クリスマスボックスは回してるかい?いやー20箱で疲れる俺ってちょっとやばくない?
「最大速度でアメリカ軍本部へ!暗殺計画が発動するまでそう時間はねえ!!」
「お主結構面白い移動方法だな。脚力がない代わりにそう移動するか」
「あんたらといっしょにすな!んな腕組みながら足だけ超移動する変態どもと同じことなんてできるわkごめんなさい変態は言い過ぎましたなのでそのゲイ・ボルグ下ろしてマジで」
「今度余計なことを言うとケツの穴が増えるぞ」
「ケルトの女はキッツイや」
「正確には影の国」
「知らんがな」
カルデア組の暗殺計画の成功率を少しでも上げるにはアメリカ組の協力が必要不可欠だ。
正直もうスカサハだけでいいんじゃないかなと思っちゃうがそこは口を噤んで立体起動でBダッシュ!
冷や汗が首筋をたらりと滴り気持ち悪いが、風を浴びてスゥッと冷えていく。
少し冷静になれた。
あの無限湧き戦士ケルトと渡り合ってるくらいの戦力だ。強力な戦士の少数精鋭部隊か、圧倒的数での質力戦力隊かのどっちかだ。
ちなみに俺は後者だと思っている。
正直ケルト兵みたいなのがもう一個別の戦力としてワラワラいたらガチで萎える。
話を戻すが大質量での戦力となると正面からでは分が悪い。
故に潜入からのボスとの交渉、決裂時には致し方ないが逃走しつつ戦闘を開始する。
たとえ、
要はアメリカ陣営のボスと対面し、再びケルト陣営パレードに間に合えばいい。
「焦るな。何事にも焦りとは自身のリズム、バランス、経験すら揺るがす要因の一つだ。目標を絞れ。ただそれのみをこなすことを考えろ」
「え?あ、うっす!」
ハッとさせられることを言われ、頭を振るい整理する。
よし…行こう!!
ー《F/GO》ー
〜三人称視点〜
ーアメリカ基地内部ー
-冷たい空間に響く大きな機械の駆動音。何十人ものアメリカ人がせっせと彼らの主導者、大統王トーマス・エジソンの元戦力である機械兵の大量生産作業に身を粉にして働いていた。
誰一人として嬉々とは工具を振るわず、ただひたすら目の前の作業に従事する。
考えることがあるとすれば「次の数分の休み時間内で何をしようか」とか「この作業に終わりはあるのか」ということしかなかった。
————ビィィィーーーーーー
「きゅ、休憩だ…」
「ど、どけ!俺が水が飲みたい!」
「はぁ…はぁ…」
「ブツブツ…」
休憩時間を知らせるブザーが鳴り響く。その瞬間作業員は膝を崩しドミノのように全員倒れこむ。
これこそ、いまアメリカ軍がケルトたちと交戦できている理由、「機械兵大量生産」である。
そして長であるエジソンは未ださらなる緻密スケジュールを組み上げ、機械兵の生産率の向上を狙う。
真っ先に減っていったのは休憩時間と就寝時間だった。
当然作業員達は反対した。もともと少ない休みの中、ただひたすら働いてる彼らからすれば、これ以上の消耗は死への特急サービス便となんら変わらないのだから。
しかし現状の戦線報告を聞いて、彼らの反対運動はピタリと止んだ。
ケルト達は最初の頃とは違い、さらなる戦力を増やしている。そのくせ拮抗していたはずの戦いはいつのまにかジリ貧に変わっていた。
しかしエジソンは意固地になり、戦い方を変えずに、ただひたすら大量生産にこだわっている。
———作業員達は理解してしまった。もうこの合衆国は終わりだと。
ひとりの作業員が廊下の壁に突っ立っていた。
休憩時間終了まで残りわずかを少しでも堪能しておきたかった故に風通しのいい廊下にいたのだ。
「………」
もはや喋る気力もない。彼はこのアメリカという国の…いや、エジゾンという男が作り上げた機械の歯車の一つだった。
道具は喋らない。喋る必要はない。ただこのアメリカという国のため働く、回り続ける存在。
「…そろそろか…戻ろう」
残り数十秒となったことを理解し、現場に戻ろうと男は立ち上がる。あかりが灯っているはずなのに目の前は真っ暗だった。
男の足はよろよろと今にも折れそうな腐った枝のように…
————その瞬間
「動くな」
男の首筋にナイフが押し当てられる。
男は突然のことに反応できず、叫び声も上げることができない。
唾を飲み込み、後ろに目を向ける。
「両手を上げろ、そして質問に答えて欲しい。答えてくれるなら、手荒な真似はしない。すぐに立ち去ろう」
身長は185㎝の男よりも低い。全身黒いローブを纏い、顔はフードでよく見えない。
一瞬ケルト側のドルイドかと思ったが、ドルイド達は謎の魔術を使うことを知らされていた男は目の前の少年(声からして)がそれとは違うこととわかり、素直に両手を挙げ微動だに動かない。
「ありがとう。早速だが…お前はなんだ?兵士のようには見えんが」
「お、俺は作業員だ。大統王の命令でここに働いている…」
「よし、次だ。何を生産している?ケルトに対抗するやつか?表でうろついてた機械とか…」
