俺は、スーパーザンクティンゼル人だぜ?   作:Par

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今更ですが、また独自の設定が出てきます。原作と違うと感じる点は、かなり多いと思いますのでご注意ください。



【朗報】オリ主、言うほどガチャ爆死ではなかった
【悲報】なお、仲間は


縁を感じろ、強敵〈とも〉となれ。風はいつでも吹いている。

 ■

 

 一 俺待つわ(常識人を)

 

 ■

 

 旅の中で必要な物とは、色々あるが騎空団を立ち上げた以上武器が必要なのは言うまでもない。もともとばあさん経由での武器は、色々と持っておりミスリルを使った武器は全種類あったし、丈夫で使いやすいため基本それを俺は愛用している。

 さて、旅立ちの時質が良い悪いもバラバラな武器がランダムに入っている三つの箱の一つを選んだ俺だがその中身のほとんどが到底武器と思えぬものが多かった。

 具体的に言うと【割れた酒瓶】【ハリセン】など完全にネタである。これを入れたばあさんのいるザンクティンゼルに向かって吠えた俺の気持ちたるや……。だが普通に武器として使えてしまったため、複雑な気持ちが俺を支配した。

 他に【ハンターライフル】、一見宝石を埋め込んだ良い銃に思えたが、何か知らんが頻繁に暴発する。前の使用者のクセでも残ってるのだろうか。ポンコツである。

 【ブラストヘヴィナックル】、バチバチ蒼い光がうるさい手甲。格闘戦では、かなりいい感じ。

 【ナイトベル】、小振りの鐘である。夜中鳴らすとよく寝れる。武器? だがばあさんの特訓により楽器すら魔力を操り武器として使えるので武器である。

 【ホワイトソード】、実に素直な直剣。実際は儀礼用らしく武器としての使用は、あまり期待しない方が良いだろう。

 【ブルークレスト】、蒼い刀身が実に美しい剣で質も結構なもので、箱にあったまともな武器の一つ。

 【ライトスタッフ】、結構な呪い耐性力をもつ杖。悪くは無いがシェロさん曰く、俺が使うにはちと弱いので、対呪能力を期待したお守りとしての方が優秀。

 【クラウ・ソラス】、めちゃくちゃいい剣──のレプリカだそうだ。本物のクラウ・ソラスは、本来なんたら騎士団とか言うとこの団長殿だけが手にしてるはずなので、ここにあるのはおかしいとシェロさんの談。けど単純な武器としては、本物と遜色なく優秀なので入荷し箱に入れてくれたらしい。

 【ソウルイーター】、鎌。デカイ鎌。三日月形の鎌にはボロ布が少しまかれててイカすと思う。いいね、こう言うのだよこう言うの。

 全体的に見て、「あれ、いいじゃん?」って最初なりそうだった。だが、どうも一部ハンターライフルやブラストヘヴィナックル、より良い武器のはずのソウルイーターなどから嫌な予感がする。ナイトベルあたりも何とも言えん。クラウ・ソラス(レプリカ)も何故だろう、なにか胸騒ぎがする。

 ばあさんが言っていた。「特に人と縁が強い武器を選んだ」と。

 武器がよかろうと、はたしてその縁はどうなのだろうか。少し前に仲間になったラムレッダと言う例がある。彼女がしょっちゅう戦いで使うのがでかい酒瓶で何時も酔っ払ってる事から、【割れた酒瓶】が引き寄せた縁なのだとわかる。

 だが今後もきっと俺は色んな武器を手に入れるだろう。その縁で様々な人達と出会い、仲間になるかも知れない。

 仲間になるのなら、ぜひ常識人が多めに来てほしい。特にうちの面子を制御できる人材募集中。【星晶戦隊マグナシックスとB・ビィくんマン&均衡少女ZOY】(と俺)は、いつでも仲間を募集してるぜ!! 

