オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

220 / 220
助走期間
202 間奏、最後の敵を見据えて


戦いは終わった。

すると何が始まるかといえば次なる戦いの準備期間になるだろう。

毎度の事で毎年の事である、来年どうなるかは知らんがね。

休みは無いのかといえば、戦いの中で自らのフルスペックを発揮できるように適度に休息を挟み込んでいるので、戦いとは常に休みの中にあると言ってもいい。

かの先輩曰く。

息抜きの間に人生を送る、と言ったところか。

 

そんな訳で、インターバルである今のうちに息抜きとして臨獣殿の門弟に新技を習得させているのだ。

我が臨獣殿には先日から招来獣という技が登録された。

これは源流である赤心少林拳黒沼流に影も形も無い、正真正銘アクガタ専用のオリジナルの技だ。

ネーミングと出力される結果は名前を拝借した先と同じだが、この世界の人間ならではの特性を組み込んだ構造になっている。

 

ざっくばらんに言えば、人間の生命エネルギー、気、そういった超常的な力を核にして周囲のフリーエネルギーやら穢やらを纏わせて形作る式神の様なもの。

ものとしては事前準備をしっかりした式神で代用できるのだが、この技は一度習得してしまえば何の用意も無く一息で巨大戦力を用意できるのが魅力となる。

理屈としては神崎優衣がミラーモンスターを形成したのと同じ、テオスの似姿である人類ならテオスと同じようにマラークやらエルに相当するものを頑張れば出力できるよね?という考えを元に作られている。

 

テオスや神崎優衣が大量に、かつ永続的に自律活動可能なモンスターを生成したのとは比べ物にならない低出力版と侮るなかれ。

招来獣で生成したリンビーストは術者が肉体構造を完全に把握する必要があり、自律可動不可で術者の操縦を必要とし、人間の脳が備える制御能力の関係で基本的には一人一体しか運用出来ず、物理的肉体の形成も一次的なもの、気の掌握や出力が不足している場合臨技や呪術による気象改竄による魔化魍発生条件の乗っ取りが必要、戦闘終了後不用意にリンビーストを霧散させると形成時に取り込んだ穢をはじめとした諸々の外的エネルギーが周囲に滞留し魔化魍などが自然発生しやすくなるなど、無数のマイナス特徴を詰め込む事により、特別な力を持たぬ一般臨獣殿拳士でも実用的な巨大戦力として運用可能なのだ。

もっとも、リンビーストの構造把握が脳味噌無改造の拳士には難しく、基本的に使い慣れた自分の肉体を模したリンビーストを生成する形になるので、なんだか臨獣殿の拳士は最終手段として巨大化する、みたいな風評が広がりそうではあるが……。

 

「喰らえーっ!チャイナクックマーベラスチャーハン!」

 

「いけーっ!ライトニンググランス!」

 

人間の身の丈を上回る巨大な黄色いカブトムシ型のリンビーストと古代ローマの戦士を彷彿とさせる人型のリンビーストが激突する。

リンビーストはその使用者が臨獣殿の拳士である関係上、使用者の技を直接再現できる人型に行き着くのが最適解であるとされている。

 

しかしカブトムシ型のリンビーストを良く見ればその足元は節足動物の足ではなく無数のタイヤがイモムシの脚の如く蠢いている。

構造の単純化だ。

技の再現性にのみ注視して人型を目指したのとは対照的に、前後左右の移動、角の上下といった可動のみを残し余ったリソースを体躯と強度に回している。

 

この戦いは格闘技を齧って鎧兜を着込んだ人間と全力でアクセルを踏み込んだ装甲車の戦いと言っても良い。

赤心少林拳や派生形である臨獣拳を高度に修得した拳士であれば話は変わってくるが……。

人型のリンビーストは見事な槍さばきを見せながら、高速で迫るカブトムシ型のリンビーストに角で突かれくの字に折れ曲がりながら吹き飛んだ。

 

周りを見れば他にも、言い訳のしようもなく完全に車型のリンビーストと巨大な回転コマ型リンビーストが繰り返し激突している。

かと思えば巨大な仔猫型のリンビーストと巨大な老犬型リンビーストがもつれるように噛みつき合い。

或いは幹部級の拳士が自らの似姿として作ったリンビーストで正統派な組手を行ってもいる。

 

上空に外部からの監視を遮断する為の暗雲立ち込める臨獣殿で、無数の拳士達が向かい合い、思い思いのリンビーストをぶつけ合い、互いを高め合っていた。

 

