彼女に会うためなら、何回でも、転生する。
「ねえ!起きてよ!」
僕が最期の時に聞いた彼女の言葉。
僕は君のことを忘れない。これまで、ありがとう。
生まれ変わることが出来るなら、君の隣にずっと居ていたい。
そんな、ライトノベルやファンタジー転生物の定番ゼリフを考えながら、僕は息を引き取った。
_______________
目が覚めたら、この世にいるとは思えない異形の者たちを従えていた。
ここの世界では、僕は魔王という種族になったらしい。
けれど、あの人はここにはいない。
もしかしたら、あの人がこの世界にいるかもしれない。という一抹の期待を抱え込みながら、世界の征服を始めた。
「我が下僕たちよ。野望の前に立ち塞がる者たちを蹴散らせ!」
魔王になる上で必要な威厳のある声は、僕の記憶の中に残っているアニメの声優さんの声を真似した。
僕の配下たちは、残虐なことを繰り返した。
ただ、彼女に会いたいという、僕のたった一つの願いで、彼らは残虐の限りを尽くした。正直なことを述べると、彼らには悪いことをしたな、と思う。
世界を征服した。
確かに、魔王としての仕事はこなしたけれど、僕の中にはいつまで経っても変わらない空白がある。
そう、彼女はこの世界にいなかった。
そのことが分かると、僕は自殺をしようとしたが、僕の部下たちによって止められた。
いい部下を持ったとは思えた。嫌な部下たちを持ったとも思った。
「魔王様、いつ娶るおつもりでしょうか」
「今は考えてない。時期が来たら…」
いや、そんなものはこの一生には来ないだろう。
「時期が来たら、という答えは何千回目ですか」
「仕方がないだろう。今は情勢を考慮しないといけないのだから」
「その通りですが、現在、魔王軍の一部では魔王様はホモではないかという噂が立っているのですよ」
え?なにその噂。
僕の知らない所でそういう噂が立つのはいいけれど、直属の部下から言われるのはなんだか恥ずかしい。
しかし、僕はホモではない。
「そんなもの、言わせておけ。言っておくが、俺はホモではないからな」
「そうですか。そうですよね、魔王様がホモな訳ないですよね」
何気に酷いことを言われたような気がした。
まぁ、いいや。
魔王という種族は案外寿命は短いらしい。
ほとんどの魔物達は知らない事実だ。
僕にとって、その事実はとても都合が良い。
いつまでも、この一生に縋るわけにはいかない。
早く、次のところで彼女を探したい。
_______________
もう、歳らしい。
魔王という種族の平均寿命はおよそ35年。
僕が生きたのは、29年と8ヶ月。
確かに、いい頃合いだ。
早く、次に行かせて。
そして、彼女の隣にいさせてほしい。
_______________
何千、何万回目の転生だろう。
途中から数えるのをやめた。
その度に彼女はいなかった。
今回の転生はどうなのだろう。
目が覚めると、1人の女の子が目の前にいた。
「はじめまして、ですよね?」
「はい、そうです」
「初めて会ったような気がしなくて、変なこと聞いてすみません」
「いえ、何も問題ありません」
「はじめまして」
「はじめまして」
そして、久し振り。