[注意]
原作では、マスコミ騒動の日と、救助訓練の日はたぶん別の日ですが、この作品では同じ日に起こったとしています。ちょっと強引ですが。
[前回のあらすじ]
オールマイトがイケメン。
No.9 マスコミ騒動
「オールマイトの授業を受けてみて、どうですか?」
朝、学校に登校するとマスコミが大勢いた。その理由はオールマイトが雄英高校の教師に就任したからだ。全国を驚かせ世間は連日この話題で持ち切り。
で、私もインタービューを受けている。
「そうですねぇ…… オールマイト先生の生徒に対する真摯な姿勢をひしひしと感じます。生徒一人一人の事を考えておられて、本当に素晴らしい先生です。そんな先生の授業を受けることが出来、大変光栄です」
「なるほど、コメントありがとう。 あ!そこの君! インタビュー良いかな?!」
私へのインタビューを終えると、今度は幸か不幸か、ちょうど登校してきた緑谷君にインタビューを始めた。
「え?! あ…その、僕保健室に行かなくちゃいけなくて……」
なんかドンマイ、緑谷君。
***
「昨日の戦闘訓練お疲れ。
爆豪、お前もうガキみてえなマネするな、能力あるんだから」
「……わかってる」
朝の
相澤先生から注意を受けて、いつもみたいに爆豪君が怒るのかなと思ったら、意外とおとなしかった。何やら神妙な面持ちだし、訓練の後に思うところがあったのだろう。
「で、緑谷はまた腕ブッ壊して一件落着か。個性の制御、いつまでも『できないから仕方ない』じゃ通さねえぞ」
今度は爆豪君と戦闘した緑谷君に相澤先生の矛先が向かう。
オールマイトから緑谷君に『ワン・フォー・オール』が渡された経緯を知った今、緑谷君が個性の制御が出来ていないのも納得がいく。
個性の制御、頑張って緑谷君。影ながら応援してるよ。
「あと、古明地」
あれ、私の方にも矛先が……?
「相手を煽って隙を作るのは、お前の個性を考えると合理的だ。だが、煽りすぎるのは逆に命取りになるぞ。
あと、あの時のお前はヴィラン設定だが、あまりにもヒーローがしていい顔じゃなかった。正直寒気がした」
「……気をつけます」
ちょっと待って相澤先生。
あれはね、ヴィランを全力で演じきった結果なのです。つまり私は悪くない。
「さて、HRの本題だ。急で悪いが、今日は君らに…… 学級委員長を決めてもらう」
「「学校っぽいの来たーー!!!」」
なんだ、学級委員長決めか……
先生が無駄に気迫を漂わせるから、入学初日みたいに突然テストするのかと思った。
「委員長! やりたいです、ソレ俺!」
「ウチもやりたいス」
「オイラのマニュフェストは女子全員、膝上30センチ!!」
「リーダー!! やるやるー!!」
みんな元気よく挙手をして立候補する。さすが雄英、自己主張の激しい子ばかりだ。一部おかしいマニュフェストを掲げている人がいますけど。
え、私も挙手したほうがいいのかな。ぶっちゃけやりたくないけど、みんな挙手してるし、私もしとこうかな……
みんながやるなら、自分も。なんとも日本人らしい思考だ。
「静粛にしたまえ!!」
みんなが思い思いにアピールする中、飯田君が一喝する。さすがメガネキャラだ。
「『多』を
民主主義に
素晴らしいです、飯田君。安易な気持ちで委員長をしないために皆を注意。なかなかできることではありません。
投票の際にはぜひ彼に入れてあげましょう。
「そびえ立ってんじゃねーか! 何故発案した!!!」
飯田君の方を見ると、プルプルと震えながら右手を天に向かって掲げていた。その姿は、神へと挑戦するバベルの塔を思わせるものであります。
……やっぱり、飯田君への投票はなしで。
その後、投票という流れになり、結果は緑谷君が4票、八百万さんが2票。委員長が緑谷君、副委員長が八百万さんに決定した。
私?
私は…… 0票でした。
ええ、0票でしたとも。自分の票は緑谷君に入れましたし、0票になることも想定していました。つまり計画通り。
決して悲しくはありませんが、
なんでや。
アレか。対人戦闘訓練でヴィランになり切ったのがアカンかったんか?
***
ただいま、緑谷君たちと昼食中。
ボッチ飯だと思った? 残念! 心優しい彼らがいる限り、私がボッチになることはあんまりない!
昼食の会話の話題はもちろん、朝の委員長決め。飯田君は緑谷君に一票を入れたらしい。サードアイでチラリと飯田君を見ると、やはり飯田君も委員長をやりたかったようだ。それなのにほかの人に入れるなんて律儀というか真面目だなぁ。
「でも、飯田君も委員長やりたかったんじゃないの? メガネだし!」
かわいい顔して意外と容赦ないからなぁ……
「『やりたい』と相応しいか否かは別の話…… ぼ… ん゛ん゛! 俺は俺の正しいと思う判断を下したまでだ」
ぼ……?
