主な登場人物
品川学(しながわまなぶ)・・・AK47を愛用していて賭博、殺人、違法ドラッグが大好きなサイコパスな性格。
光導導人(こうどうみちひと)・・・H&KのG36を愛用、主に日本とメキシコ間で密輸入をしている。
浅見誠(あさみまこと)・・・スナイパーライフルのFR-F2を愛用、アフリカ某国に軍事会社を持つ。
甲斐元勇介(かいもとゆうすけ)・・・M4A1を愛用、自衛隊出身で人を殺したことがない。
比嘉太郎(ひがたろう)・・・暴力団組員、瞳お嬢様のボディーガードで女子高生を風俗に斡旋している。
岡部浩二(おかべこうじ)・・・暴力団組員、瞳お嬢様のボディーガードで次期暴力団幹部。
田所瞳(たどころひとみ)・・・18歳女子高生、田所財閥の1人娘。
一日後・・・
本土に広がりつつある謎の疫病によって人々は暴徒と化した。
「総理、避難のほうを。」
とボディーガードが伝える。
「日本国のためにも私がいなければ、国民を置いて自分だけ逃げるのか・・・」
葛藤し一国家のトップとしての苦渋の決断であったがボディーガードとともに輸送ヘリに乗る。
総理大臣を乗せたヘリはビル群の中を飛ぶ。
するとヘリコプターの飛んでいる高度よりも高いビル屋上から人々が飛び降りる。
「一体どうなってるんだ。」
操縦士は驚くがプロとしてなんとかビル群を通過する。
飛び降りた人々の中でもプロペラに当たり体が四散する。
ヘリコプターのフロントガラスが赤色に染まるがワイパーで血を拭く。
だが数秒後、ヘリコプター内でピピピと警報が鳴る。
プロペラの動力源にさっきの飛び降りた人々の肉片が詰まって、ブンブンブンと音を立てなくなりプロペラが動かなくなった。
ヘリコプターはそのまま風に任せて住宅街に不時着する。
二日後・・・
総理大臣、官房長官、副総理大臣その他もろもろ内閣官僚行方不明という政治的混乱を招く。
日本本土の米軍は戦略的撤退、自衛隊及び警察関係者を7割失い、最終手段として本州に繋がる橋をすべて破壊した。
三日後・・・
最終手段により北海道、四国、九州その他の島々は謎の疫病にかかる患者が一人も確認されなくなった。
謎の疫病の解明よりも本土からの難民の対応に追われた。
そして謎の疫病を発症した者は感染体と呼ばれるようになった。
24日後・・・
多くの色鮮やかなコンテナが積まれている貨物船から小型ヘリコプターが飛び立つ。
操縦士を含めた四人の傭兵が日本本土に向かう。
ゴトゴト上でなるプロペラ、果てしない大海原を見て吸い込まれそうになる光導。
品川は木製の小箱をリュックから出す。
「酒か?」
故意に無視したのかプロペラ音で聞こえなかったのか、品川は光導の質問に答えずに小箱を開けて歯が全部見えるくらい不気味に笑う。
大空に通じるドアを閉めてもう一度大きな声で聞く。
「テキーラか、それとも葉巻?」
不気味な笑みで左腕を布きれでしっかりと縛って、
「もっといいものだ。」
品川は中身が透明の液体の注射器を取り出して右手で注射器を持ち左腕に刺す。
対面側に座っている甲斐元は眉間にしわを寄せて見つめる。
「なんだ、甲斐元?お前もハイになりたいか。」
不気味な笑顔で小箱を渡そうとする。
怒りっぽく、
「話しかけるな、クズ。」
M4A1の弾倉を外して弾倉の中がフルか確認する。
「誰がお前にやるか、英雄気取り。」
空の注射器を光導に渡し、木箱をリュックに入れる。
光導は大空につながるドアを再び開いて注射器を真っ青な海に捨てる。
水色の空と真っ青な海を見ながらふところの防弾ベストからテキーラボトルを取り出してちょびっと飲む。
装備を一通り手入れした甲斐元にテキーラを渡そうとするが、