 

 ■

 

 ニ フェイトエピソード 強い奴に会いに行こう

 

 ■

 

 少年は、ある噂を聞いた。

 少年は、強き者を求めた。

 少年は、故にその噂の者を探した。

 少年は、夢があった。

 少年は、信じた。

 拳で語れぬ者はいない。拳で通じぬ心は無い。

 強さとは心、心とは強さ。

 心の強さを拳に乗せて、交わす拳の語り合い。

 口でわからぬことあれど、拳でわからぬ事は無い。 

 拳を信じる者ならば、心を信じる者ならば。

 口で語るな、拳で語れ。

 己が魂たぎらせて、その手を握り力を籠める。

 強敵(とも)よ待ってろ、そこへゆく。

 俺の拳を受けてくれ。

 お前の拳を魅せてくれ。

 だから闘う、己のために。

 だから闘う、強さを求め。

 だから闘う、君と強敵(とも)となるために。

 

「あんたが【星晶戦隊マグナシックスとB・ビィくんマン&均衡少女ZOY】の団長だなっ!! さぁ! 拳で語り合おうぜ!!」

「お断りします」

 

 

 ■

 

 三 強い奴が”遭い”に来た

 

 ■

 

 魔物討伐依頼を報告しに行った帰り、なんか知らん奴に「殴り合おう」宣言されてドン引きしてる。

 

「いや、誰君?」

「おっとすまねえ、名乗るのが遅れちまった。俺はフェザー! さあ、拳で語り合おう!!」

「あー……うん、ちょっと待って」

「待つぜ!!」

 

 これはヤバイ奴に絡まれたかもしれない。少しばあさんと同じ気配がするのもいただけない。見たところ暑苦しい俺と同じ歳ぐらいの少年だが、相当な実力者であるようだ。ううむ、一発で相手の実力見抜けるようになってるなあ俺。

 

「……どうしよう」

「別にかまわねえんじゃねえか?」

「相手シテヤレバイイダロ」

「にゃ~? 団長君なら、すぐ終わるんじゃないかにゃぁ~?」

 

 今回の依頼メンバーのB・ビィとティアマトとラムレッダによる適当な言葉。誰だこのメンバー依頼で選んだやつ。依頼中B・ビィはビィ気取りで特に戦闘に参加せず、ティアマトもサボるわ、ラムレッダは吐くわ大変だったぞ。それでも仕事はしっかりとしたから文句言えんが。ラムレッダはなんで酔うと攻撃力上がるのだろう。本来修道院出の詠唱魔法の方が得意なはずなのに、始終酒瓶を武器に物理で殴るし。吐くし。

 

「……うん、それでフェザー君、なぜ俺と戦いたいのかね?」

 

 とりあえず理由を聞いておこう。問答無用で殴り掛からないぐらいには常識はあるようだから。

 

「よく聞いてくれた! 近頃、駆け出しの騎空団でありながらメンバーの殆どが星晶獣並みの力を持ちそれを束ねる影が薄く地味だけどやたら強い団長がいると聞いたんだ!」

「その噂流したの誰じゃい」

「俺は知らないな!」

 

 元気がいいね君。

 

「それでかなり強いと聞いた俺は、ぜひ手合わせ願おうと思い噂を頼りにあんたを探し出したんだ! さあ、語り合おう!!」

「落ち着こう、ちょっと落ち着こうか」

「落ち着くぜ!!」

「落ち着こう?」

 

 とんでもねえ噂だ。星晶獣並みと言うか星晶獣その物だが、この際それはいい。影の薄い地味な団長ってなんだ。

 

「確かに地味な感じだが逆にそのおかげで直ぐあんたが【星晶戦隊マグナシックスとB・ビィくんマン&均衡少女ZOY】の団長だとわかったぜ!!」

「うるせいやい」

「それにさっきの魔物との戦い、観させてもらったぜ……間違いない、あんたは強者だ! ぜひ闘いたい、語り合いたい!!」

 

 ああ、暑苦しい暑苦しいよう。苦手だぞこいつ。

 

「やだよ、見てたならわかるけど俺魔物の群れ全滅させて疲れてるもん」

「そうなのか!?」

「そうだよ」

 

 君と会ってからさらに疲れたよ。

 

「……確かに、実力が発揮できない時に語り合ってはあんたにも失礼だな」

「わかってくれたか」

「後日また尋ねる! じゃあな!!」

「わかってくれなかったか……」

 

