整備工作兵が提督になるまで   作:らーらん

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アンチグループ

「「「JAFG???」」」

 

「宍戸くんそれって……なんだっけ?」

 

「フェミニズムをヘイトするグループのこと」

 

 海岸沿いの道路の端で正座させられているナンパ三人組が供述する。太陽でコンクリートが熱される程の季節じゃないとはいえ、流石にキツイんじゃないか?構わないならいいけど。

 

 彼らが言うには、実はとあるグループに脅されて、無差別に女性へと声をかけるように仕向けられていた事が判明する。

 そのグループこそ、合コンの時に散々お世話になったクソ野郎どもの巣窟、アンチフェミニスト団体の”JAFG”。

 

 市役所に行って帰ってきたら連れがナンパされてて、ナンパ野郎が部下の身内で、実はそれが脅されてやってたなんて……これは宝くじを当てるよりも低い確率だが、いざ当たった時は大抵面倒ごとなのは何故だろう?

 あと通りすがりのガキが「まま〜あれなぁ〜に〜?」と聞いてきたら「お父さんが何時も会社でやってることよ」と返していたのを聞いて、この世の終わりかと思った。

 

「ナンパしてどうすんの?どっか暗い場所に連れてくの?俺の連れにそんな危ない事しようとしたんだッ?」

 

「い、いいえ!決して司令官様が思っているような事にはならないと思いますッ!!」

 

 頭を深く下げる。鴨川の司令官だと知られてしまえば、こうなるのは仕方がない事だけど。

 

 脅された内容は簡単だ。

 とある日に弟くんの家に友達とその友達が来て、ナンパで一定人数の女子をとある場所に連れて行かないと犯す♂と言われたらしい。女子をじゃなくて、弟くんのケツを犯す……と。人体の後方に見え隠れする✳(アスタリスク)に、デカフトマラが炸裂するらしい。

 

 女子が嫌いな集団なだけあって、趣は男性の方へと移ってしまっているのだろうか?絶ッ対に近づきたくない。

 それを弟くんの連れ二人にもされて、今に至る……つまり厳密には被害者なのだろう。本来は警察に通報するべきなんだろうけど、言ったところでそもそも動いてくれるか分からない。

 

 と言うかあの鴨川要港部への意味不明な俺掘られるコールはコイツだったのか?

 

「じゃあその、JAFGってのだっけ?ソイツらのアジトとかって、知ってる?」

 

「え、行くつもりなんですか!?」

 

「そうだよ村雨ちゃん、君たちをこんな目に遭わせるようなうんこなんて消すに限るからね」

 

「そうそう、僕達みたいな可愛くてか弱い女の子に、乱暴な事しようとしたんだもん」

 

「ワンパンチワンキルのお前を倒せる気がしないんだけど」

 

 睨むな、大抵の男子はそれだけでおシッコもんだぞ。

 

「お兄さんが行くなら春雨も行きます!今後の憂いは断つべきです!」

 

「いや流石に来なくても……」

 

「で、でも殴り込みは……」

 

「いや、話に行くだけだよ?そんな事一回も言ってないからね?」

 

 普通は話し合いで解決しようって発送なるでしょ?村雨ちゃんって案外時雨みたいな拳で語るタイプなのかな。流石は妹、春雨ちゃんに伝染しないように守護らねば。

 

「じゃあゴロツキ共くん?その、えぇ〜っとホモ集団の所にさっさと案内してくれる?お前たちと違って、俺たちの第四次元は限られているんだよね」

 

「「「は、ハッ!!」」」

 

 

 

 ー古びた倉庫。

 

 寂れた外れにあるガレージ風の倉庫。

 海岸からは離れている上、要港部に近い位置にあるここは、確か土地の所有権で揉めている最中だと聞いている。

 誰も来なさそうな場所にこそ、秘密基地みたいなものを作りたがるのが中坊というものだ。俺も昔はよくやった……家の中のベースメントだったけど。

 

 錆びたドラム缶やコンクリートのブロックなど、座る場所には困らなさそうだ。隠れる為の青いビニールシートもある。こりゃヤクザ映画だったらドンパチ待ったなし。

 

 ここで数十人の男が、二人の男女を引き裂こうとしている。

 

「キャー!!ダーリンタスケテー!」

 

「や、やめろぉ!ぽのりんを離せぇ!!」

 

「ウッキャッキャッキャ!どっかのパズルでドラゴンするゲームに出て来そうな雑魚みたいな名前しやがってよぉ!?ほぉ〜らこちょこちょこちょ〜」

 

「キャー!ヤメテー!」

 

「や、やめろぉ!な、なにが目的だ!?金か!?ケツか!?」

 

「なんで金の次にケツが出てくるんですかねぇ……俺たちの目的はただ一つ、男と金を食い物にするこの世の女共に、啓蒙し、裁きを下す事だッ!!」

 

「その通り」

 

「お、お前は!」

 

 JAFGが開いた道から来たのは、合コン事件から見た事がある男性だった。隣にいる小物風の男を連れ、捕えられている男性に近付く。

 この男性こそが、合コンの時にクッサイセリフとお金で時雨を落とそうとしていたチン○スことタクヤさンだ。

 