「班長ありがたいですが、自分は酒は苦手であります。」
と品川と対照的な対応をあらわにする。
品川は建て付けてある浅見の愛銃FR-F2を触る。
「俺はこんな卑怯な武器は使わねー。」
「ハイなお前が触るな。」
注意すると品川はテキーラを猿のように奪いがぶ飲みする。
「またメキシコ軍から奪え。」
ざまあみろと言わんばかりの不気味な笑みを再び浮かべる。
無表情で、
「そうだな。それはお前にやるよ。」
光導は再びふところからウォッカボトルを取り出し、ちびちび飲む。
常に精神が安定していて不愛想な感じに気に入らず、品川は舌打ちしてから、
「せわしねー奴だな。」
ウォッカボトルの栓をしてから、
「甲斐元、緊張してるのか?」
「班長、分かるんですか?」
甲斐元は常に自分の装備を確認していた。
「ああ、俺や光導はいつものようにハイになったりほろ酔いだからなぁ。」
奪ったテキーラボトルを自分のものようにリュックの中に入れながら言う。
「確かに緊張してますが任務に支障はきたしません。」
すると品川はリュックにテキーラを入れるついでに無言で甲斐元に首飾りを投げつける。
「なんだよ。」
ムッとする感情をこらえて首飾りを見てみると、人の耳や手がいくつもぶら下がっていた。
「ひい。」
と情けない声と共に海に首飾りを捨てる。
無表情で光導が、
「本当に大丈夫か?」
「俺達はこんな世界で仕事してきたんだ、分かるか英雄もどき?」
脅すように言う品川。
すると操縦している浅見が口を開く。
「やめてやれ、これからの任務に支障が出る。陸地だ。」
海上だが突然海水の匂いがしなくなる。
陸地が見えてきたが土地は黒ずんでいて焦げ臭い。
「ここは爆撃目標じゃなかったはずだ。」
手すりを掴んで体を乗り出して真っ黒な燃えカスを見下す。
「なんだ驚いたか?」
ここぞとばかりに脅す品川。
「ただの火災だ。」
光導の推測だが火の手は感染体の急激な広がりと人々の減少により火元が引火したと考える。
つまり二次災害みたいなものだ。
廃墟と化した街を抜けて小高い丘にそびえたつ田所財閥本社が見えてきた。
「よし、全員臨戦態勢に入れ。」
光導の号令と共に四人の顔が引き締まる。
屋上のヘリポートにホバリング。
ヘリコプターはゆっくりと飛んでいるたんぽぽの種子がゆっくり地面に落ちるかのように着陸する。
それぞれ自動小銃や狙撃銃をしっかりぶれないように構えて着地する。
四人は陣形を整えて周りを警戒しながら屋上から下に通じる角の扉に向かう。
血塗られた赤い扉は半開きで暗闇が主張する。
「暗視スコープですか、それともライトですか?」
初めての戦闘状態に緊張して裏声で光導に指示を仰ぐ。
光導は左手を挙げて、
「待て、何かおかしい。」
屋上の扉が半開きということはかつて感染体が屋上にいたと推測する。
かすかだが階段を早足で登る音が無数に聞こえる。
「サブレッサー装着だ、全員扉に向けて銃を構えろ。」
AKやG36、M4が暗闇からの怪物を迎え撃つ用意をしている。
そんな中、風を切る音が徐々に大きくなる。
いつの間にか操縦席にいる浅見は一人逃げ帰ろうとしていたのだ。
「俺はスナイパーだ。こんな近距離じゃあ・・・」
光導もヘリに戻って浅見のサイドガラスを叩く。
「おい、任務を果たせ。」
ドンドンと叩くがプロペラ音で聞こえないのだろう、はたまた恐怖で頭が真っ白なのか。
「班長、戻ってください!」
甲斐元の大声をかき消すほどプロペラ音がブンブン鳴る。
品川は光導の肩を掴み、戦闘配置に連れ戻す。
「浅見は飛んだ腰抜け野郎だぜ・・・」
急いでサブレッサーをG36に付ける。
すると血だらけの警備服を着た男が瞳を真っ赤にして扉を勢いよくバーンとぶつけて光導にせまる。
