デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:紀野感無

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〜???〜

「ここ…かな?」

---が赴いたのは、DEMの所有するビルの一角。
人類最古の王との約束を果たす為--あまり気は進まなかったが--力を使う。

「さて…あまり長居したくないし、すぐに終わらせよう」

---は目の前に鎮座する数メートルの肉塊の山と周囲を埋め尽くすラフムを見ながら、手をかざした。






「し、失礼します!」

「わぉ⁉︎びっくりしたじゃないカ!もう少しゆっくりとだねぇ!」

「も、申し訳ありません!ですが緊急事態が…」

犯罪界のナポレオンの元に駆け込んだのは1人の魔術師(ウィザード)
周囲にいたウィザードは顔を白くしていたが、当の本人は特に気にすることなく紅茶を啜る。

「落ち着きたまえ。私はマスターと違ってほいほいと殺しはしないから」

「は、はいっ。申し訳……」

「謝るのはもういいから。で、何があったのカナ?」

「あ、あの化け物を保管しているフロアについてです!先ほど、【オリジナル】を含め、あのフロアにいた化け物が全て消えました!」

「ほう!」

それを聞いた途端、楽しそうな声を上げる。

「そろそろだと思っていたが、ようやく来たか!」

「えっ、あの…どういう…」

No,Ploblem(問題無し)!ということダヨ。案ずるな。これも含めマスターのシナリオ通りなのサ。

さあ…もっともっと愉しくなるぞ諸君。我がマスターと精霊達の戦争(ゲーム)を、特等席で眺めようじゃないか」

激化していく戦場を眺め、更に追い討ちをかけるべく、駒を動かす--



77話 幕末4大人斬りの1人

 

 

〜四糸乃が青髭と出会った頃〜

 

「まだ進んではいけませんか?」

「むう…シドーが心配だ…」

 

『シンは無事だ。けど四糸乃が不可解な移動をして、その先で青髭とやらに遭遇した。恐らくだが罠が張り巡らされている。また、これも推測にしかならないが、移動先を向こうに操作されている。もうしばらく耐えてほしい』

 

それを最後に令音との通信は切れ、アルトリアと共に立ち尽くしてしまう。

 

「青髭…」

「知っているのか?」

「ええ。おぞましい相手です。四糸乃達が無事だといいのですが…」

「むぅ…何もできないというのはなんとも…」

「歯がゆいですね。ですが今は令音の言う通り耐える時ですよ十香」

「分かってはいるのだが…」

 

 

 

 

 

 

『もうええが?』

『オッケー。許可でたよ。やっちゃいナ』

『2人とも斬ってええが?』

『ノンノン。夜十神十香とやらはダメだよ。何度も言っただろう?』

『めんどくさいのぉ』

『勝手なことをするとマスターに殺されちゃうぞ?』

『はん。あんな胡散臭い女、文句言うて来たら斬り捨てればえかろう』

『まあまあ。それは後で考えるとして……。期待してるよミスター人斬りサムライ』

 

 

 

 

 

 

「……?マスター?」

 

しばらく経った頃、最初に気づいたのはアルトリアだった。

召喚者である神夏ギルとの繋がりに違和感を感じ、渡された通信機で連絡を取るが返答は無かった。

 

「ッ⁉︎誰だ!」

 

次に気づいたのは十香。周りには誰もいないはずだが、全力で警戒する。アルトリアは生じた疑問を一旦保留にし、十香と同じ方向へ向けて剣を構える。

 

視線の先からは、帽子を被って黒衣に身を包み、長刀を携えた暗い目付きの浪士風の男が現れる。

 

「お初にお目にかかりますぅ」

 

気怠そうに、しかし冷酷な目で挨拶をする男。だがその立ち振る舞いだけで十香とアルトリアは全力で警戒する--せざるを得なかった。

 

「おー、映像で見るよりよっぽど美人じゃのぉ」

 

現れた男は嗤いながらもどこか残念そうに言い、品定めするように2人の剣士を見比べ、アルトリアを指差す。

 

「十香っちゅーのは…おまんか?」

 

「…?いいえ、私ではありません」

「十香は私だ!お前は何者だ!」

 

「威勢がえいのう。そいでワシが何者か…か。簡単に言えば…人斬りってとこじゃの。そんで、えーと…なんじゃったか。夜十神十香は斬るなじゃき…そっちの金髪」

 

