世界が俺を殺しにかかってきている   作:火孚

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あれ、なんか私が最後に見たときよりお気に入りとかUAとか色々おかしなことになってるんですけど……
一体何事ですか? 新手のどっきり……? エイプリルフールにはまだはやいですよ! いや、もう遅いのか。

遅くなりますとは言いましたけど、ここまで時間が取れないのは少し想定外でした。今日中にもう一話出せるかな……? 無理だろうな……
多分出せたら適当なタイミングで投稿します。急な仕上げでいつも以上に完成度は低いでしょうけども!
それと、今回は特に文の乱れが酷いです。書きたいことは書いたけど無理矢理詰め込んだ感じですね。軽快なノリは余りないので、次回以降に期待して下さい。


それらは見えない思いが故に

「お願い、草薙。もう頼れるのは草薙だけなんだ」

「無理無理無理! いや、マジ勘弁してくれって!」

「そんな……私との関係はその程度だったの!? 長年連れ添ったのに……!」

「ご近所さんに誤解されるから変なこと言わないでくれない!?」

「もういいよ……草薙が、あいつらの毒牙に掛かった私の姿を見たいって言うなら、それで……ッ」

「何言ってんのお前!? あ、待ってそこの人! 騎士団(スプリガン)に連絡しないで!?」

 

 

 一見只の痴話げんかに見えるこの光景、実はこれを引き起こしてる下手人は俺だ。夏に入る前になんとか修得した女の子スキルをフルに使って、目の前のタケルくんをからかって遊んでいる……訳ではない。

 何故態々事情を知ってるタケルくんの目の前で女の子ぶらなきゃいけないのか、それは俺も必死だからだ。もしタケルくんに断られたら、俺はそのまま死ぬまである。

 

 

「この先女の子を何人も家に連れ込むくせに、私は駄目なんだ……ッ」

「なんの話だよ本当に!? あーもう、分かった入れよ! だからこれ以上俺の評判を下げるの止めてくんない!?」

「やたっ。ありがとね、草薙!」

 

 

 亡命成功。俺は内心にやりと笑った。

 

 

 

 

 

◇     ◇     ◇     ◇

 

 

 

 

 

「で? なんのつもりか説明して貰っても?」

「家に居たら両親に精神的に殺されそうだったので亡命してきました。さぁ、俺を匿え草薙」

「匿えってなぁ……というか、毒牙云々は一体どういう意味だよ? 冗談にも限度ってもんがあるぞ」

「いやいや、嫌がる俺に無理やり女物の服を買い与えて着せ替え人形にする行為の、何処が毒牙じゃないと」

「同じ状況になったことないからなんとも言えねぇわ……」

 

 

 亡命先の草薙国で一息吐いてると、国主のタケルくんから説明を求められた。まぁ、あんな非道なことされて我慢できる俺ではない。きっちりと説明するとなんとも微妙な顔をされた。何故だタケルくん、お前はあんな人として許されない行為を見過ごすというのか!?

 信じられないようなものを見る目でタケルくんを凝視するも効果は無し。どうやらタケルくんはゴーストタイプのようだ。

 

 

「つーか、なんだよさっきのしゃべり方」

「んー? あぁ、あれぞ漆原さんに鍛えて貰った成果ですよ草薙くん。実に女の子っぽかっただろう?」

「有らぬ誤解を意図的に引き起こそうとする輩が居てそれどころじゃなかったけどな! お前マジで巫山戯んなよ、変な噂たったらどうするつもりだ?」

「えー、私わかんない」

「ぶっ殺すぞ」

 

 

 俺のお茶目な返しに、マジトーンでの脅しをかけてくるタケルくん。全く、最近の若者は余裕がないからすぐキレるんだ。もう少し心に余裕を持つべきじゃないだろうか。

 まぁでも、折角亡命を受け入れてくれた訳だし今回の所は程々で勘弁してやろう。この聖人君子のごとき姿勢を皆も真似すべき……って、これ前も何処かでやったような気がするな。

