初投稿。修正点は逐次直します。アドバイスなどがあればお願いします。
これはとあるトリオン兵のお話。人化の予定は一切ございません。
もしかしたら、続きを書いたら、あとあとボーイズラブ要素が入るかも知れない。

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3日でUA404(Not Found)、お気に入り10件達成。皆さん飢えすぎじゃあないですかね。
すみませんものすごくうれしいです


捕獲は討伐よりつらい

俺はラービットだ。

突然変異なので他のラービットより耳が長く、体の色が真っ黒なのが特徴だ。

あとちょっと小柄なわりに収められるキューブ量が多く、そのぶん攻撃力は低い。

捕獲用ってよりは工作用って感じだ。

特殊な能力が備わってる同族はそう設定されたにすぎないけど、量産型のプレーンとして産まれた俺は独自の進化をして本来なら持ち得ない特殊能力を手に入れた。

その名も“修復”。

人体は1日250人まで、建物なんかの建築系物質は1日3000cm³までならどんな損傷でも修復できる。

人体を治すよりも建物を直す方が格段に楽だ。

ちなみにこの数字は人体と建築系物質の修復を両立した場合であり、どちらかを修復しないとなるともう片方の修復できる量は倍くらいにはなると思う。

計算が面倒なので考えたくないが。

 

何かで読んだが俺たちラービットを造るにはかなりのコストがかかるそうで、そんなラービットを大量に投入して何をするのかと思えばただ人間たちを弄ぶだけ。

いったい上は何を考えているのか、あちこちに落ちているキューブを“4本”の指で掴んで拾いながらそんなことを思う。

今日十何度目にもなる巡る思考に、呼吸器官がないのも忘れてため息をつきたくなった。

キューブを6個も回収したかというところで戦闘音が耳に入り、兎っぽい耳がピコンと立って情報を集め始めた。

ラービットが2匹…と、ボーダーが1人、かな。

押されぎみらしいと覗きに行ってみれば、そこにはランバネイン型と向かい合うB級の姿があった。

B級は瞬く間にキューブにされ、俺は内心ため息をついてランバネイン型に飛び蹴りを入れる。

思ったよりぶっ飛んだランバネイン型は3戸の家屋をぶち抜いたので、開いた穴をくぐってランバネイン型を追った。

瓦礫から起き上がろうとしていたランバネイン型の頭部を踏み潰してとどめを刺し、割り開いた腹? 胸? から出したキューブを体内にポイ…あ。

 

気づけば俺は、大勢のボーダーの視線に晒されていた。

想定より弱い個体だったランバネイン型がぶっ飛んできたここは、状況を見るにおそらくC級たちの撤退経路だったんだろう。

じっと見つめられていたたまれなくなった俺は開きっぱなしだった胸をパタンと閉じ、そーっと一歩だけ後退した。

いざ逃げ出そうとしたところでふと後ろに戦闘音を感知し、そちらを振り向けばちょうど片足のないA級がキューブにされたところだった。

A級ってことは相応に強い人員ってこと…ネイバーフッドに持っていかれないうちに回収せねば。

『キューブをネイバーに渡してはいけない』とガイアが俺に囁いているのだ。

俺はC級に狙いを定めたプレーン型に向かって低姿勢で駆け出し、ある程度肉薄したあと地面についた腕を軸にロンダートの要領で体を捻ってプレーン型の首に足を絡ませる。

捻りを利用して地面に叩き伏せたあと3回に分けて抉り出した目を割り、沈黙したプレーン型からA級のキューブを取り出した。

抉り出した目が意外と固かったので、たぶんこの個体は俺より少々強い個体だったんだろうな。

…さて、このキューブどうしようか。

ざっとあたりを見回したとき、ふとメガネくんに目が止まった。

メガネくんと手元のキューブとを交互に見た後、俺はキューブをメガネくんに渡すことにした。

メガネくんに向かってキューブを差し出すが、メガネくんは俺にレイガストをつきつけるばっかで受け取ろうとしない。

伝わってないのか?

メガネくんの眼前にキューブをつき出して上下に揺らす。ほれほれ。

 

「ここで木虎さんのキューブを手に取ったらたぶん殺られる…なら先に殺ったほうが」

 

いや、そこは受け取っとけよ。

敵が塩送ってんだぞ?

もしこれが囮なんだとしても攻撃をしのぐくらいは普通に…あ、できない?

まったくもう…いいよ、これはあとで修復して返し──あれ、修復?

そういや“修復”って、どんな損傷でも治すことができたよな?

つまり、キューブ化を状態異常だと考えれば…治せる?

…よし。

物は試しとキューブを胸の前に持ってきて両手で包み込み、微量のトリオンを注ぎながらキューブからゆっくり手を離していった。

トリオンが集束し、キューブが変形して人型を形作る。

それはやがてキトラと呼ばれた女性になり、彼女は傷ひとつない体を見下ろすと不思議そうに首を傾げていた。

復活に気づいて駆け寄ったメガネくんと言葉を交わし始めた彼女を尻目に身を翻し、プレーン型と共にいたらしいラービット1匹に飛び蹴りをかましてから逃げ出した。

C級を背負った彼らと戦うことになっても勝てる見込みが薄いのにこれ以上の戦力が来られたら負け確なので、こういったときは逃げるが勝ちなのだ。

すたこらさっさと逃げた俺は他のラービットからキューブを奪っては体内にため込み、俺にキューブを奪われたラービットが反撃してこないのをいいことに次のラービットのところへと駆ける。

順調に容量を埋めていく俺だったが、ふと気づいたことがあった。

すなわち──落ちてるキューブの量増えてない?

