少年にとっては大きな物語。
しかし、私たちにとっては、とても、小さな物語。


タグは保険です。

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どうも、IDとパスワードを忘れてログインできずにいた、僕です。
またパスワード忘れる可能性大なので、
前作は、未完のままで、今作を投稿次第、読み専に戻りたいと思います。


ある劣等少年の変わり目。

 

嗚呼、この世界はなんて生き辛いのだろうか。

そう、何度も思った。

楽をして生きて行きたくて、でもその為の努力なんてする気も起きなかった。

努力は身になる、なんて言うが全く持ってその通りだと思う。

努力をしたことが無い故に、成績は平均かそれ以下で。

特別運動ができる訳でもなく、そして、開き直れるほどできない訳でもなかった。

 

僕みたいな人間は大勢いる事だろう。

僕だけが特別な訳ではなく。

僕以外の誰かも思っているだろう。

この世は生き辛いって。

 

季節は桜が舞い、人々の新たな門出を祝う。そして仕事は終わった、と言わんばかりに花弁が散って行く。

そんな4月。

僕はいつもの様に目を覚ます。

と、言っても学生や社会人のように朝起きている訳ではなく。

 

時刻は昼頃だろうか。

起きてすぐは腹も減らないのでスマホを弄って時間を潰す。

ツウィッターという全世界で使われているSNSアプリを開き、寝てる間のツウィートを読む。

この行為がいつの間にか日課になっていた。

すると、炎上しているツウィートを幾つか見つけた。

彼らは答えのない答えを巡って論争を繰り広げている。

よくもまぁ、ここまで熱くなれるものだな。と思うが自分の意見を言える場も大切か、と無理矢理自分を納得させる。

 

僕は彼らのように熱くもなれなくて、誰かと言い争うつもりもない。

暫く炎上したツウィートの論争を眺めていると、僕を呼ぶ声が聞こえた。

 

「達也、ちょっと話があるから降りてきなさいー。」

 

話とは一体なんだろうか、と思いつつ僕は返事をした。

 

「…わかったよ。」

 

スマホを閉じ、部屋を出て下の階にあるリビングへ向かう。

 

「おはよう、母さん。」

「うん、おはよう、さっきも言ったように、大事な話があるから、適当に座りなさい。」

「うん、わかった。」

 

大事な、とは言ってなかった気がするが…と思いながらも適当に返事をする。

 

「んで、話って言うのは?」

「そうね、すごく突然で戸惑うかもしれないけど、達也一人で引っ越してみない?」

「ひ、引っ越し?どこへだよ。」

「静岡よ。店の手伝いをしてくれるのは有り難いけど、やっぱり、高校へは行ったほうがいいと思うの。」

 

 

頭が真っ白になった。

何故、こんな話を、急に。

考えが纏まらない。

 

「それと、今話してて確信したわ。絶対行きなさい。」

「えっ、あっ…うん。」

 

あれ、僕は今なんて…?

くそ、考えが纏まらないのに畳み掛けられたから、承諾してしまった。

 

 

 

 

 

あれから何日か経ち、僕の引越し先もとんとん拍子で決まった。

まさかアニメや漫画の主人公のように一人暮らしするハメになるとは。

まぁ、彼らとは違って一軒家などではなく、ボロアパートなのだが。

 

そして事は急速に進み明日、僕はこの地を旅立つ事になった。

あまり気は進まないが返事をしてしまったので、今更嫌だなんて、僕のゴミクズのように小さいプライドが許さなかった。

明日の準備を着々と進めていると

 

「達也、明日は朝早いからもう寝なさい。後は私がやっておくわ。」

 

とのお母様からの有り難い声かけがあったので、お言葉に甘えて、もう寝ることにする。

 

「うん、わかったよ。それじゃ、おやすみ。」

「…うん、おやすみ。」

 

おやすみ、と答えた母さんの声は少し震えていた。

部屋を出て「どうしたの」なんて物語の格好いい主人公みたいに言えるはずもなく、気づかないフリをして僕は布団に潜った。

 

 

 

そして、旅立ちの朝は来た。

否、来てしまった、と言うべきか。

特別、僕は行きたい訳でもない。

できることならこのまま店の手伝いをしていたかった。

まぁ、決まってしまった事は仕方がないので、大人しく布団から出て、着替える事にする。

 

特に服装にこだわりはないので、カーゴパンツに、半袖のシャツ、パーカーを着て、髪を整える。

整えると言っても整髪料を使うわけでもなく、寝癖を直すだけだ。

下に降りると母さんは事務仕事をしていた。

母さんは送ってはくれないようで

 

「行ってらっしゃい。」

 

と一言だけ言うと、事務仕事を再開した。

どうやら吹っ切れたようで、声は震えてはいなかった。

 

「行ってきます」

 

