外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』 作:カロライナ
散らばったパーツをかき集めドール達は体を完全に修復する。
探索者はその姿に戸惑い驚き取り乱しつつも、動ける者は修復の手伝いを行う。
そのなか、星乃は一人潰れた『レイヴン』の元へ向かうのであった。
「飛鳥。」
「・・・! 星乃さん、驚かせないで下さい。どうかなされたんですか?」
そんな光景を眺めて居ると飛鳥の背後から唐突に声が掛かる。安堵しているところにいきなり声を掛けられ、度肝を抜かれたのかビクンと身体を大きく揺らした。そんな飛鳥ではあったが、聞きなれた声と単調的な独特の声の主から個人を特定しホッと胸をなで下ろす。
背後には、血液のような粘菌で手を赤黒く染めながらも、何かカプセル状の物を持っている星乃が見下ろすかのように立っていた。
「敵。持ってた。コレ。どうする。」
「これは・・・・。」
星乃から手渡されたものを飛鳥は受け取る。それは、『レイヴン』と対峙した時に彼女が持っていた胎児そのものであった。クリアグリーン色の培養液に浮かんだその胎児は生きているのかピクピクと反応し、瞼のない2つの瞳が飛鳥を捉えていた。
カプセルには『
「飛鳥。文字。読める。 」
「も、もちろん。ここには・・・・・エ・・・え、えん、えむ、ぼ、りょ・・・・。エム↑ボリョ↓と書かれていますね。」
「エむ。ボリョ。凄い。飛鳥。読めた。凄い。流石。」
「・・・・///」
星乃の問いに焦りを覚えながら、飛鳥はカプセルに書かれている勘の赴くままに読み上げる。何か明らかに違う翻訳に対し、星乃は飛鳥を褒め、飛鳥は知ったかぶりをしている自分と、それを疑うこともなく素直に受け止め褒めてくれる星乃に対して恥ずかしのあまり赤面していた。
「飛鳥。意味。何。」
「えっ?」
唐突な更に奥まった質問に対し、赤らめていた顔をキョトンとさせる。
「エムボリョ。意味。」
「えっ、あ! あー! あーっ! い、いいい意味ですね!! 意味は・・・。」
顔を恥じらいで真っ赤に染めながら、胎児を見つめる。胎児はピクピクと脈動し、まるで飛鳥の回答を待っているかのように巨大な瞳が見つめていた。
行動判定
飛鳥→1 【大失敗】
「この入れ物の名前ですね!!」
「入れ物。名前・・・。 エムボリョ。」
「そうです! エムボリョです!」
「エムボリョ。」
「エムボリョ!!!」
「「エムボリョー!!!!!!」。」
対話判定+2
飛鳥→5+2【成功】
謎の一体感に包まれながら、顔を赤らめオーバーヒート気味の飛鳥は手の中の胎児を、星乃と共にエムボリョ!エムボリョ!叫びながら頭上に掲げていた。
それを何事といった様子で6人は複雑な目つきで、その掲げるカプセルと2人の姿をまじまじと様子を伺うのであった。
【後書き】
最近、ネクロニカのルルブを読み込んで気が付いたことなのですが、どうやらネクロニカの世界線では、スプラッターなシーンが多いため、常に周囲に鉄錆びの香りが充満していると思われがちですが、『におい』に関しては大分改善されていたそうです。
石鹸のような香りから、ミカンや、マウスウォッシュのような香りのする粘菌(ドール達を動かしている血液のような物)に改良されているようです。
ですから、戦闘中はドール達が弾け飛ぶとフローラルな香りが周囲を包み込みます。・・・・なかなかにシュールな光景です。
ですが、やはり匂いは混ざり混ざって悪臭になっているようなそんな気もしました。腐敗臭だって出ますしね。