狼のような唸り声を上げながら走り方は前かがみで頭突きするような感じの印象を受ける。
まだ光導はサブレッサーを付けている途中、男は口からよだれのように血を垂らして走り向かってくる。
「くそ!」
するとM4の弾丸が男の心臓に撃ちこまれる。
男は光導の足元で死に絶えた。
それから一気に感染体が蛇口が壊れ水が流れ出るかのように屋上に上ってくる。
品川と甲斐元はAK47とM4で応戦するが、感染体の列は途切れない。
光導もサブレッサーをようやく装着できて応戦する。
タイプライターを高速で撃ちこむような音を立てながら三丁の銃口が弾丸を吐き出す。
三人は追いつめられるように扉からどんどん遠のいていき、ついにヘリコプターの方が扉に近くなる。
逃げようとする浅見に気が付いた感染体がヘリのフロントガラスに押し寄せる。
感染体の血でフロントガラスは赤く染まる。
後部の開いていたドアから感染体が入ってきて、浅見は腰から抜いたベレッタで応戦する。
血はヘルメットにかかるが口に入らず、感染はしていない。
三人はヘリに群がる感染体を見て、目を合わす。
品川と光導が頷くと、甲斐元は胸にある手榴弾のピンを外してヘリに投げ込む。
その時の甲斐元に躊躇などなかった、なんせ生き残るためだ。
三人はそれぞれ排気口の裏に隠れると同時にヘリは爆発して、プロペラが感染体を巻き込む。
スプラッターによって感染体の肉片が排気口の裏にまで飛んできた。
甲斐元は排気口でヘルメットごと頭を抱えていた。
資料映像で見た感染体と実物はまるで違う、恐怖そのもの。
唯一の逃避手段のヘリコプターを失った事より思っていた以上にグロテスクな戦場に気がおかしくなりそうであった甲斐元。
光導はウォッカをちびちび飲みながら頭を抱える甲斐元に声を掛ける。
「これが殺し合いだ、飲むか?」
甲斐元はウォッカを受け取り、一気に喉に運ぶと体内から黄色いものを吐き散らす。
「・・・もらっていいですか?」
「・・・駄目だ。」
ウォッカを甲斐元から取り上げ、ふところに収める。
すると品川がテキーラを甲斐元に渡す。
「最初の勲章ってやつだ、まあ俺は好きじゃないがな。」
「あ、ありがとう・・・ございます。」
「ヘリは死んだ、浅見もだ。だが俺たちは生きてる任務続行だ。」
甲斐元をヘルメット越しにひとたたきしてから扉に向かう。
扉から血の付いた靴跡がたくさん出ている。
地面のコンクリートに刺さったプロペラ片を避けながら品川はスナイパーライフルを拾う。
「あいつはただのパイロットだったな。」
「ああ、浅見は知的で狡猾だったが、ボードゲームの駒でなく王だったてことだな。」
「英雄気取りの初心者以下だな。それゆえに俺たちは助かったがな、ヘリと浅見を引き換えに。」
品川は燃え行くヘリと共に火葬される死体を眺める。
光導は品川からスナイパーライフルを取り上げ、リュックに取り付ける。
「なにすんだよ。」
「卑怯な武器は使わないんだろ、お前にこの銃が使えるか?」
「いや使えねーな。」
あきらめてAKの弾倉と残りの弾丸の数を数える。
そこに戦意喪失していた甲斐元が再び合流する。
「おまたせしました。」
士気を下げたことに少し頭をさげて悪びれる。
すると光導から思いがけない言葉が、
「さっきは助かったよ。」
「え?」
お礼を口にするという意外な反応を示す光導。
サブレッサーを付けているとき、甲斐元が感染体に弾丸をぶちこまなかったら光導は死んでいたからだ。
しかし甲斐元はどの部分で助けたのか見当がない。
だがそんな感謝の言葉も彼に届くか届かないくらいがいいのだ。
AKの状態を確認してから、二人の扉の近くにいる場所に戻る。