なんて、僕も一言だけ返すことにした。

…おっ、なんかいまのやりとり、なんか親子っぽい。

 

 

玄関を出ると、朝の気持ちの良い空気とどこかの家の朝食なのだろうか、魚を焼く匂いが僕の鼻を通り抜けていく。

たまには早起きも良いものだ。なんて思いながら、僕は駅へと足を運ぶ。

 

 

 

最寄り駅へ着くと、丁度電車が来てたのでそれに乗ることにしよう。

朝早いからか、いくつか席が空いていたので、座ることにした。

 

その、直後ワインレッドの髪色をした、大荷物を持った美少女が電車に乗ってきた。

ちょうど僕で埋まってしまったらしく、席は空いてなかった。

僕も大荷物、と言っても男女じゃ体力の差があるのか、と若干差別的な考えをしてしまったが、それでもやはり人としていけない気がしたので、席を譲ることに。

 

 

「大荷物、大変そうですね、席譲りますよ。」

「えっ、あっ、どうも、ありがとうございます。」

 

急に話しかけられたからか、彼女は若干吃りながらそう返事をした。

 

 

あと数駅、で乗り換えと言うところで彼女の声を思い出していた。

とても、綺麗な声色だった。

上手くは言い表せないが、鈴の音色のような美しい声。

ちなみにこれは蛇足だが、僕の声は若干高めのハスキーボイスだ。

一時期、動画サイトで歌い手として一番、とは言わないが、それ程の歌の実力も持っていた。

まぁ、ちょっとした事で辞めてしまったわけだが。

 

 

 

その後、乗り換えをし東京駅へ着くと僕は新幹線の時間を確認した。

現在時刻は朝の7時。

新幹線の出る時間は、8時15分の三島行。

三島から乗り換えて沼津へ着く予定だ。

 

まだ、時間に余裕があったので、引っ越しした際に持っていく菓子折りなどを購入し、大きい広場へと戻ると、先程席を譲った少女が、困り顔で何かを探していた。

さっきの縁もあるし、手伝おうかなと思い話しかけることに。

 

「また、会いましたね。」

「あ、先程はどうも。」

「いえいえ、気にしないでください。所で何かを探してるみたいですけど、どうかしたんですか?」

「えっと…その、ハンカチ、を落としてしまって。それで、その…、思い入れもあるから…。」

「なるほど、何色のハンカチですか?」

「白のレースに、ピンク地の奴です…。」

「わかりました、僕もちょっと探してきますね。」

 

 

僕は歩き出して、ハンカチを探す旅に出た。

こういうのは意外と、階段に落ちてる物なのだ。

そう、僕の中で相場が決まっている。

 

 

階段を探していると、話にあったであろう白のレースにピンク地のハンカチが落ちていた。

嘘だろ。当てずっぽうだったのに。

と。一人脳内漫才を繰り広げるつつも、先程の場所へ戻ると、何やら彼女はチャラチャラした男性に絡まれているようだった。

 

ハンカチを渡さなければいけないので、近付いて話しかけることに。

僕はチャラ男の肩に手を置く。

 

「君、いい身体してるね。」

「はぁ?いや、その、すんません。」

 

と言うと、彼はお尻を抑えて何処かへ行ってしまった。

彼女の方へ向くと、何やらドン引きしたような様子で

 

 

「あの、そっちの趣味、だったんですね…。」

 

そんな訳無いだろ。誤解だ。

 

「いや、違います!そんな訳ないじゃないですか!そ、それより、ハンカチ、これですよね!?」

「…そ、そうです、それです。あの、先程と言い本当にありがとうございました。」

 

何だ、最初の間は。なにかご不満かね?

 

「いいえ、困ったときはお互い様だよ。気にしないで、それじゃ。」

 

 

強引に話を切ると、丁度いい時間だった。

こういうのは、クールに去るものだ。

…決まったな。

と、一人訳のわからないことを考えつつ、ホームへ向かう。

 

 

ホームで待っていると、10分くらいで新幹線が来た。

凄い、時間ほぼぴったりだ。

新幹線に乗り指定された席へ向かう。

席を見つけて座ると、疲れがドっと回ってきた。

何故こんなに疲れているんだろうか、と考えていると、一つの答えにたどり着く。

…あの、女の子のせいだな。

とは言っても悪い気はしなかった。

たまには人助けも良いものだ。

 

 

新幹線が動き出すと、僕の心臓が音を立ててなりはじめた。

この先の事を存外、僕は楽しみにしていたのだろうか、はたまた、別の感情なのかは分からないが、不思議と嫌な気分はしなかった。

 

僕の心臓の音に合わせて、新幹線もガタンゴトン、とリズムを奏でながら、僕を静岡へと運んで行ったのだった。




続くと思った!?
残念、短編でした!
…ごめんなさい。
それでは、さようなら。

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