ラウラの扱いにめっちゃ悩みましたw
side 一夏
「納得出来ませんよ!」
大声で風華が叫ぶ。俺と風華の部屋だからいいけど食堂とかなら迷惑になっていただろう。今風華は楯無さんに食ってかかっている。
「人を一人殺しかけておいて処分が自室謹慎に反省文!?軽すぎんですよ!」
「まあ確かに軽すぎるんだけど、しょうがない面もあるのよ」
そう言って楯無さんは苦笑いを見せる。
「仕方が無い面・・・?」
「篠ノ之箒が篠ノ之束の妹であると言う事実。篠ノ之がIS学園に居るのもそれが理由だ。そうでなかったら今回の事で退学処分にされている。しかしそんな事をしてテロ組織にでも人質にされてみろ。何が起こるかわかったもんじゃない」
「束博士が篠ノ之の為に何かするとは思えないんですが」
「関係ないさ。実際に何もしないにしても
そういった瞬間に風華の顔が少し歪む。それを抱き寄せてベットに座る。
「そうね。織斑先生がこの学校に居るのはどこかの国に世界最強を居させない為ですもの」
楯無さんは苦笑いでおねーさんの前でイチャついてくれちゃって、と言っていた。
「取り敢えず箒ちゃんの処分はアレで決定。覆る事は無いわ」
そう言って締めくくった後、楯無さんから書類の束を渡される。
「今の夜空君にとって重要なのはこっちね。来週から転校生が来るのよ」
「転校生・・・ですか」
「フランスとドイツ。それもデュノア社から」
渡された書類をめくり、確認する。
「・・・男性操縦者」
「そう、おそらく偽装のね」
俺が男性操縦者であると知れた以上、何時かは来ると思っていたが、まさか男性操縦者に仕立てあげてくるとは思わなかった。
一応気をつけてね。とだけ言って楯無さんは部屋を出ていった。それを見届けてから風華の頭を撫でていると、唐突に抱きしめられた。
「・・・お願いします一夏さん。簡単に死なないでください。もう私の前から大切な人が居なくなるなんて経験をさせないでください」
俺の胸に埋めた顔からは涙を流していて、俺はまた彼女を不安にしていたんだな。と気づく。
「ゴメンな・・・」
絶対なんて約束は出来ない。この世界では何が起きるか分からないから、絶対なんて軽すぎる約束は出来ない。それでも俺はできる限り彼女を悲しませないように。
そして彼女と二人でこれからを生きて歩いて行きたいと思う。
―――――――――
side 風華
あのアリーナでの事件から一週間。つまり今日は転校生がやって来るのと同時に篠ノ之の謹慎が解ける日でもある。教室につくとやはり十代女子の特徴か、転校生の噂で持ち切りになっていた。
そこにブリュンヒルデ様が山田先生と共に入って来て、挨拶をする。
「諸君、おはよう。早速で悪いが今日から転校生が加わる。入って来い」
その言葉と同時に教室内に入ってくる金と銀。その片方を見て教室中が驚くが、私と一夏さんは来たか、という気持ちで見つめる。
そして、金髪の
「フランスから来ました。シャルル・デュノアです」
そう言って、華のように笑う。
「宜しくお願いします」
そして、教室に爆弾が落ちた。
女子の嬌声と言う爆弾が。
「男子!二人目の男子よ!」
「一組で男子を独占よ!」
「今年の夏コミは織斑×デュノアで決まりね!」
ちょっと待ってください。最後の腐った思考の方は待ってください。一夏さんはホモでは無いですし、一夏さんは私のです!
「静かにしろ!もう一人の紹介がまだ終わっていないだろう!」
ブリュンヒルデ様の一言で場が静かになり、もう一人の銀髪の方へ視線が向かう。それを受け止めながら、腕を組んで目を瞑ったまま、仁王立ちをする少女。
「挨拶をしろ、ラウラ」
「了解しました。教官」
「ここは軍では無い。私の事は織斑先生と呼べ」
「了解しました」
短いやり取りを終え、こちらに向き直り綺麗な休めの姿勢のまま、
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
それだけ告げると再び黙り込んでしまった。
「あの〜、以上・・・ですか?」
少し遠慮がちに山田先生が聞くが、
「以上だ」
取り付く島もないとはこの事なのでしょうか。クールとかそんなレベルではなく、他者と関わることを拒絶していると言う感じです。そんな彼女は、少し教室内を見渡すと、真っ直ぐに一夏さんの机の前まで歩き、一夏さんを睨みつけます。
「貴様か・・・」
その一言と共に乾いた殴打音が鳴り響き、ラウラと名乗った少女の平手打ちを一夏さんが受けていました。
「私は認めない・・・、貴様を、貴様という弱者の存在を!」
そう叫ぶラウラさんに向ける一夏さんの目はあくまで静かなもので、
「俺はアンタから恨みを買うような真似はした覚えが無いんだがな・・・」
「恨みを買うような真似、か。貴様が教官の足を引っ張り、未だ尚弱者である事。私が貴様を恨む理由などそれだけで十分だ」
それだけ言ってラウラさんは席についてしまい、微妙な空気が漂う中、
「自己紹介は終了だ。聞きたい事などあれば休み時間にしろ。次は実習授業だ、遅れるなよ」
とのブリュンヒルデ様の一言で全員が準備に戻っていきました。
side 一夏
何故かラウラにビンタされた後、俺はシャルルを連れて更衣室に向かう。少し話した感じや、立ち居振る舞いを見て、シャルルが女である事を確信する。楯無さんの情報を信頼していない訳ではないが、改めて確認する。
「早いんだね、着替えるの」
「まあ朝は実習だとわかっていたからな、最初から下に来ていただけの話だ」