実際、俺は脳味噌の中にある設計図を元にリンビーストを作り、技としての招来獣もそのように設計し伝授した。

しかし、実際に運用してみると中々個人個人で条件が異なってくるようで。

俺のように長年超能力や諸々の技術を理屈と本能の折り合いをつけながら運用してきた者と違い、一般的に必要なのは設計図よりも強いイメージである事が分かってきた。

 

長く手に馴染んだ物品、思い入れのある動植物などがイメージのベースにあるとリンビーストとして実体化しやすいようだ。

先の犬やら猫やらをリンビーストとして生成していた連中はここに来るきっかけとなった怪人災害で失ったペットのイメージを元にしてあるらしい。

これは招来獣がミラーモンスターの生成や魔化魍の発生を源流に持つ技だからこその抜け道なのだろう。

また、気で肉体を作る、という理屈の技である為、招来獣は獣獣全身変や臨気鎧装と必要技巧が重なっており、どれか一つでも覚えれば残り二つの習得も間近という目安にもなる。

 

もう去った脅威として、イマジンはイメージの暴走で巨大化した。

そして、今確認できる最後の大規模な人類敵対種族であるファンガイアもまた、従えるしもべや本人の変身能力などで巨大化する場合がある。

あと、単純に等身大で殴り合わなくても巨大化すれば薙ぎ払える相手には積極的に使っても良い。

臨獣殿において招来獣は獣獣全身変や臨気鎧装に並ぶ奥義の一つとなるだろう。

微塵隠れの術なんかは全身変か臨気鎧装が無いと自身が技の威力に耐えられないしな。

 

 

―――――――――――――――――――

 

一方で。

臨獣殿を一度降りて下界の空気の中で人を鍛えるとなると勝手が違う。

気や臨気、殺人拳や殺怪人拳を使えない人間の火力は低く、肉体は脆く、動作は鈍い。

それだけならまだいいが、鍛える中で手足や顔面や皮膚が欠損したりすると大問題になるし、大概の場合大騒ぎになる。

治せるから騒ぐな、と言っても精神的に後を引いたりするし、欠損部分をより強化した生体パーツで埋める事でより高強度のトレーニングに耐え得る肉体を作ることも難しい。

 

諸々隠蔽が効く臨獣殿に連れて行って半年くらい慣れさせればより実戦的な戦士に加工できるのだけど……。

半端に理性的な生き方をしている人間を臨獣殿に入れても伸びないんだよな。

世捨て人系求道者を仲間に、脳味噌が適度に焼けた復讐者を育成する中で培われた修行メソッドなので。

 

「お気に召さないかね」

 

「不満という程では無いですよ」

 

青空の会の後輩への指導が想定よりも早めに終わってしまった為に寄ったカフェ・マル・ダムール。

そこで声をかけてきた嶋会長の言葉に、コーヒーにミルクを落としながら答える。

新しいイクサの装着者は、知識の上では知ってた人間ではあるし、何年か前から戦闘訓練で指導する側にあるため普通に面識もある。

仮面ライダーイクサとして活動する上で不足がある、という訳では無い。

これは言語化が難しいので曖昧な言い方になってしまうが。

 

「犯罪者狩りの延長でやる分にはあんなもんでしょう」

 

なんというか、今までこの世界で見てきた戦士の中ではモチベーションの在り処が違うというか。

ここまで怪人被害が頻発してる世界であのモチベーションのままなのは逆に凄いから、そこは個性として変えなくても良いとは思うが。

なんか、伸びないんだよな、あいつ。

いや、知識として、ここから諸々の出会いや経験で伸びていく筈なのは分かってるんだけど。

 

「手厳しいな。彼はイクサに相応しくない、と?」

 

「それを決めるのは嶋さんの仕事でしょう」

 

別に、イクサは人類にとっての唯一無二の害敵への対抗手段でも無ければ勇者に与えられる聖剣とかでも無い。

単純にファンガイアに限らず敵対種族と戦いたければ素晴らしき青空の会や、イクサシステムに拘る理由もない。

外に出て、公的に認められた組織で正式に何らかの装備を受領できる立場になればいい。

 

というか、青空の会の中ですら変身システムは複数系統存在する。

融合係数の関係で彼には使えないが擬似ラウズカードを利用したBOARD系ライダーシステムもあるし、俺が独自に製造したウォーメイジシステムも現役だ。

新人会員の頃は彼にもウォーメイジシステムが貸与されていた。

大分前に作った習作だから最新のアップデートを済ませたイクサに比べれば見劣りするけど、やろうと思えばファンガイアを倒す程度は可能な性能を持っている。

ファンガイアスレイヤーやファンガイアバスターなんかよりはよっぽど実用的で、それこそ戦士として戦うには必要十分な装備だった。

 