「俺はJAFGのタクヤだ。こっちのが言った通り、俺たちの思想を啓蒙し、正しく生きる方法を伝授するために俺たちは活動している」

 

「なんて強引なやり方なんだ……これじゃあまるで洗脳じゃないか!」

 

 若干JAFGの中にも頷いてるヤツがいる為、自覚はしている様である。「そしてなんて細やかな活動なんだ……」と呟いた時も頷いていた。この組織はその内終わるだろうと、内心哀れむ。

 

「テメェチョーシこいてんじゃねぇぞオラァ!タクヤさンが下手に出てりャァいい気になりやがってェ!!こっちはお前のカノジョに他人棒でNとTとRしてもイインだぞォ!!」

 

「あ、いや、そこまでするつもりは……つかお前誰?」

 

 小物風の男を牽制するタクヤだったが、彼の勢いは止まらない。

 

「や、やめろぉ!ぽのりーん!」

 

「キャー!」

 

「グヘヘへへェ!彼氏の大砲しか味わったことの無い境界線にィ……境界線イィィ……!この名刀、肉球二重備醜肉刀(ただのチ○コ)をォ……!!」

 

「キャー!ヤメテー!100人目はアラブの大金持ちにアゲルって決めてたのにー!」

 

「「「……は?」」」

 

 そして放たれた唐突な言葉に彼氏はおろか、取り囲んでいた男全員がドン引きする。アブねぇなアバ○レ、危うくバイ菌移されるトコだったぞ。

 

「でもゴム持ってきたから安心だもんネ〜!オラァ股開けやァこのゴールドディッガーがァ!!」

 

「「「ふんッッ!!!」」」

 

「ぐあああああああ───ッッ!!!」

 

「「「だ、誰だお前たち!?」」」

 

 小物風男性が壁の方へと飛んでいく。周囲の男どもが目を向けた先に立っていたのは、一斉に殴りかかった三人の美少女である。可愛い見た目からは想像もつかない威力で悪を破壊し尽し、特に時雨は痛い。

 

「ふぅ〜危なかった。危うく宍戸くんを性犯罪にする所だったよ」

 

「いいえ、兄貴だったら大丈夫です。少しやり過ぎてる感は否めませんが……」

 

「き、君はあの時の時雨ちゃん!?ってことは……」

 

「痛ッテェ……そう、俺だよ」

 

「あのオタク野郎かよッ!!」

 

 吹き飛ばされた小物風男性ってのは俺の事だ。偵察がてらに侵入し、雰囲気でグループに溶け込む。これぞ社会で生きていく為の術であり、俺の得意分野だ。

 

「覚えてくれてたとは感激ッスわ。ってことは、あの時逃してやった恩も忘れてないよな?」

 

「クッ……俺を嵌めたやつが抜け抜けとォ!お前らコイツを捕まえろ!!」

 

「「「ウッス!」」」 

 

 羽交い締めにされる。

 駆けつけてくれた他四人も動揺した様子を見せ、男共に拘束される。時雨はそれほど危ない状況だとは思っていない様だ。

 一方で、ナンパ三人組は影でコソコソこちらを覗き、カメラで一部始終を撮影してくれている。事態は起こる前に準備しておき、証拠提出をスムーズに行えるように後の事も考えられる俺カッコイイ。どんな事でも準備するスキルを持ってれば大抵の事はうまく行く。

 

 タクヤさンが近づいてくる。

 

「テメェらだけは許せねぇ……俺の覇道を邪魔した奴ァどんなヤツでも張り倒すッ!!」

  

「覇道?三国志に影響されてんの?」

 

「ウルセェ殺すぞォ!!」

 

「あ、痛い」

 

「「「宍戸さん!!」」」

 

 顔に一発殴られた。

 

「今の痛いんだけど」

 

「テメェチョーシこいてんじゃねぇぞオラァ!!」

 

「痛」

 

 俺を羽交い締めにしているヤツからも頭を殴られる。

 手加減したのか、或いは俺の体が日々時雨のせいで強靭化してるのか、あまり痛みを感じない。

 

「「「ッ──!!!」」」

 

「……え?」

 

 次の瞬間、時雨と春雨ちゃんを拘束していた男達が、目の前にいたタクヤサンと共にガレージの外へと吹き飛ばされる。目をパチパチさせている全員の視線は、それを追うようにジャンプして飛び出した時雨達にある。

 なんで吹き飛ばされたか分からないって顔をする男達に近付く彼女達からは、殺気が滲み出ている。

 

『あぁーやっちゃったね君たち。僕が許せない事第二位、仲間を傷付ける、やっちゃったね。あと僕の胸ドサクサに触ったよね?うん、うん。コキコキ言ってるの分かる?言わせた数だけ体をコキコキしてもらうからっ』

 

『お兄さんを傷付けた人は悪です。多分殴られて凄く痛いと思います。だから心の傷を埋めるお手伝いをしてもらいます。百回ぐらい殴ったら許されると思うので、それまで黙って殴られててください害悪さんッ』

 

『『『ひ、ひいいぃぃぃ!!!』』』

 

