正義の味方に至る物語   作:トマトルテ
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4話:体育祭

 雄英体育祭。

 その名の通り雄英高校の体育祭だ。

 だが、雄英の体育祭は他の高校と違い“特別”だ。

 

 何故かと言えば、“個性”の出現後、衰退・形骸化してしまったオリンピックに代わり、日本においてのスポーツの祭典として楽しまれているためである。

 そのため、体育祭であるにも関わらず全国ネットでテレビ中継され、プロヒーローも将来の相棒(サイドキック)候補を探すため観戦しに来るなど、明らかに通常の体育祭とは違う。

 

 そして、学生達にとってはプロヒーローへの、絶好のアピールチャンスなのである。

 

「いやぁ、今年も盛り上がっているねぇ。信乃ちゃん」

「なんで、あなたはそんなに呑気なのよ」

「お祭りみたいなものだから、楽しまないと損じゃないか」

 

 剣呑な目線で見つめてくる信乃に対して、朗らかに笑って見せる切嗣。

 彼らも今年で2年生だ。そろそろどこかにスカウトされないと焦る時期だ。

 だから、信乃は剣呑な目をしている、といったわけではない。

 理由は内心で勝つことしか考えていないくせに、呑気に()()()切嗣だ。

 

「楽しむ…? さっきの障害物競走であなたがしでかしたことを忘れたの?」

「スタートでわざと遅れたフリをして、背後からロケットランチャーで襲撃しただけじゃないか」

「それのどこが“だけ”なのよ! この外道!」

 

 切嗣は、例年までの傾向から少々遅れるぐらいならば大丈夫だと判断し、一度後方に回り、無防備な背後から強襲をしかけることでライバルを蹴落としたのだ。

 

「そもそも、サポート科以外は、装備・アイテムの持ち込みはできないはずなのに、なんであなたはあんなもの持ってたのよ!」

「…? そのサポート科から強奪したに決まってるだろう」

「あなたには血も涙もないの!?」

「いや、何でもありって言われていたし、それぐらいはいいかなって」

 

 公平を期すために、ヒーロー科はコスチュームや武装の持ち込みが原則禁止されている。

 逆に、武器やコスチュームの作成をメインに学ぶサポート科は自分が作成したものに限り使用が許される。

 

 そのため、武器好きな学生が自信作を意気揚々と持ち込んでいたのだが、運が悪かった。

 切嗣に目をつけられて、「こんにちは。君、良い武器持ってるね、死ね!」とばかりに強奪されてしまったのだ。哀れなり。

 

「とにかく、あなたが楽しむなんて言っても、何してでも勝ちに行くから信用できないのよね」

「ははは、僕だって殺しだけはしたらいけないと思ってるよ」

「逆に殺さなければ何してもOKだって思ってない?」

「…………そんなことないよ」

「今の間なによ!?」

 

 ビシッと頭にチョップを入れられながら切嗣は思う。

 どうして、自分の思考はこうも簡単に読まれてしまうのだろうかと。

 

「まあ、今からは()()正面から戦うから安心していいよ。“個性”の強化がどれぐらいまで出来ているか試す良いチャンスだからね」

「基本の部分がすごく気になるんだけど……まあ、信じてあげるわ」

 

「さぁー! 今からお待ちかねの第2種目の発表だ!!」

 

 2年主審の根津の威勢の良い声を傾け、誰もが静まり返る。

 そして、第2種目が発表される。

 

「第2種目はズバリ! IKUSAさ!」

「戦…?」

「あ、シノシノー。戦って何か知ってる?」

 

 IKUSAという競技が何かわからずに騒めく会場。

 それは選手も同じで、何のことか分からない知子が信乃を見つけて尋ねてくる。

 しかし、信乃の方も頭に疑問符を浮かべていた側の人間なので、聞かれても分からない。

 

「私もIKUSAなんて初めて聞いたし……切嗣あなたは分かる?」

「……地上の地獄さ。そこにあるのは掛け値なしの絶望だけだ」

「取り敢えず、あなたの思い描く戦争みたいなものじゃないと思うわ」

 

 何故か、遠い目をして語り始める切嗣にツッコミを入れつつ、信乃は根津を見る。

 主審として競技の説明は義務なのだから。

 

「分からない人も多いみたいなので説明しよう。IKUSAとは簡単に言えばスポーツチャンバラをより遊びに特化させたものだ。素人には分かりづらい、一本や有効打なんてものはない。『命』を獲るか獲られるかだけだ」

 

 そう言って根津は『命』と書かれたボールを取り出し、左腕に装着する。

 