「中は暗いはずだ、電気は点いてないし内部の灯は日光の光だけだろう。」
そう言ってリュックから特殊なゴーグルを取り出して耳にかける。
同じく品川や甲斐元も会社から支給されたゴーグルをかける。
三人は鼻と口を布を巻いて隠す。
「俺に続け。」
と光導の掛け声と共に暗視レンズに切り替えて暗闇が広がる扉の中に真っ先に足を踏み入れる。
踊り場から階段を静かに降りて行く、階段には血の跡や死体がたまに転がっていたりしている。
腐乱臭よりひどい臭いが三人の鼻を襲う。
「臭いだけで吐きそうです。」
「まったく同感だ。」
ごろごろ転がっている死体にM4の銃口を丁寧に向けながら階段を少しずつ降りる。
踊り場から屋内最上階の廊下に出てフロア数を数えて、階層を見る。
地下4階にシェルターがあることを確認する。
「救難信号はここからですかね?」
「行って確かめるしかないな。」
ここから地下4階に行くには20階降りて棟を移動しなければならない。
「離れるなよ。」
G36を構えて再び階段を下りるが、感染体が休眠状態で立っているのが上から見える。
見下げながら、AKを下の寝ている感染体に照準を向ける。
「待て。」
構えるのをやめて、
「なぜだ?」
不満をあらわにする品川。
「撃ち殺して階段を音を大きく立てて転がれば全階の感染体がこちらに向かってくるかもしれない。」
「それなら全員撃ち殺してやればいい。」
「すでに屋上で半分以上消費した・・・あとマガジン2個分だ、お前らは?」
それぞれマガジンの数を確認する。
「あと80だ。」
「あと70発くらいです。」
三人合わせて210発敵42人分だ。
「だったらどうするんだ?」
「・・・今考えてる。」
品川は階段を降り始める、
「待て、何考えてる。」
見かねた品川は音を立てずさっそうと感染体の後ろに回り、左袖に隠してあるバタフライナイフで喉を掻っ切る。
「これで解決だな。」
なんてクレイジーな奴なんだと光導と甲斐元は驚愕する。
一階に無事降りると別棟に続く渡り廊下が続いている、陽の光がまぶしく渡り廊下を挟んで感染体が数体いる。
「右二体、左五体。二人は左を頼む。」
三人はトライアングルになって廊下を渡る。
気づいた感染体を片っ端から片づける。
チキチキ、チキチキ、チキチキ、チキチキチキ、チキチキチキと静かに撃ち抜く。
「クリア―。」
「クリア―。」
「クリア―。」
三人が小声で口をそろえて言う。
渡り廊下を越えて、
「あとはここを下りればシェルターだ。」
G36を構えて暗視ゴーグルに切り替えると、品川が右腕を掴む。
「もしいなかったらどうするんだ?仮に死んでいたら?」
光導は鼻で笑いながら
「心配なんてお前らしくないな。」
図星からだろうか、
「いや・・・報酬が気になるだけだ。」
依頼者からは死んでる証拠を持ち帰っても報酬がもらえる、だが報酬は生きて救出する賞金の半分だ。
「行けば分かりますよ。」
唾をのみ込み緊張感を高める甲斐元。
一気に階段を下りて地下4階に到達する。
地下も同じく部屋がまばらにある、中には懲罰室や尋問室も。
「空気が違うな。」
確かに品川の言う通りだ、
「全員、油断するな。」
差し足忍び足で歩くと窓のない扉を発見する。
甲斐元は知らずに水たまりを踏み、ピチャという音が地下4階に響く。
そして挟み撃ちのように感染体が人海のごとく押し寄せる。
三人は感染体の波に向かって乱射するが、思った以上に数が多く弾倉を替える時間も惜しい。
甲斐元は最後の手榴弾を来た通路に投げて爆破して道を瓦礫にして感染体の波を止めた。
すると窓のない扉が自動で上に開く。
三人は素早く扉の内側に入る。
