異世界オルガ   作:T oga

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※初見の方へ

本小説はニコニコ動画のMADのノベライズ化です。
鉄血のオルフェンズ全50話とウィンター氏の異世界オルガを見ていること前提で話が進むので、せめて異世界オルガの動画だけでも見ることをオススメします。

URL:http://sp.nicovideo.jp/watch/sm31599077



第1章 異世界オルガ (元動画:ウィンター、原作:異世界はスマートフォンとともに。)
異世界オルガ1


P.D.325年。クリュセ郊外。アドモス商会。

 

「なんか静かですねぇ。街の中にはギャラルホルンもいないし、本部とはえらい違いだ」

「ああ、火星の戦力は軒並み向こうに回してんのかもな」

「まぁ、そんなのもう関係ないですけどね!」

「上機嫌だな?」

「そりゃそうですよ!みんな助かるし、タカキも頑張ってたし!俺も頑張らないと!」

「ああ」

 

そうだ。俺たちが今まで積み上げてきたもんは全部無駄じゃなかった。これからも俺たちが立ち止まらねぇかぎり、道は続くっ!

 

 

──その時だった。

 

 

キィィィィィ ガチャン

 

車のブレーキ音と扉を開く音が聞こえた。

何事かと思い、そちらを見た瞬間()()()()()()()()()

 

ズドドドドドド

 

俺は咄嗟(とっさ)に近くにいたライドを(かば)う。

 

「団長!?……何やってんだよ、団長!!?」

「う"う"っ!」

 

ヴァアアアアアア!!パン!パン!パン!

 

俺はミカから借りた銃で、謎の襲撃者を追い返す。

 

「なんだよ、結構当たんじゃねぇか……」

「だ……団長?あ、ああっ……」

 

ライドは俺の身体から流れて止まらない血を見て、そんな声にならない声を漏らす。

 

「なんて声、出してやがる……ライドォ……!」

「だって、だってぇ!」

「俺は……鉄華団団長、オルガ・イツカだぞ……。こんくらい、なんてこたぁねぇ!」

「そんな……俺なんかのために……」

「団員を守んのは、俺の仕事だ……!」

「……でもっ!」

「いいから行くぞ……!」

 

俺は止まらずに歩き出す。

ライドとチャドに…鉄華団の団員─皆に、俺は止まらねぇ、ってことをこの満身創痍の身体で示してやらなきゃならねぇ……。

それが俺の、鉄華団団長として出来る最期の仕事だ……。

 

「皆が待ってんだ……。それに……」

 

俺が最期の最後に思い浮かべた顔は──やはりミカの顔だった……。

 

「【ミカ、やっと分かったんだ……。俺たちには辿り着く場所なんていらねぇ!ただ進み続けるだけでいい……。止まんねぇかぎり、道は続くッ!】」

 

《謝ったら許さない》

 

(ああ、わかってる)

 

「【俺は止まらねぇからよ……。お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「というわけで、お前さんは死んでしまった」

 

そう謝罪する爺さんの背後に広がっているのは輝く雲海。どこまでも雲の絨毯(じゅうたん)が広がり、果てが見えない。

しかし、俺たちが座ってるのは畳の上。卓袱台(ちゃぶだい)茶箪笥(ちゃだんす)、黒電話など古くさい家具が並んでいる。

 

そして、目の前にいるのは自らを神と自称する爺さん。

 

その爺さん(いわ)く、

 

「ちょっとした手違いで神雷を下界に落としてしまった。本当に申し訳ない」

 

ということらしい。

 

神雷というのはすなわち『ダインスレイヴ』

俺たち鉄華団を苦しめたあの禁止兵器だ。

 

この爺さんは俺が死ぬ三百年前、厄祭戦時代に元々神界の武器だったダインスレイヴの技術を誤って下界に落としてしまった。そのダインスレイヴのせいで俺たち鉄華団の未来は大きく変化した。

 

つまり、この爺さんのせいで鉄華団は壊滅した。

 

「この落とし前……あんた、どうつけるつもりだ?」

 

俺がそう聞くと、この爺さんは即答した。

 

「すぐに生き返らせる」

「わかった」

 

生き返れるなら申し分ない。これで俺は鉄華団をやり直せるし、うまくやれば火星の王にだってなれる。

……そう思っていた。しかし。

 

「ただのう……元の世界に生き返らせることは出来んのじゃよ。そういうルールでな。別の世界で生き返ってもらいたい」

 

何っ!?元の世界でやり直せるってことじゃねぇのか?