「…?」

 

「難しいことは言わん。派手に……死に晒せ」

 

「「ッ⁉︎」」

 

男はユラっと前屈みになったかと思うと、一瞬でアルトリアへ肉薄し斬りつける。

問答無用で首を狙った一撃。アルトリアは半歩下がり、十香が寸前で弾いたことで事なきを得る。更に追撃しようとしていた為、大きく距離をとった。

 

「むぅ…まだ感覚が掴めんのぉ。全く、面倒なもんつけよってからに」

 

『2人とも。その男についての情報だ』

 

男が頬をかきながら何かをぶつぶつと呟いている中、2人のインカムから令音の言葉が聞こえる。

 

『その男の名前は『岡田以蔵』。江戸の幕末に実在した4大人斬りの1人だ』

 

「4大人斬り…?」

「端的に言えば人を斬る専門家ですか」

 

『その通りだ。加えて、自他共に認める天才剣士らしい。姿を現したということ、先ほどの言葉からアルトリアを狙っているんだろう。十分に注意して討伐してくれ』

 

「了解しました」

「うむ!わかった!」

 

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

「ところでマスター。我らに付与したものはなんだい?」

「言わなくてもわかってるだろ。特にお前は」

「イェス。勿論だとも。だが何事も答え合わせは大事だろう?」

 

眼前に広がる複数のモニターを見ながらルシフェルと『犯罪界のナポレオン』は世間話の延長で話す。

先ほどルシフェルが出ていったのを見ていたDEMの魔術師(ウィザード)は驚きながらも、気まぐれに殺されてはたまったものではないので死ぬ気で口を閉じていた。

 

「…ま、それもそうだね。お前ら反英雄に付与したものは大きく分けて2つ。

1つは…」

 

「『人類の脅威』だろう?」

 

「はぁ…まじできっしょい。そんなだからモテないんだよクソジジイ」

 

「酷くないカナ⁉︎」

 

「そんでもう一つは…」

 

「無視⁉︎」

 

「『狂化』…クラス・バーサーカーの付与。お前以外に付与した特性だが……その効果はわかってるだろ?」

 

「無論だとも。理性を擦り潰すのと引き換えに全能力の向上と言ったところだろうね。

だが末恐ろしいのは、クラス・バーサーカーを付与されても尚、元々保持していた力の大半を行使でき、普段通りの振る舞いができた上で意思疎通ができている点だね。

 

いやはや…()()()()()使()()()()()()()()()、本当にやるかね普通。君、割と危ないんじゃナイ?」

 

「否定はしないが、面白くなったから良いだろう?」

 

「それもそうだね。……おっ、どうやら『青髭』君は上手くいっているようだ。続けてこちらも……なるほどなるほど。となると…次の手を打とうと思うが、良いかねマスター」

 

「任せる。私はそろそろ準備するから。お前も、時が来たらちゃんと役目を果たしてくれよ?」

 

「勿論サ。心配ならマスターの持ってる強制命令権でも使ったらどうだい?」

 

「はっ。お断りだね。それをするくらいなら今すぐお前の首をへし折るさ」

 

「おお、怖いねぇ」

 

仲がいいのか悪いのか。周囲には全く理解のできない会話をしながらルシフェルと『犯罪界のナポレオン』は別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、十香とアルトリアは何度も岡田以蔵と斬り結ぶ。だが2対1という数の有利があるにも関わらず、攻めあぐねていた。

 

「はぁ、なんじゃその剣は。あくびが出るわ。これがあの胡散臭い女が警戒しちょった夜十神十香か…?それともワシが天才すぎるだけかのぉ?」

 

「……。何が言いたい」

 

「別に大層なことは言うとらん。ただ…かっるい剣やのぉ、と思うただけじゃ。覚悟を決めとるにしては生優しい、反吐が出そうなくらいかっるい剣じゃの。そんなんで神夏ギルだか五河士道とやらを守れるとは思えんのぉ」

 

「お前になにが…!」

「取り消しなさい岡田以蔵。それ以上十香を愚弄するのなら容赦しません」

 

「はっ。図星、と言ったところかの?おまんのは、まだ現実を見れていない赤子の剣じゃ。わしが生きとった頃にぎょーさんおった有象無象と同じじゃの」

 

