※八陽です。

あくまではるのん生誕祭です。

遅れていますが、ご了承ください。

深夜に一気に書き上げたので、不可解な点があると思いますが、そこも暖かい目で見守ってください。

誤字脱字の指摘、あった際はよろしくお願いします。

1 / 1
私の誕生日パーティーは一昨日、盛大に行われた。
しかし、私の心は特に何も無い無感情だけだった。
何故か?
それは簡単なこと。
■■■■■が、私が興味を抱いた(ワタシノオモチャノ)■がパーティー会場に居なかったから。
それも当然。
ここに来るのは、雪ノ下家の子会社の社長や大手財閥の子息たち。
目的は私の結婚相手だろう。

でも、私は…………(ここから先は字が乱れていて読むことが出来ない)

■■■■■の手記―(あや)の月 漆の日 (金の曜)


7月9日 〜最高のプレゼントは遅れてやってくるもの〜

「お兄ちゃ〜ん、今日は小町大志くん家行ってくるからー。お昼ごはんは誰かと一緒に食べてね〜☆晩ご飯はお兄ちゃんが作ってね〜」

 

「おいちょっと待て小町。お前今大s「行ってきま〜す♪」おいちょっまっ!!」

 

…………行ってしまった 哀しみに 今日も小町の 降りかかる 大志の家に 害ちゅヒッ、イマサムケガ。

 

……………察しのいい皆さんは気づいたことだろう。

 

我らが妹である小町が、川崎大志と付き合っている。

………もう一度言おう。

比企谷小町は、かの害虫と付き合っているのである。

 

これだけで発狂ものなのに、今日は夜まで帰らないと云う。

 

何が起こるか分かったもんじゃない。こ れ は 止 め ね ば (使命感)

 

まぁ、かくいう俺も、大志が小町に一途だということははっきり分かるのだがーというより、そうでなければ到底交際なんて認めないだろうがー。

 

愛する妹も、アイツを好き好んでいるようだし。

今はよしとしよう。

 

しかし、小町の言った課題はどうしようか………。

 

『誰かと一緒に』か………。

 

……ボッチな俺に一体全体何をどうしろと?

 

あ、そうだ。サイゼ行けばひとりじゃ〈ボクノコエガ ヒビイタ〉ん?小町からメールか。

 

【題:お昼ご飯は

本文:サイゼで食べればひとりじゃないとか言ってサイゼで食べれば、大志くん家に一週間泊まり込むからね】

 

……Oh…………ばれてーら。

 

さて、どうしたものか(ゲ◯ドウポーズ)

 

テテテテテテテテテテテテン♪

 

ん、誰だ?

〔雪ノ下陽乃〕

 

………スッ[拒否]

 

よし。これでdテテテテテテテテテテテテン♪〔雪ノ下陽乃〕

 

………これ以上は通信量の無駄だから出るか……。

 

スッ[通話]

 

「もしもし、どうしたんですか雪ノ下さん?」

『あーっ、比企谷くん1回無視するなんて酷いぞー』

「…すんません。……それで、どうしたんですか急に電話なんてかけてきて」

『…………用事なきゃかけちゃダメなの?』

「いや………そういう事じゃない…ですけど………」

 

『ま、用事あるんだけどね』

 

用事あんのかよ。

絶対面倒臭いやつだなコレ。

「………で、その用事とは?」

『それはね………』

 

ピンポーン

 

ん、誰だ?

 

インターホンの映像を見る。

 

そこには若干疲れているような姿の陽乃さんがいた。

 

 

―――君の一日、私に頂戴?

 

………ハァ

 

俺は玄関へ向かい、ドアを開け、

「ここまで来て言われるなら、逃げ場なんてないじゃないですか……」

と言ったものの、少しだけ、すこしだけだが、誘われたことを嬉しく思う俺がいた。

 

――――――――――――

 

小躍りするほどに嬉しい。とは、まさに今このことを表すのだろう。

 

よく分からないけれど、彼と一緒に行動できると思うと、どうやって遊んでやろうかという気持ちよりも、どこに行こうか、何をしようか、どうせなら一緒に楽しめるところに行きたいなという気持ちがとても強くなっている。

 

――どうやら、今日の私はつくづくどこか調子がおかしいと思わされる。

 

―――

 

それじゃあ行こうか。と、彼女に手を引かれるが、

「いや、あの、唐突だったんで財布も何も無いんですけど」と言うと、今気づいたかのように

「あっ、そうだね。それじゃあおねえさんちょっとリビングで待たせてもらってもいいかな?」

20分くらい前から待っててちょっと暑いんだ。と言う。

 

そんなに時間をかけてまで俺を誘いたかったのかと、僅かに苦笑する。

それと共に、やはりどこか嬉しい俺がいる。

 

―――――――――――――

 

彼を待つ間、案内されたリビングのソファーでゆったりと寛いでいる。

 

窓際の風鈴がチリンチリン、と鳴って心まで涼しくなったような気分だ。

 

エアコンはかかっておらず、窓からの風と日陰というだけで外とはえらく違った。

 