「これが『命』さ。利き腕と反対側の腕に磁石を使って装着する。君達はこれを互いに落とし合って、落とされた方は負けて退場。基本ルールは簡単だろう」

「武器はどうなるんですか、根津先生?」

「スポンジで出来た刀をみんなに支給するよ。大小の選択は自由だ。そして、“個性”の使用も自由。余程悪質な行為をしない限り、反則はないよ」

 

 なるほどと頷く生徒達へ、さらに根津は自分で『命』を落とした場合や、仲間の『命』を落とした場合でも例外なく『命』を落とされた選手は負けになることを伝える。

 所謂、切腹や謀反はご法度というわけだ。

 

「今回は1チーム7名、今は42名だから6チームに分かれて、最後の1チームになるまで競う大将戦を行うよ。大将戦は大将が討ち取られたら終わり。逆に言えば、大将さえ討ち取られなければ負けることはない。よく考えてチームを組んで欲しい」

 

 説明が終わり、選手達がざわざわとチームを組む相手を探し出す。

 このチーム選びは何も強い相手を選べばいいというわけではない。

 1チーム7人で、1チームしか勝ち抜けられないのだ。

 

 そうなれば最終種目で戦うのはチームのメンバー以外にあり得ない。

 もしかすれば、敗者復活で1人が選ばれて8名でトーナメントという形になるかもしれないが、それでも残りの6人がライバルになることに違いはない。

 

 第2種目を勝ち抜かなければならない。

 だが、余りにも強すぎるメンバーを選んでしまえば、自分の優勝がなくなってしまう。

 こうした水面下での駆け引きもIKUSAの魅力の一つだ。

 

「さて、そうなると僕が組むべき相手は……」

 

 少しだけ考える仕草を見せた後に、切嗣もチームメイトを求めて動き出すのだった。

 

 

 

 

 

「えっと……本当に私が大将でいいの?」

 

 大将と書かれた鉢巻を身につけた信乃が、戸惑ったようにチームメイトに尋ねる。

 チームメイトは切嗣、流子、知子、柔といった、いつものメンバーに加えて火事(かじ)(まもる)香山(かやま)(ねむり)を入れた7名だ。

 

「信乃ちゃんが一番適任だよ。『テレパス』を使って全員に指示を出せる人間を大将にしない方がおかしい」

「でも、6チームって明らかに乱戦だよね。それだと正確な指示も難しいよ。だったら、相手が近づいたら眠る“個性”持ちの(ねむり)の方がいいんじゃない?」

「確かに私の“個性”は相手は近づいて来れないわ。でも、同時に仲間も眠っちゃうのよ」

「そうなると、護衛が置けない。いくら“個性”が強力と言っても一瞬の隙を突かれて近づかれたら対処できない。だったら、護衛が可能な信乃ちゃんが一番だ」

 

 切嗣と(ねむり)の説明に、確かにそれなら自分がやるのが適任かと納得する信乃。

 他のメンバーも同様に彼女が大将を務めることに納得を示す。

 

「分かった。それで、護衛は誰になるのかしら? 臨機応変に対応?」

「いや、今回は知子ちゃんと流子ちゃんについてもらう」

「2人も? 知子は分かるけど流子は戦いが得意のはずでしょ」

「流子ちゃんは……ほら、あれだろう」

 

 どちらかと言えば、戦闘要員に入る流子が護衛に入ることに難色を示す信乃。

 しかし、その疑問は暗い表情をまとう流子のつぶやきで解決する。

 

「……コンクリの床で土がないにゃん」

「ああ……」

 

 土が無いと“個性”が使えない。要は雨の日の某大佐のようなもの。

 コンクリートで舗装されている体育祭会場は流子にとっての天敵なのだ。

 これが切嗣ならばコンクリートの基礎を破壊して、土まで到達できるようにしかねないが流石に器物損壊を行う無謀さは流子にはなかった。

 

「……流子は理解したけど、私を入れて3人も守りに回って大丈夫なの?」

「そこはあちきの『サーチ』でサポートするんだよ!」

「でも、離れた味方にあなたが得た情報を渡すなんて……あ」

「そういうことだよ。君と知子ちゃんが組むという恐ろしさを相手に教えてあげよう」

 

 自身と知子がペアを組む理由が分かり、目を見開く信乃。

 それを見た切嗣はニヤリと笑い、試合会場へと踏み出す。

 

「さあ、作戦タイムの時間は終わりだ。各チーム、位置について!」

 

