「ネプテューヌさん!!」
「げっ!?いーすん!?」
プラネテューヌの教会の一室にて、いつもの日常が繰り広げられる。ネプテューヌが何かをやらかし、それをイストワールに怒られる。そんな毎日行われているそのひとつが繰り広げられていた。
「今日という今日は仕事してもらいますよ!!具体的に言うなら12時間ほど部屋に缶詰させて溜まりに溜まった書類を片付けて貰いますからね!!」
「ええーーー!!いーすんがやってくれたんじゃないの!?」
「こういうことは普通、最高責任者であるネプテューヌさんがやらなければいけないというのになぜ私がやらなければいけないのですか!?いくら教祖でサボってばかりのネプテューヌさんの代わりに殆どの仕事を片付けているとは言え限度があり、最終的にネプテューヌさんの承認が必要な書類は山ほどあるんですよ!?」
「ええー、そんなにあったんだ。役に立たないなーいーすんは。」
「それはこちらのセリフです!全くあなたと言う人は・・・!!」
「でもごめんねー。これからノワールのところに遊びに行く約束してるんだ。だから仕事は帰ってから・・・。」
「ご心配なく。その約束はキャンセルしてもらいました。」
「ねぷっ!?なんでそんなことを!?」
「事情を説明してネプテューヌさんはしばらく遊びに行けませんという話を通しておきました。もちろん、他の国の女神も了承済みです。」
「そんなー!?酷いよいーすん!私に廃人になれって言うの!?」
「私とて、ネプテューヌさんから自由を奪うことをしたくはありませんが、やってもらわなくてはならないことが大量にあり、それをやらなくてはプラネテューヌの未来に赤信号のサイレンが鳴りっぱなしになるからです!!そもそも!こんなことになった理由はネプテューヌさんが仕事をサボりにサボりまくったせいで解決しなければ案件が溜まりに溜まり、この国がどれだけの負担が掛かっているのかお分かりですか!!それを全部私に丸投げして本人は遊んでばかりの毎日に、どれだけ私やネプギアさん、アイエフさん、コンパさん、教会の職員達に迷惑をかけているのかお分かりですか!!まだまだありますよ!いくら過去に活躍した記録があるからとはいえ・・・!」
「あのー、イストワールさん?」
「あ、ネプギアさんお帰りなさい。帰ってきて早々悪いですが、ネプギアさんもなにかネプテューヌさんに一言・・・!」
「お姉ちゃんがいないです。」
「え?」
ネプギアに言われて辺りを見渡すと、確かに何処にもおらず、先ほどまでにネプテューヌがいた場所には何かが書かれている紙切れが一枚、落ちていただけであった。
イストワールがそれを拾い上げると、書かれている内容に段々と怒りが沸いてくる。その内容とは。
『ちょっと旅に出てきます。女神の権限は不在の間はネプギアに譲渡します。 ネプテューヌ』
内容に怒りが限界突破した後、紙を握りつぶしながら今日一番の声量で叫ぶ。
「いっそのこと二度と帰ってこないでくださーーーーーーーーい!!!!!」
「ふう・・・なんとか逃げて来れた・・・いーすんのお説教始まったら二時間は止まらないよ・・・。」
イストワールから逃げてきたネプテューヌは町外れの公園のベンチに座り、大きくため息をつく。
「ほとぼりが冷めるまでどこか適当なところでぶらついていようかな・・・。あ、そうだ!久々に神次元の方に行こうかな!ぷるるんやピー子に会いたいし!よーし、そうと決まればれっつらごー!!」
そう言って、神次元へと繋がる次元の穴へと足を進めようとしたとき、何かに躓く。
「あだ!?」
間抜けな声を挙げながら顔面から地面に倒れ、鼻を強く打つ。
