整備工作兵が提督になるまで   作:らーらん

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C○stc○

 

店内。

 

「Wow! Its so big!(わぁ〜!すごく大きい!)」

 

「That′s what she said.」

 

「え、なんて?」

 

 咄嗟に口走ったものの、ベイには聞こえなかった様子。

 

 中に入れば騒然とした店内。

 人が多い……というより、集まってきたのが正解か。老若男女問わずカメラフラッシュと声を浴びせてくる愚民共。

 

『アレって警備府の司令官じゃね!?』

 

『え、ウソ!?あの前線の龍の!?』

 

『え、本当にいるの!?』

 

「……こんにちわ、皆さん」

 

『『『きゃああああああ!!!』』』

 

 イケメンスマイルで更にカメラフラッシュが加速する。見ろよ時雨、俺はもう昔の俺じゃないんだ。

 昔ならこの黄色い声が叫び声になっていただろうが、今は嬌声となって現在の俺を持ち上げている。警備府初代司令官、佐世保方面軍幕僚の肩書は伊達じゃないぜェ……!?

 

『あのヘンタイみたいな顔した司令官がいるって事は……きゃああああああ!!!時雨様!!あの時雨様よぉおおお!!?!?』

 

「え?ど、どうも……」

 

『白露さん凄いお美しい!!綺麗!!素敵!!』

 

「もっと撮ってもいいよ〜!」

 

『ヤバイ心臓どまっじゃいぞおおおうう!!!』

 

 そのまま停止しろ。

 

 時雨と白露さんの人気は凄まじく、半ばアイドルのような存在となっていた。知ってはいたがこれほどとは思わなかった……と漏らす飛鷹に同感するみんな。

 迷惑になるから時雨と白露さんに外へ行くようにと指示して、俺は出てきた店長が差し出した書類にサインする。これは今日の分もあるが、来週から運ばれてくる物資の分も買う為の誓約書である。

 

 急いでるわけじゃないが、仕事の速さを演出するために2倍速ぐらいのスピードで荷物をトラックの中に入れていくのは、仕事してます的な演出のためである事は言わずもがな。いっそのこと店に商品を運びに来るトラックが直で被災地に行ってくれれば理想なんだが、ビジネスとして運行している以上、形式を守らないといけないのは本当に辛いわ。

 俺たちの行動の一つ一つは○イッターをバズらせる為の道具として使われる事は尺に触るが、それを逆に利用して精一杯の限りを尽くす”姿”を見せるのが肝要。予め、”あくまで自主的な善意”として、警備府のホームページとアカウントに載せた上で行動しているため、誠意は見せてやれた。

 それでも「深海棲艦がいないんだから当たり前だろ」とかいう奴がいたので、住所追跡して魚雷投げつけてやりたい気持ちに駆られたが、もちろん実行には至っていない。

 やるとしたら火炎瓶を使うわ。

 

 ほとんどの荷物運びが終わったところで、休憩を挟まずに近隣住民への積極的なコミュニケーション!気さくで元気な司令官を演出するために、パーフェクトコミュニケーションを目指す!という名の印象付け。

 

「最近の海軍さんはお若いねぇ〜……」

 

「ハハハ!若さを保ち、一日でも長く国民を守るのが、我々の仕事ですから!」

 

「最近の若者はぁ、節約節約で痩せ細ってるからねぇ……」

 

「まったくじゃ……金使わんと、経済回らん事ぉ知らんのか?」

 

 このクソボケ老人共には日本国の貯蓄が老人に傾いてて若者が使える金は税金で更に摂取されて老人の手に渡ってる事に永遠と気づかないだろうな?

 俺のカネも半分ぐらいコイツラに献上されていると思うと……

 

 ッッッゥウア!!!