 

 

「そもそも、一日二日匿ったところでお前の両親が変わるわけでもないんだろ? なら、もう色々と諦めて楽になった方が良いんじゃないか?」

「おい草薙、お前は今言ってはならんことを言ってしまったぞ。俺はマイサンの輝かしい未来を取り戻すために必死で抗っているんだ。それを応援するのがお前の役目だろ?」

「変な役目押しつけんな阿呆。まぁもういいや。ところで、結局お前はいつまでここに居るつもりなんだ? 粘っても粘っただけ後が……」

「あぁ、夏休み中ずっと居るからよろしくな」

「……悪い、今なんて?」

「ん? だーかーらー……夏休みの間、同棲生活だね。タケルくんっ」

 

 

 ぴしり、と音が聞こえてくるくらいにタケルくんの動きが完全に止まる。凄いなこれ、実は俺の声には石化効果を付与するような符呪(エンチャント)でも施されているのだろうか。今日から君もゴルゴーン気分! 首すっぱ抜かれそうだからやっぱ良いや……

 ところで、タケルくんはいつまであの姿勢で固まっているつもりだろうか。そろそろ本当に呪いなんじゃないかって心配になってきたんだが。

 

 

「草薙? おーい、草薙タケルー?」

「…………」

「駄目だ此奴焦点が何処にもあってねぇ……おい、どうしたんだってお前。戻ってこーい」

「……っは!? なんか凄まじくおぞましい言葉を聞いた気がして意識が飛んでた……」

「おいこらおぞましいとか言われたら流石に泣くぞこの野郎」

「あー、いや。そういうことじゃなくてな……」

 

 

 他にどういうことがあるというのだろうか。この野郎、俺の渾身のボケをおぞましいの一言で片付けるとは良い度胸をしていらっしゃる。

 いざとなったらこの外見を最大限活用してタケルくんに嫌がらせをする覚悟を決めながら、睨みつけて先を促す。

 

 

「そ、そもそもだ。お前着替えとかはどうするつもりだよ? 一ヶ月居るんだろ?」

「数着持ってきてるから、それを使い回そうと」

「食事は? 俺それなりに朝早くから夜遅くまでバイト入れてるぞ?」

「自分で作るし。あぁ、食費は俺が出すから草薙は心配しなくて良いぞ。朝食も夕飯も作っといてやる。なんなら弁当も持たせようか?」

「お前は俺のお袋かよ!? どんだけ面倒見が良いんだ!」

「はっはっはっ、良いお嫁さんになるよだって? どうにも殺されたいと見える」

「言ってねぇよ!」

 

 

 別にこっちはしたくて家事スキルを上げたわけではなく、必要に迫られて致し方なく覚えたんだ。大体はママンがはっちゃけるのが悪い。

 というか、タケルくんは一体何が不満だというのか。自分で言うのもなんだが、一家に一台いたら生活がかなり楽になるレベルで家事万能の俺を家に泊めることに、躊躇う理由など無いと思うのだが。

 

 

「大体さ、お前は男のつもりだから良いかもしれないけど、俺から見ればお前は女なんだ。わかるか? この状況で生活する難しさが」

「お前が俺をどう見てようとかまわん。まさか俺を襲おうとか考えてたりしないだろ?」

「するわけないだろ!」

「なら別に良いじゃん。安心しろ、裸を見られてぶん殴るなんてお決まりの展開は起きないから。それとも殴って欲しい?」

「いや、遠慮しておく……」

 

 

 どことなくげっそりしたタケルくんは諦めたようにため息を吐くと、渋々俺の長期滞在を許してくれた。元々許可が出なくても無理矢理居座るつもりだったが、折角なら家主の許しを得ている方がお互いに気持ちが良い。

 条件として俺がタケルくんの朝食と夕飯を用意するのと、洗濯や掃除などの家事を受け持つことで話が纏まった。いつもやってることだし、大した苦痛でもないんだけどね。

 

