「ふむ、なるほどなるほど」
「———ハア…ハア…う…めちゃくちゃだ…」
数分の攻防。いや、俺は守りに徹するので精一杯だった。
目の前の英霊。二槍を使い手とする女のサーヴァント。鋭い目つきになびく長髪。凛とした表情に男を惑わすバランスのとれた肉体。しかし、そんなものに反応するほど今の俺に余裕はない。
相手はおそらく、あのスカサハだ。
かつて大英雄クー・フーリンにあらゆる武を教え込み、自らの愛槍であるゲイ・ボルグすら与えたという影の国の女王。
「戦いにおいての才は全く感じないが…根性だけはある。よほど無我夢中に追いかけてきた存在があるらしいな。お主」
「……」
言ってくれる。こうもきっぱり才能がないと言われれば逆に清々しいというものだ。
杖代わりに突き刺していた剣を抜き放ち、構える。
「ふふ、休憩は終わりか?では…お主のその根性…見せてみよッ!このスカサハにッッ!!」
「———ッッ」
だが、こう打ち合い続ければ、充電は十分だというもの。
魔眼発動に必要な魔力は十分溜まった。
あとは隙をつけば…!!
「はぁッッ!!」
「オラァッッ!!」
突き放たれる真紅の槍を、二本の鱗剣で受け止める。電撃のような衝撃が体を駆け巡り、思わず手を離してしまいそうになるのを俺は文字通り歯を食いしばり耐えきる。
しかし、奴の攻撃はそれでは終わらない!!
「ふっ!!」
「き——がっ…!!」
あっちの一本の槍をこちらは二本の剣でなんとか止めて見せたというのに、スカサハのその細い体からはみ出るくらいのもう一本の槍が俺の顔面めがけて突っ込んでくる。
「止めろぉぉぉぉ!!!」
————!!!
「む?実際しっかり形を見るのは初めてだな」
俺の背後から飛び出す
「ふっっっっっ…ざけんなよ…!!彼女のパワーは筋力A相当だぞっ…!?なんで涼しい顔して…がああああああ!!!!!!!!」
「ふふふ…まだまだいけるぞ?」
う…や、やばい…!!
なんとか押さえつけてる槍がだんだん…さらに力を込めて向かってくる…!!
このままじゃすぐ限界がくるッ!!
しかも剣で押さえつけてる方も本当に少しづつ…少しでも力を抜いたら即串刺しだ…!!
す、少しだけでも逸らせれば…!!
「う、うおおおおおおォォォォォォォォォッッッッ!!!!!!!!」
カキィィィィンッッッッ!!!!
逸れたッッ!!!!
チャンスだ…チャンスは訪れた!!やっぱり運命はこの多田野荒木に味方してくれている!!
俺はバック転で後ろに移動し、持っていた剣を二本、それぞれスカサハの顔、心臓めがけて投擲する。
「ふん!…武器を投げるとはっ!?」
飛んでいく剣はいともたやすく弾かれる。しかし、俺は素早くスカサハに近づき…
「魔眼!」
「ぬッッ!?」
魔眼、『
しかし、やはり三騎士クラス並みの対魔力を有していることはある。このスカサハ至近距離で目と目があったこの状況で石化までは至らないが、その動きをほんのちょっとでも止められれば…!!
「強化…強化…強化強化強化強化強化強化!!!!」
魔術回路が燃けおちそうなレベルで礼装魔術を使い続ける。全身に走る神経を焦がす痛み…!!
しかし、勝つためにはこれしかない!!
俺は動きの止まったスカサハの懐に左足を踏み込み、正拳突きの構えに入り…!!
「オオオオオオオオォォォォォラァァァァァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!」
メキョッッッッ!!!!!!!!
「————がッッッ…!?!?」
殴り飛ばされたのは俺の方だった。
拳は空振り、代わりに横から俺の顔に鋭い拳が飛んできた。
拳は俺の顔を打ち抜き、俺は勢いのまま吹っ飛んでいく。
地面に当たり始め、ゴロゴロと体を転がしながら大木に叩きつけられ、背骨が嫌な音を立てた。
「ゴホッ…ゴホッゴホッ…ぺっ…なんだ今の動き…」
背中をさすりながら、頑丈なこの体に感謝する。
そして、今起こった謎の現象に首をかしげるしかなかった。
————たしかにそこに奴の体はあった。
しかし、実際目の前で起こったのは、拳は胴体をすり抜け、残ったのは空ぶった事実のみ…キング・クリ◯ゾンかよ…
いや、そんなことはどうだっていい。重要なことじゃない。
超スピードで躱される方がまだ納得できる。
でも、たしかにさっきまで槍を交えた肉体を俺の拳はすり抜け、空ぶったのは事実…!!