 フェザー君は、俺の返事を聞かないで走り去ってしまった。

 実にマズイ。これはいかんですよ、目を付けられた……面倒な奴に絡まれてしまう。早急に彼から逃れる必要がある。

 

「急ぎエンゼラに戻り島を離れるぞ!」

「疲レタカラ途中ノ村デ休ミタイ」

「ごめ……途中で、飲んじゃったから……はき、そ……」

「駄目だ相棒、特にラムレッダが動けねえぞこれ」

 

 このしまつ。

 仕方なくその日は、船にすぐ戻らず途中にある小さな村に一泊していった。

 

 ■

 

 四 確かみてみろ! 

 

 ■

 

 村で一泊した後、すぐにエンゼラへと戻る俺達。幸いにもフェザー君は、村に現れず無事やり過ごせたらしい。俺はこれ以上気苦労を抱えずに済むとホッと胸をなでおろし、やっと戻ったエンゼラへと入り込んだ。

 

「待っていたぜ、団長!!」

「うそやん」

 

 まさかのフェザー君であった。

 おいおい、誰だこいつエンゼラに乗せたの。と言うかいつの間にいたのさ。

 

「これがあんた達の船だって言うのは、親切なよろず屋から聞いていたからな! 昨日のうちにこの島で停泊中の船調べておいて、先に上がらせてもらった!!」

 

 ストーカーかな? と言うか、シェロさんなに勝手に教えてんの? 

 

「君の知り合いと言うから船にあげておいたよ」

 

 ちょっとドヤ顔なゾーイ、カワイイ。そうだね、君の純粋な気持ちは大切だね。けどこいつは別に知り合いにすらまだなってない。時間にして五分ぐらいしかあってない。

 

「しかし凄いな団長! 団員が星晶獣並みに強いとは聞いたけど、みんな星晶獣そのものだったなんて! しかもみんな団長と闘って仲間になったらしいじゃないか!」

「うん……まあ、流れでしかたなく」

「うおぉ──! あんた最高だぜ! 俺は、何時か星晶獣とも拳で語り合えるぐらい強くなりたい、そう思ってた。それをあんたはもう可能としてる!」

「あ、うん」

「拳がうずいて仕方ないぜ! さあ、団長!! 今から拳で語り合わないか!!」

 

 これだよ。

 

「相手してやったらどうだ主殿。一回闘ってやれば満足するだろ」

 

 悔しいがシュヴァリエの言う事も一理ある。キラキラと目を輝かせ闘気をその身から溢れさせているフェザー君は、既にやる気満々のようである。

 

「しかたねえなぁ……一回だけだからな」

「ありがとう!!」

 

 とっとと出航して、次の依頼をシェロさんに貰いに行きたいのでとりあえず一回だけ相手してやろう。やだなーめんどくさいなー。

 

「ふっ……やっぱりだ。あんたを前にすると、より気持ちが昂る……」

 

 俺は無用な闘いを前に、気持ちが萎える。

 

「改めて名乗らせてもらうぜ!! 俺はフェザー!! 騎空団【星晶戦隊マグナシックスとB・ビィくんマン&均衡少女ZOY】団長……さあ、語り合おうぜ!!」

 

 団名は別にフルで言う必要ないよ。

 

 ■

 

 五 アニムス見てから幻影余裕でした

 

 ■

 

 語り合いました。

 

「ぐぅ……っ! さ、流石だ……俺が、手も足も出ないなんてな……っ!!」

 

 すまんな、フェザー君。君は確かに強かった。たぶんそこいらの雑兵帝国兵や魔物の群れとかも問題なく一人で対応できるような実力だ。若くしてその実力はすごいと思う。うん、すごいすごい。

 ただやっぱマグナ戦隊の援護有とは言え、マジなプロバハとゾーイと戦った身としてはね、ああこれが人間の強さだよなって感じなのね。同じ人間でもばあさんとジータを知る身としてはね。結局全体攻撃少ないようなので、幻影張りまくったら完封してしまった。

 

