異世界オルガ   作:T oga
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異世界オルガ1

「というわけで、お前さんは死んでしまった」

そう謝罪する爺さんの背後に広がっているのは輝く雲海。どこまでも雲の絨毯が広がり、果てが見えない。
しかし、俺たちが座ってるのは畳の上。ちゃぶ台に茶箪笥、黒電話など古くさい家具が並んでいる。

そして、目の前にいるのは自らを神と自称する爺さん。

その爺さん曰く、

「ちょっとした手違いで神雷を下界に落としてしまった。本当に申し訳ない」

という事らしい。

神雷というのはすなわち『ダインスレイブ』
俺たち鉄華団を苦しめたあの禁止兵器だ。

この爺さんは俺が死ぬ300年前、厄祭戦時代に元々神界の武器だったダインスレイブの技術を誤って下界に落としてしまった。そのダインスレイブのせいで俺たち鉄華団の未来は大きく変化した。

つまり、この爺さんのせいで鉄華団は壊滅した。

「この落とし前……あんた、どうつけるつもりだ?」

俺がそう聞くと、この爺さんは即答した。

「すぐに生き返らせる」
「わかった」

生き返れるなら申し分ない。これで俺は鉄華団をやり直せるし、うまくやれば火星の王にだってなれる。
……そう思っていた。しかし。

「ただのう……元の世界に生き返らせることは出来んのじゃよ。そういうルールでな。別の世界で生き返ってもらいたい」

何!?元の世界でやり直せるってことじゃねぇのか?

俺は内心焦ったが、冷静を装って、爺さんにこう聞くと、またもこの爺さんは即答する。

「……そういう不利益はどうする?」
「そうじゃ、罪滅ぼしに何かさせてくれんかの?」
「……あんた、正気か?」
「うん。君の望みを聞きたい」

俺の望みはただ一つ。鉄華団の再興だ。
この望みは元の世界に戻らなければ、達成することは出来ない……。


気がつくと後ろにミカが立っていた。

《おぉ、ミカ。お前も来たのか?》
《気がついたら、ここにいた》
《そうか》

俺はミカと心の中で会話した後、目の前にいる爺さんを睨みつけた。

「俺は落とし前をつけにきた。最初にそう言ったよな?」

俺がそう言うのを合図にミカが左ポケットから無造作に拳銃を取り出した。

「待っ!!」

パンパンパンパン

自称神は死んだ。

「さてと、帰るか」










目覚めると、空が見えた。左右の壁の間から見える青空に雲がゆっくりと流れている。
背中にはコンクリートの冷たい感触が伝わる。

ここはどこだ?

確か、俺は神を自称する爺さんに落とし前をつけて、ミカと一緒に神界の出口を探していたはずだった。

それがなんでこんなとこに?

ミカもいつの間にかいなくなっちまってるし……。

……とりあえず、この路地裏を道なりに進んでみるか。


路地裏を進んでいくと、突き当たりで四人の男女が言い争っていた。

「約束が違うわ!水晶鹿の角、金貨一枚だったはずよ!」
「見ろ!ここに傷があるだろ?だから銀貨なのさ」

チャリン、と一枚の銀貨が二人の少女の足元に転がる。

「たったの一枚!?そんなの傷の内に入らないわよ!」
「お姉ちゃん……」
「……もういい。お金は要らない!その角を返してもらうわ!」
「おっと、そうはいかねぇ。もうこれはこっちのもんだ!」
「邪魔するぜ~」

突然声をかけた俺に全員の視線が集まる。
二人の少女はキョトンとしているが、男たちの方はすぐに険悪な態度をこちらに向けてきた。

「なんだ、てめぇ!?」
「なんの用だ~!?」

俺は険悪な態度を向けてきた男たちに睨みを効かせる。
すると男の一人が怒ったのか、懐からナイフを取り出し、俺を襲ってきた。

「野郎っ!!」

ミカはここにはいないが問題ない。
こんなチンピラなんかに負けるかよ。

「う"う"っ!」

気がつくと、俺の左胸にナイフが突き刺さっていた。
避けようとしたが失敗したようだ。
二人の少女はまだキョトンとしている。

「分かってる」

一度死んだ経験のある俺には分かる。
これはもう死ぬ。

だが、助かる方法も何となくだが浮かんでくる。

……アレをやればいいんだろ。


その時、希望の花が咲いた。

「【俺は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」





そして、再び目覚めると、そこは神界だった。

「というわけで、お前さんは死んでしまった」

神の爺さんは銃弾対策に仮面を被っていた……。





読んでいただいてありがとうございます!

ウィンターさんに許可をいただきましたので、第1話を小説化しました!

PCを使わずにスマホでサクサクっと書いてしまいましたので、読みにくい等あればご指摘下さい。

駄文ではありますが、全12話 お付き合い下さると嬉しいです。

感想等も募集しています。次回もお楽しみに!