8月30日は乃木園子の誕生日。
今日は乃木家で勇者部お泊り会が開かれることになった。
少女達が大浴場に出ている間、【消えたことになっている】はずの精霊達が園子の部屋で具現化。園子や勇者部のことについて語り合う、園子のようなほんわかストーリー。

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2017乃木園子生誕祭記念SS

 園子様の誕生日である8月30日。

 今日の乃木家は騒がしい。

 誕生日を祝って勇者部メンバーが乃木家に泊まりに来たからだ。

 今は全員で乃木家自慢の大浴場に行っている。

 純粋無垢な少女達が6人の浴場なんて、さぞ天国だろう。

 ついて行けるものならついて行きたいけど、それは無理。

 なぜなら、今の僕たちは()()()()()()()()()()()()()のだから……。

 

 誰もいない電気の消された真っ暗な園子様の部屋に、6人のスマホから一筋の光が放たれる。

 光に投影されるように現れたのは、既にいなくなっていたはずの僕たち精霊だ。

「ふう~、また他の精霊に会える日が来るなんて思ってもみなかったよ~」

 最初に具現化した僕、烏天狗は羽をグーッと伸ばした。

 やっぱり外の方が開放的で気持ちがいい。

「お邪魔するギュウ」

「おじゃまします」

「邪魔するぜ」

「お邪魔するタマ」

「……」

 すると、僕に続いて他の精霊さん達も光の中から具現化した。

「久しぶりだね~、牛鬼くん、青坊主くん、犬神くん、木霊ちゃん、義輝くん」

「お久しぶりです、烏天狗さん。こちらの世界で勇者システムがロックされて神樹様の中でお会いした以来ですね」

「だね~」

 久々の再会に喜び合う僕と青坊主くん。

 その傍らでは、早速追いかけっこが始まっていた。

「義輝ー! 久しぶりだギュー!」

「ゲドーメー!!」

「相変わらずタマ……」

 おなじみ、牛鬼くんがさっそく義輝くんを食べようとしていた。

 それを冷静につっこむ木霊ちゃん、という図である。

 懐かしい日常が戻って来たことに、なんだか気持ちが高ぶって来たような気がするな~。

「とりあえず、今日は園子様の誕生日なんだよな。おめでとうなんだゼ!」

「ありがとう、犬神くん。と言っても、僕の誕生日じゃないけどね」

「まあな。今は俺たち()()()()()()なってるし」

「そうだね」

「でも、ご主人の記念日は自分の記念日だと思って喜んでも悪くねえと俺は思うけどな。でなきゃ、お前の主人祝うために具現化する訳ねえだろ」

「犬神くん……」

 口調はぶっきらぼうだけど、本当に犬神くん良い友達だ。

 もちろん、他のみんなも大切で自慢の友達だよ。

 

「もしもし~、誰か気付いてチョ~……」

「あの、烏天狗さん。誰かあっちの方から私たちのこと呼んでいませんかタマ?」

 木霊ちゃんが向いた方には園子様のベッドがある。

 ということは……。

「サンチョくん?」

「やっと気付いてもらえたー!」

「あふぇ? サンチョくんって……モグモグ……枕だよね。……モグモグ……なんで僕たち精霊の言葉が分かるの?」

「さあ?」

「神樹様の何らかの力が働いたんじゃないですかタマ?」

「っていうか、牛鬼。食うか喋るかどっちかにしろよ」

「ゲドーメ……」

 僕たち精霊がサンチョくんの周りに集まる。

 それからは、これまで見て来たそれぞれの御主人について積もり積もった話を語り合った。

「にしても、サンチョくん羨ましいギュウ」

「え、なんでなんだチョ?」

「だって、園子様と毎晩一緒に寝てるんだギュ? 園子様のいい匂いがするんだギュ。羨ましいギュ!」

「たまに、寝返りを打った園子様に抱きしめられて朝を迎えてることもあるしね」

「チョッ! 烏天狗くん、見てるんだチョ!?」

「たまにね」

「羨ましい! 羨ましいんだギュウー!!」

「ショギョームジョー」

 牛鬼くんがぐるぐる高速旋回している。

 よっぽど羨ましいんだな~。

 すると、サンチョくんは細くゆっくり息を吐いた。

「でも、僕は精霊のみんなやそのご主人たちに感謝してるチョ」

「え?」

 牛鬼くんの旋回が止まる。

「園子様は勇者部と精霊のみんなのおかげで、自然な笑顔を取り戻したように思うチョ。最近の寝顔は本当に幸せそうで、僕も嬉しいんだチョ」

 たしかに、最近の園子様は凄く楽しそうに毎日を過ごしている。

 病院で大赦に頼んでゲームとかをやっていた時とは違う、本物の笑顔が見られるようになった気がする。

「あっ! みなさんがお風呂から帰って来ますよ!」

 青坊主くんの一声で、僕たち精霊は各々のスマホへ急いだ。

 端末からの光が徐々に細くなる。

「みんな、今日はありがとう! また誰かの誕生日の時に集まろう!」

「もちろんだギュ!」

「もちろんです」

「楽しみにしてるゼ!」

「はいタマ」

「……」

 またいつか、前みたいにご主人様たちとも遊びたいな。

 それがいつになるかは分からない。

 でも、その日がいい形で迎えられることを願いながら僕たちはスマホの中に消えて行った。


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