はい、今完全に飯田君は『僕』と言おうとしました。サードアイで覗いて確認したので、確信をもって言えます。
咳払いで何とか誤魔化して緑谷君と麗日さんには気づかれていないようですが、私の『目』は誤魔化せません。
「飯田君、今一人称が『僕』になりそうでしたね。いやはや、危うくバレそうでしたねぇ」
「…?!」
飯田君に告げると結構ビックリしている。もちろん、普通の音量で話しているので、緑谷君と麗日さんにも丸聞こえ。ちょっと意地悪が過ぎましたかね?
その後、麗日さんの軽いジャブもあって、無事に飯田君が坊ちゃんだということが明るみにでました。
なんでも、飯田君はターボヒーロー インゲニウムの弟さんのようで、兄に
ちょっと意地悪してしまったので、どこかで埋め合わせしましょう。
そんなこんなで他愛もない話をしていると、急にけたたましいサイレンの音が食堂に鳴り響く。
「警報?!」
《セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは
途端にドタドタと食堂にいる生徒が出口へ向かって一目散に走りだす。
いったい何が起こっているのか。
皆が慌てふためく中、ふと、窓の外へと注意を向ける。するとそこから見えたのは朝の報道陣の姿。
なるほど、彼らが侵入して警報が鳴ったのか。雄英高校は高度のセキュリティシステムがあったはずだから、どうやって侵入したのかは
「危険はないみt……?」
飯田君たちにそのことを伝えようとしたけど、人の波に連れていかれてしまったのか既にいなかった。
「あら、残念です。まあ、危険もさほどないですし良いでしょう。それよりも……」
さて、この状況を利用しましょうか。
今現在、食堂はパニックに陥っている。
雄英高校に誰かが侵入し、一刻も早く逃げなければならない。しかし、食堂の出口は一つしかなく、全ての学科の生徒が一堂に会しているこの状況において、当然出口で詰まるわけだ。
つまり、今この場にいる生徒の多くが『動揺』している。
そう、私が皆のトラウマを読み取る、打ってつけの状況なのだ。恐怖によって動揺している彼らは、無意識のうちに過去のトラウマも思い出していて、簡単に
ああ、素晴らしい、ゾクゾクします。興奮します。
おっと、いけません。Be cool... 落ち着きましょう。
今日は午後から授業でヒーロー基礎学があるし、あらかじめ色々な個性を想起できるようにしておけば、かなりのアドバンテージになる。
「さて、それでは失礼して……」
出口に向かう彼らから少し離れ、サードアイを向ける。
何十人、何百人といる彼らから、それぞれの思い出とともに個性が流れ込んでくる。
中にはエグイ思い出と一緒のもあるけれど、どれも素晴らしい個性ばかりだ。今日のヒーロー基礎学では一番になれるかもしれないね。
「
ノリノリで皆の個性を読み取っていると、誰かの発した大きな声で中断されてしまった。まったく、誰ですか。
声のした方へ顔を向けると、そこには非常口のピクトグラムのような格好をした飯田君の姿。
「ただのマスコミです! 何もパニックになることはありません、大丈ー夫!!
ここは雄英!! 最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう!!」
大胆かつ端的なその言葉に、皆が注目する。そのおかげでパニックは次第に沈静化。
もっと読み取りたかった私としてはもっとパニックに陥ってくれた方がよかったけど、飯田君の頑張りに免じて良しとしましょう。
非常口みたいでちょっと締まらなかったけど、カッコ良かったぜ、飯田君。
***
「ほら委員長、始めて」
「でっ、では、ほかの委員決めを執り行って参ります! ……けど、その前にいいですか!」
八百万さんに急かされて、緑谷君が震え声で話し出す。
……大丈夫か緑谷君。
「あんな風にかっこよく人をまとめられるんだ。僕は、飯田君がやるのが正しいと思うよ」
緑谷君の発言にクラスの皆も賛成する。
まあ、緑谷君が良いというのなら、飯田君が委員長をしても特段、問題ない。
任せましたよ、非常口さん。
その後、30分ほどでつつがなく委員決めが終わり、ヒーロー基礎学の運びとなった。
「んじゃ、委員決めも終わったし、今日のヒーロー基礎学に移るが… 俺とオールマイト、そしてもう一人の3人体制で見ることになった」
相も変わらず、気だるそうな相澤先生。
今日のヒーロー基礎額は災害水難、何でもござれの
「訓練場は少し離れた場所にあるから、バスに乗っていく。コスチュームは着ても着なくてもどっちでもいい。以上、んじゃさっさと準備するように」
ふっふっふ、お昼のマスコミ騒動で、個性を読み取っておいたおかげで準備はバッチリだ。腕がなります。
「随分と楽しそうね、古明地ちゃん」
「ええ、蛙吹さん。とっても楽しみです」
入学試験の時は
前回の投稿から2週間弱。つまり……めちゃくちゃ早い更新速度だな!
あ、まって。そんな目で見ないで...
P.S.
励ましの言葉等々、ありがとうございました。実は、亀更新ですが、これからも細々と投稿頑張ります