そしてまた今度はドア式の扉が見えて電子音で鍵の開く音がした。
どうやら小さな空間を挟んだスーパーにある出入口の二重扉のような感じだ。
AKとM4に挟まれた光導はグリップからドアノブに手を掛けて緊張しながらドアを開く。
感染体の群れの第二波が迫ってくる。
窓のない扉はゆっくりと閉まり、もう通路に戻ることはできない。
最後に入った甲斐元はドアを閉める、すると電子ロックされた。
「その戦闘服・・・自衛隊ではないようだな、武器を捨てろ。」
と拳銃を構えたタキシードの男がうながす。
1対3だがタキシードの男はそれでも強気に指示する。
「そう焦るな、我々は田所瞳という人物を救助しに来ただけだ。」
ゆっくりと手を伸ばしてふところから人物写真を見せる。
「・・・いいだろう。」
タキシードの男は写真を見て一息ついて拳銃を収める。
そこにセーラー服姿の女が違う個室から現れる。
「あんたが田所瞳か?」
質問しながら近づくと透明な何かにあたる。
防弾ガラスだ。
まるで何もないかのようだが、この透き通るような空気みたいなガラスが空間を分断する。
「お嬢様次第でお前たちを窒息死させることもできる。」
なるほど、だから1対3でも堂々としていたのか。
撃てば跳ね返る、ガラスを隔てているから人数は関係ない。
向こうの方が有利だ。
「俺たちは味方だ、親父さんに生きて連れ帰ることが最優先なんだ。」
甲斐元は必死に説得するが首を縦にも横にも振らない。
AKを防弾ガラスに向けて、
「いっそのことガラスを破って首を持って帰ってやってもいいんだぜ。」
型破りで相変わらずクレイジーだ。
「無駄だ。その前に俺たちは弾切れで窒息死させられる。まあ、何をしても俺たちは向こうの手の上さ。」
「浅見さんが死んでヘリコプターもなくなった、だが協力し合えば生き残れる。」
甲斐元は情に訴える。
だがターゲットは腕を組んで試すように問う、
「地球上で生きているのは私達だけじゃないの?」
「違う、日本本土は壊滅したが北海道・四国・九州その他の島々は安全だ。」
「ヘリコプターはもうないんだろ?」
とタキシードの男が水を差す。
「そうか・・・ならそっちが助けを乞うまで俺たちはこっちでくつろごう。」
コンクリートむき出しの壁に三人はもたれて座る。
光導はウォッカをちびちび飲み、甲斐元は携帯機器でアダルトサイトを見る、品川は注射器を左腕に打つ。
タキシードの男はガラスを隔てて光導に聞く。
「あんたがリーダーっぽいがどうして俺たちを助けに来てくれたんだ?」
「俺達?違う。令嬢だ。」
「そうか。」
タキシードの男は察する。
「そうだ。あんたと一緒の依頼主?まあ雇い主か、どっちでもいい。」
一日後・・・
夕焼けが綺麗な頃である。
校門前でタキシードを着た男二人組が黒のベンツの中で待機している。
煙草を咥えてライターの火を点けようとする比嘉。
「今日は人が少ないな、毎日この人数なら快適だぜ。」
「煙草なら外で吸え。」
煙草を咥えたまま、
「あいよ、次期幹部長。」
比嘉は岡部の言われるがままベンツを降りてベンツにもたれて火を点けようとする。
そこに女子高生二人が通りかかる。
「ねえねえ、君たち稼げる仕事あるんだけどやってみない?」
女子高生二人組はそのスキンヘッドにタキシードで肩から少し見える刺青にびびって小走りでその場所から去る。
運転席から笑い声が聞こえる。
虫の居所が悪くなりフロントガラスを叩いて煙草を蒸かす。
それから少ししていつも3時15分に出てくる令嬢が3時20分になっても出てこない。
金色の腕時計のローマ数字を見る。
「何かおかしい・・・行くぞ、太郎。」
「おう。」
二人の怪しい男が学校に侵入する。