「いたた・・・。も~なんなのさ~。」
鼻を押さえながら躓いたその場所に目を向ける。
「何だろ?これ。」
ネプテューヌが先程躓いたそこには、何やら角張ったものが地面から突き出ており、異様な雰囲気をさらけ出していた。
「誰かのタイムカプセルとかかな?取り合えず掘ってみよっか!」
角張った物の正体を確かめるべく、地面を掘り返してみる。掘り返すこと約2時間―――。
「ぜえ・・・ぜえ・・・ぜえ・・・。まさか、こんなに時間が掛かるとは思わなかった・・・。」
ようやく地面に埋まっていた角張った物を掘り出すことに成功したネプテューヌ。全貌を明らかにしたそれをじっくりと眺める。
「見たところ箱みたいだけど・・・なんで縦の状態で埋まってたんだろ?普通、横向きに入れるよね?」
何故縦の状態で地面に埋めていたのか疑問はつきないが、今はこの箱の中身を確かめるのが一番だ。確かめるべく箱の蓋らしき箇所に手をかける。
「まあ、そんなのはどうでもいいか。ここまで私を手こずらせたんだから覚悟してよね!」
いったい何を覚悟しろと言うのだろうか。
「それでは、ごたいめーん!!」
箱の蓋を勢いよく開けると、その勢いに身を振り回され、開けると同時にバランスを崩して今度は頭から地面に倒れる。
「あだ!?」
またもや地面に激突したネプテューヌは、痛みのあまりに頭をおさえ、その場に踞る。
「うう・・・なんだろ・・・今日はなんだかついていない気がする・・・。」
しばらくその場に踞っていると、痛みも引き、改めて箱の中身と向き合う。
「では、改めてごたいめーん!!」
箱の中身を見ると、その中の正体に目を見開く。
「何これ?剣?銃?」
中に入っていたのは、柄の部分が拳銃のような形をしており、その先には銃口ではなく蒼く輝く美しい幅広の刀身が取り付けられていた。おまけに羽根の生えた獅子のような装飾が刀身と銃の中間辺りに取り付けられている。剣なのか、銃なのかよくわからない、変わった構造をした物であり、少なくとも、この様なものはゲイムギョウ界では見たことがない。
「なんだろ・・・すごくきれいな剣だな・・・。」
剣の美しさに見とれていると、何処からともなく声が聞こえてきた。
―――見つけた・・・。
「ねぷっ!?な、なに!?」
―――我の封印を解く鍵・・・。渡してもらおう・・・!
突如として、ネプテューヌの背後に大きな穴が出現し、ネプテューヌを吸い込もうとする。
「わわわわ・・・!此のパターンて!!」
現れた穴の吸引力に逆らえず、ネプテューヌは剣を抱き締めたまま吸い込まれていく。
「やっぱりこーなるのーーーー!?てか、このネタ何度目ーーーー!?さすがに飽きたんですけどーーー!?」
ネプテューヌが穴の中へと吸い込まれると同時に穴は閉じ、後は何事もなかったかのように公園は静けさを取り戻す。その後、彼女の行方を知るものは誰もいなかった・・・。
プラネテューヌの執務室にて書類を捌いている男がいる。見た目は20くらいの青年で、ライトパープルの髪が所々寝癖のように跳ねており、中性的な顔立ちをしている。男は慣れた手付きで黙々と書類にサインをしては次の書類に手をつけ、またサインをしては次に手をつける。その様なことが繰り返されてかれこれ数時間はたつが、男はただ黙々と大量の書類を捌いて片付けていた。
「・・・あと少しか。ちょっと休憩入れるか。」
書類を捌いていた手を一旦止め、ペンを置いて大きく背伸びをする。背伸びをした後の脱力感を感じながら席を立ち上がり、部屋に備え付けられた簡易キッチンへと足を進める。ガス台の上に置いてあるヤカンに水を入れ、火を着け、タイマーをセットしてお湯が沸くのを待つ。その間にカップを棚から取り出して中にインスタントコーヒーを入れる。ミルクと砂糖を用意すれば、後は沸くのを待つだけだ。
