東京喰種 そこそこ強い(自称)捜査官   作:ディルク

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第18話

「えー、皆注目しろ。本日よりS0に加入することになった捜査官達だ。仲良くしろとは言わないけど、しっかり協力して仕事しろよ」

 

特等会議の翌日、白石達S0のメンバーは20区のCCG支局に集まっていた。現在、白石が新しくS0に加わるメンバーの紹介をしていっている。

 

「じゃあ、右から順番に。篠原特等と鈴屋三等、チノムツさんと田井中上等」

 

「なんで私だけチノムツさん」

 

「コホン、法寺准特等と滝澤二等。そして、そこで1人でいるのが真戸二等だ。以上」

 

白石の説明を聞いていた班員達はとりあえず歓迎の拍手を送る。どこか戸惑っているような雰囲気があった。

 

「どうした?折角交渉して引っ張ってきた人員だぞ。もっと喜べ」

 

「はぁ、でも白石准特等、要求していた数より少なくないですか?」

 

班員達は白石が自信満々に言うものなので要望は絶対に叶えられるだろうと予想していた。しかし、実際見てみれば人数も白石の要望より少なく、二等や三等が新たに送られてくる始末、戸惑わずにはいられなかった。

 

そんな班員達の気持ちを赤坂が代弁して、白石へと問いかける。

 

(何か久しぶりに見たな赤坂達)

 

久しぶりに見た、白石の最初の部下達に対して失礼な事を思いながらも白石はその問いかけに答えた。

 

「あー、あれね。……やっぱ無理って言われてさー。いやー、自分でも無茶ぶりしすぎかなと思ったけど、やっぱり駄目だったな」

 

ハハハと笑っている白石に対して、班員達が呆れたような視線を向ける。しばらく笑っていた白石もばつが悪くなったのか黙りこむ。そのため会議室は沈黙に包まれた。

 

「いや、あれだよおまえ達、ちゃんと代わりは確保してきたからな」

 

「代わりですか?」

 

「そうそう。今、扉の外に待機させてるから」

 

「何でそんなことしてるんですか?」

 

「サプライズに決まってるだろ。おーい、入ってきてくれ」

 

白石の言葉と同時に扉が開いてぞろぞろと一団が入ってくる。彼等の姿を見て、班員達にざわめきが起こった。一団はそんな班員達を無視して、白石の元まで歩いていく。

 

「そんなわけで、お前ら、こいつらが代わりだ」

 

「いやいや、誰ですか?」

 

今までずっと黙っていた初期の頃の白石班班員の丸岡がつっこむ。これには班員達も同じ意見なのか首を揃えて縦に振っている。

 

「実は俺もよく知らないんだ。というわけで、自己紹介よろしく」

 

「ああ」

 

白石の言葉を聞いて、1人が前に出る。この会議室の至るところから視線が男に集中する中で男が口を開く。

 

「我々は本局特殊捜査官だ。局長から白石の下で動けとの指示を受けている。白石の指示次第ではお前達とも行動を共にすることもあるだろうから、その時はよろしく頼む」

 

男がそこまで言い切ると、男と同じように黒いコートに身を包んだ男達が同時に帽子を外して頭を下げる。突然頭を下げられた班員達は戸惑いの表情を浮かべていた。

 

「ちなみに今話してたのはゼンっていう名前だそうだ。聞きたいこともあるだろうけど答えられることがあまりないらしいから詮索しないでやってくれ」

 

「というわけで他に聞きたいことがあるやついるか?」

 

白石のその言葉に返事を返す者はおらず、しらけた雰囲気が会議場を満たしていた。

 

「で、では、よろしいでしょうか?」

 

誰も話すことがなく沈黙に包まれていた空間に声が響き渡る。その声の主は周りの視線に気まずそうにしている滝澤だった。

 

「ああ、もちろん。滝澤二等何が聞きたいんだ?」

 

「その、そこの真戸二等は一体どういう立場なのですか?パートナーもいないみたいですし」

 

「…………ああ、真戸二等ね。…………あれだよ、伊丙二等と入れ換えになったんだよ」

 

滝澤の言葉を聞いた瞬間に白石のテンションが目に見えて下がった。

 

「伊丙二等の教育は十分だから、次は真戸二等を強化してくれって、局長がね。というわけで真戸二等は新しい俺のパートナーだ。はぁ、滝澤二等、これで十分かな」

 

「……はい」

 

「じゃあ、他に聞きたいことある人いるか?」

 

その声に応えるものもおらず白石の解散の言葉で各々の仕事に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「班長と会うのも何だか久しぶりな気がしますね」

 

「そうだな。ハイルとペアになってから2人でずっと支局の外にいたからな」

 

あの会議の後に白石と赤坂が支局の廊下を歩いていた。白石が話したいことがあるといって呼び止めたのだ。

 

「その、なんだ……書類仕事とか地味な仕事ばかりおしつけて悪かったな」

 