岡田以蔵は十香を嘲笑い、しかしどうしたのもかと顎に手を当てる。

本音を言えば斬り捨てて終わり、だがそれをしてしまうと面倒なのは火を見るより明らかだったから。

 

「ほうじゃほうじゃ。そいやマスターとクソジジイにこいつら貰ったんじゃった。ほら、出てこいバケモンども」

 

刀を地面に突き立てると同時、周囲にラフムが続々と現れる。数にしておよそ50体ほどだろうか。その中には十香たちが対峙した、人間の面影が様々な箇所に残っている歪なラフムも混ざっていた。

 

「もうマスターから聞いとろう?こいつらは『人間』から生まれとる。さあ…おまんらに斬れるかの?」

 

「……えっ?」

「…?十香?」

 

 

歪なラフム。言葉にすればそれだけ。たとえ命を弄んで作られた存在だとしても、先ほど見ていたからか臆する事なく戦う。

そう決意をしていた

 

 

 

はずだった。

 

 

 

 

「貴ッッッッ様ァ!」

 

 

 

 

十香は怒りのまま鏖殺公(サンダルフォン)を握る手に力を込める。

 

鏖殺公(サンダルフォン)!【最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)】!」

 

続けて玉座を出現させ、真っ二つに切り裂き、バラバラになった玉座が鏖殺公の刀身を10メートル越えにする。

そのまま全てを薙ぎ倒そうと振りかぶるが、アルトリアが止めに入る。

 

「十香!落ち着きなさい!ここで怒っては……」

「離せっ!離してくれアルトリア!アイツは!アイツは…!」

 

だが十香は止まろうとせず、岡田以蔵に、ルシフェルに。

 

嘗て五河士道の腹を貫いた神夏ギルを前にした時よりも怒り狂う。

 

 

 

「と、お。かちゃ。あい、たかた」

「いつ、か。くん、は、どうした、の?」

「またなか、され、たの?」

「まじ、ひ、くわー」

 

 

 

最初こそ十香を何とか止めていたアルトリアだったが、ラフムの発した言葉で全てを察する。

十香もその言葉を聞き、泣きそうな顔をしながら俯く。

 

「殿町……亜衣……麻衣……美衣……」

 

十香の口から溢れた名前は、大切なクラスメイト。

 

「はーっ。何回見ても、まっこと気持ち悪いのぉ。あんのクソ女さえおらにゃ、斬り捨てるっちゅうに」

 

 

 

歪なラフムに張り付いた人間の顔は、かけがえのない友達だった。

 

 

 

「……悪趣味とは思っていましたが、まさかここまでとは」

「あん?まさかこれがワシの趣味と思うちょらんか?」

「ええ、少なくともお前達はそういう集団だと、改めて理解しました」

「勝手に勘違いをするじゃなか。マスターに使え言われただけじゃ。ワシはこんなバケモンを使う趣味も作る趣味もない。ま…夜十神十香を見るに、マスターの判断は正しかったみたいじゃの」

 

ケタケタと嗤いながら、岡田以蔵は刀を再び構える。

 

アルトリ(おまん)はワシと遊んでもらうけえの?ほらバケモンども、夜十神十香と遊んできぃ」

 

その言葉を聞いてラフムは十香に殺到する。まずは通常のラフムが、続いて歪なラフムが。

十香は未だ俯きながらも、鏖殺公を何とか持ち直す。アルトリアはそんな十香を守るように前へ出て剣を構え--

 

 

ビーッ!!ビーーッ!!ビーーッ!!

 

「⁉︎」

 

続いてアルトリアの耳につけたインカムからアラームがけたましく鳴り響く。

 

ラタトスクから聞かされていた、精霊の反転(さいあく)を告げるアラームを聴き思わず十香を見る。だが十香自身もそのアラームを聴き戦慄していた。

 

 

しかし、ふと気づく。

 

 

攻撃が全く来ないことに。

 

 

「なんじゃあ?おまんら、はよう行かんかい」

 

疑問に思っていた十香達だったが、岡田以蔵も同じ。

攻撃が来なかった理由は至極単純で、全てのラフムがその場で立ち止まり、上を向いていたからだった。

 

3人もそれに釣られて上を

 

