拓海「──どうした作者、なんで死んでるんだ?」
朱乃「多分、感想不足と夏バテのせいじゃないの?」
拓海「へぇ~そうなのか朱乃姉───朱乃姉!?ナゼココニイルンディス!?」
朱乃「ふふふ♪それでは第九話、今回は私からです」
朱乃side in
皆さん初めまして。私の名は姫島朱乃と言います。
今年で中学一年生で、弓道部に入っています。
──突然ですが、SMプレイというのは知っているでしょうか?異性同士がSとM──虐める方と虐められる方に分かれて、お互いの欲求を満たす行為……というのが一般的な認識でしょう……普通の人ならば
何故、私がそのような事を考えているのか?それは──
「ムグーッ!!ムグーッ!!」
「あらあら……躾が足りなかったようです──ねッ!!」
「──ヌグムーッ!!?」
───白昼堂々とSMプレイをしている
いや、別にSMプレイが悪いとは言いませんよ?趣味嗜好も人それぞれですし、私が口出しする領分ではありませんから。でも両親が、それも夏の真っ昼間からやるのは流石にダメだと思うんです。
私が部活に行っている間に何があったのですか?
夏の暑さで服装をオーブンにするどころか性癖までオーブンになってしまったのですか?
そもそも何故服を着たままプレイをしているのですか?
───などと考えてる間に、私の準備を終えてしまったようです。何の準備かって?それはですね───
「───ム、ムググッ!!?」
「───あ…朱乃? ……あの、これは、お父さんとのちょっとしたスキンシップというか…なんと言うか……」
──ああ、ようやく気付いたのですか……ならば、この一言を言って行きましょう……
「ムグァ────朱乃、これには訳があって──」
「朱乃!ちょっと待って────」
「「朱乃ォォオッ!!?」」
そうお父様とお母様に告げた後、自分の衣服、貯金、大事なモノ等を詰め込んだ大きなリュックサックを背負って、全速力で自分の家を出ました。
私、姫島朱乃! 今年で中学一年生の12歳! 夏休みにて人生初の家出を敢行します!!
ピーンポーン、ピーンポーン
「はいはーい、どちら様で──あら朱乃ちゃん。久しぶりじゃない?」
「お久しぶりです、
──というわけで、今私は拓海君の家の前にいます……
し、仕方ないじゃないですか! 家出をして行く先で唯一思い浮かんだのが拓海君の家だったんです! 何故かそこ以外の案が浮かばなかったんです!
ま、まあとりあえず色々と整理がつくまで拓海君と一緒に宿題でも────
「あー……ごめんなさいね、拓海は今山に行ってていないの」
────え? 今なんて………?
「多分、八月の中旬まで帰ってこないと思うけど──」
「───何処ですか?」
「ん?」
「───あらあら?もしかして拗ねてるのかしら?」
「す、拗ねてません!」
私はただ、久しぶりに二人でゆっくり出来ると思ってたら出来なくて少し機嫌が悪いだけです!
<ちょっとだけ拓海side>
「───人、それを『拗ねてる』という」
『どうした拓海?変なモノでも食べたのか?』
「いや、なんか朱乃姉が少し機嫌が悪くなったような気がして……」
『なんでだ……そして何故ソレを言った?』
「さあ?」
<ちょっとだけ拓海side out>
「と、ともかく!拓海君のいる山の場所を教えて下さい!」
「もう、そんなに焦らなくても良いのに……」
とまあ、少し弥羽さんと問答した後に拓海君がいる山を教えてもらい、その山へと向かった───向かった、のですけれども……
「…あれ?今何処だっけ…?」
───山の中で遭難しました。
いや、遭難しないように努力はしたんですよ!?コンパスを使って進む方向を決めたり、来た道に『雷光』で目印を付けたりという事をしたはずなのに、コンパスの指針がクルクルと回り始めたり、目印が無くなっていたり本当になんでこんなことに……
と、私がそんな事を考えていたときに突然『ズシン』という地響きが聴こえた。しかも私のいる方向に近づいてくる……
私は『雷光』を纏って何時でも攻撃できるように待ち伏せをしようとしたのです。あわよくば一撃加えて逃げよう、と考えていました……。
──そのような考えは、地響きの元凶を見た次の瞬間に霧散してしまいました。
「───な……ぁっ…?」
「──ブモォォオオオッ!!」
───3m以上はある体、私の太腿よりも太い2本の牙、大木を踏み潰す程の体重──
そう、地響きを起こしていた元凶は、巨大な猪だったのです。
私はその風貌に、本能的な恐怖を覚えました。逃げようと思っても足が動かず、私にできたのは、ただ息を潜めて猪が立ち去るのを待つだけ……の、筈でした。
「───ッドッセェェエェイッ!!!」
「ブモォオッ!?」
何処からか飛んできた人らしき物体が、猪に衝突して吹っ飛ばしたのです。というか、何処かで聞いた事があるような声が聴こえたような……
「オラどうしたINOSHISHI!? 理性なんぞ捨ててかかってこいよ!!」
「ブルル…ブモォォオオオッ!!」
そんな事を考えていると、さっき飛んできた人らしき物体が猪と突進しあい始めて──え? あの後ろ姿はまさか……!