すると一人の女子高生が泣きながら助けを乞う。
その女子高生はお嬢様とよくいる人物だ。
「瞳を助けてください。」
女子高生に案内されて比嘉と岡部は形相を変えて走って3-1に向かう。
学校内は血だらけで窓ガラスも割れて椅子や机も散乱している。
「なんだこれ、それにひでー臭いだ。」
比嘉は鼻を一瞬隠す。
3-1に行くと血だらけの男子高校生一人がロッカーに体当たりしている。
何度も何度も、まるで行動のおうむ返しだ。
ふところに忍ばせているトカレフを構える比嘉。
「離れろ!」
岡部の声に反応した男子高校生はこちらに向かって全力でゆらゆらと走ってめがけてくる。
「任せろ、比嘉。」
素早くトカレフを取り出し右足に撃ちこむ。
だが男子高校生は太ももを流血しながらも這いずって向かってくる。
「嘘・・・」
女子高生は顔を真っ青に。
比嘉は銃弾を男子高校生に叩きこむ。
銃を構えてロッカーを開けると、気絶している田所瞳がいた。
「お嬢様。」
激しく揺さぶり起こす。
「・・・んん、悪い夢だった。」
岡部を見た後死んでいる男子高校生を見ると同時に臭いで窓の外に消化している物を吐く。
「夢じゃない・・・」
「はい、逃げましょう。」
3-1を出て四人で逃げようと階段に行くとかつて高校生であった群れが襲ってきた。
その時田所令嬢の唯一無二の親友が襲われる。
「千秋!!!」
と手を伸ばすがボディーガード二人が止める。
千秋は別の何かに変わったかのように別の発症者とともに襲いかかってくる。
次の階段からも逃げてきた高校生たちが襲われている。
そして目の色が茶色から赤色に変わる。
三階だが窓から飛び降りることを勧める。
「お嬢様、他にありません。」
瞳は心に決めて悔いなく三階から飛び降りた。
すると下には棒高跳びのマットが置いてあった。
校舎の三階から飛び降りたのに三人は無事無傷であった。
「お天道様は俺たちをまだ見捨ててないようだぜ。」
岡部は無我夢中で令嬢の手を握り運動場で襲われている避難民に目を向けず、ベンツに走る。
運転席に岡部は乗り、助手席に令嬢が乗る。
その際比嘉は援護した。
後部から来る暴走自動車のタイヤを撃ちパンクさせ、左手で校門の感染者を突き飛ばす。
「乗れ、太郎。」
すると比嘉は高校生だったものに噛まれる。
「行け!!!」
それが岡部は最後に聞いた比嘉の言葉であった。
アクセル全開でバックミラーから見える比嘉が小さくなっていく。
異変が起こりはじめる前、トカレフを口に加えて引き金を引いた。
しばらく田園を走ると小高い丘にそびえる田所財閥本社が見えてきた。
「お嬢様、友人を亡くされてつらいでしょう・・・」
「ええ、でも私もああなるところだった。」
「緊急事態なので本社のシェルターに避難します。」
本社前にベンツを停めて、先に岡部は様子を見る。
本社入口には社員だったものが血だらけで突っ立ている。
岡部は車をシェルターに近い場所に移動させた。
令嬢を降ろして、トカレフを両手でグリップを持つ。
「周りには誰もいませんか?」
「ええ、岡部。」
岡部は暗証番号1008を入力してシェルターに繋がるエレベーターに乗る。
エレベーター内でも拳銃を構えてシェルターの中の最悪の状態に備えて構える。
チンと扉が開く。
中は誰もおらず、すぐにエレベーターの電源を止めた。
「助けは呼べるの?」
「はい、お嬢様。しかし今助けを呼んでも賢くはありません、状況を把握してから信号を送りましょう。」
瞳は用心深くて頼れる岡部に任せた。
24日後・・・
「そうか、そっちにはエレベーターがあるのか。」
「ああ、だがマトリョーシカさ。ここに居ても外に出ても誰も助けに来ない。」
「俺たちが来た。」