「へ、へへ……空は、広いなぁ団長! こんなに強い奴が、いっぱいいるなんてさ!」

 

 爽やか過ぎか。なんか申し訳ない気持ちになるなあ、適当に戦った身としては。

 

「はは……それに、あんたがまるで本気じゃなかったのは、わかってたぜ……悔しいなぁ、たまらなく悔しいぜ!」

「けど楽しそうだね」

「そりゃそうさ! あんたの拳、響いたぜ! 星晶獣とだって語り合える拳……本物だった。やっぱりすげえよ、あんた!」

 

 ……うん、まあこうストレートに褒められるのは、素直に嬉しいな。むふふ。

 

「団長君、顔が緩んでるにゃぁ」

「褒められ慣れてないから……普段から辛い思いしてて……うっうぅ」

「・(。>ω<)・゚カワイソウ」

 

 うるさい、可哀想じゃないやい。

 

「……団長、無理言って闘ってくれたうえに負けた俺が頼める立場じゃないのは重々承知、だが一つお願いを聞いてくれないか」

 

 フェザー君がいきなり神妙な態度になり、今までとはまた違う真剣な表情で俺を熱烈に見てくる。嫌と言っても話してきそうなので聞くしかないだろう。なんか悪いし。

 

「いいよ、言ってみ」

「すまない……団長、あんたの強さと星晶獣達を束ねる【星晶戦隊マグナシックスとB・ビィくんマン&均衡少女ZOY】の団長と見込んで頼みたい! 俺を、団に加えてくれないか!?」

 

 うむ、なんかそんな気はしたよ。あと団名はフルで言わなくていいってば。

 

「あんたの元に居れば、俺は更に強くなれると思う。それに先に船へ来た時、コロッサス達から話は聞いたぜ。あんた星の島を目指してるんだろ? そんな途方もない旅……どれ程の強敵達と出会えるだろうか! 俺は、考えただけでも身体が震えてくる!!」

 

 俺も同じこと考えると震えるよ。ビビッてしまってね。こわいです。

 

「だから頼む、俺をあんたの仲間に、旅に連れてってくれ! 迷惑はかけない、雑用だろうがなんでもやる!」

 

 ん? 今なんでもやるって言ったね? 

 

「依頼での金銭稼ぎ多いけど」

「いくらでも受けて立つぜ!!」

「一人当たりの負担多くて大変かも」

「一人の旅でも似たようなもんだったさ!」

「……けどうち、金欠気味でさぁ……団員増えるとなぁ」

「俺が旅で稼いだルピも勿論団に寄付するぜ!!」

「ようこそ、強敵(とも)よ」

「っ!! ありがとう、団長!!」

 

 俺とフェザー君が熱く握手! 面倒な性格だが素直に戦って依頼をこなしてくれる要員を確保できたぞ。悪くない、悪くないんじゃないこれ? 

 

「お金の絡んだ話になった瞬間目の色変わったな」

 〈金の亡者か〉

 

 うるさいぞ、シュヴァリエとリヴァイアサン。主にお前らの出費が多いから借金が減るどころか増えてんだ。シェロさんが優しいから……うん、優しいから返済期限は、何時でもいいって事になってるけど大変なんだぞ。これが弱みで無茶苦茶な依頼を頼まれても断れないし、なんか近々ようわからん島の古戦場とか言うとこで色々やらされそうだし……あれ、優しい? ……うん、優しい。シェロサンハ、ヤサシイデスヨ。

 

「ああ、団長……戻って来るんだ……っ!」

「~~~~!!」

「ハッ!?」

 

 セレストとユグドラシルに体を揺すられ正気になる。俺今どうなってたの? な、何か疑問に感じてはいけない事を疑問に思ってしまったような、うっ! 頭が。

 

「うぅ……っ!」

「あ、どうしたフェザー君、怪我が痛むのか」

「うぅ……うおおっ! 駄目だ、まだまだ拳がうずいてる! 語り足りないぜ!! 団長、もう一戦どうだ!!」

「お断りします」

 

 心配してそんした。

 冗談ではない、一戦だけの約束だ。俺は疲れたんだ。精神的にも疲れた。しかしフェザー君元気だね、引っ込まなさそうなのでしかたない。

 