 

「宍戸くん、顔、ねぇ顔、お顔ヤバイ」

 

「ん?今どんな顔してた?」

 

「海外映画に出てきそうな緑のムキムキ筋肉ダルマみたいな形相……って言ったら失礼かしら?隼鷹と一緒にこの前見てたからそれを連想しちゃったわ」

 

「Greenの……あぁ!HU○Kですねっ!私の国にいたとき、映画見ました!」

 

「ははは、日本人に例えるとユウジ○ウ・ハンマーかな?あんなフィクションみたいな顔できるわけ無いじゃん!こんな古典的アジアフェイスの俺がさ」

 

 

 

『深海棲艦を早く潰してはくれないかねぇ?この前なんて、急襲された会社の株が暴落したもんねぇ……』

 

『ワシなんて一億失ったぞ!残り10億円……この先が不安じゃワイ』

 

 

 

「……ッッッ!!!」

 

「出来てる!ハンマー出来てるスゴイ!イン○タに載せてもいい!?」

 

「白露、私が言わなくても分かるとは思うけど提督って結構有名だから肖像権とかの問題に発展しない?」

 

「大丈夫だよ飛鷹!だってほら!誰だか分からないでしょ!?」

 

「あ、本当ですね凄いです!後で三日月にも写真送ってください!」

 

 艦娘共が俺の形相について盛り上がっているようだが、内心は沸々と煮えたぎる憎悪で、俺自身が深海棲艦となりそうだった。

 それを止めてくれた坊主頭のクソガキにサインをする。

 

「龍さん!サインありがとう!!」

 

「コラだめでしょ!ちゃんと前線の、を付けなきゃ」

 

「ハハハ、いいですよ奥さん。いい名前なので、むしろニックネームとして使わせて欲しいほどです。え〜正直に言って、その名前は少しばかり照れくさいので……」

 

「いいじゃん別に。むしろ、僕もそんなニックネーム欲しい」

 

「適当に名乗れば?幸運艦時雨とか、佐世保の時雨とか」

 

「佐世保の名前を流石に取っちゃうのはいけないと思うんだけど……でも、結構いいねっ」

 

「じゃあ私はぁ〜日本の白露ぅ〜!」

 

「ということは、その上司である提督は世界の……になるわね」

 

 スケールデカすぎィ!そしてぴょんぴょん飛び跳ねる白露さんのおっぱいデカスギィ!

 

「その名前は俺にとって重責すぎるし、やるべき事は世界を救うことじゃなくて、まずはここにいる国民の皆さんの安全を確保する事だと思うんだ。常に国民への配慮を考えるべし……分かるな?」

 

「は、はい、admiral!」

 

「なんだ分かっていたのかベイ?だったらその開けた胸元を即座に仕舞い、汗と微雨で濡れてしまった服を着替えてくるといい」

 

「あっ……t-thank you admiral!!」

 

 本人は今更ながら気付いたのか、その傲慢すぎるアメリカ生まれのメロンx2がこれでもかと露出していたのは、彼女をチラチラ見る陸軍の野郎どもを見れば一目瞭然。それが更に汗でビチョビチョとなっているので、ぴっちりして大変えっちである。

 指摘したデカ北半球を隠そうともせず、代わりに恥じらいから来た真っ赤な顔を隠し、車の中に入っていく。普段ならば車両内には一般の士官の服が置いてあるはずだが……あ、俺の車の中って俺の上着しかなかった。

 

 車に乗るときはガンビアベイの裸ワイシャツを見ないようにしよう。

 

「し、宍戸大佐ァ……はぁ……はぁ……!あ、あの子の汗まみれの服ぅ……欲しいんすけどォ……!」

 

「「「キモ」」」

 

「なんでッスか!?大体ですねぇ、エッチすぎるんですよォアレ!?女性の陸軍ただでさえ少ないのに、あんなの見せられたらァ……ハァ……ハァ……サルになりますよォ……!?」

 

「直接交渉を試みろ」

 

 しかしガッツがないのか、諦めた様子でトラックに乗り込んで出発の準備をする陸軍さんたち。

 それについて行って貨物運びの作業を後六回もする事になっている。自主的とはいえキツイぜ……無償の社会奉仕活動なんて何年ぶりだと思ってんだ腰痛ェぞ。

 

 

 

 

 

 

 高速道路、コンビニ。

 

 すべて終わり陸軍と別れた後は、当然体中が痛く、肉体労働からデスクワークならともかく、デスクワークから肉体労働をするのは大変な環境の変化である。

 丈夫な身体故に、悲鳴は上げていないが、車の中でハンドルを握る俺の体は休息を求めている。

 