「だが帰れないんだろ?」
すると瞳が岡部を呼び出す。
傭兵三人に聞こえないように二人で話す。
「彼らに賭けてみない?」
「いえ、まだ早いです。特にあの注射器を打ってるやつは信用できません。」
「もう遅いわ。」
ウイーンと空間を隔てるガラスが左右に幕引きする。
納得できない岡部は天井を仰ぐ。
腕を組んで、
「対等に話し合いましょう。」
重い腰を上げて立ち、
「ああ、俺は光導導人だ。」
握手を交わす。
続いて甲斐元と握手を交わす。
「死なないでくれよ。賞金が半分になる。」
と憎たらしく声をかける品川。
「ねえ、あなたたち助けに来たんでしょ?」
「その通りだ令嬢さん。」
腕を組んで顎を上げて高々と、
「ヘリコプターはあるから心配しないで。」
だが傭兵三人はうつむき黙る。
「え、まさか誰も操縦できないの?」
引き続き静寂が続く。
「何のために来たのよ。」
「金のためだ。」
品川を睨みつける瞳。
「だったら私が操縦するしかないわね。」
男たちは驚く。
「操縦できるのか?」
「お嬢様、自転車にすら乗れないじゃないですか。」
「私は田所財閥の一人娘よ。なんだって出来るわ、本気だせばね。」
「つまり、よく副操縦をやってたってことか?」
なんだかんだで本土脱出は令嬢の手に委ねられる。
「じゃあ明日朝出発するから頼むわよ。」
そう言って一人個室に休みに行った。
「なんて絵に書いた我儘お嬢様なんだ。」
と甲斐元は感じる。
岡部は注射を打つ品川に話しかける。
「品川、という名字だったな。」
「ああ、そうだ。邪魔すんじゃねー。」
「それは東南アジアで出回ってるブツだ。」
「おお、これを知っているとはコアなやつだな。」
「俺は岡部だからな。」
「岡部・・・なるほどな。お前の組織に追われて俺は東南アジアに逃げたんだ。だが岡部はまだ俺を追随してきた、だから中東まで逃げて稼げるようになった。」
「俺を恨んでいるか?」
「恨む?俺はそんなみみっちい男じゃねー、常に前を向いて毎日ハイな生活を送ってる。・・・それだけだ。」
光導は飲んだくれている甲斐元に話しかける。
「M4を点検してないってことは緊張がなくなったのか?」
「いえ、弾丸がないだけです。」
M4を床に置いて、
「過酷な任務ですね。」
「ああ。」
「メキシコも過酷ですか?」
「それは場所によるが今の日本本土よりはマシだ。こっちは反社会だが相手は正義の名のもとに戦ってる、つまり情けは多少かけてくれる。だが感染体は情け無用で命がない死神の亡霊さ。」
「もし生き抜ければ職場紹介してください。」
「ああ。」
腕時計で時間を確認して、
「もう寝るんだ。」
甲斐元からテキーラを取り上げ、残りをがぶ飲みする。
翌朝光導は瞳に起こされる。
「ちょっと、起きなさい。」
「ああ、悪い。」
頭を無理やり冴えさせて、
「昨日の作戦通り、ベンツに乗って近くのヘリポートに行ってヘリを入手して脱出だ。」
「運転は俺がする。その時援護してくれ。」
「岡部の後は私がヘリを動かす、動かなかったらそこで終わり。」
電源をエレベーターに供給し、五人が地上に上がる。
「これ持ってろ。」
デザートイーグル一式を岡部に渡す。
「光導、その小銃でいけるのか?」
「お前こそ、トカレフ一丁で大丈夫か?」
岡部はホルスターを腰につける。
チンという音とともにまばゆい朝の光が差し込む。
周りに人の気配はしない。
手で合図してベンツに向かい、周りを警戒する。
「いいぞ。」
と岡部の声とともに、
傭兵三人がベンツに乗り込む。
ベンツはヘリポートに向かって走り出した。
坂道を走るベンツ、
「畜生。」
「どうした?」
坂からヘリポートが見える、ヘリコプターが一機だけ見え、数十体の感染体が休眠している。