お湯が沸くのを待っていると、執務室の入り口が開かれる。
「お疲れさまです。ネプトゥヌスさん。」
「イストワールか。お疲れ。」
入ってきた人物の正体はイストワールだった。身長はネプトゥヌスより頭がひとつ分小さいくらいの大きさで、ドレードマークである本は腰の後ろにぶら下げている、プラネテューヌの教祖である。
「もうすぐお昼なのでそろそろ休憩をと思ってきたのですが。」
「そうか。ちょうど休憩しようと思ってコーヒーを入れてるんだが、飲むか?」
「では、いただきます。」
イストワールは執務室に備え付けられてるテーブルの椅子に座り、お湯が沸いてコーヒーをもう一人分用意しながら同じようにネプトゥヌスもイストワールと対面するように椅子に座る。
「今日の分の書類はもうすぐ終わりそうだ。早ければ2~3時間で片がつきそうだ。」
「相変わらずお仕事が早い人ですね。本来なら今捌いている書類は明日までかかるはずのものだったんですよ?」
「そうなのか?早く片付けたいからさっさと進めてるんだが、いけなかったか?」
「そうでした。あなたはそういうタイプの人でしたね。」
他愛のない会話を二人は広げ、穏やかな時間を過ごしていく。会話を続け、互いにコーヒーを飲み終えると、イストワールから真剣な表情で会話を切り出した。
「ところでネプトゥヌスさん。ここに来たのはひとつ話があってきたのです。」
「なんだ?改まって。」
「実はここに来る少々前のことなのですが、バーチャフォレストで妙な反応を関知したのです。」
「ほう?お前が言うからには、マジな話なんだろうな。で?どうすればいいんだ?」
「話が早くて助かります。私が斡旋所にて依頼を出してきましたので、そこで依頼を受けてバーチャフォレストへ調査しにいってほしいのです。」
「具体的にどんな内容だ?」
「何やらバーチャフォレストのど真ん中にて、異常なエネルギー反応を観測し、調査班及び諜報員の人たちと一緒にそこで何があったのか調査してきてほしいのです。」
「異常反応の調査か・・・。わかった。体もなまってたところだし、行ってくる。」
「それでは、よろしくお願いします。」
クエスト斡旋所にたどり着いたネプトゥヌスは、早速イストワールに依頼された依頼書を手に取り、手続きを済ませて調査班と諜報員のメンバーと合流する。人数はざっと見れば、調査班は5人、諜報員は6人のネプトゥヌスを含めれば計12人。普段の諜報員の捜査に比べれば少々多いような気がするが、普段穏やかな森に異常が発生すれば敏感になるのも仕方ないだろう。そんなことを考えながら森の入り口付近で打合せしているメンバーの中に見知った顔がいるので声をかけてみる。
「・・・で、気になる部分があったら即座に記録して、一寸の見落としもないようにすること。わかった?」
「「「了解です!班長!」」」
「じゃあ、作戦開始時間になるまで準備をするなり、自分の装備のチェックを行うなり、万全な状態を整えなさい。解散!」
「「「はっ!」」」
「よお、アイエフ。」
「あら、ネプト。思ったより早く会えたわね。」
ネプトゥヌスをネプトと呼ぶ茶色の長い髪の女性はアイエフ。諜報員のメンバーであり、実働部隊の班長を長年勤めているベテランだ。
「こういう問題はさっさと解決するに限るからな。イストワールから話を聞いてここに来たって訳だ。」