「B・ビィ、相手してやってくれない?」

「ええ、オイラかよ」

「いいじゃん、たいして仕事してないんだから」

「しかたねえなあ……ふんっ!!」

 

 B・ビィが体に力をこめると、一瞬で膨張しマチョビィへと変貌する。やはりキモイ。

 

「おお! トカゲ、お前も只者じゃないとは思ったけど、凄いな!!」

「ふぅ~~……オイラは、トカゲじゃねえぜ」

 

 そうだな、トカゲではないな。ドラゴンでもないと思うが。どっちかと言うとB・ビィという謎生物と言うナマモノか。

 

「オイラは、相棒ほど手加減が上手くねえからよ、死ぬ気でかかってきな」

「勿論だぜ!!」

 

 二人は、そのまま外で好きなだけ闘ってもらいながらその間俺達は、荷物の積み込み等出港準備をしていつでも出れるようにした。

 なんともまた面倒な奴を仲間にしてしまったが、まあ仕事を手伝ってくれるならかまわないだろう。きっと何とかなる。

 数時間後、マチョビィにボロボロにされながらも満足そうなフェザー君がいた。

 

 ■

 

 六 メタモルフォーゼだB・ビィくんマン! 

 

 ■

 

 後日、B・ビィとフェザー君が揃って現れた。

 

「相棒、オイラ一つフェザーと連携技編み出したぜ」

「……一応みるわ」

「おう、行くぜフェザー!」

「わかったぜB・ビィ!!」

 

 するとB・ビィが飛び上がりフェザーが拳をかかげた。

 

「うっおおぉぉぉ────ーっ!! 【ブラストへ“ビィ”ナックル】!!」

「ぎゃああああっ!!?」

 

 B・ビィが突然体をグネグネ不定形生物みたいに変形させて手甲型に変形、変身? した。キモイキモイ、キモイ!! 

 

「でやあ! 装着!! B・ビィアニムス・ブロー!!」

 

 その手甲? をフェザーが装着すると光と闇の力の渦が巻き上がり凄まじいパワーを感じた。

 

「っとぉ……どうだ相棒?」

「凄いだろ!!」

「キモイわ」

 

 フェザーが仲間になり、B・ビィの謎が更に増えた。

 

 

 ■

 

 七 日常回

 

 ■

 

 俺の旅というのは、今のところジータを追いかける旅になる。今も彼女が立ち寄った島をめぐりながら騎空団として依頼を受ける日々だ。

 会おうと思えば勿論直ぐにでも会えるのだが俺としては、それは面白くない。やはり彼女の旅の跡と言うのを見てから会ってみたいという思いがある。

 最初に立ち寄ったポート・ブリーズは実にいい島だった。広がる平原に吹く穏やかな風は、体を透き通るようで嫌なものを飛ばしてくれる。薄着では肌寒さを感じるかもしれないがそれでも心地良い風だ。

 

「ソウダロウ、ソウダロウ」

 

 ……あそこの風は騎空士達、とくに操舵士に好まれる船を飛ばしやすい風だ。うちは操舵士という者がおらず通常では船型星晶獣のセレストが「頑張るよ」と星晶パワーで動かしてくれているが、やはりポート・ブリーズに立ち寄った時は動かしやすいと言っていた。

 

「ダロ? ダロ?」

 

 ……ポート・ブリーズに来るまで同行してくれたシェロさんは、今後も困ったら取りあえずポート・ブリーズに寄れとアドバイスをくれた。立ち寄りやすい場所であり多くの騎空士が立ち寄るために物資の補給などがしやすいからだ。確かにその通りで今でもちょいちょいポート・ブリーズへ用事で立ち寄っている。それだけ発展もしたバランスの良い島だと言う事だ。

 

「フフン」

 

 ……ちなみにポート・ブリーズを守護し恵まれた風を吹かせているのは、星晶獣ティアマトである。島の人達は最近まですっかりティアマトの守護を自然と受け入れすぎて忘れていたので、帝国による騒動が起こりジータが物理で解決したのであるが、今ではすっかり「やっぱティアマト様はすげえや」感があるそうだ。