さっきもこの道を通ったが、そのときキューブはなかったはず。

見たところラービットの死骸もないし、上が…ネイバーがなにかしたんだろうか。

…仕事が増えたな。

はぁ…。

 

 

落ちているキューブを集めて黙々と体内に収めていけば、大通りにある分だけで容量の半分くらいが埋まった。

それまでの分とあわせれば、残りは3割あるかないかってところだ。

亜種と呼んで差し支えない俺にはキューブ化する能力がない代わりにキューブをさらに圧縮する能力があって、そのおかげで通常のラービットよりも保管容量が多い。

やっぱり工作用ってより運搬用かもしれないと思うくらいには。

それでも足りなくなりそうなほどになるってことは、まず間違いなく人型が出てきているってことだ。

能力を鑑みれば、たぶん黒トリガー“卵の冠”。

使用者は、えーっと…誰だっけ?

…。

…そ、それはいいとして、近くでまた戦闘が起きているらしい。

戦闘音がする方がものすごく気になるのはもはや性なんだろう、俺はクラウチングスタートの姿勢になると大通りを外れて住宅地に出た。

住宅地のにはたくさんのキューブとメガネくん、メガネくんを背にして立つA級、それと思った通り人型ネイバーがいて、彼らは激しい戦闘を行っていた。

メガネくんの後ろを逃げていくC級が人型ネイバーの放つ鳥やら魚やらで次々とキューブ化され、その中の1つが俺の方に流れてきた。

『流れ弾! やばい!!』と思ったのもつかの間、寄ってきた鳥を振り払えば腕がぐにゃぐにゃと揺らいだがすぐに元の形を取り戻した。

確かに鳥にあたったはずだけど、俺の体はキューブ化されていない。生きてるってことだ。

深く安堵し、1つのキューブを抱えて大きな建物へと走るメガネくんを拾い上げた。

あれが基地だろう。

メガネくんをしっかりと抱えてボーダーの基地へと疾走し、すぐにつきあたった高くて硬い壁を走って垂直に上り基地の屋上に立った。

ちょっとやそっとでは死なないのでロ型になっている中庭に落ち、足に感じる衝撃を足をフルに使って殺しきったところでメガネくんを脇におろした。

ボーダー隊員が即座に取り囲んでくるのを無視してキューブを取り出し、怪訝な顔をする彼らの前でキューブの中身を“修復”していく。

最後に手を伸ばしたのはメガネくんが抱えていたキューブで、ラスイチのキューブを修復したあと俺は床に倒れ込んだ。

疲れがどっと押し寄せた感じだ。

トリオン兵に睡眠は必要ないはずなのに、なぜか知らんがすごく眠い。

まどろんでいると暖かいものが俺に触れたので、引き寄せて抱き枕にした。

おやすみ。

 

 

side:第三者

 

そのネイバーは異常だった。

いや、正しい呼称はトリオン兵だっただろうか。

今日現れたラービットの中でも特に黒い配色がされたラービットで、基地の中に乗り込んできたかと思えばただ修とキューブ化された隊員を運んだだけ、しかも敵勢力を助長させることになるキューブ化を解くという行為を行ったのだ。

鬼怒田がキューブの修復にあてるトリオンが浮いたことと新たな研究対象を見つけたこととで小躍りしそうな勢いを見せるなか、基地に帰還して修から大体の事情を聞いた遊真が真っ黒なラービットに近づいた。

 

「ありがとな、オサムとチカを助けてくれて」

 

遊真がそう言って通常より長めの耳の上を撫でれば、ラービットは遊真の腕を掴んで遊真を引き倒したあと大きな腕で巻きつくように遊真を覆った。

 

「お? おぉ…ぉ、おぉ?」

 

一瞬緊張が走るが、絡みつかれた本人がのんきかつ面白がる声を出している上ラービットもそれ以上動くそぶりを見せない。

人間が目をつぶるようにラービットもトリオン兵の急所である目を守る口のようなシャッターを下ろし、遊真をしっかりと抱えて完全に寝に入っていた。

今のところ危険性はないようだと判断した隊員たちは迅という見張りを置いてそれぞれ基地内へ撤収し、修と千佳もバイタルチェックを行うということで鬼怒田の待つ研究室へと向かった。

迅はタオルケットを1枚持ってきて遊真とラービットにかぶせ、その場に座ってラービットの背中に寄りかかった。

 

「じんさん、おれトリオン体だからフトンはいらないよ」

 

「いいんだよ、気持ちの問題だから」

 

「ふぅん…じゃ、受け取っとく」

 

遊真はタオルケットの端を掴んでラービットにかけ直し、トリオン体に訪れるはずのない睡魔に身を任せた。

迅も腕を組んで目を瞑り、あとには穏やかな夜の帳が2人と1体を包んでいた。




続くかもしれない。
ラービットが空閑を押し倒したのはトリオンを補給するため。

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