「あんたって本当にくそ真面目よね。そう言うの、うちの新人たちにあんたの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいわ。」
「止めとけ。飲ませたって効くとは限らねえぞ?俺は確かに真面目だが、同時に遊ぶことが大好きな遊び人でもあるからな。飲ませたら遊び人の方にいっちまうかもしんねえぞ?」
「そう言いながらも、遊ぶことと仕事を両立させてるじゃない。こっちは日夜働き詰めで、なかなかプライベートの時間がとれないって言うのに・・・。」
「だったら有給休暇でも取ったらどうだ?お前、結構たまってるって言ってたよな。」
「取りたいけど、仕事してるみんなが頑張ってるのに、私だけ休むのは気が引けるじゃない。」
「お前はちょっと働きすぎだ。確かに仕事は大事だが、それで倒れたら元も子もないだろ?」
「そりゃ、そうだけど・・・。」
「ちったあ自分の部下信用して、休み取ったらどうだ?班長一人抜けて部隊が揺らぐほど柔な訓練積んでねえんだろ?」
「・・・そうね、今度休み取ることにするわ。この仕事が終わったらね。」
「それがいい。」
他愛のない話をしていると、諜報員のメンバーがこちらに向かって走ってくる。ネプトゥヌスたちの前で立ち止まると、敬礼をしながら状況を伝える。
「班長。ネプトゥヌス様。準備が整いました。何時でも行動可能です。」
「わかったわ。私達もすぐに行くから待ってなさい。」
「はっ!」
アイエフの言葉に強く敬礼すると、諜報員はすぐに戻っていく。あとに残ったのはネプトゥヌスとアイエフだけであった。
「それじゃ、そろそろ時間だし、行くわよ。」
「ああ。」
そう言って、二人はメンバーが集まっている場所へと足を進めた。
「このあたりです。異常なエネルギー反応が観測されたのは。」
「間違いないわね?」
「はい。今でも観測機のメーターが不規則に揺れ動いています。」
「なら、この場にて観測を続けて。諜報員は調査班が調査を終えるまでを周囲のモンスターから守ること。いいわね?」
「「「はっ!」」」
アイエフの指示に従い、指定された位置に其々立つ諜報員たち。ここまで連携がとれているのは、ひとえにアイエフがみっちり仕込んだからであろう。
「さて、俺も動くかね。」
「あら、てっきりその場で待機しているまんまかと思ったけど。」
「仕事を引き受けた以上、何もしないわけにはいかないんでな。それに・・・。」
ネプトゥヌスが腰に下げた剣、「ライオンハートMK.2」を掲げてアイエフに向かって言う。
「こいつも暴れたがっているからな。」
「相変わらずいつ見ても綺麗な剣よね。」
アイエフに見せた剣は刀身が蒼く、持ち手の部分が銃の形をしており、中間の部分には獅子の装飾が施されている。ネプトゥヌスが愛用している最高の剣だ。
「まあ、俺としてはこいつを振るう機会がなければいいんだが・・・。」
言葉を続けようとしたその時、調査員のいる方向から悲鳴が聞こえる。
「計測値に異常発生!繰り返す!計測値に異常発生!全員直ちに退避せよ!!繰り返す!全員直ちに退避せよ!!」
調査班が使っていた計測器や観測機が異常を知らせるアラームを鳴らし続け、辺りは騒然に包まれる。
「落ち着くのだ!隊列を乱すな!一人一人確実に安全な場所へと避難させろ!!」
「了解!」
諜報員が調査員を避難させるように連携を取りながら確実に計測器から離れさせる。計測器はいまだに稼働しており、数値を記録していく。やがて、計測器がアラームを鳴らさなくなったあと、辺りに設置していた装置らしきものが次々と爆発していく。その様子を調査班や諜報員が見届けたあと、先程まで観測していた位置の空間がぐにゃぐにゃと歪み始める。