「細かい作戦は始めに話した通りだ。大丈夫、必ず勝てる」

「そうさ。俺達がやるべきことをすれば絶対に勝てるさ」

「うむ、我らの力……見せつけてやろう」

 

 切嗣、火事、柔の男性勢(?)が女性勢を元気づけるように声をかける。

 それに、女子勢も不敵に笑うことで応え、大きく息を吐き出す。

 準備は万全、敗北に至る要素は限りなく排除した。後は、そう。勝つだけだ。

 

「第2種目、IKUSA! スタートッ!!」

 

 開戦の合図の銅鑼(どら)が響き渡る。

 チームでの乱戦。初めはどこも慎重に動くと、切嗣は考えていたが予想は外れた。

 開始と同時にすぐさま動きが起き、自分の持ち場で戦闘が始まってしまう。

 

「なるほど……第1種目で暴れ過ぎたか」

 

 こちらを軽蔑したような目で見ながら、襲い掛かってくる3名の生徒に切嗣は淡白な声を出す。

 

「卑怯な手ぇ使いやがって! お前のせいで体操服が黒焦げになっちまったじゃねえか! 謝れ!!」

「そうよ、そうよ! あなたの卑劣な手でサポート科の子泣いてたんだからね!」

「汝に天罰を下そう…ッ。具体的には迷惑をかけた者への謝罪を!」

 

 3人は第1種目で、切嗣の『背中からロケットランチャー作戦』の被害を受けた者、もしくは友人に被害者が居た者達だ。言わばお礼参りである。しかし、切嗣はそんな当然の行動にも、首を傾げ心底不思議そうに答える。

 

 

「謝罪? なんで?」

 

 

『この人でなしがッ!!』

 

 完全に競技であることを忘れて、怒りのままに襲い掛かってくる3人。

 しかし、2年生ともなれば単純な動きだけではない。

 全員が別々の方向から襲いかかって死角をつくことで、防御や回避をさせないようにしている。

 

 既に逃れられる間合いではない。だが、切嗣は欠片たりとも焦っていなかった。

 

【1人目が斜め右から拳での刺突。2人目が左からの回し蹴り。3人目が背後から『命』狙いの斬撃よ。それから知子の情報だと身体強化系の“個性”はないらしいから、あなたの速度を避けられる敵はいないわ、切嗣】

 

 彼には頼れる目がついているのだから。

 

固有時制御(Time alter)―――三倍速(triple accel)

 

 知子の“個性”で得た位置や能力などの情報を、すぐさま信乃が送信しているのだ。

 そうすることで死角を無くし、常に相手の一歩先を行く手が打てるようなる。

 このことによって、チームメイトは全ての意識を攻めに回すことができるようになる。

 そこに切嗣の『固有時制御』が加われば。

 

「ターゲット…クリア」

 

「は?」

「え? あ! 私の『命』が!?」

「一瞬で……獲られただと…?」

 

 一瞬のうちに、頭に血の昇った3人の『命』を刈り取るぐらいわけがない。

 

「うん。これなら10秒ぐらいは、3倍もフィードバックなしでいけそうだ」

 

 現状の切嗣は、地道な特訓のおかげで2倍ならほぼフィードバック無しに扱えるようになっている。さらに鍛えていけば、いずれは3倍も使いこなせるようになる日が来るだろうが、いつの日になるかは分からず不明だ。

 このように切嗣には不明確なことが多いが、ただ1つだけハッキリしていることがあった。

 

 

「飛ばして行こう。一刻も早く―――このIKUSA(戦争)を終わらせるために」

 

 

 ここは、衛宮切嗣(自分)にとってのホームグラウンドだと。

 

 

 

 

 

 学生達によるIKUSAが行われ、熱狂に包まれる会場。

 その中でもプロヒーロー達は、一際熱の籠った視線で選手達を見つめる。

 だが、その中で1人だけ冷たい目線で品定めをする者が居た。

 

「んん? やぁ、エンデヴァーじゃないか!」

「オールマイト…ッ!」

「久しぶり。この前の事件以来だね」

 

 ヒーロー人気№1がオールマイトならば、その次に来る彼である。

 エンデヴァー。“個性”『ヘルフレイム』を持ち、事件解決数ではオールマイトの上を行く存在。

 ただ、その常に炎を纏った威圧的な姿から一般向けの人気はなく、常に2位に甘んじてしまっている。

 

「何故貴様がこんなところにいる…?」

「今回の雄英体育祭のメダル授与のサプライズゲストに呼ばれていてね。おっと、これは秘密にしておいて欲しいかな。サプライズだからね!」

「だったら、俺に話しかけてくるな。その下手な変装ごと焼き払うぞ」

「いや、久しぶりだったからつい……」

 