 

 

 

 

◇     ◇     ◇     ◇

 

 

 

 

 

 弁当の受け取りを頑なに辞退してバイトに向かったタケルくんを見送りつつ、突然騒がしくなったタケル家に視線を戻す。そういえばタケルくんの家ってなんか色々憑いてるんだった。

 誰も歩いていない床はぎしぎしと軋むし、お風呂には怪しい影が揺らめく。誰かの笑い声が聞こえたり、勝手にものが倒れることもしばしば。

 しかしまぁ、なんとなく悪い霊達じゃないんだろうということは見ていて分かった。俺に危害が加わるような現象は起きていないし、ものが壊れるようなことも起きない。たまに急に現れてびっくりすることもあるけど、それくらいなら別に気にするようなことでもない。

 

 

「さて、これで一通りの家事は終わりと……」

 

 

 ひとまずやることは終わらせて時計を見てみると、まだ針はお昼前をさしている。人の家というものは存外暇なもので、特段暇をつぶせるものを持ってきているわけでもない。つまり、家事を終わらせてしまえばやることがないのだ。

 合い鍵を持っているわけではないので勝手に外に出るわけにもいかず、然りとてお昼ご飯にはまだはやい。

 どうしたものかと悩んでいると、部屋の隅でまたなにかが倒れたような音が聞こえてくる。流石にもうそれだけでは驚きもせず、無意識のうちに元に戻そうと手に持つ。

 やや大きめの直方体の箱で、表面にはドーム型のなにかに向かって子供がボールを弾いている絵が描かれている。ふと、何処かで見たことのある絵だなと思いまじまじと眺めてしまう。そして、気がついてしまった。これは、この箱は……

 

 

「何故これがここに……ッ!?」

 

 

 プレイすると気分が超が付くほど昂揚し、相手のゴールにボールをねじ込まないと気が済まなくなる呪いのゲーム……ッ。

 異様なテンションのCMと共に爆発的にデビューし、販売停止後も皆に愛され続けた3Dアクションゲーム……ッ!

 

 

「くそっ、草薙が居れば二人で遊べたものを……ッ」

 

 

 しかし悲しいかな、これは一人では遊べないゲーム。すまんなのび太、このゲームは二人以上のプレイを想定してるんだ。ボッチは寂しく一人遊びでもしてろといいたいのか。スネ夫許すまじ。

 折角みつけた禁断のゲームも、やる相手が居ないのでは仕方がない。俺が渋々箱を元に戻そうとしたとき、突然誰かに箱を引っ張られたかのような感触を覚え、思わず箱を手放してしまう。

 俺の手から離れた箱はパタンと倒れてその中身を不自然に吐き出し、出てきたもの(バトルドーム)はフリッパーをガチャガチャさせながらその存在を主張する。

 

 

「……まさか、俺と一緒にプレイしてくれるのか?」

 

 

 もしやと思ってそう虚空に問いかけると、頷くようにフリッパーが一斉にガシャンと鳴って沈黙する。どうやら彼等もこれをプレイしたいと思っていたらしい。

 まぁ、そういうことなら是非もない。俺も一端のバトルドームプレイヤーだ。相手が幽霊だろうとなんだろうと容赦はしない。

 俺のすることはただ一つ。ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!!

 この後メチャクチャ超! エキサイティン!! した。

 

 

 

 

 

◇     ◇     ◇     ◇

 

 

 

 

 

 やっているときはめっちゃ楽しいのに、終わって振り返ってみると何故あんなことをしたんだろうかと途轍もなく疑問に思うことがある。多分その場のノリという奴だ。ノリで大概のことは乗り切れるということの証明に他ならず、つまりノリに生きる俺に敵はいないということの逆説的な証明にもなるはずだ。けれども俺には寧ろ敵しか居ない。ノリ万能説ここに敗れたり。