それでもなお、彼はイクサを欲しがった。

キバだけの世界なら、そうしなければ戦えない、という言い訳もできたのだろうが……。

 

「それでモチベーションが上がるなら良いことですよ」

 

この時代でできるイクサのアップデートは残り少なく、性能の天井も見えている。

俺自身イクサを欲しがっていた時期はあるが、なごみさんを介して青空の会に関わり、調整改良に関わる中で必要なデータは入手済み。

既にイクサには青空の会の中で代々受け継がれてきた象徴的な装備である、という外向きの看板としての価値しか無い。

人類を守る為に陰ながら戦い続ける秘密組織の代表から認められ与えられた装備、という()一枚で多少なりやる気を出してくれるなら、悪いことでは無いだろう。

 

「彼は優秀だよ。君から見ればまだまだかもしれんが」

 

「そうですか?……そうですね、まぁ優秀ではあるか」

 

例えばマラークが暴れてたくらいの時にこの時代の鍛え具合と年齢で出てきてくれれば、人格面はともかく実力は頼りになる戦士だ!と断言できたんだけど。

どうもな、目が肥えすぎてしまったというか。

戦い始めた頃と違って、人類全体の底上げがまぁまぁ成されて、市井にも心身揃って鍛え上げた戦士が居て、武装と人員が十分揃った組織が公的機関として存在して。

社会情勢や怪人災害の被害なども利用して個人的に戦士を育て上げてそれなりの団体を結成出来ている現状が恵まれ過ぎているのだ。

 

「まだまだ強くなれるのになぁ」

 

「伸びないか」

 

「私は強い、という自己肯定感はともかく、私は完璧だ、とか、誰より優れている、とか、私は間違わない、とか、そういうのは鍛える上では不要なマインドセットですよ。邪魔ですらあります」

 

強さに完璧というものは存在しない。

理屈の上で言えばどんなライダーの最強フォームだって攻略法は存在する。

後出しでより強い戦士やメタを張れる戦士は幾らでも出てくるし、システムを理解された場合意図的にメタ存在を作ることも可能だ。

だから、完璧などという果ては無いし、力不足で死にたくないのであれば死ぬまで強くなり続けるしかない。

 

幸いにしてこの世界の人間の上限値は恐ろしく高い。

比喩抜きで鍛え方次第で鬼のように強くなれるし鬼にもなれる、人を超え獣を超え、文字通り神にも悪魔にもなれるだろうし、なんなら時間すら支配できる実例も見た。

俺自身、鍛錬や自己強化の中でその時その時のレベルキャップのようなものが見えるときはあるが、鍛えていく中でそれは自然と外れていくという経験則もある。

昨日の俺よりも今日の俺の方が強いし、明日の俺は今日の俺はより強くなっている。

 

……というのは理想論に過ぎないにしても、戦士とはそうあるべきだ。

短期目標としての理想像に追い付いた時に一息つく事はあっても、これでよしと立ち止まるのは違う。

そもそもの話として、この時点での彼は戦士たらんとするマインドではないというか。

なんならイクサの装着者という箔も自らの正しさの証明として必要なだけ、という節もある。

 

「とはいえ、流石にカウンセリングとかまで行くと俺の仕事の範囲からズレますからね。もともと彼を拾ってきた嶋さんがお好きになさればよろしいかと」

 

ぶっちゃけた話、ただの戦力として見た場合イクサの装着者は代替わりする必要も無かった。

嶋さんが彼に何かしらの光明を見出して継がせたのだから、運用は嶋さんが主導でするべきだ。

 

「仕事の範囲内でなんとかできないか?」

 

「全面的に任せてくれれば一時間くらいで解決できますよ。今のフルスペックを引き出すだけなら脳改造で済みますし」

 

イクサ装着者として、というより、戦闘単位として不必要なパーソナリティは消えるから人格の連続性は保証できない。

そうなると、彼の成長と連動して起きる諸々にも影響は出るのだけど……。

事ここに至ってそんな程度の影響を気にする必要もそうあるまい。

ぶっちゃけた話をすると、一昨年に彼……あいつが親を告発して自死に追い込んだ時点で青空の会としての利用価値はだいぶ下がった。

 

「勝手な真似はしないでくれたまえよ」

 