 そんな彼だからこそ、オールマイトを越えられぬ壁として嫌悪し・尊敬する。

 頂点に立つために目障りな存在であるオールマイトが彼は大嫌いだ。

 しかし、同時に誰よりもその強さに敬意を抱いていた。

 

 素直にそのことを表に出すことができれば、良好な関係が築けたかもしれない。

 だが、彼の強固なプライドは自身が(かな)わないと認めたくなくて、嫌悪を噴出させる。

 そのため、普段であれば、オールマイトを無視をするか、自分から離れていく。

 

 だが、今日はオールマイトの付け髭にコートを羽織るなどの、下手な変装に毒気を抜かれたのと、ある()()から会話をするという、彼基準での優しい対応を見せていた。

 

「君は新しい相棒(サイドキック)候補を探しに来たのかい?」

「プロヒーローがここに来る理由など、それしかないだろう」

「そうだね……ごめん」

「ちっ……」

 

 自分よりも強いというのに、シュンとするオールマイトに彼は舌打ちをする。

 なぜこの男に勝てないのかと。なぜこの背中に手が届かないのかと。

 追い越すどころか、追いつくことすら許さない隔絶した力。

 何度その背中を憧れて(憎んで)きただろうか。

 

「そもそも、何故お前が2年の観戦などしている。

 お前がメダル授与をするなら間違いなく3年だろう」

「うん、君の言う通りさ。流石の考察力だね!」

「いいから答えろ」

「まあ、個人的な理由だよ。以前、助けた子が出ていると聞いてね。元気かどうか見に来たのさ」

「ふん……」

 

 こういう細かな配慮が人気№1である所以かと思うが、真似をする気は起きない。

 あくまでもエンデヴァーは己のやり方で、オールマイトを超えようとする。

 例え、()()()()で超えることができなくとも。

 

「で、今年の2年生はどうだい? 面白い子はいるかな」

「見ての通りだろう」

 

 そう言って、徐々に終戦へと近づいている戦場を顎で指すエンデヴァー。

 戦況は切嗣達のチームが有利に進めていた。

 

「なるほど、1チームが他を圧倒しているね」

「戦略と戦術を完璧にこなしているのは、あれだけだ。もうじき決まる」

「ほとんど言葉を交わしてない所を見ると、大将の女の子の“個性”は伝達系かな」

 

 信乃と知子の“個性”を活かした、弱点と位置情報を丸裸にした上での戦術指揮。

 それに気づき近づこうとした敵は、火事の『放水』で『命』を狙われ撤退を余儀なくされる。

 そして、撤退した先では(ねむり)が『眠り香』で戦闘不能に追い込む。

 

 運良く火事の放水から逃れた者も、信乃の下に辿り着く前に流子と知子に妨害される。

 その間に手の空いた柔か切嗣が援護に行き、3対1で袋叩きにする。

 これを続けることで、確実に敵を仕留めて行っているのだ。

 

 さらに言えば、時間をかければかける程(ねむり)の『眠り香』が充満していき、相手は行動できる範囲が狭まっていく。そして、移動場所がなくなり隅に固まったところを火事が『放水』で押し流す。

 

 勿論、『眠り香』は切嗣達にも効くが、初めから信乃は壁を背にしているために端に寄っているので、そこまでは届かない。仮に届いたとしても、その時にはフィールドに充満しているので自動的に動ける人間は(ねむり)だけとなり、彼女の所属チームが勝者となる。

 

「いやー……完成されているというか、エグイね」

「フン、戦力を分断させて各個撃破するのは戦闘の基本だろう」

「あの大将の子が考えたのかな? 綺麗なバラには棘があるとはまさにこのことだね!」

「馬鹿が、お前は見ていなかっただろうが、あれを考えたのは()()の小僧だ」

 

 危うく冷酷な女の烙印を押されかける信乃だったが、エンデヴァーの一言で何とか逃れる。

 

「ん? あの子って……」

「チーム編成、戦略作りは明らかにあの小僧が中心になって行っていた。勝つために最も効率的な戦略だ。明らかにあの小僧は()()()()()()を知ってる」

 

 ようやく切嗣が、自分が助けた少年であることに気づくオールマイト。

 その隣ではエンデヴァーが、値定めをするように切嗣を見ている。

 

「第1種目での不意打ちもあったが、あの小僧は何でもするな」

「OH,MY,GOD! 2年生にクレイジーボーイが居るとは聞いてたけど、彼だったのか!?」

「クレイジー…? 違うな、あれは理性的に最適の方法を考えてるだけだ」

「最適の方法…?」

 