 

俺は内心焦ったが、冷静を(よそお)って、爺さんにこう聞くと、またもこの爺さんは即答する。

 

「……そういう不利益はどうする?」

「そうじゃ、罪滅ぼしに何かさせてくれんかの?」

「……あんた、正気か?」

「うん。君の望みを聞きたい」

 

俺の望みはただ一つ。鉄華団の再興だ。

この望みは元の世界に戻らなければ、達成することは出来ない……。

 

 

気がつくと後ろにミカが立っていた。

 

《おぉ、ミカ。お前も来たのか?》

《気がついたら、ここにいた》

《そうか》

 

俺はミカと心の中で最低限の会話をした後、目の前にいる爺さんを睨みつけた。

ミカにも色々聞きてぇことはあるが、それより今はこの爺さんだ。

 

「俺は落とし前をつけにきた。最初にそう言ったよな?」

 

俺がそう言うのを合図にミカが左ポケットから無造作に拳銃を取り出した。

 

「待っ!!」

 

パンパンパンパン

 

自称『神』は死んだ。

 

「さてと、帰るか」

 

 

 

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

目覚めると、空が見えた。左右の壁の間から見える青空に雲がゆっくりと流れている。

そして、背中にはコンクリートの冷たい感触が伝わる。

 

……ここはどこだ?

 

確か、俺は神を自称する爺さんに落とし前をつけて、ミカと一緒に神界の出口を探していたはずだった。

 

それがなんでこんなとこに?

 

ミカもいつの間にかいなくなっちまってるし……。

 

……とりあえず、この路地裏を道なりに進んでみるか。

 

 

 

路地裏を進んでいくと、突き当たりで四人の男女が言い争っていた。

 

「約束が違うわ!水晶鹿の角、金貨一枚だったはずよ!」

「見ろ!ここに傷があるだろ?だから銀貨なのさ」

 

チャリン、と一枚の銀貨が二人の少女の足元に転がる。

 

「たったの一枚!?そんなの傷の内に入らないわよ!」

「お姉ちゃん……」

「……もういい。お金は要らない!その角を返してもらうわ!」

「おっと、そうはいかねぇ。もうこれはこっちのもんだ!」

「邪魔するぜ~」

 

突然声をかけた俺に全員の視線が集まる。

 

二人の少女はキョトンとしているが、男たちの方はすぐに険悪な態度をこちらに向けてきた。

 

「なんだ、てめぇ!?」

「なんの用だ~!?」

 

俺は険悪な態度を向けてきた男たちに睨みを効かせる。

 

すると男の一人が怒ったのか、(ふところ)からナイフを取り出し、俺を襲ってきた。

 

「野郎っ!!」

 

ミカはここにはいないが問題ない。

こんなチンピラなんかに負けるかよ。

 

 

 

「う"う"っ!」

 

 

 

……気がつくと、俺の左胸にナイフが突き刺さっていた。避けようとしたが失敗したようだ。

 

二人の少女はまだキョトンとしている。

 

「分かってる」

 

一度死んだ経験のある俺には分かる。

これはもう死ぬ。

 

だが、助かる方法も何となくだが浮かんでくる。

 

……アレをやればいいんだろ。

 

 

その時、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

 

希望のはな♪

 

繋いだ絆を♪

 

力にして♪

 

明日を強く♪

 

咲き誇れ♪

 

 

 

 

そして、再び目覚めると、そこは神界だった。

 

「というわけで、お前さんは死んでしまった」

 

神の爺さんは銃弾対策に仮面を被っていた……。

 

 

 




読んでいただいてありがとうございます!

ウィンターさんに許可をいただきましたので、第1話を小説化しました!

PCを使わずにスマホでサクサクっと書いてしまいましたので、読みにくい等あればご指摘下さい。

駄文ではありますが、せめて第1章だけでもお付き合い下さると嬉しいです。

感想等も募集しています。次回もお楽しみに!

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