 取り敢えず、ふと正気に戻った時には外の景色がすっかり赤く染まってしまっていて、かなりの時間をバトルドームに費やしていたことに気がつく。

 無論昼飯などすっぽかしており、然りとて夕飯にはまだはやい時間帯。要は小腹が空いてどうしようかと悩んでいるのだ。さっさと夕飯を作って先に食べてしまえばいいじゃないかと思うかも知れないが、どうせならご飯は温かいものをそろって食べたい。一人で食う飯ほど虚しいものはないのだ。

 

 

「そうなると……クッキーでも焼くか。幸い材料はここにあることだし……」

 

 

 小腹が空いたときの心強い味方、お菓子である。程度良く腹に溜まり満足感を得られ、かつその後に控える飯を食べる頃には満足感は引いていて邪魔にならない。もちろん食べ過ぎたりものによっては飯が入らなくなってしまうが、そこは俺の長年培ってきたお菓子作りスキルでなんとかする。甘さを控え、量も余り作らなければ問題ないのだ。

 

 

「ふんふんふふーん♪」

 

 

 慣れた手つきで生地を作り、ラップで包んで冷蔵庫へシュゥゥゥーッ!!

 は、いかんいかん。直前のテンションがまだ抜けきっていないようだ。空腹も相まってややおかしな方向に向かいかける意識をなんとか保ちつつ、生地を寝かせておく間をぼーっとして待つ。

 遊び道具(バトルドーム)はもう片してしまったし、幽霊? 達も満足したのかちょっかいをかけてくることはなかった。

 それはいいことなのだが、いかんせん暇だ。することもないまま何とはなしに時計を眺め、タケルくんはいつ帰ってくるのだろうかと思いを巡らせる。

 直前でテンションを上げすぎたのか身体が妙に怠く、時計を眺めていた瞼が徐々に落ちてくる。俺はそのまま、迫り来る睡魔に身をゆだねてしまい──

 

 

 

 

 

「──きろ。………きろって。おい、鯨澤!」

「んっ……んー? くさなぎ……おはよー……」

「ッ。何寝ぼけてんだお前、こんなとこで寝てたら風邪……はまぁ、夏だから引かないかも知れないけどさ。身体痛めるぞ」

「こんなところ……?」

 

 

 靄が掛かったような思考でその言葉を聞き、はて何のことだろうかと現状を理解しようとする。確か、珍品と言っても過言ではない呪いのゲームをみつけて、それをプレイしている内に日が暮れて、小腹が空いたとクッキーを……?

 そこまで考えが至り、俺はがばりと身体を起こす。時計を見てみれば、そろそろ日付をまたごうかという時間帯。俺が見た最後の針の位置から、実に6時間も経過していた。

 

 

「うげ、嘘だろ……? 俺寝ちまってたのか……」

「そりゃもうぐっすりと。起こすのが憚られるくらいには熟睡だったぞ」

「まじか、失敗した……すまん草薙、飯の用意できてねぇわ」

「まぁ、この現状を見りゃ分かる。ほら、弁当買ってきたから一緒に食おうぜ」

「弁当……? 何お前、一回帰ってきてたの?」

「あぁ。帰って早々お前の寝顔に出迎えられて、全てを察した俺の機転に感服するんだな」

「マジ流石っす先輩!」

 

 

 タケルくんには大変申し訳が立たないが、爆睡していた俺に夕飯の用意など勿論無い。用意するなどいっておいてこの体たらくではいかんと、次回からきっちりと事前に仕込んでおこうと心に決める。取り敢えず、食後にクッキーでも焼いてやろう。

 そんな風に内心タケルくんに謝罪しつつ、昼も抜いてしまっている俺は弁当を態々買ってきてくれたタケルくんに感謝する。

 しかし、その感謝もタケルくんが不意に声を上げるまでだった。

 

 

「……ん? あれ?」

「どうした、草薙? 弁当チンして貰うの忘れたか?」

「いや、その……弁当買ったつもりが、買ったの紙皿だった」

「お前どういう思考回路してんの? 流石に弁当と紙皿の見分けくらい小学生でも付くぞ? 俺、こんなに友達が残念だとか信じたくねぇんだけど」

「人間誰しも間違いはある」

「人間がするような間違いじゃねぇっていってんだよ!」

 

 

 熱い掌返しである。まぁ、これは仕方がないよね?