「そらそら!止まってる場合ではないぞ小僧!」
上空から聞こえる声に誘われ、見上げる。
「…は?」
それは驚愕100%の声だった。
なぜなら、木々の葉で生い茂ってるはずの緑の天井が、真っ赤に染まっていたからだ。
いや、正確に言おう。
それは雨だ。真紅の雨。
真紅の槍、ゲイ・ボルグの豪雨なのだから。
「うわああああァァァァァァァァァァァァァッッッッッッ!!!!!!!」
転びそうになりながら、とにかく急いでその場から離れる。
後ろから地面に槍の雨が突き刺さっていく轟音が響く!
ズドドドドドドドドドドドッッッッ!!!!
無我夢中で走り回り、森を駆け抜ける。
何度か転びながらもなんとかゲイ・ボルグ豪雨を避けつつ森を抜ける。
「ポチィィィィィィッッッッ!!!!!」
「グルアアアアアアアアッッッッ!!!!!」
追ってくる前に空に逃げる!勝てるなんてタカをくくったが…ありゃ無理だ!!勝てるわけがない!さっさと逃げるんダァ…(野菜王子風)
「どーこーへー…行くッッッッ!!!!」
「グルゥ!!?」
「や、ヤバイ!」
しかし、前に森の奥から紅い棘がポチ目掛けてすっ飛んでくる。真名解放してはないようだが、間違いなくポチが食らったらひとたまりもない威力が飛んできた。
「許せ…ポチ!オラァ!!!」
ポチの顔面を蹴り飛ばし、数メートル吹き飛ばす。
バギリッッッ
「くぅぅ…!!こ…のぉ…!!!!!!」
「止めるか!このスカサハの一撃を!!!」
う、腕だけ月にまですっ飛ぶほどのこの衝撃ィ!!!!
こ、これが真名解放してない威力か…!?ふざけるのも大概にしやがれェ…!!
う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁがあああああっっっっっ!!?!?!!!
「…!?」
「こんな…わけも…分からず!!…くたばって…!!!!!!!!!」
腕を魔力で強化した足で…
「たまるかァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」
空に蹴り上げる!!!
それに沿ってゲイ・ボルグも上空に逃げていき、程なくして見えなくなっていった。
威力は強いが、真名解放していない状態なら、自動追尾機能はおそらくない。
「はあ…はあ…どうだこのクソッタレ…弾き飛ばしてやったぜ…へへへへ…」
だが、今ので正真正銘体力も魔力も使い切った。魔眼の充電完了には全く足りていない。逃げることも不可能。
「…万策尽きた…もう…ムリポ…へへへへ…」
もはやこれまで…ってやつだ。
「ふ、ふふふ…ふふふふふふ…」
(これが今にも死にそうな男の顔か?儂の攻撃を人の身で何度もかいくぐり、今もなお策尽きたとぬかしながらなおも言葉とは裏腹に諦めるつもりなど毛頭ないその目つき)
おやぁ?凄まじく嫌な笑い方しながらこちらを見てるゾォ?俺もう本当に動けないんだけど…
スカサハザン!ナゼェミデルンディスッ!?オンドゥルウラギッタンディスカ!?(そもそも仲間じゃない)
「小僧、名は?」
「ウォー◯・ローゼ南端のト◯スト区出身!ジャ◯・キルシュ◯インでありまs「ほうほうそんなに風穴をあけてほしいか?」日本冬木市出身!多田野荒木であります!!!」
「よろしい」
(この状況でもどうやらふざける態度と体力はのこってたらしい。ふふふ…普段なら才能ないものにものは教えんが…今回は特殊な召喚ゆえな…)
「よし、ではアラキ!ついてこい!」
「え?アッハイ」
わけもわからず首ねっこを掴まれひきづられるような形でスカサハに連れてかれる俺。
食われるのか?食われちゃうのか?兄貴がそんぐらい師匠はおっかないって言ってたけど…
ゑ?
どういうこと?(精一杯の疑問)
「あ、そういえばどうやって拳を避けたんです?」
「あああれか。あれは残像だ」
「(´・ω・`)」
スカサハ→くず の評価は『才能はないが根性はあるやつ』です。
どこのゴブ◯ンスレ◯ヤーだろう。
感想指摘待ってます。