「──呼んだ!?朱乃姉───朱乃姉ェ!? なんでここにいるの!?」
「いや拓海君の方こそ何をしてるの!?」
何で猪と突進しあって力くらべしてるの!? 今まで何があったの!?
「ごめんちょっと待っててね………おう邪魔ださっさと吹っ飛べオラァ!!」
「ブモォォオオオッ!!?」
そう告げると、何処からか右腕に竜を模した鎧を着けて猪を遠くへと殴り飛ばした……
もう私には何が何なのか分からないよ……
朱乃side out
拓海side in(11歳)
あ、ありのままに今起こった事を話すぜ!
俺はYAMAで修行の一環としてINOSHISHIと競り合っていたら、朱乃姉がYAMAに来ていた。
何を言っているのか分からないと思うが、俺にもよく分からなかった……
なので、一度競り合うのを中断して朱乃姉にここに来た経緯を話してもらう事にした。
「で、なんで朱乃姉がここにいるの?」
「え、えっと……話せば長くなるんだけど──」
「──成る程。要するに、バラキエルさんと朱璃さんがSMプレイしてて居場所が無かったから俺の所へ来た、という認識でOK?」
「う、うん、それで合ってるよ」
「──と言われてもな……」
ぶっちゃけこのYAMAは朱乃姉にとっては危険過ぎる。
さっき雷らしきものを纏っていたが、あの程度の電力では到底生き残れない。朱乃姉には悪いけど、帰ってもらうしか──
「しかも現在地も分からないし…できれば、一緒に居たいんだけど───だめ?」
「良いですとも!」
『『また即決かお前は!?』』
だって潤んだ目+上目遣い+朱乃姉の懇願だぞ?即決するに決まってるだろ。むしろ即決しないと思っていたのか?
『あ、そう言われたらそうだな…』
『……貴様は朱乃に対しては甘いからな…』
そうか?別に朱乃姉が俺に付いてくる位なら大歓迎なんだが…
──気を取り直して、修行場所に戻るとしよう。と、その前に──
「朱乃姉、これ持ってて」
と言って一個の鈴を朱乃姉に放り投げる。ちゃんとキャッチしてくれたようだ。
「え?拓海君、この鈴って?」
「このYAMAで迷わないようにするための鈴だよ。それを持ってれば道には迷わないから」
今朱乃姉に持たせた鈴は、このYAMAに張っている人避けの結界を無効化する為の物である。ただし、あくまでも『人』避けなので悪魔などの人外や朱乃姉のように半分人外の血が流れてる人に対しては変な効き方になることがあるのだ。
「それじゃ、着いてきて朱乃姉。俺の修行場所に案内するよ」
<拓海side out>
<朱乃side in>
「─────さて朱乃姉、そろそろ到着するよー」
「あら?結構近いのね」
「朱乃姉がそれだけ迷いまくったってことだよ」
「……拓海君、痛い所を突いてくるね……」
「ああ、ごめん朱乃姉。そんなつもりで言ったわけじゃなくて…」
「──ふふっ、それくらい分かってるから気にしないでいいのよ?」
拓海君についていく事凡そ5分。私が予想していたより早く到着したらしい。
「ヒヤッとさせないでよ朱乃姉……ほら、見えてきたよ」
そう拓海君に促されて正面を見ると───
「───え!?山の中にこんな広い場所が!?」
かなりの広さの草原があったのです。私の目測ですが、多分サッカーコート2、3個位の広さがあるのではないでしょうか。
しかし、こんな開けた場所があるならば、山の外からも見えてしまうのでは?──と疑問を持ちましたが、拓海君が狙い済ましたようなタイミングで答えてくれました。
「朱乃姉驚いた?こんな広い場所があるなんて分からなかったでしょ?人避けの結界と一緒に、『認識阻害』の結界も張っているんだ。そうすれば山の外からはこの場所は確認できないからね」
「拓海君がそこまでできるなんて───あれ?そういえば、この山で修行してる時の住居ってどうしてるの?」
「ん?───ああ。それならあそこにあるよ」
そういって拓海君が指差した方向を見ると──
「──ほら。あれが俺のテントだよ」
「あんな隅っこで暮らしてるの!?」
草原と森との境界と言ってもいい場所に、一つのテントがあるだけでした。
「───というか、拓海君の住み処があそこなら、この広い草原の大部分はどうしてるの?」
そう私が問い掛けると拓海君は苦笑して、
「もちろん、修行する場所だよ?