へぇ〜と相槌を打つシャルルを眺めながら、更衣室をでてグラウンドに向かう。
「やっほー一夏。あんた早速転校生とトラブったんだって?」
「情報が早いな、鈴」
今回の実習は2組との合同のため、この場には鈴もいる。そしてついさっきの話なのにどっから仕入れて来たのやら。
「認めない、とさ。よっぽど俺が気に入らないらしい」
「あんたねえ・・・。ま、あんたが不幸なのは今に始まったことじゃ無いけど」
「・・・否定出来ないな」
軽口を叩きながら列に並ぶ。そこにジャージ姿の織斑経論が立ち、
「それでは今日はISを実際に扱ってみようと思う。が、その前に折角専用機持ちも居ることだ。実際のIS戦闘がどの様なものか見てみようと思う。オルコット、凰」
名指しされた鈴とセシリアさんが前に出てISを展開する。
「それは構いませんが、お相手は鈴さんで宜しいのでしょうか?」
「少し待て、今来る」
そういった直後に、上空から何かが落下してくる様な風切り音が響き、同時に
「ど、どいてくださああああああああああいいいいいいいい!!」
と言う叫び声が聞こえ、上空からラファールを纏った山田先生が落下してくる。
「風華!」
「はい!」
視認と同時に風華に声をかけ、行動を起こす。
風華が左腕の特殊武装を展開、そこから捕縛用のワイヤーを巻き付け、ラファールを生徒の列から離すように放り投げる。そして放り投げられたラファールを俺が極夜を展開して受け止める。
「・・・元日本代表候補生の名が泣きますよ。山田先生」
「うぅ・・・、面目ないです」
そう言って浮遊する山田先生。それを尻目に織斑経論が声を上げる。
「お前ら二人の相手は山田先生だ」
その一言にセシリアと鈴は表情を歪ませる。片方は怒気で、片方は渋面で。
「ハッ、あたしら二人でも山田先生の足元にも及ばないって?見た事も無いくせに随分とまあこっちを過小評価してくれるのねブリュンヒルデ様は。傲慢さも世界一って事?」
「教師に挑発をした挙句に文句か。そういう台詞は勝ってから吐いたらどうだ?」
「ハッ、言われなくてもやってやりますよ。チート武器引っさげた馬鹿みたいな
それだけ言って鈴はセシリアさんに向き直る。セシリアさんは怒った鈴を不安そうに見ているが、鈴は一度本気でキレると逆にクールダウンするタイプだ。
「セシリア、後衛頼むわ。前線で掻き回すから、指示があったら言って」
「了解しましたわ、鈴さんも要求があれば言ってくださいまし」
それだけの短いやりとりの後、鈴の〝甲龍〟とセシリアさんの〝ブルー・ティアーズ〟が上空に、そして既に浮遊していた山田先生の〝ラファール〟と向かい合う。
「行くわよセシリア。あの最強様に一泡吹かせなきゃ気が済まないもの」
「ええ、後ろはお任せ下さい」
「お、お手柔らかにお願いしますね〜」
気合十分な二人を前に真剣な表情の山田先生。そして試合開始のブザーが鳴り響く。
「ぶっ潰す!」
「踊りなさい。このセシリア・オルコットと〝ブルー・ティアーズ〟の奏でるワルツで!」
「行きます!」
三者三様の言葉を叫ぶやいなやラファールが後退。それを追従する様に甲龍が突っ込む。
「ハッ!」
裂帛の気合と共に振り下ろされる二振りの青龍刀を、ラファールが避けるが、弾き飛ばされる。
恐らく剣は囮で、本命は衝撃砲による攻撃だったのだろう。吹き飛ばされたラファールにブルー・ティアーズのビットが追撃をかけるが、すぐに機体を立て直し、回避する。
「チッ、あわよくば落とせるかとも思ったのに!」
鈴が舌打ちをするが、山田先生は元がつくと言っても代表候補生。その実力とて並大抵では無い。
機体相性により鈴とセシリアさんのコンビは前衛後衛がキッチリと別れてしまう。それ故に行動がパターン化してしまうのが辛いところか。
そう思っていた矢先、山田先生がラファールの両手に二丁の大型のマシンガンを展開。弾丸をバラ撒き始める。ブルー・ティアーズの前に甲龍が立ち、青龍刀二本を連結させたダブルセイバーを回転させ弾丸を弾く。甲龍のシールドエネルギーも削られるはずだが、元々燃費のいい機体。ブルー・ティアーズにダメージを行かせない様にするには最適だと思う。
突如ラファールの両手のマシンガンが爆散し、ラファールのエネルギーが削られる。射撃元はブルー・ティアーズのライフルで、あろう事か銃口はラファールの反対側を向いている。
「
それに動揺した山田先生が隙を見せてしまったのが運の尽きか、ダブルセイバーから再び二刀流に戻した甲龍に乱舞を喰らい、瞬く間にシールドエネルギーが削れて行き、この勝負はセシリア、鈴ペアの勝利で終わった。
「すごいですねお二人とも。なかなかのコンビネーションでしたよ」
「ありがとうございます。でも結構危なかったですけどね」
そう言って鈴が苦笑する。事実、セシリアさんの偏光射撃が無ければ、マシンガンを展開された時点で詰んでいた可能性が高い。途切れることの無い射撃で削り殺す戦法を得意とする山田先生が弾切れを起こすとは考えにくい。あのままだと削り殺されていただろう。
「さて諸君。負けてはしまったが教員の実力は諸君も把握しただろう。これからは敬意を持って接するように」
苦い顔をしながら織斑教論が告げる。それに対して、鈴はざまあみろとでも言わんばかりにドヤ顔をしていた。
その後、グループを作れと言われた途端俺とシャルルの所に女子が殺到したりと、少し揉め事はあったが、問題なく授業は終了した。
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