「あれは・・・?」
誰が呟いたのかわからない言葉が静かに響く。それと同時に歪みから青白いスパークが発生し、辺りに火花を散らす。その眩しさに誰もが目を閉じようとするが次の瞬間、驚くべきものを目にする。空間の歪みはどんどん広がり、一瞬の閃光が走った瞬間、歪んでいた空間は広がるのをやめ、大きな穴が出来上がったのだ。その穴が出来上がると同時に、穴の奥から何かが出てくる。
それは手だった。灰色の手だった。次に出てきたのは足だ。灰色の足だ。次は頭だ。鎧の兜のような歪な形をした頭で、口と思わしき部分には凶悪な牙が生えている。両手らしきものが空間の端を掴むと、一気に力を入れて穴に埋まっていた体を引っ張り出した。空間からすべてが出てきたとき、その全貌が露になる。
灰色の体、四足歩行の前足の間に顔のついた獣のような下半身。そしてその上には下半身と一体化した人間のような上半身。
人なのか獣なのか分からないその奇妙な存在は地面に降り立つと、獣のような咆哮を上半身と下半身を合わせて挙げる。
「グオアアアアーーーー!!!」
その咆哮に辺りの木々が揺れ、大地を振るわせる。諜報員や調査班は身を震わせながら観察を続ける。
「なんなんだ?こいつは・・・。」
その言葉が引き金になったのか、奇妙な存在---アンノウンビーストはそれぞれの手に両刃剣とハルバードを召喚し、それを握り締めると両方とも地面に振り下ろす。振り下ろされた箇所から衝撃が走ると同時に亀裂が入り、地面から岩槍が飛び出る。その岩槍は諜報員と調査員の元へと向かい襲い掛かる。
「総員回避ーーー!!」
諜報員の一人が発した言葉で諜報員と調査員が左右にそれぞれ回避し、岩槍をやり過ごす。
「グオアアアーーーー!!」
「何なのだこいつは・・・!」
「全員森の外へ出なさい!!こいつの相手は私とネプトがやるわ!!」
「しかし!あなた方二人だけでは!!」
「足手まといよ!!ここから出ることだけを考えなさい!!」
「了解!!全員撤収ーーー!!」
アイエフの指示で諜報員と調査員は森の出口へと向かって走り、姿が見えなくなると、アイエフはアンノウンビーストと向き合い、ネプトゥヌスも遅れてアイエフの隣に並ぶ。
「何なんだこいつ。異次元からウルトラビーストでも迷い込んだのか?」
「さあね?案外未来から時間を改竄しに来た侵略者かもね?」
「無駄口叩いてる暇はなさそうだな。来るぞ!」
アイエフは両手にカタールを構え、ネプトゥヌスはライオンハートMK.2を手に持ち、迎撃の態勢に入り、アンノウンビーストと対峙する。
「グオアアアーーーーー!!!」
右手に持った剣をアイエフに、左手のハルバードをネプトゥヌスに目掛けて振り下ろし一刀両断しようとするが、アイエフはそれを体を横にずらすことで回避し、ネプトゥヌスは懐に潜り込み獣の顔に目掛けて接近することで回避する。
「そこ!」
「はっ!」
アイエフは回避したと同時に高く跳躍してアンノウンビーストの顔を目掛けてカタールを振りかざし、ネプトゥヌスは獣の顔に剣を衝き立てようとする。
それを読んでいたかのようにアンノウンビーストは、体を少し前へと倒すことによってカタールを回避し、衝き立てようとした剣は前足の爪で振り払うように突き出してネプトゥヌスを吹っ飛ばそうとする。ネプトゥヌスはその攻撃に対して突き立てようとしていた剣を急いで自分側に引き戻し剣を楯にする。その行動が間に合い、剣に衝撃が来ると同時にネプトゥヌスは懐の位置からはじき出され、横に転がる。