 

 

 

 

 

◇     ◇     ◇     ◇

 

 

 

 

 

 タケルは目の前でぎゃんぎゃんと文句をたれる友人になんとか取り繕いつつ、内に広がる動揺をなんとか押さえつけていた。

 鯨澤には帰ってすぐに弁当を買いに行ったように話したが、実はそうではない。タケルは鯨澤が目を覚ます実に一時間も前には帰ってきており、タケルの家から近くのコンビニまでは徒歩で数分しかかからない。詰まるところ、タケルは今の今まで鯨澤を起こしもせずに放置し、紙皿を買ってくるというぽかをやらかしたのだ。

 いくらタケルの脳が残念で、まともにテストの点すら取れないとはいっても、本来ならばこの様な失敗はしない。この原因は、タケルの心理状況にあり、ひいては目の前の友人、鯨澤のせいでも有るのだ。

 タケルが家に帰ってきた際、鯨澤は深い眠りの中にあった。当然、タケルが見るのは鯨澤のなんとも幸せそうなふやけた寝顔。顔が整っているために、その寝顔はふやけていようと一枚の絵になりそうな華麗さを持っていた。

 

 

「……ったく、夕飯の用意をするっていっておきながら、一人気持ちよく熟睡か」

 

 

 その様子に苦笑を漏らしながら、タケルは一度置いた荷物をもう一度持ち、外へ向かおうとする。ご飯が用意されていないなら、買ってしまった方がはやい。流石の鯨澤も、この時間になって作るとは言い始めないだろうと。

 

 

「くさなぎぃ……」

「んぁ? なんだ、お前起きてたなら──」

 

 

 ──声くらいかけろよ。

 突然かけられた声に振り返ったタケルは、そう続けようとして言葉を途中で飲み込む。

 声の主は起きてなどおらず、未だにだらしない寝顔を晒していた。その顔は何が嬉しいのか幸せそのものといった風に緩みきっており、警戒心など皆無の安心しきったもの。まるで、ここが我が家だと主張するような寝顔の少女は、更に微笑みながら言葉をつなぐ。

 

 

「……おかえり、たける」

「……ッ!?」

 

 

 目の前に居る少女が元々男で、長年の友達、親友と言っても過言ではない関係のものだということはタケルも重々承知している。さらに、本人は女扱いされることを嫌っていることも。

 しかし、それらを知っていて尚、タケルは目の前の少女の寝顔から目が離せなくなっていた。

 閉じられた瞼に長い睫がかかっており、頬に掛かっている短めの黒髪がさらさらとこぼれ落ちる。空気を送り出す桜色の小さな唇と、呼吸をする度に上下する僅かながらに存在を主張している胸に目がいきかけ──

 

 

「──ッ」

 

 

 ふと我に返ったタケルは、そのまま外に転げ出るように扉を開けると、なるべく静かにかつ迅速に扉を閉め、そのままもたれ掛かって大きく息を一つ吐いた。

 そして、自分に言い聞かせる。あれは自分の親友だと。そう言う目で見て良い存在ではないと。

 けれども、心臓は緊張を止めてはくれなかった。あの寝顔が、あの唇が、どうしても脳裏に焼き付いてしまっている。

 結局動揺したまま買い物に行ったタケルは、半分とんでいた意識のなかで紙皿を購入してしまい、起こした少女に説教を喰らっている。

 そもそもの原因は目の前の少女なのだが、タケルにそれを突っ込む気力は残されていなかった。

 ただ只管に、残された夏休みという長い期間、どうやってこの親友と接していけば良いのだろうという、重大な案件に頭を悩ませていたのだから。


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