「頼まれでもしなけりゃそんな手間かけませんよ」

 

会員としての戦闘訓練は既に付けてるのだし。

人格矯正の為に一時間も人の脳味噌弄っていられない。

そこまでしてフルスペックで動いて欲しい人材でもないし。

 

「戦士としてはともかく、テスターとして見れば十分過ぎる力はあります。上手いこと転がしてあげて下さい」

 

同じ組織に居る関係で鍛えてはいるが、それまでの関係でしかない。

ここで得たものへの返礼は諸々の新しい人材と技術提供で済ませた。

表向きに使える社会的立場も作れた今、そこまで仕事を請け負う理由もない。

彼の運転に関しては引き続き嶋さんに頑張ってもらおう。

 

―――――――――――――――――――

 

しかし、人に文句を言いながら、俺自身自己強化については苦心している。

今日より明日はもっと強くなるのが目標ではあるが、強くなる為の障害、負荷というものは中々用意が難しい。

一例として、他惑星でクロックアップ養殖した海老アギト文明は上手いこと反逆をしてくれた。

心躍る戦い、試練に立ち向かう戦士達が育て上げたアギトの力、人間大のプリップリの身、良い出汁の出る殻……。

まさに理想的養殖惑星。

 

だが、これも何度か反逆を鎮める内に進化が停滞してしまった。

どうも自分達が意図的に戦う為に育成された存在である事を理解し、自らの価値を下げる事で標的から外れる、という方向で進化してしまったらしい。

ある程度成長した個体が回収される理由なども察して来たのか若い世代は小型化し、知性も低下、急激に味も落ちてきた。

これから数世代としない内に文明は崩壊し、瓦礫の街に退化した海老が繁殖する何の変哲も無い海洋惑星に逆戻りしてしまうだろう。

進化しようとしない生き物は居ないとは言うが、なるほど、こういう形で争いを避ける進化も確かに存在する。

アギトの力の養殖場としては終わりという訳だ。

食材としては定期的に遺伝子サンプルを取っていたので良いけど。

 

そもそもの話として、アギトの力の養殖と戦闘経験バリエーションを増やす為の戦士の養殖を同時に行う、というのは中々贅沢な話だったのだ。

養殖したアギトの力を取り込む形での強化も頭打ち、ここまで来ると戦いの中での自己進化の方が効率も良い。

やはり地球人として地に足ついた堅実なトレーニング方法も模索していかなければならない。

 

「うおぉっ!」

 

ピンポールの如く勢いよく跳ね飛ばされ、壁に激突する。

変身していれば、そうでなくても物理的に強い肉体であれば何もせずともノーダメージだろうが、無強化の肉体ではそうもいかない。

空中で身を捻り、背中からの壁への激突を四肢と頭による5点着地に。

そのまま獣の如く壁を走り抜ける。

 

一息前に着地した壁に無数の羽根手裏剣が突き刺さり、炸裂。

爆発の衝撃に乗るように跳躍。

身体の捻りで敵に視線を向ける。

想定より近い。

射撃しながら距離を詰めてきたのだろう。

敵との間に巨大な一枚板にすら見える大剣の刃。

受け止めなければ真っ二つ。

白刃取りが間に合う。

 

「ぐあっ」

 

通電。

白刃取りを予期していたのだろう。

技術や根性に関係無い筋肉の反応として肉体が硬直し、受け身も取れずに空中で無防備に。

そのまま刃が押し込まれ……。

生存本能から放たれた念動力による衝撃波が大剣とその持ち主を吹き飛ばした。

 

――ミッ!

 

ぽーん、と、アタックを食らったバレーボールの如く跳んで行く戦闘形態の二ー君。

壁にぶつかりポテッ、と床に落ちた。

 

「うおっ、すまん二ー君」

 

急いで変な形に壁をひしゃげさせた二ー君の身体を拾い、崩れた内部構造を修復する。

これもトレーニングの一環。

可能な限り生身の人間に近い身体を再現し、その上で変身した誰かとの組手を行う。

強い相手を改めて用意しなくても相対的に強敵との戦いのイメージをつけられるという点でとてもエコロジーで長く使える鍛錬法ではある。

 

が、超能力が本能に染み付きすぎている為に、本当に死ぬ、という場面では常人への擬態が解けてしまう。

STGのオートボムの如く勝手に超能力が周囲の障害物を全力で跳ね除けてしまうのだ。

特訓で死ぬのも馬鹿馬鹿しいのでそれはいいのだけど、タイミングが悪いと組手をお願いしてる相手にも結構なダメージが入ってしまうという問題がある。

なのでこうして理屈の上では不死身であり、正直ちょっと壁にぶつけてもそんなに罪悪感のわかない二ー君に組手をお願いしてるのだが……。

 