 隣に乗る白露さんがコンビニで休息を求めてきたので、道中にあった適当な店に立ち寄る。かなりの辺境地なので、人に見つかることも無いだろう。

 

 ……しかし残念ながらガンビアベイは、上着一丁で下を履いてない凄くエッチな格好をしているので出て来れない。欲しいものはないと言われたが、チョコレートでも買ってやろう。

 

「ねぇねぇ!わた○ち買ってもいい!?」

 

「うん、いいよ〜好きなモノ買っていいからね〜。こ〜んな可愛い要求をするなんて、小学何年生かな白露ちゃんは〜?」

 

「失礼だよ宍戸くん!私もう立派なボンキュッボンなレディーな大人なんだから!」

 

「じゃあそのボンキュッボンな身体に合う相応の振る舞いしてくださいよォ!?要求する食い物がよりにもよってわた○ちッ!?パチパチ通り越して頭のワタがカッチーンってしてるッス!」

 

「え、ごめん何言ってるかわからないっ……」

 

「よーし、じゃあ白露さんだけ先に警備府に送り返しますねー」

 

「ごめんごめん!」

 

 あははっ、と笑う白露さんはその足でコンビニへと向かう。シャセーの合図と共にコンビニ内を物色し始める艦隊のみんな。そして奢るとは言ってないものの、一応財布の中身を確認しちゃう俺。

 

 飛鷹は酒保で切れそうになっているビールを見ていたが、頭を振ったり、睨みつけたりして買うか悩んでいる様子だ。震災に遭っている人がいるのに、隼鷹の為だけに買ってもいいのだろうか?という道徳上の問題に悩んでいる様子が伺える。

 また、これを杞憂と言って、高速道路の横に立っているような辺境のコンビニの酒を一人分程度買ったところで、救助活動になんら影響はない。その事を伝えたら「それもそうねっ」と笑顔で10升ほどレジに持っていった。

 一人分?ビール買うんじゃなかったの?なんでそんな手慣れた手付きで10升も持てるの?これらの問いへの答えは帰ってこなかった。

 

 涼月に至っては、物を買うこと自体に苦難を示している様だったが、秋月姉妹と同じく貧乏性なのだろうか?幼少期もこんな感じだったのだろうか?じゃあ一体何があんなエロい体を作ってるのだろうか?陸海空の兵器開発機関、そして民間の研究機関が研究テーマとして扱うべきはそこにあると、俺は断言する。

 

 白露さんと時雨は自由に選択しているが……三日月は、恒例の雑誌コーナーで紐に縛られた本を見ていた。俗に言う、エロ本である。

 

「だーれだ?」

 

「ふぇ!?わ、私は別になにも見てません!!」

 

「それ見てるって言ってるようなもんだぞ」

 

「だ、だってこんな所にこんなモノが……破廉恥です!大体、子供が来れるような場所でこんなモノが……こんなモノが……ッ!」

 

「分かった、分かったらさ」

 

 三日月は顔が真っ赤っかにしてる。アホ毛がメラメラ動いてて、今にも恥ずかしくて死にそう!って表情してて可愛い。

 

「三日月イジメるのやめてあげようよ、僕たちは頼まれてもいないのに自主的に大規模動員させて支援するぐらい良心的な海軍軍人じゃなかったの?」

 

「そうそう!あ、それより宍戸くん!私達のお会計済ませてっ!」

 

「は?」

 

 既に買い物を済ませて外に出ている飛鷹と涼月。

 残された白露さんがカゴいっぱいに持つクソ高いおつまみであるビーフジャーキーを買うように要求している。

 

「俺への経済的なイジメもやめてもらえませんかね。要職に就いてるからって年齢的な問題で他の同僚たちや提督と比べれて一番貰ってないんですよ俺。そんな俺にこんな時だけバブル時代の社長さんみたいな扱い……泣いてもいい?」

 

「ダイの大人が泣くとかキモいからトイレでやってね」

 

「フン!泣いてやるもんかよこんなコンビニで。店員さんに迷惑がかかるだろ?それにほら、俺たち以外にもお客さんがいるんだからさ」

 

 

 

『いらっしゃいませ』

 

『おい!ここにあるディルド全部出せ』

 

『出しますので刺さないで下さい!』

 

 

 

「…………」

 

 は?

 


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