな席を見つけると、小人を中心に続々と座り始める。彼はその集団に見覚えがあった。
「ほな、始めようか~ じゃあ、今回もロキ・ファミリアの遠征の無事を祝して、かんぱーい‼」
『かんぱーい』
まさかの仲間だった。団長であるフィンや幹部のリヴェリアなんかもいるし、挙句の果てにはあのアイズ・ヴァレンシュタインまで宴に参加してる始末だ。彼女は基本的にコミュ障ではない、が、人付き合いが得意ではない。ずっと仲間だと感じていたのに、俺でも困難な打ち上げってやつに参加するなんてェ・・・ 貴様とはシンパシーを感じていたがそれもさっきまでだ。もうじゃがまるくん買ってやらんし。
「そういえば、ヒリアは?」
「彼はいなかったからね、また次回と言うことで」
ここにいるぞ、フィン! 今なら憎しみで人が殺せるって言うことが俺にもできる気がする。
「でもさー、ヒリアって中々こういうの来ないよねぇ、前に一回誘ったけど、用事があるとかで来なかったし」
う、うるさい、ティオナ。だって、急に誘われたら緊張して・・・
「参加しないのですか、ソロボーチさん?」
「ちょ、ちょっと俺には気まずいかな~って・・・」
「信じないてね、リュー。ソロボーチさんはただあそこに入る勇気がないだけだからね、ヘタレだからね」
「へ、ヘタレじゃね、ねえし」
しかし、この状況で見つかると、袋叩き似合うに違いない。きっと今の二つ名も『ボッチの』とか『コミュ障の』なんて不名誉極まりないものが語頭につくに違いない。俺はボッチではない!
「では、リューさんもう帰ります」
「はい、ソロボーチさんありがとうございました」
抜き足差し足と出口に向かう。このまま行けば、宴に集中しているようでうまく出ることが出来る。ふ、伊達に長年コミュ障やってないんだよ。
「ぐっ」
扉に手をかけようとしたら、カウンター席に座っていた少年が入り口に向かって飛び出してきた。扉は西武時代劇を思わせるような造りで少年が出て行った余韻がまだ残っている。どうやら、その音は店内に響き渡っていたようで・・・
「あれ、ヒリアじゃない?」
見つかってしまった・・・ 一番ばれたくない人達に。たちまち周りに俺の存在は広がってしまい、ボッチでここにいた恥ずかしさが込み上げてくる。
「どうして、ヒリアは一人で・・・?」
「え、えっとしょ、しょの・・・」
「ヒリアさんは一人で飲んでたんですよね。誰にも誘ってもらえなくて、ね?」
この
「ごめんなさーーい!!」
俺は呼び止める声を無視して、豊穣の女店主を飛び出す。自らの安息の地へと戻るため。
俺はあの時神に願ったんだ。友達が欲しいと。
その願いが神にでも叶わないなら、自分で叶えるしかない。
俺はダンジョンに出会いを探しに来たんじゃない。友達を作りに来たんだ!!
蛇足だが、ホームに戻って、今日も枕を濡らしたのは言うまでもないだろう。
続きません。
因みにオリ主のステです。
ヒリア・ソロボーチ
Level7
力:F 375
耐久:H 189
器用:H 199
敏捷:D 501
魔力:E 432
耐魅力:SS
魔法:【飛天翔】
スキル:【友達作成】
・早熟する。
・友達を作ろうという思想が続く限り、効果は持続する。
思いつく限りでこんなものです。また出たら追加すると思います。
誤字脱字あったら感想にお願いします。作品自体の感想・こんな風にしたら面白いんじゃない?とかでも結構ですので、どんどんお待ちしております。