俺には分からない・・・ずっとそうだ・・・。
その日、人類は思い出した。
その日は訓練兵たちは教官に思いっきり恫喝されていた。
これは『通過儀礼』と呼ばれるシロモノである。
デカイ声を張り上げて、怒鳴られ罵倒され自分の価値をいっぺんぶち壊し、そしてまっさらな状態にするという目的を持った正しい訓練カリキュラムの一環である。
思わず懐かしいなぁ、と教官たちも目を細めた。
尚、声をかけられていない者が数人存在するが、それは過去に何か色々あって自分自身の価値をぶち壊された者だろう。面構えが違っているのである。おそらくは『何らか』の地獄を見てきたものたちなのだろう。
「貴様は何者だ!?」
あぁまた一人犠牲者が出る、と誰もが思った。
そう思っ……
「フハハハハハハーーーー!!」
それは、晴れ渡った空を割り響くような笑い声だったという。
「貴様は何者だ!?」(TAKE2)
「フハハハハハハ!!!!」
「貴様はナニモノだ!?」(めげない)
「フハハハハハハーーーー!!」
「今年は中々の子が居るようだな」
「え? 子? ……子????」
メガネのおっさん教官は微笑ましい、といった感じだが後ろの若い教官は目を疑った。
子じゃねぇ。
子じゃねえよ……アレ……。
それはどう見ても筋骨隆々の大男だった。
色素の薄い金髪をオールバックになでつけており、どっちかというと端正な顔立ちだが額には相当の修羅場をくぐってきたもの特有の深いしわが彫刻されていた。さらには、そこにポチっと何かついている。
鍛え上げられた体躯はまるで古代文明の彫刻さながらではあるものの、それは人生経験の浅い若い教官にとって「立体起動向きじゃねーな」という感想を抱かせずにはいられなかった。
そして訓練兵用のジャケットの下には正気を疑うレベルの紫タンクトップである。
だが纏う雰囲気はそう、歴戦の兵士……否、これはそう。
『武神』もはやその域である。
「貴様は何のためにここに来た!!??」
「この世に覇者たる南斗十字星をかたどりし聖帝十字陵を打ち立てるため……フハハハハハーー!!」
「そうか! だが王はそんなもの望んじゃいない」
「王など要らぬ!!」
「反逆罪で逮捕されたいか貴様」
「王など不要!! 乱世に瞬くは北斗にあらず!! ただ将星のみ輝けばよいフハハハハハハーー!!」
その後もフハハハハハ笑いが頭から離れず新訓練兵歓迎の恫喝式は一時休戦になり。
アホな聖帝を論破することができなかった教官が「なんの成果も!! 得られませんでしたァアア!!!!」と叫ぶ光景が見られたという……。
その日の午後。
「すげーな、5時間も走りっぱなしか」
「あの芋女、死ぬまで走れと言われるより晩飯抜きって言われたときのほうが死にそうな顔してたぜ」
「それはそうと、あの馬車は?」
「あぁ、開拓地送りだそうよ」
「え? まだ初日だぜ?」
「仕方ないさ……ここは……力のある奴が残る場所なんだ」
サウザ―は開拓地に出荷されました。
多分進撃2期のアニメ見た結果でしょう。