アイエフは空中で体勢を立て直すと、地面に着地すると同時に背中に向かって再び跳躍してカタールを突き出し、ネプトゥヌスは急いで体勢を立て直し、再びアンノウンビーストに向かって突進し、剣を振り下ろす。
しかし、アンノウンビーストは背中に剣を回すことによってカタールを防ぎ、ハルバードを自身の胸の前に持ってくることによって剣の振り下ろしを防ぐ。さらに、その場で四つの脚力を利用して回転をし、二人を振り払うと同時に、剣に光を纏わせてアイエフに目掛けて勢い良くその剣を振り切る。すると、剣から光の斬撃波が放たれ、アイエフは自身に向かってくる斬撃波をカタールで受け止めるが、勢いを押し殺せずに弾かれて近くに木に激突する。
「がっ・・・!?」
「アイエフ!」
ネプトゥヌスが駆けつけようとするが、アンノウンビーストがハルバードを振り回したことによって邪魔をされ、行く道を阻まれてしまう。
「くっ!」
横目でアイエフの様子を見る。どうやら気を失ってしまったらしい。この状況で気絶した状態が続くと、敵の攻撃に巻き込まれてしまう可能性がある。何とかして救助に行きたいが、向こうにすり抜けようにも、両手に持つ武器と、巨大な尻尾もついたその巨体を生かして行く道を阻んでくる。この行動の繰り返しに、段々とイライラが募ってくる。
「(ああ、くそ!)」
心の中で悪態をつきながらこのアンノウンビーストを観察する。こいつは一体何者なのか。モンスターにしては知能が高い気がするし、そもそも何処から来たのかわからない。一番に思い当たるのは、あの穴の中からだ。空間をこじ開けるようにしてこちら側に来た。目的は何だ?なぜこの世界にやってきた?疑問は尽きないが、今は戦闘に集中するべきだ。思考を切り替え、アンノウンビーストの攻略方法を頭の中で考える。
「(武器を振り下ろした瞬間に脇からすり抜けても、下半身の足や尻尾で阻まれる。魔法を使って気をそらしながら行こうとしても、それが通じるかわからない。見た限りじゃ、こいつはかなり知能が高い。魔法を使おうにしても、詠唱する時間をくれるはずもないし、囮に使って助けに行こうとしても、こいつは勘がよさそうだ。この方法は効かない!)」
どうすれば・・・と頭の中で策を練ろうとするが、アンノウンビーストがこちらに向けて剣を振り下ろしてくる。ネプトゥヌスはアンノウンビーストの振り下ろしに反応して後ろに回避するが、追撃するようにハルバードで薙ぎ払ってくる。ネプトゥヌスはハルバードの振り払いを、剣を楯にして真正面から受け止めて、その衝撃を利用してアンノウンビーストから距離を取る。
「(このままじゃジリ貧だ・・・このまま一気に決めてやる!!)」
呼吸を整えて、足に一気に力と意識を集中させると、地面を蹴ると同時に一気に距離をつめる。アンノウンビーストは、背後に魔法陣を多数出現させると、魔法陣から炎や氷、雷や岩槍といった魔力の籠もった弾丸を撃ち出して動きを妨害しようとする。ネプトゥヌスはそれらを最低限の動きで当たりそうな魔力弾を回避し、距離をつめる。当たらないとわかったのか、アンノウンビーストはハルバードに魔力を纏わせて地面に叩きつけ、地面に亀裂を入れ、足場を悪くさせ、さらに亀裂のところどころから岩槍を飛び出させる。
「行くぞ・・・!」
アンノウンビーストは剣を振り下ろし、ネプトゥヌスを叩き潰そうとするが、ネプトゥヌスは振り下ろされた剣に自分の剣を当てると、同時に引き金を引いてライオンハートMK.2の刀身に衝撃を纏わせてアンノウンビーストの剣を弾き、衝撃によって仰け反ったアンノウンビーストに剣を連続で切りつける。
「ふっ!せい!はっ!でやっ!」