――あ〜おぅ、のわぁん……

 

不満そうな声。

テレパシーによりある程度の意図が読み取れ、変身もスーツも無し、超能力まで使えない状況なら一目散に逃げた方が生存率は高くなるんだから、組手をするなら力を調節した変身くらいしろよ。

せめて最低限の変身くらいはしてもらわないと反射の反撃でこっちの身が持たない、と言っている。

それはそう。

 

「そう言わないでおくれよ、こんな事に付き合ってくれるのは二ー君と他に何人かしか居ないんだ」

 

一番丁度いいのは中村君の外装無し鬼形態なんだけど、なんでか休みの日にも支部に通って書類仕事とかしてるし……。

そうでない時はあおが引っ張ってデートに連れて行ったりしてるから頼みにくいんだよ。

俺主体で鍛えるトレーニングに難波さんを巻き込むのも気が引けるし、ジルとグジルでも反射衝撃波で内臓破壊したりするのも気が引けるし。

怪我させてもそんなに罪悪感無いのは人権無い不死身の二ー君くらいなんだよー、頼むよー。

 

――シャーッ!

 

バリバリッ(高圧電流の音)と手の甲を引っ掻かれてしまった。

次いでたしんたしんと肉球が床を叩く。

自作ちゅーるの新作を二本置く。

苛立たしげに肉球が三度たしんたしんたしんと床を叩く。

三本目を置く。

吸着肉球で素早くちゅーるを回収し胸部スリットに滑り込ませ、そのまま踵を返して去っていく。

念動力で捕まえようとするも、それもするりと抜けられてしまった。

あぁん、いけず。

今日はもう付き合いきれん、という事なのだろう。

 

うーむ。

仕方ない。

今日のところはトレーニングは終わりとするか。

 

―――――――――――――――――――

 

「ちょっとはおちついたほうがいい」

 

家に帰り、リビングで新たな装甲服の素材をこねくり回していると、とうとうジルにまでそんな事を言われてしまった。

 

「落ち着いてなく見えるか」

 

「落ち着いてる奴は飯食うテーブルの上でファンガイアの残骸パズルやらねーからな?」

 

グジルの無慈悲な指摘。

これはファンガイアじゃなくて別種の欠片なんだけど、まぁ、そういう事を言いたいのでは無いのだろう。

 

「そこまでソワソワするような相手か?ファンガイアってさ」

 

「お前の時代にも居たのか?」

 

「いや……たぶんそんなに見たことは無いけど、この時代ではちょくちょく見るよ。正直、標的としては普通じゃね?」

 

「まぁな」

 

この世界においてはともかく、キバ世界においてはファンガイアと人類の戦力差は歴然で、人類はファンガイアに飼い殺しにされる事でなんとか生き残れている。

なんて説もあるが、正直キバ世界においてもそこまで圧倒的な差がある訳でもない。

そもそもの話として、最終アプデ後のイクサなら使い手次第でチェックメイトフォーすら撃破し得る程度の性能になる。

そしてイクサは既存の軍用パワードスーツの改造品だ。

例えば国がファンガイアの存在を認知して本気出して絶滅戦争にもつれ込めばキング以外はなんとかなってしまうだろう。

 

この世界においても言わずもがな。

しかし、ファンガイアが吸ってるライフエナジーは人間由来のものである以上、アギトやオルフェノクの因子を持つ人間のライフエナジーを吸い続けた古参のファンガイアは桁違いに強い、という可能性もある。

だからこそ、既存のアンチファンガイアシステムであるイクサの調整を早め、アプデが済んだらそれも含めて量産できるよう再設計した図面を引き、なごみさんの為に新しいスーツを用立て、俺がファンガイアと戦う為の新システムを作ってる訳である。

訳であるが。

それは本題ではない。

 

俺が認識できる範囲に存在する、最後のアクティブな人類敵対種族がファンガイアという事になる。

これらを滅ぼすなり、人間に手を出さないようにするなりすれば、ひとまずではない平穏が訪れる。

 

本当に?