彼には無断だけれど、テレビを点ける。

 

テレビには、どこかのオーケストラが演奏する音楽番組が放映されている。

 

それをどこかぼーっとした感じで見ていると、タッタッと、階段を降りてくる音がした。

 

私はテレビを消し、ぼーっとしていた顔に仮面を貼り付け直し、彼と向き合う。

 

さぁ、これでいつもの(雪ノ下陽乃)。今からは、彼をリードしな(で遊ばな)ければ。

 

―――

 

今度こそ、出発する。

 

どうやら陽乃さんは外に車を停めていたようで、ワインレッドの高級車だった。

 

話によると、大学受験で合格した直後に免許を取りに行ったらしい。

 

走行距離は大体15,000km程だそう。

 

本人曰く、「まぁ、長期休業とかの時にちょっと本州最北端から最西端まで行っただけだよ」だそうだが、長期休業でそこまで行く陽乃さんの行動力も凄いと思った。

 

「ま、いいからいいから、助手席に座ってよ」

 

ふむ……と、少しばかり考え、

「………まあ、そのくらい走ってるなら安心できますし、分かりました」と言って彼女の車の助手席に座る。

 

「そこ、君が初めてなんだよ」

 

―そう言われて少しその特別感に心の中だけで舞い上がっても、何も問題は無いだろう。

 

―――――――――――――

 

初めて人を隣に乗せて走る。

まぁ、教習の時は何回かやったけれど、それはノーカンでいいでしょ。

 

さて、比企谷君を車に乗せて走り出したのはいいけれど、どこに行くか一切決めてなかった。

 

街に行こうか……それとも海か山にでも行こうか………。

 

………そうだ、私の家に行こう。

 

―のちのちになって思い返すが、この時の選択は絶対に間違っていなかったと10年程経った今でも思っている―

 

―――

 

車が停る。

スマホから目を離して前を見る。

すると、いつの日か見たことのあるような大きな豪邸の前にいた。

 

厳重に入りを制限していた柵が開く。

 

陽乃さんに連れられて、車を降り、建物の中へと向かう。

 

中に入った瞬間、沢山の執事、侍女が立ち並び、

「「お帰りなさいませ。陽乃お嬢様」」

 

という一言で、ここが雪ノ下家だということを察した。

 

……………ん?

 

少し状況整理をしよう。

Q.俺は誰と一緒に行動している?

A.雪ノ下陽乃。

Q.俺の目の前にいる侍女や執事が話した言葉は?

A.[お帰りなさいませ、陽乃お嬢様]

 

Q.つまりここは…………?

A.(認めたくはないが、)おそらくは……「雪ノ下家だよ」

 

デスヨネー。

 

「わざわざ現実逃避をしようとした瞬間に現実を突きつけるなんて鬼畜な行為をしてくれてありがとうございます一切嬉しくないんで俺を家に帰してくださいお願いします」

 

「もー、いろはちゃんみたいな事言わないでよ!」

 

むーっ、とふくれる陽乃さん。

 

かわいい。

 

そう思っていると、陽乃さんから爆弾が放り込まれる。

 

「実を言うとさ………お母さんに会ってもらいたいんだよね………」

 

………ゑ?

 

あの、ママのんと?

 

あの、絶対大魔王と?

 

無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理

 

「お願い!君がお母さんに会ってくれないと私がよくわからない人とお見合い結婚させられちゃうの!」

 

そう聞くと、何故かはわからないが、黒いドロっとしたような感情が胸を焼いた。

 

――――――――――――

 

………咄嗟に吐いちゃった嘘だけれど、これもいつかは起こりうる事実。

 

名も知らないどこかの誰か。申し訳ないけれど私の未来のための犠牲(ポーン)になってちょうだい。

 

―――

 

何故かよく分からないが変な独占欲が芽生えて数分。

 

いや、独占欲が芽生えた原因が分かってしまってから(・・・・・・・・・・)数分。

 

気づいた。いや、気付かされた。

 

彼女(雪ノ下陽乃)が、どうしようもないくらいに好きだということに。

もはや認めざるを得ないこの燻った感情を胸に、ママのんと会うことを決意する。

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

なんだかんだで、迎えることのできた彼との結婚式。

 

始めは妹が慕う隼人みたいな玩具のような存在(塵芥)だった。

 

次にあった時は二股をしている(もしくはガハマちゃんのことが好きな)ただのモブだった。

 

三回目に出会った時、彼の本物の話を聞いて、私にも本物が手に入るのか、そして、本物とはなんなのかを、知りたくなった。君はモブから準メインまで上がった

 

四回目に会ったとき、不意に、君のことが欲しくなった。

 

五回目に会って、本当に欲しくなって、その想いが抑えきれずに、つい、嘘をついてしまった。

 

それでも君は、私のことを好きになってくれた。

 

だから、私は、この関係が本物なのだと、今も、これからも、ずっとずっと、そう思うことだろう。

 

 

なんて言ったって、私と彼の青春ラブコメはまちがっていたのだから。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。