前足、右足を切ると同時にトリガーを引き、衝撃によって発生した振動によって切れ味を上げて切り落とし、同様に左足にも右足と同じように切り落とし、次に下半身の顔面に向けて剣を突き立て、トリガーを引いて顔を破壊する。
「グオアアアーーー!!?」
切られた痛みに悶え、攻撃をやめさせようと剣を振り回すが、それをネプトゥヌスはバックステップで回避し、アンノウンビーストが振り切ったその隙にもう一度懐に飛び込み、連続で剣をトリガーを引きながら切りつけていく。連続で切りつけられたことによってもはや殆ど原形を留めていないアンノウンビーストだが、まだ息はあるらしく、こひゅー、こひゅーと息を荒くしている。
ネプトゥヌスはライオンハートMK.2に自身の体内に存在している魔力を纏わせ、その剣の刀身を何十倍にも膨れ上がらせていく。
「必殺・・・!」
何十倍にも膨れ上がり、光を纏わせた剣は、空を超え、天を裂き、宇宙へと届かせる。大きく伸びきったその剣を一気に振り下ろした。
「光翼天裂斬!!」
獲物を一刀両断するがごとく、光の剣はアンノウンビーストを捕らえ、真っ二つに切り裂いた。
「―――――!!!」
一刀両断されたアンノウンビーストは、切り裂かれた部分から粒子化していき、粒子化の現象が頭まで届いたとき、静かに崩れて消滅した。
「任務完了・・・っと、アイエフ!」
ネプトゥヌスはライオンハートMK.2を鞘にしまうと、急いで倒れているアイエフの元へと走る。倒れているアイエフを抱き起こし、目を覚ますように促す。
「アイエフ・・・アイエフ!」
「ん・・・。」
肩を揺らされて息を漏らすアイエフ。どうやら無事だったらしく、気絶だけで済んだ様だ。
「ネプト・・・奴は?」
「ああ。俺が片付けた。ついさっきな。」
「そっか・・・ごめん。足引っ張っちゃったみたいね・・・。」
「俺こそ、すぐに助けれなくてすまなかった。急いで病院で精密検査をしたほうがいい。結構な勢いでぶつかったからな。」
「このくらい平気よ。怪我はしなかった・・・痛っ!?」
「無理するな。急いで救護班を呼ぶ。だから来るまで大人しくしてろ。」
「そうね・・・そうするわ。」
「しかし・・・この穴、いつ閉じるんだ?」
ネプトゥヌスがアイエフを介抱していると、アンノウンビーストが出現した黒い穴を見つめながら言う。
「そうね・・・。このままにしていたら、またさっきみたいな奴が来るかもしれないわね。」
「こう言うときにどうすればいいか・・・なんて誰も思いつくわけねえよな。俺だって始めて目の当たりにしたし。」
「安心しなさい。あたしもよ。」
「とにかく、このことはイストワールだけじゃなく、4カ国の連中と話し合う必要があるな。」
「開いたままか、それとも閉じるか、か。」
「まあ、今考えても仕方ないか。後で話し合うとするか。」
「そうしたほうがよさそうね。」
黒い穴について今後の方針を他の国と考えようとした次の瞬間、再び穴に異常が走る。穴を中心にスパークを撒き散らし、バチバチと音を立て、黒い穴がグニャグニャと形を歪めていく。
「何!?」
「またさっきみたいな奴が現れるのか!?」
黒い穴を警戒しつつも再び剣を構えるネプトゥヌス。穴の歪みが激しさを増し、中でも一際大きく広がったその時、穴の奥から声らしきものが聞こえてきた。
―――・・・ぁ・・・ぁ・・・。
「何だ?」
「今度は声?」
―――ぁ・・・ぁ・・・ああ・・・!
段々と声が大きく聞こえてくるようになり、より一層気を引き締める。
―――ぁぁぁああああああ!!
先ほどよりも声がはっきりと聞こえてくる。もうすぐ出てくるようだ。
―――ああああああああああ!!!