 まさかの『背中からロケットランチャー事件』の犯人が、自分が助けた子だとは思わず、頭を抱えるオールマイト。だが、隣のエンデヴァーがやけに冷静に解説をしているのが気になり、チラリと目を向けゾッとする。

 彼の顔は、酷く歪んだ笑みを浮かべていたから。

 

 

「―――目的を達成するためなら如何なる手段も(いと)わない。あれはそういう類だ」

 

 

 まるで、自分の同類を見つけたかのようにエンデヴァーは口にする。

 理想を叶えるためなら、妻を道具にし、子どもを利用することも視野に入れる。

 そこに至るまでの心境に違いはあれど、取るべき選択は同じ。

 そういった人生を送ってきた人間だと、彼は直感していた。

 

「……彼が気に入ったのかい? 確かに相棒(サイドキック)としては有能そうだけど」

「さてな、お前に答える義理はない」

「て、もう行っちゃうのかい。偶にはお茶でもしようぜ!」

 

 オールマイトの言葉を無視し、立ち上がって会場から出て行くエンデヴァー。

 彼の態度にどうして自分は邪険にされるのだろうかと、オールマイトは肩を落としながらも、立ち去る背中に疑問を投げかける。

 

「ところで、やけに機嫌が良かったみたいだけど、何かあったのかい?」

「……末の息子に()()()()()“個性”が発現した」

「それは楽しみだね! 確か4人目の子だったかな、おめでとう!」

 

 背中を向けるエンデヴァーの表情を知ることなく、オールマイトは祝福する。

 彼の喜ぶ理由が常軌を逸したものであることに気づくことなく。

 その子供の半生が、ひどく険しい道になることにも気づかずに。

 

上の子(今まで)とは違う。あれは完全な俺の上位互換……必ず、()()()()()ぞ」

 

 オールマイトを超えるという、己の野望を叶える“個性”の誕生。

 それが彼が珍しく上機嫌である理由であった。

 

 

 

 

 

「試合終了! このIKUSAの勝者は送崎チームッ!!」

 

「ようやく戦争が終わったか……」

「えみやん、何でそんなに黄昏てるの?」

 

 IKUSAの終わりを告げる根津の声にも、顔を明るくすることなく黄昏(たそがれ)る、切嗣。

 そんな切嗣を怪訝な目で見つめる知子だが理由は分からない。

 もっとも、分かったとしても遊びで何を本気にしているのだと呆れるだけだろうが。

 

「よって、送崎君、土川君、知床君、茶虎君、衛宮君、香山君、火事君の7()()が最終種目に進出だ!」

「7名ねぇ……そうなるとトーナメントじゃないのは確定かしら」

「なんにせよ、俺達で争うことになるのか」

 

 最終種目への進出が決まり、お互いに喜び合うチームメイトだったが、(ねむり)や火事は次の種目のことを考え、若干浮かない顔をする。

 昨日の友は今日の敵とは言ったものだが、共に戦った者に刃を向けるのは誰だって戸惑う。

 

「まあ、戦争は終わりだ。さて……次はどう戦うか」

「そうよね、あなたが戸惑うわけないわよね。何せ、幼馴染み()を人質に取るぐらいなんだし」

 

 もっとも、特に戸惑うことのない切嗣(例外)もいるが。

 

「さて、最終種目は1時間の昼休憩とレクリエーションの後に行うけど、先に競技内容を発表しようか」

 

 黄昏ていると思いきや、あっさりと切り替えた切嗣に白い目線が集まる中、根津が最終種目の内容の発表を始める。

 

 

「最終種目は―――英雄(ヒーロー)7人でのバトルロイヤルさ!!」

 

 

 7人のいずれが、優勝メダルを受け取るに相応しいかを決める戦い(Fate)が今始まる。

 




体育祭でどんな種目やろっかなとウキウキで考えていたら、動かせる原作キャラが切嗣入れて7人しかいないことに気づく。
集団戦とかどうやろうと悩んだ結果、今回の形に。因みにIKUSAという遊びは実在します。
そして、動かせるキャラが7人ということで最終種目は聖杯戦争形式にする。

これでオリキャラをほぼ出さずに体育祭を乗り切れる!←今ここ


早いところ仮免とってインターンに行かせたい。
ヴィランならオリキャラを使っても刑務所送りで後の展開に響かないし。
まあ、主要キャラはできる限りこっちも原作キャラにしますが。


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