(・・・・・気まずい)
沢田綱吉はIS学園の1年生の教室にて笑顔で席についていた。外面は笑顔であるが内面は冷や汗だらだらで頭を抱えている状況である。
「・・・くん? 沢田綱吉くんっ」
「はい?」
脳内に思考を非難させていた綱吉は目の前から声をかけられ、思考を戻して壇上の女性に笑顔を向ける。
「あ、大声だしちゃってごめんなさい! お、怒ってる? 怒ってるかな? ごめんね! ごめんね!? あのその・・・自己紹介、“あ”から始まって、今“さ”の沢田くんなんだけど、沢田くん、自己紹介・・・してくれるかなぁ?」
「わかりました。すでにご存じの方も多いとは思いますが、チェーロカンパニー次期総帥の沢田綱吉といいます。次期総帥と言われていますが、いまは未だ皆さんと同じ学生という立場になりますので、仲良くしていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。」
「「「「キャーーーーーーーー」」」
ガタンっという音と共にクラスの大半が椅子から立ち上がり悲鳴をあげた。何を言うのか期待してみれば、向こうから仲良くしてほしいという期待以上の自己紹介を終わらせてしまったのだから、当然の反応と言えばそれまでなのだが・・・。すると悲鳴をかき消すようにドアが開かれ一人の女性が教室に入ってきた。
「五月蠅い!!廊下まで響いているぞ!」
「織斑先生、会議は終わられたのですか?」
「ああ、山田先生、クラスへの挨拶を押し付けて申し訳ございません。」
「いえ、副担任としてこれくらいはしないと。」
(きちんとできていないからこんな騒ぎになるんじゃないかな。大丈夫かこの人達。)
綱吉は自分の自己紹介が原因ではあるが、教師二人のやり取りを聞いてハズレを引いたかと溜息をはいた。
「諸君、私が担任の織斑千冬だ。これから一年間で君達を使い物にするのが私の仕事だ。だから私の言う事はよく聞き、よく理解しろ。理解出来ない者は出来るまで指導してやる。私の仕事は若干15歳から16歳までを鍛えることだ。いるとは思わんが逆らっても良い、しかし私の言う事だけは聞け、いいな。」
(は?何言ってんの?言うことは聞けってここは軍隊ではないし、逆らってもいいということは力づくで黙らすということなのかな。なんか教師というものを勘違いしてないかこいつ。)
織斑千冬の言葉を聞いた綱吉の内心は不快感で煮えくり返っていた。一般人相手に対して殺気を飛ばしたりはしないが関わりたくもない人間としてリストアップする。しかし周りの女子生徒は違ったようで
「キャーーーーー!! 千冬様! 本物の千冬様よ!!」
「私、ずっとファンでした!!」
「私、お姉さまに憧れてこの学園に入学したんです! 北九州から!!」
「あの千冬様にご指導いただけるなんて、嬉しいです!」
「私、お姉さまの為なら死ねます!!」
まるでアイドルを目の前にしたファンクラブみたいな反応を示した。思わず頭を抱えた綱吉だが、どうやら千冬も同じらしい。彼女もあまりの状況に頭を抱えていた。
「毎年、よくもまあこんな馬鹿者共が集まるものだな。感心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」
織斑千冬のボヤキをきいて多少印象が和らいだ綱吉であった。
今月から八月までは全ての投稿小説を一か月に一話は更新できるかと思います。
九月からは多忙ためどれかを選んで一話できたらいいかなと考えております。
よろしくお願いします。