「俺が銃声と煙幕弾で引きつける・・・」
「そんなことしなくても車で引きつけて逃がせばいいじゃないですか。」
「いや、それだとより危険だ。光導の言ってる事が正しい。」
ちょうど車が坂を下りて平地を走る。
「ここでいい、降ろしてくれ。」
G36を岡部に渡す。
「扱えるか?トカレフと交換してくれ。」
岡部は頷いてトカレフを渡す。
「今から10分後に銃声を鳴らして煙幕を張るから生き残れ。」
FR-F2を肩にかけて足を地面に降ろす。
ベンツは遠くに消えていく。
「さあ、気を引き締めるぞ。」
ヘリポートは頑丈なフェンスで囲まれており、管制室の裏で隠れる。
金色の腕時計のローマ数字を見る、
「10分経ったな。」
パーンと長く響く金属音が小高い丘から聞こえる。
ほとんどの感染体が小高い丘の方に走って行く。
「班長が引きつけてくれてる。」
ヘリポートにいるのは数体くらいで休眠状態だ。
「お嬢様、頼みますよ。」
岡部、品川、甲斐元は令嬢をトライアングルで囲って守りながら飛び出してヘリポートの感染体を一掃する。
チキチキチキチキチキチキチキチキと音を切らさず撃ち続けた。
瞳は操縦席に乗り込み、出力を上げてエンジンを起動する。
プロペラがゆっくりと螺旋を描くように動き始める。
すると管制室の横の入り口の向こうから無数の感染体が向かってくる。
AK・G36・M4の銃弾は底をついて、グロック・デザートイーグル・ベレッタに武器を変える。
絶え間ない衝撃音とプロペラ音の中でヘリポートの入口を閉めようとする。
「援護を頼む。」
うち開きの金網の扉を率先して甲斐元が閉める。
感染体は到達し、豪雨の川の土手の崩壊に近いような肉の川だ。
他の2人も射撃をやめて扉を押さえる。
扉とフェンスをG36でひっかける。
「なんとかなりそうよ!」
今にも飛び立ちそうな最後の希望から声が聞こえる。
すると突然甲斐元が品川に襲いかかる。
その時甲斐元は品川に血を浴びせる。
品川は投げ飛ばすが、口に血が入るのを感じた。
「畜生・・・」
かつて甲斐元であった感染体が品川に噛みつく。
グロックの弾を撃ちこみ、こめかみに銃口を当てる。
プロペラ音で気づかなかった岡部はやっと後ろの状況に気づく。
品川と岡部は目を合わす。
「分かってるさ・・・」
引き金を引いて地面に体を強く叩く。
「ちょっと早く!」
ヘリコプターは少し浮き始めた。
声に気が付いてヘリに乗り込む。
小高い丘から来る数体の感染体にデザートイーグルが牙を剥く。
ヘリコプターはホバリングして、岡部は副操縦席に移動、
「何か手伝うことがあれば・・・」
「特にないわ。」
と言って岡部にマニュアルを渡す。
ヘリコプターは海を目指して南下する。
END・・・
予定していたプロットです↓が、結構省いたり変更したりしました。
物語は24日後から始まる。
昨日届いた財閥本社の衛星救難信号によって令嬢を助けに行くことになる。
↓理由
請け負いの民間軍事会社マーシズ(MARCYS)に大金が入るから。
ヘリコプターで本社まで飛ぶ。
屋上のヘリポートに着陸するが階段から屋上に繋がる扉から感染体が襲う。
その時操縦士を失う。
操縦士が感染体になり現実を見ることになる。
感染体の目を盗んで黙々と社内を捜査する。
避難シェルターを見つけ、中の人間と交渉する。
それに気づいた感染体が人海のごとく押し寄せる。
中の人間は仕方なくマーシズを助ける。
中の人間は元傭兵のボディーガードだと判明、そこで令嬢の生存も確認。
令嬢の最後のボディーガード死亡。
財閥の令嬢を救出する。
続編24週後・・・はまたおいおい作って行きます。