 

()()()()()()

 

 

 

上空にはどこかの映像が映っていた。そこにいたのはルシフェルともう1人。顔はわからないが、服装に覚えがあった。あたり一面は業火に包まれ、ルシフェルがもう1人の首を掴んで立っていた。

 

『じゃあね。もし次があるなら--』

 

次の瞬間、掴んでいた人が激しく燃え盛る。

顔は見えなかったが、生きてはいないだろう。

 

「ルシ…フェル!」

「あれが…ルシフェル?」

 

『ん?ああ、もう時間か。思ったより早かったね』

 

十香達の音声は届いていないのか2人に気づく素振りはなく、右耳に手を当てながら誰かと話し、カメラの方向を見る。

 

「きくうすい?」  「きくうすいづ」

「おかあ、さま?」「なに、してる、だろう?」「まじ、ひく、わー」

「おかあさん?もう、いいの?」

 

 

『ティアマト神の子供。醜い醜いラフムどもよ』

 

ルシフェルの声に呼応したのか、ラフムが更に現れる。

次の言葉を静かに、静かに待つ。

 

 

 

 

 

『宴の刻だ。欲望のままに喰らい尽くせ』

 

 

 

 

 

『『『『『『キィィィイーーー!!!!!』』』』』』

 

全てのラフムが甲高い鳴き声を上げる。

歓喜に、怒りに、哀しみに、快楽に満ちた声を。

 

あまりの声量に十香、アルトリア、岡田以蔵は耳を塞いでしまう。

 

「な、なにが…」

「一体……」

「あんのクソ女。何を…」

 

やっと鳴き声が止み、顔を上げ…

 

「「⁉︎」」

 

アルトリアと岡田以蔵はナニカに吹っ飛ばされる。

 

 

『『『ギィギィ!』』』

 

 

それに追随し、ラフムが殺到する。

先ほどのアラームのことを気にする暇なく、十香はアルトリアを助けるために鏖殺公で応戦する。

だがラフムは十香に全く興味を示さず、我先にと--まるでおもちゃを取り合う子供のように--アルトリアと岡田以蔵へ向かっていく。

 

「舐め…るなぁ!」

 

だがそこは英雄、騎士王アーサーの名を冠するアルトリア・ペンドラゴン。少々深い傷を負いながらも一瞬で多くのラフムを斬り伏せ、這い出てくる。

 

「アルトリア!大丈夫か⁉︎」

 

アルトリアの鎧は半壊し、体は一眼で重傷と分かるほどに出血していたが、十香の心配を払拭するよう叫び返す。

 

「問題ありません!十香、()()()()()()()()()()!」

 

「っ!う、うむ!わかった!」

 

ズサッ!

「うぐっ⁉︎」

 

しかし、上手く隠れていたのか、背後からラフムが急襲しアルトリアの腹部を脚で貫く。

 

「アルトリア!待ってろ、すぐに…」

「いかせ、な、いぜ。とおか、ちゃ」

「だ、め、だよ。おかあさま、おこられちゃうから」

「ギィ!」「うちぴおり」「きぬくそえつ」

 

だが、歪なラフム2体と他数十体のラフムが十香の行手を阻む。

 

「邪魔を、するなぁ!」

 

十香の握る鏖殺公が強く発光し、襲いかかってくるラフムを次々と斬る。

多少の傷を負ってしまったが全て軽傷でやり過ごせ、最後に立ち塞がったのは、歪な--大事な友達が使われていた--ラフムだった。

 

「……っ。ごめんだ、2人とも…」

 

数秒迷い、躊躇ってしまうがすぐに顔を上げ、まっすぐ見つめる。

そして、大事な友達を斬る覚悟を決め直す。

 

脚に力を込め、真っ直ぐ駆け出す。

それに呼応するよう、ラフム二体も十香へ向かって走り出す。

 

「ハァッ!」

 

そして、一撃の元斬り伏せた。だが、僅かとはいえラフムの動きが鈍ったのを十香は見逃さなかった。まるで、十香を傷つけることを嫌がったかのように。

 

「…ごめん。何度謝っても済む問題ではないのは分かっている…。でも…」

 

 

「あり…が……とう」

「やっと…。ありがと…う」

 

 