「そ、そうだ…な、なあ…あんたはなんだ?まさかケルト側の奴か?」
男は震えながらつい口が滑り聞いてしまった。
余計なことをしたと悔やみながら、首元に向けられたナイフをそっと見るが、一向に突き刺さる様子はない。
「…悪いが俺のことは答えられない。次だ。ここのボス…その大統王とかいうのはどこにいる?」
「え?…ここの一番奥だ」
「道順は?」
「し、知ってる…俺たち作業員は一度必ず会いに行くからな」
「そうか。なら案内を頼む。要件はそれで終わりになる」
「わ、わかった…」
後ろに立つ少年に従い、男はゆっくりとエジソンの下まで歩いていく。
その間、彼はずっとこの状況を作った少年について考えていた。
(こいつ…なんなんだ?ケルトの奴かと思ったが…どうも違う…それに大統王にあって何をするつもりなんだ)
質問する際、こういう時放つであろう殺気をまるで感じなかった男は、どこか不気味思いつつも、もう一度少年に尋ねた。
「あ、あんた…一体何者なんだ?」
「答えられない。それと止まらないでくれ。時間がないんだ」
素っ気ない少年の態度に男は震えながら、しかし足を動かさず振り返り少年と向き合う。
「……だ、…」
言いたいことを吐き出したい。この少年に伝えたい。しかし一言発しようとしただけで目の前の…フードの隙間から見える鋭い少年の目つきが男に突き刺さる。
ナイフなんかよりもよっぽど鋭い…しかし、こんないつもとは…
いつも目の前の機械を組み立てるだけの仕事だけの空間ではない、目の前に自分に死を与えられる存在がある状況で男は思い出した。
故郷においてきた…白い古びた家で待つ家族を。
もう何年も会ってない娘と嫁の顔を思い出し、今にも噛み砕きそうな奥歯を開き、言葉をぶつける!!
「………ッッッ…ダメだ。案内はできない」
「もしも…もしもだ。お前がケルトだったなら、大統王に何か起きたら俺たちは今度こそ…何も守れなくなっちまう…」
男は一度吐き出した言葉をさらに続けた。
「俺は…」
ここにいる本当の意味を
「俺は!
…大統王の庇護下にいたいからここで仕事してんじゃねえ…
俺は!俺の家族を守るためにここにいるんだ!!!!」
(言ってしまった…もうダメだ…殺される。あのナイフで首を削ぎ落とされて殺されるッッッ!!!!)
男は目をつぶりうつむきながら覚悟を決める。言いたいことを言い切ったのだ。
何もできない人生だったが、決して悪いものではなかったと…
「俺はケルトじゃねえ」
「し、信用できねえよ」
少年はナイフを下ろし、男に近づく。鋭い目つきは相変わらずだが、纏っていた雰囲気は完全に別人だった。
「俺には生き別れた仲間がいる。あいつらはケルトを倒すためにある作戦を実行する気だ」
「生き別れた…」
ふと、男の脳裏に家族が映る。
「だが、ケルトには隠されたもう一つの大きな戦力がある。これに奇襲されたらあいつらと言えどもタダじゃすまねえ」
男は「そう言えば」と思い出す。以前大統王と会談し、決裂し牢獄に閉じ込められたが見事脱出していった集団を。
「そのためにもアメリカとは手を合わせたいんだ。頼む…俺に…仲間を守らさせてくれ。
俺は…何も失いたくねえんだ」
男は絶句した。自分よりはるかに若いこの少年は何を背負っているのか。自分などでは到底わからないものだろうと。
「ここだ」
男は結局少年を大統王の部屋に続く廊下に案内した。
「これ以上は行けない。俺たち作業員は…な」
「十分だ。随分入り組んでたし、助かった」
すると少年はローブの隙間から手を差し出した。白くまるで女のような手に一瞬見ほれたが、すぐに我に戻りその意味を理解した。
男も手袋を外し、その白い手をガシリと掴む。
「なあ。あんた…なんていうんだ?」
少年は男に名前を聞いてくる。男はなんの迷いもなくそれに答えた。
「フライド、フライド・ナルドだ…君は?」
男も少年の名前を聞く。
最初はちょっと「あれか」と思ったが、聞かずにはいられず結局聞いてしまったのだ。
少年はフードを外し、その顔を晒す。
黒髪だが、毛先はほんのり紫色で、どこか男とは思えない色気があるような白い肌の少年だった。
美男子とは違うが、その目は鋭く、作業員たちのような作業するだけの歯車たちとは違い、意思を持った目だった。
「アラキ、多田野荒木だ。フライド。あんたの発破…
GOOD。サイコーだったぜ」
少年、人類最後のマスターの片方は目にも留まらぬ速さで廊下を突っ走っていった…
フライド・ナルドのいつもと違う毎日—————
感想指摘待ってます。
ちなみにスカサハさん気配消してずっと二人のそばを歩いてた模様。
まあアメリカ領入ったあたりでカルナ=サンにはすでに気づかれているがね。
ちなみにフライドさんの名前の由来はフライドポテト。
え?ナルドの方は?察してください(マ◯ドナルド)