 

「ドヤァ」

 

 うちのティアマトも見習って欲しいものである。

 

「オイ」

 

 いい加減物思いにふけり旅の日記を書いている俺の横で始終ドヤ顔満面なティアマトがウザイ。人の日記覗き込んでんじゃないよ、食堂で書いてる俺も悪いけどさ。

 

「アソコニ居ル、“ティアマト”モ同ジ“ティアマト”ダゾ!!」

 

 いいや、俺は認めないしティアマト(真)に失礼だ。

 

「(真)ッテナンダ!?」

 

 お前忘れたの? 里帰り的な感じだからってこっちの自分に顔出してやるかとか何故か先輩風吹かせてポート・ブリーズのティアマトに会いに行ったらめっちゃ嫌な顔されてたじゃん。

 

「私ハ星晶獣ノ、マグナトシテノ「力」ヲ分ケタ部分ダ。強サ的ニハ私ガ凄イ」

 

 結果ティアマト(真)がお前の堕落ぶりに顔をしかめてたけどな。サングラスつけて花柄シャツ着てちょい腹弛んだ自分が「オッス、元気?」みたいに現れたら誰だっていやだよ。「エエ、コレガ私?」ってショック受けてたじゃん。お前ら星晶戦隊ってふだん他の島とかにいる個体とリンク切ってるから、互いに情報無くて度肝抜いてたぞ。あまりの変わりように。

 あっちとこっちのニル達は親しげだったけどさ。

 

「別ニ私モ仲良カッタダロ」

 

 いや、お前面白がって「我ハ汝、汝ハ我」とか耳元で呟いた所為であっち「オ前ナンテ、私ジャナイ!」と叫んでたぞ。完全にうっとおしい親戚の姉に絡まれてる感じだったよ。気の毒だったわ。

 

「ウルサイ、ソレニモウ腹ハ引込メタ」

「そういってリバウンドするんだお前は、オラオラ」

「アフン……ッ!」

 

 知ってるか、ティアマト(笑)の弱点は、ヘソだ。たとえ引込めても、弛み気味の腹のヘソの位置は、簡単にわかる。つっついてやれ! 

 

「コ、コノ餓鬼!!」

 

 フハハハハッ!! 愚かなりティアマト! 怨むなら怠惰な生活を送り腹を弛ませた己を怨むのだな!! 

 

「ああっ! 主殿がティアマトになんか羨ましいことしている!!」

 

 めんどくさいのが来た。

 

「ヘソ責めなんて、そんなマニアックな……私にもやってくれ!!」

「やだ」

「そんな!?」

 

 日記をたたみ逃げるように食堂を出る。ティアマトやシュヴァリエがうるさいがとっと逃げる。

 さて、部屋に戻ったら日記に書こうと思うのは、ティアマト(真)の言葉。(笑)の方がゲラゲラ笑いながら街の居酒屋に繰り出しに行く姿を見て肩を落としながらも俺に「アッチノ私ヲ頼ム」と言って来たのは印象深い。

 島を守護する星晶獣として責任があるため、自身が世俗の世界に行けないので、何も考えず飲み食いしに行くもう一人の自分が羨ましそうでもあった。その姿を見てうちとあっちのトレードを考えた俺は悪くない。まあ、トレードできたとしてポート・ブリーズがえらい事になりそうなので無理だが。

 次に会う時は、酒や食い物を土産で持っていこうと思った。

 なんて、再度物思いにふけりだしたら甲板からフェザーとB・ビィの組み手の騒音と、ラムレッダがえずく声がどこからか聞こえて来てしまい、俺は一気に現実に戻されてしまうのだった。

 

 




クラウ・ソラス(レプリカ)は、この作品での二次設定であり当然ながら原作と関係ない設定です。パーティにクラウ・ソラス持ち主人公とシャルロッテ並んでて違和感あったのでこうなりました。

手に入れた武器由来の仲間は、勿論登場させますが、それ以外のキャラも仲間にさせていきたいと思います。

【ジータとゆかいな仲間たち団】は、そのうち出したいです。

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