十香はその言葉が聞こえ、思わず涙してしまう。だけど、何となく分かっていた。なぜなら対峙してからずっと、他のラフムと違い敵意を微塵も感じていなかったから。

 

無理やり聞こえていないふりをしながら涙をグッと堪え、アルトリアを助けるべく走り出す。

 

「離れろっ!」

 

馬乗りになっていたラフムを蹴り飛ばし、群がっていたラフムを確実に斬り殺していく。途中、数の暴力で押されかけていたがアルトリアの援護で事なきを得る。

 

「大丈夫か?すまぬ…私の心が弱いせいで……」

「問題…ありま、せん。助かりました、十香」

 

そう呟くアルトリアは、誰がどう見ても手遅れな程に重傷だった。

鎧の残った部分は凹んで体に突き刺さり、右目は潰れ、左肩から先が無くなっていた。

 

「心配、しないでください。マスターからも言われていたでしょう?私たちは仮初の命でしかありません。事が終われば消える命。()()()が少しだけ早くなってしまっただけです」

 

「だが…」

 

「心残りといえば、士道のご飯を食べれなくなったこと、くらいですね」

 

本当に、本当に心の底から残念そうに呟くアルトリアを見て、思わず笑ってしまう。

 

「ふふっ…確かにそうだな!シドーのご飯を食べれないなんて勿体無いにも程がある!だからアルトリア!今すぐにルシフェルを、神夏ギルも!全てを救いに行こう!そうすれば夕餉には間に合うぞ!」

 

涙を堪えながら精一杯、前を向く。間に合うはずがないのに、さも当然のように言う十香にアルトリアも釣られて笑う。

 

「そうですね。作れるだけ作ってもらいましょう。そして2人で全部平らげてしまいましょうか」

 

まるで昔からの親友のように語り合いながら、ラフムを蹴散らす為に動き--

 

「がっ…」

「ダァァメ、だぁよ。英雄(キミ)たちは、ココで死んでもらわなきゃ困るんだ」

「な、なぜ…⁉︎」

 

警戒していたはずだった。気配は微塵も感じなかった。だけど、声が聞こえたと思った時には既に()()()は現れていて、アルトリアの心臓を抉った。

 

「さて…。人斬りの方も……」

 

全身から淡い光が出始めたアルトリアを投げ捨て、続けて岡田以蔵が吹っ飛ばされた方向を向き、また消えた。

 

「ぐはっ⁉︎」

 

吐血する声が響く。ラフムの集団を相手していた岡田以蔵の心臓のあたりを、真っ赤な腕が貫いていた。

 

「ぐ…こんの……クソ女……」

 

「あーらら、まだそんなこと言うのかい?だからモテないし親友を取りこぼすんだぜ?」

 

岡田以蔵は何とか反撃するが、心臓を貫かれた影響か全く思い通りに動けていない。それを黒い外套を纏ったソイツは嘲笑いながらのらりくらりと避け、追撃していく。

 

腕をもがれ、目を潰され、足をへし折られ

 

最後は首を刎ね飛ばされた。

十香やアルトリアと互角以上に渡り合っていた岡田以蔵はあっけなく、光の粒子になり霧散する。

 

「これで4()()()。他は……うん?思ったより狩れてないのか。めんどくさいなぁ。()()()は何をしてるのやら。……ん?」

 

「…っ⁉︎ど、おが!にげ、で!」

『十香!すぐに逃げるんだ!巻き込まれてしまう!』

「ッ⁉︎」

 

 

ドォン!!

 

 

アルトリアと令音から言われた瞬間、背筋が凍りそうなほどの殺意を感じ、その場を離れる。

ほぼ同時に、最初に見つけていた扉が爆散し、先ほどまで自分がいた場所、ルシフェルがいた場所に何かが着弾した。

 

 

「……」

「な、なんでここに⁉︎」

 

 

扉の先から現れたのは

 

 

「おいおい、せっかくのステージをぶち壊すのはやめてくれないかな?私とて、悲しみの感情は持ってるんだぜ?」

 

 

「黙れ。お前は、もう、死ぬまで殺し尽くしてやる。()い。光齎王(エゼキエル)!」

 

 

神夏ギルだった。





意外と時間くっちゃった。
次回 十香○ルート

反転→暴走ときたら次は何になるかなぁ(愉悦


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