大きな声が聞こえた瞬間、発生していたスパークが強く輝き、辺りが一瞬だけ閃光に包まれる。閃光が収まった後、穴は消滅し、辺りに残ったのはアンノウンビーストと戦った後と、壊れた機材が散乱しているだけだった。
「穴が、消えた・・・。」
「・・・ああ。任務は一応完了って所か。何だったんだろうな?あのモンスターは。」
「さあね?考えたいこととか色々あるけど、今はプラネテューヌに戻りましょう?イストワール様に報告しなきゃ。」
「ああ。」
「う、うん・・・。」
「ん?」
イストワールに報告するためにプラネテューヌに戻ろうとしたとき、足元から声が聞こえてきた。聞こえてきた声の正体を確かめようと足元を見る。
「・・・誰だこれ?」
「さあ・・・。」
正体は女の子だった。紫色の髪に小柄な体。ジャージ風のワンピースを着ており、何処から見ても普通の少女にしか見えなかった。なぜ女の子がこんなところにいるのか。そもそもどうやってここに来たのかが不明だ。女の子に対する疑問が増えていくが、アイエフが女の子の持っている物に目を見開く。
「って、ネプト。この子の持ってるものって・・・!」
「これは!?」
それは剣だった。だが唯の剣ではない。ネプトゥヌスが持っている剣と全く同じ形をしていたからだ。
「ありえない・・・ネプトの剣は特注品で世界にたった一つしかないはずなのに・・・!」
「だが、現にここにある。なぜかはわからねえが・・・。」
事情を聞こうにしても、女の子は気絶しており、聞きだす事が出来ない。
「とりあえず、俺のところで預かる。目が覚め次第、事情を聞く。いいな?」
「ええ。わかったわ。」
ネプトゥヌスは女の子を担ぎ上げ、プラネテューヌへと引き返す。アイエフは諜報員の本部へと戻り、事の本末を報告しに行くのであった。
「・・・。」
プラネテューヌへと帰る途中、ネプトゥヌスは考える。なぜこの女の子は自分と同じ剣を持っていたのか。あの穴は何なのか。あの穴から出てきたモンスターは何なのか。そしてこの世界で何が起きようとしているのか。考えれば考えるほど頭の中で様々な憶測か飛び行き交う。
「こりゃまた面倒なことが起きそうだな。」
そうつぶやいた言葉は、吹きぬけた風と共に消えていった。
次回予告
「また私別次元に飛ばされちゃった!?しかも今度は私たち女神の性別が逆転した世界!?もう何が何だかわからないよー!!でも大丈夫!どんなにわけのわからない状況でも、主人公補正で何とかなる!!だって私、女神なんだもん!と言うわけで次回!転次元ゲイムネプテューヌC!」
―男は一だけ覚えておけば生きていける―
「お楽しみに!」
「これ短編だから続きねえぞ。」
「ええーー!?そうなの!?」
主人公紹介
ネプトゥヌス 性別:男 身長:179cm 体重:70kg 年齢:不明
使用武器:ガンブレード ライオンハートMK.2
・本作である主人公。寝癖がかったライトパープルの髪に、中性的な顔立ちの青年。服装は白いラインの入った皮製のダークブルーのジャケットとジーパンを身に着けており、ところどころにミニサイズのベルトが巻かれている。そして背中にはプラネテューヌのシンボルマークの刺繍が施されている。
性格はいたって真面目ではあるが、同時に遊ぶことが大好きな男。仕事はあまり溜め込むようなことはせず、その日のうちに片付けてしまうタイプである。
正義感が強く、卑怯な手段は嫌うが、同時に時には必要なことだと割り切ってはいる。
戦闘に関してはかなりの腕が立ち、ガンブレードと呼ばれる特殊なギミックが施された武器を使う。近接においては無類の強さを誇る。その反面、魔法に関しては殆ど不得手であり、使えないわけではないがまともに扱えない。
転次元のプラネテューヌの守護を司る守護騎士であり、変身すると性格が冷静なものとなる。