「……プッ、あはははは!どうしたんですか班長。頭でも打ちましたか?」

 

「人が素直に謝ってるんだから笑うな」

 

赤坂の笑い声を聞いた白石は不機嫌そうな雰囲気をはなつ。そんな白石の様子を見て、慌てて手を振って、話し始める。

 

「ハハハ、冗談ですよ。ところでどのような用件でお呼びになったのですか?」

 

「ああ、ちょっと調べてもらいたいことがあるんだが」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白石上等来ませんね」

 

「彼はS0班の班長ですからね。きっと忙しいのでしょう」

 

捜査室の中に滝澤と法寺の声が響く。この部屋の中には今回新しくS0に編入された者達が集められていた。2人の会話をきっかけにそれぞれ話を始めた。

 

「ところで本局特殊捜査官なんてもの本当に実在したんですね。てっきり都市伝説か何かだと思っていましたよ。ねえ、ムツさん」

 

「そうですね。私も本当に存在しているとは思っていませんでした」

 

「篠原サーン、退屈ですー」

 

「もう少しで白石准特等が来るはずだからそれまで我慢しなさい」

 

「はーい」

 

田井中とチノムツは会話を続け、什造は菓子を食べ、篠原はそれを注意し、滝澤はチラッと真戸を盗み見し、法寺はそれを微笑ましそうに眺め、真戸は視線には気付いていたが無視して、書類を眺めていた。

 

それぞれが自分の好きなように過ごし、非常に和やかな雰囲気が漂っていた。しかし、そんな時間もすぐに終わった。

 

「遅れてすまん」

 

少し慌てながら白石が入ってきたからだ。真戸と什造以外は背筋を伸ばして白石の方へと体を向けた。

 

「そんな緊張しなくてもいいよ。何人かは一緒に戦ったこともあるだろうし。では、改めて名乗ろう。白石准特等捜査官だ。S0班班長で現在は20区、というより黒狗達の担当になっている。まあそんなわけでよろしく」

 

白石がそう言うと什造以外は返事を返した。白石は自分に一切関心を示さない什造の態度に頬をひきつらせたが気にせずに話を続けた。

 

「ここ20区はつい最近まで比較的穏やかで喰種の補食事件も少なかったけど、黒狗達と抗争状態になってしまったからにはそんな状態も長くは続かない。これからは他の区と同じくらい面倒な場所になるだろう。それにここだけの話、上の方はこの20区には黒狗と魔猿以上の地雷があるんじゃないかって予想している」

 

「黒狗と魔猿以上の地雷ですか?あの2体を越える喰種がいるのですか?」

 

「ええ、篠原特等。犬猿の仲と言われていたあの黒狗と魔猿が勝手に手を組むと思いますか?」

 

「いえ、そうは思わないですが……」

 

「上の方はあの2体を越える力を持った喰種が2体を従えたとみています。……心当たりありませんか?」

 

「……あの2体を越えた……まさかッ!?」

 

考え込んだ篠原の頭の中に1体の喰種が浮かび上がった。かつて自分も対峙したあの最強と言っても過言ではない喰種を。

 

「篠原特等、心当たりがあるのですか?」

 

チノムツが篠原へと問いかける。そんなチノムツの問いかけに篠原はゆっくりと頷いた。

 

「ああ、恐らくね。白石准特等、その喰種とは……」

 

「梟ではないですか?」

 

「その通りですよ。まあ総議長から話を聞いたときは何言ってんだこいつは、と思いましたが話を聞いてみれば理解できなくもないかなと思ったのです」

 

白石も話を聞いたときは驚き、疑ったが吉常、吉時の2人から詳しい話を聞くにつれて何だか正しいのではないかという思いが生まれ始めた。

 

「まっ、あくまで可能性の話だ。そこまでびびらなくてもいいぞ。滝澤二等」

 

「なッ!?じ、自分はびびってなど」

 

梟という言葉を聞いてから青い顔をしていた滝澤を白石がからかう。からかわれた滝澤は青かった顔を赤くして白石に反論した。

 

「ハハハ、篠原さん、あの人顔が青くなったり、赤くなったり忙しいですねー」

 

「何だと鈴屋!」

 

「まあまあ滝澤くん、落ち着いてください」

 

「賑やかな職場ですね。ムツさん」

 

「そうですね」

 

「そもそも会議中に菓子なんか食ってんじゃねーよ!」

 

「うるさいですねー」

 

「へぶしッ」

 

「おいッ、什造ッ!?」

 

「あれ、俺わりとシリアスな話をしてたんだけどな。まあ、種を撒いちゃったのは俺だからしょうがないか」

 

一瞬にして騒々しくなった部屋の様子を見ながら白石は苦笑を浮かべる。梟の話をして士気が下がり続けるよりは遥かにマシな状況だ。

 

(さてと、こっちの戦力は整い始めた。せいぜい首を洗って待っていろ、クソ喰種共)

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