「師匠?でもそんな人は何処にも───」
そう。さっき教えてもらった拓海君のテント以外にこの草原には何も無い。ハーフとはいえ堕天使なので、自分自身の体のポテンシャルは高いと自負しているのだが……それでも何も無いように見える。
「──そうですか。承知しました」
「───ん?拓海君何か言った?」
「え?──ああ、ちょっと師匠と話しててね。朱乃姉が無害な事を教えてたんだ。
「えっ?それってどういう───」
──私が拓海君に問い掛けようとした瞬間、突然強風が吹き荒れ始めた。あまりの風の強さに目も開けられない。
「──おー、師匠張り切ってるねぇ。俺は介入できないから、とりあえず耐えててね朱乃姉!」
強風の中で、拓海君の余裕そうな声が聴こえてきた。
───拓海君!? 流石にこの強風はキツいんだけど!?
──と、拓海君に叫んだが、強風に掻き消されてちゃんと言えたのかさえ分からない。
暫くして、強風が治まった後に草原の奥の方を見ると──
「───ほう?その
──赤い皮膚、長い鼻に白い髭、緑と白を基調とした服を着ていて、右手には宝石が埋め込まれている大きな芭蕉扇を持つ、3m程の『天狗』がいた。
「──ええ。実際俺も驚いてますよ。手加減してるとはいえ師匠の『風』に耐えきれるとは思ってませんでした」
「拓海君それ酷くない!?あとあの天狗誰なの!?」
拓海君が耐えてって言ったんだよね!? それによく見たら拓海君にやけてるじゃん!
「ふむ……自己紹介がまだじゃったな…では改めて──」
「──我が名はナナワライ!
────────え?今、なんて?
「──あのー、ナナワライさん…で良いですか?」
「む?儂は別に構わんが?」
「あ、ありがとうございます……それで、ナナワライさん…今、
「む───確かに言ったが、それがどうした?」
朱乃side out
拓海side in
「む───確かに言ったが、それがどうした?」
───不味い、非ッ常ォォォに不味い。
この前ユルフw──ソロマに聞いたんだが……
なんて言うか、
朱乃姉には悪いが、少し記憶を失ってもらうしか───
「(ぬ、何やら余計な事を言ってしまったようじゃな………)──ふむ、素質はある。だがこのままだとその素質が腐ってしまう。ならば……そこのお主!お主の名前は何という名前だ!?」
「え!? ──えっと……姫島、朱乃と言いますが……」
「ふむ、朱乃か……よし朱乃! ちょいとお主を一週間ほど鍛えるぞ!」
「───えっ?」
し、師匠!? な、なんでいきなり朱乃姉を!?
「(こういう時は勢いで流せばよいじゃろうて。まあ拓海の連れじゃし、少し手解きしても良いじゃろう。)───お主の中に妙な気配を感じてのぅ……恐らく堕ちた天使の力じゃろう。それのせいでこれから厄介事に巻き込まれるやもしれん! ならばその厄介事をも跳ね返す位とはいかんが、護身の技術の一つ二つ位は付けておかんとな!」
師匠……なんて慈悲深い…普段なら鍛えるの後に『飯や湯浴み、就寝時にも容赦なく行くぞ!』と言って休む隙を与えないのに…それがないってことは本当に護身術の範囲に留めるつもりなんだな……
「えっ?それはどういう──「さあ、行くぞ朱乃!覚悟を決めよ!」うわぁ!?ちょっ、拓海君助けて!?」
───普段ならそう言われたら即行で助けに行くんだけど……
「──ごめん朱乃姉! ここで甘やかしたら朱乃姉の為にならないから、今回、俺は心を鬼にして突き放す! ちゃんと修行は観とくから頑張って!!」
「そ…そんなぁぁぁぁぁああ!!?」
ごめん朱乃姉。朱乃姉の今後のためには、時に心を鬼にして突き放すことも大事なんだッ!
───そして、この山を降りる頃には、朱乃姉は少しだけ洗練されたように見えた。
拓海side out
──原作キャラ(朱乃)、改造開始。
<クロ(黒歌)の来谷家(主に拓海)観察日記>
201×年五月某日 拓海12歳
朝は特に何も無し。普通にご飯食べて学校行ってたにゃ。拓海は四月から中学生になった。早く慣れるといいにゃ。
昼間はあまり覚えてにゃい。キャットフードを食べてゴロゴロしてる記憶しかない。至って平和にゃ。
そして夜。今日は珍しく拓海が遅くまで起きてたにゃ。拓海のお父さんと何か話をしていたみたいだったけど、一本の電話が入ってから真剣な顔になったにゃん。
興味があって盗み聞きをしたら、
「雛月寮でケガレが───」とか、
「子供は一人だけ───」という声が聴こえてきたにゃ。もっと聴こうと近付こうとすると、妙な黒い服──
───その後、二人が帰ってきたのは朝になってからだったにゃ。拓海は結構疲れたようで、私のお腹に顔を埋めてきたにゃ。猫の姿だからってそういうのはやめてほしいにゃん、と思いつつ前足で拓海の頭を撫でる私だったにゃん。ちゃんちゃん。