なんで引きこもりがいきなり吹雪のやまない山に閉じ込められなきゃいけないんですかね…
(…ここはいったいどの辺だこれ)
真っ白でカーブが果てしなく続く廊下。輝く照明が反射して思わず目が眩らみそうになる…
(…あっ)
前言撤回。眩んだ。
俺はその場でぶっ倒れる。こ ん な と こ ろ にどういうわけか呼び出されるまでは学校以外用事がない限り引きこもってきたような奴だ。体力もあまりない。
「…」
体が起きない。いきなり吹雪のふくようなところにきたから体力が全部吹っ飛んだのだろうか。なんであれこうなったのなら仕方がない。誰か助けを…
「…」
なんということでしょう。見事に声の出し方を忘れている。これも引きこもったのとぼっち生活のツケが回ってきたということか。
なんだか意識も薄れてきた。もういっそぶっ倒れておこう。誰か医務室辺りにでも連れてってくれるだろう。
俺はそのまま気を失った。
・
・
・
「フォウ!フー、フォーウ!」
…?
なんの鳴き声だろう。聞いたことがない。
「……あの、朝でも夜でもありませんので、起きてください先輩」
…??
馬鹿な、俺は帰宅部のヒッキーマウスだぞ。こんなかわいらしい声の後輩なんざいたことねぇぞ。
夢でも見てるのか、顔を上げる。
「…」
なんてこった。ほんとに後輩みたいな雰囲気だぞ。
「…ぁ…」
声が出せない。畜生あとで練習しよう。今はこれで会話しよう。
持っていたスマートフォンのメモアプリを起動し、文字を打ち込み目の前の文系少女に見せる
『君は?』
「いきなり難しい質問…名乗るほどの者ではありません、とか?」
えぇ…(困惑)
「いえ、ちゃんと名前はあります。ありますとも。」
「そんなことよりも、お休みのようでしたが…通路で眠る理由が、ちょっと…」
寝てません。寝てませんよ。
『寝てたんじゃなくて、意識失って倒れてただけ。』
「え、それは大丈夫…」
「フォウ、フォーウ!」
『ところで、この子は?』
「…失念していました。このリスっぽい子はフォウ。このカルデア内で唯一人間以外で自由に行動できる特権生物です。」
「私はこのフォウさんにここまで誘導され、先輩を発見したんです。」
『じゃあこの子が命の恩人ポジションか…』
そっと頭を撫でてみる。少しおとなしくなでられたかと思えばすぐにどこかへ行ってしまった。
『本当に自由な子だね』
「はい。私以外にはあまり近寄らないのですが…」
『俺は気に入られたのか』
「はい。そのようです、おめでとうございます。」
『え?』
「カルデアで二人目のフォウのお世話係の誕生です。」
彼女は笑顔で…いや、少し微笑んだ顔でそういった
…えぇ…(困惑)
「そこにいたのかマシュ。駄目じゃないか、断りもなしで移動するのはよくないと…」
なんだこの胡散臭いおっさんは…俺から見たら事案だぞこの光景…
「君は…今日から配属された新人さんだね。名前は…」
いきなり話しかけられたのでスマホを落としかけた。このおっさんはなにもしてないが理不尽に恨むことにする。
「どうした?喋らないのかね?」
『声の出し方忘れたので…練習しときます』
「…そ、そうか。私はレフ・ライノール。ここで働かせてもらっている技師の一人だ。よろしく。」
そういってこのレフとやらは手を出してきた。
…なんで左手なんだ。決闘を受けるつもりはないぞ。
とりあえず左手で握手をする。違和感しかない。やっぱ胡散臭い。さっさと離せパーティグッズヅラハット野郎。どうせ帽子に髪の毛付いてんだろ。
「ようこそカルデアへ。歓迎するよ。」
黙れ。