 

そういう疑いが出てしまっている以上、中々落ち着いてもいられない。

たぶんこれは、死んでも収まることは無いのだろう。

 

 

 

 

 

 





☆招来獣!
の掛け声と共に巨大ロボに変形できるリンビーストが出せるのは一握りの鍛え抜いた猛者だけ
マラークやミラーモンスターの親戚
諸々の神や超能力者由来のモンスターの発生形式を再現した技
鍛え抜けば巨大化した自分のボディを精製しそれを運転する事で擬似的に巨大化することも可能
当初は何パターンかのリンビーストを事前設計しており、その設計図を拳士の脳味噌に直接記憶転写することで実体化のボトルネックを解消する予定だった
が、超能力由来の生成物でありマラークやミラーモンスターと同じく物理法則からある程度解き放たれており
構造をある程度理解してる馴染み深い実在玩具や強いイメージの理想像、魂に鋳型が残っている今は居ない元ペットなどでも巨大な状態で十分動ける形で実体化できる事がわかってしまった
魔化魍の発生プロセスを乗っ取ることで生成を簡略化できる関係上性質はモンスター寄りであり、当然これら生成物であるリンビーストは魔化魍をはじめとした怪人に通じる火力を持つ
逆にリンビースト生成プロセスを完全に掌握していれば魔化魍を制御可能状態で生成できるので
このバケガニで貴様を始末してくれる!ということもできる
猛士にバレると結構不味い

☆昨日より今日、今日より明日の方がもーっと強くなれるよね、ハム太郎?
僕はそうは思わないのだ
人は強くも弱くもなるから、意識して強い方向に変わって行かないといけないのだ
根拠なく未来は良くなると思って努力を怠るのはカゴの中で飼われたまま死ぬネズミと変わらないのだ
だから、完璧を標榜して立ち止まったならそれは死んでいるのと変わらないのだ
良くなるにしろ悪くなるにしろ、生きていたいと願うなら走り続けるしかないのだ
へけっ!

☆何者かわからんけど新しいイクサの人に当たりキツくない?
画面のなかのキャラクターとして見てるぶんには前半の傲慢キャラもあーね、そんな感じね、で済んでたが……?
後々運が良ければ精神的に成長する筈だと知っているけど、青空の会で関わる中で生の性格に触れ、こいつ本当に成長するのか?と疑っている
親の過ちを正すのではなく裁くという方向で動いてる時点でもう取り返しつかねぇんじゃねぇかなぁ
と、カブトの年に新聞で議員の自殺記事を見て思っていたらしい
折角災害乗り越えて互いに生き残った親子がさぁ……

☆無事最新の装着者に引き渡されたイクサ
まぁ前任者もいい加減実年齢三十越えて肉体的に全盛期は過ぎてしまっただろうから、ええやろ
という表向きの理由で原作の装着者に引き渡される
現在ライジング実装待ち、バーストモード制限時間無し、スマブレの技術が合流しておりイクサカリバーはやや多機能化
なんやかや野良のファンガイアなら十分倒せるくらいの性能が保証されている
この時代で替えが効かない装備かと言われるとうーん
新しく始めたばかりの人はイベントアーカイブで拾っておくとストーリー進めるのに便利ですよ、として勧められる配布キャラみたいな扱い

☆雑に特訓相手に選ばれる二ー君
頼られて鼻が高いのと扱いが悪いでトントンくらい
いい加減ちゅーるは自力製造できるが、それは外食しなくてもレシピ見て自炊すれば同じご飯は食べれますよね?と言っているようなもの
普段は普通の猫の飯を食べて舌をリセットしている

☆最後の敵ファンガイア
最後の敵がファンガイアかぁ
バットファンガイアというかダキバをどうにかすればまぁ
という気持ちにはならない
見えないとこにゴルゴム居たじゃん!
ガイファードのストーリーも何処かにあったじゃん!!
地球の記憶あったじゃん!!!
見えてる範囲の敵は最後なのに絶対最後にはならないだろうと戦々恐々している

☆アギト超能力戦争見ました?
まだ観てない人というのもそんなに居ないと思いますが
ウチのSSだとあの世界には辿り着きませんのでご安心
ギルアギトに関する話とかはそのうち触れるかもしれない
でもなぁ、一人滅茶苦茶便利な能力者がなぁ


これは一応幕間という事で一つ
正直幕間と本編の境目も曖昧ではあるのだけど
あいかわらず手探りで進めていきます
一部原作キャラの扱いがアレになるかもしれないという予想はあるけど
そう言いながらマトモに原作キャラに絡みにいけないのがこのSSみたいなところはあるし
マジでどういう話になるかは決めてないけどそれでもよろしければ次回も気長にお待ちください
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