『な、なにやってんだァ!!?早く俺たちを助け──ゴフッ!ゴフッッ!!』

 

 

 

「な、なんだあの女達!?に、人間かよあれ……ギャアアアアア───ッ!!!」

 

 俺を羽交い締めにしていたヤツも背負投げで地面に叩きつける。普通は時雨達を止めるが、今の俺にリミッターはない。後頭部を殴られた被害者なんだから、仕方がないさ。護身のために暴力を振るう必要性が出たんだ。

 え、過剰防衛?なにそれ?その言葉学校で習った事ないんだけど。

 マウント取って一発殴る。

 

「グアア!!い、痛い!!」

 

「え、痛い?うん痛い?うん痛いね?俺のほうが痛かったんだよォッ!!オラァこうか!?ナンパしてみろよオラァ!!!ケツ晒せェオラァ!!俺は男でもイケるんだぞォいいケツしやがってェッ(嘘)!!」

 

「ひ、ひいいぃぃ!!ゆ、許して!許して!許しティ!!」

 

「し、宍戸さん!も、もうその辺で……」

 

「ダメダメェ村雨ちゃんッッ!鴨川の海にブチ込んで藻屑になるのを確認するまで、ダメダメェ!!」

 

「兄貴!いくら何でも流石に可哀想になってくる自分がいます!……オラァ何してんだよお前ら!?お前らの味方だろ!?割り込んで助けようとはしないのかよ!?」

 

「「「厶、無理ッス……」」」

 

 男達は武器を持たない。思いつきの政治団体みたいな奴らが軍人に敵わないし、怖気づくのも無理はない。ボコボコにされて無残な姿を晒している奴らを見て『割り込んだら殺す』という俺らの殺意が伝わったんだろう。

 春雨ちゃんみたく小動物的な女子にボコボコにされ、辱めを受けている姿は滑稽そのものだが、俺に殴られた所で恥ずかしくも何ともない。

 執務中に考えてた辱め殺法を、コイツ試すとするか……ヘッヘッヘ。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「ひっぐ……えっぐ……も、もうおれお婿にいけない……っ!」

 

「あ……あ……」

 

「ハァ……ハァ……お、お前らァ……ハァ……ハァ……こんなことして、ただで済むと思ってんのかァ!?」

 

 たった三人に押されたコイツらのリーダーさんが何か言ってるな。誰が今正座させられてるか分かってんのか?情けねぇ男達だな?

 

「お仕置きが足らなかった見たいだな、今度は三人でこの人ボコって○そうか」

 

「はい!」

「出撃より楽しいね!」

 

「ま、待ってくれ待ってくれ!!ち、違うそういう意味じゃない!!話を聞いてくれ!!」

 

「10秒でまとめられるなら聞くぞ」

 

「クッ……俺たちは、頼まれてやってただけなんだよ……」

 

「あそこでビデオ撮影してるチンピラ達もそう言ってたぞ?逃げようしている気満々ですね」 

 

 指差した方にいた弟くん達が申し訳なさそうに手を振る。

 

「違うんだ!!俺たちは海軍の人たちに頼まれてやっただけなんだ!信じてくれ!!」

 

「……なにッ?どういう事だ?」

 

「先輩達から言われただけなんだよ!!確か〜保守派とかなんとか言ってたけど、そいつ等がJAFGに頼んできたって!」

 

「「「保守派??」」」

 

 保守派?

 俺も聞き返しそうになった。しかしこの場にいる殆どが、単純にその単語の意味を理解せずに頭を傾げている。理解しているのは村雨ちゃんと俺だけだ。

 秘密を共有しているみたいでなんかワクワクする。

 

 同時に身が震えた。

 関係のないと思ってた所で、まさか海軍規模で問題になると予測されてる『保守派』の単語が出て来るとは。

 

 街で偶然出くわしたナンパから、日本海軍の命運を握る派閥争いの陰謀の片鱗が見えて……中将に頭を下げて頼まれた以上は、無視できなくなった。

 なんでアンチグループと保守派が結託してるんだよ?いや、どうやらこのタクヤとか言うヤ○チン幹部でさえ知らない様子だから、結託と言うよりは契約?なのか?

 現代日本を代表する文化である援助交際よろしく、その場限りの金銭的に繋がった協力関係にあるだけだろう……そう俺は予測する。

 

 ……メンドクセェ……!これほど面倒くさい事は滅多にねぇよ。これで残業も増えて、疲れも溜まって、ストレス溜まって万々歳ってこったぁ。これ以上俺が働く事になったら俺が海軍でクーデター起こすぞ。要求は週休8日、世界一グロリアスなレボリューションだな。

 

 ……クソッ!できれば事故ってコッチに転生してきた中高生に、正義感の三文字を掲げさせて海軍の壮絶な陰謀と戦わせたい。どっかに居ないかな、そういうチート系男子。

 

「……おい」

 

「ん?」

 

「お前は、何者なんだよ……時雨ちゃんとも仲が良いみたいだし、海軍の関係者か?」

 

 え、言ってなかったっけ?

 

「あの要港部あるでしょ?アレの司令官」

 

 

 

「「「……へ?」」」

 

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