異世界オルガ   作:T oga
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異世界オルガ10

八重の父 九重重兵衛から『ニルヤの遺跡』の場所を聞き、俺たちは遺跡の近くの孤島へとやって来た。

どこまでも広がる青い海と白い砂浜、そして海で波乗りするバルバトス……。は!?

「何やってんだ、ミカァァァ!!」
「ミカさんがはしゃいでる……」
「……俺が、楽しんでる?まぁいっか」
「うーん、でも遺跡の調査が目的だし……」
「私はちゃんと調査もしてくれるなら別に構わないわよ」
「そう?じゃあせっかくだし、楽しんじゃいますか!」

ということで、俺たちは遺跡の調査の前に海で遊ぶことになった。





僕らは【ゲート】で水着を買いに行くついでに王様や公爵たちにも声をかけた。
するとみんな暇なのか二つ返事でついてきた。

僕も水着に着替えて準備体操をしていると、後ろから声をかけられた。

「冬夜さん!どうでしょうか?」

そこにいたのは水着に着替えたユミナたち四人だった。

「うん、みんな似合ってるよ!」
「ありがとうございます!」


その後、少しみんなと話していたが、「時間がもったいないから早く遊びましょ」とエルゼが言って、みんな海の方へ走っていった。


「冬夜!」
「冬夜兄ちゃん!」

次にスゥとレネが水着に着替えてやって来た。

「どうじゃ?わらわたちの水着は」
「うん、可愛いよ!」
「ねぇ、冬夜兄ちゃん!海ってすごいんだね!こんなにおっきいんだ~!」
「レネは海を見るのは始めてなのか?」
「うん!たくさん砂を持って帰って忘れないようにする!」

砂って甲子園じゃないんだからさ。
僕は荷物の中に入れてあったスマホを取り出して、カメラアプリを立ち上げながらレネにこう言う。

「こっちの方がすぐに思い出せるよ」

パシャ!

そうして撮った写真には…………以前ミカさんとオルガが倒した榊遊矢の霊が写っていた……。


ヴァアアアアアア!!パン!パン!

スゥとレネがユミナたちと海で遊んでいるのを眺めていると、オルガの声と銃声が聞こえた。
なんだ?またオルガが死んだのか?

僕は声と銃声がした方へ様子を見に行くと、そこではベルファスト国王陛下とオルトリンデ公爵、レオン将軍そしてオルガが競泳をしていた。
先程の銃声はスタートピストルの音だったようだ。

「兄上にはなんとしても負けませぬぞ!」
「ベルファスト国王としての意地、ここで見せる時!」
「はーっはっはー!話になりませぬな!」
「その先に俺はいるぞ!」

あの人らいっつも元気だな……。





冬夜が遺跡を【サーチ】で調べたところ、スマホの地図上でピンが示したのは俺たちのいる砂浜から100メートルほど先の海の中だった。
それを見たリーンがこう呟く。

「遺跡は完全に海の底ってわけね……。さて、どうしましょうかね」
「前にオルガが言ってた」

ミカはそう言って、イーシェンに旅立つ前日の酒の席の話を持ち出してきた。

《遺跡だかなんだか知らねぇが、俺が連れてってやるよ!》
《何言ってんのよ……》

「連れてってくれるんだろ?オルガが」
「あれは酔っ払った勢いでだな……」
「ダメだよオルガ。俺はまだ止まれない」
「勘弁してくれよミカ……」

俺がそう言うと、ミカは俺の胸ぐらを掴んだ。

ピギュ

「ねえ、連れてってくれるんだろ」
「放しやがれ!!」

俺はミカを払いのけて、自暴自棄になってこう叫んだ。

「ああ、分かったよ!連れてってやるよ!連れてきゃいいんだろ!!お前を、お前らを俺が連れてってやるよ!!」

ヴァアアアアアア!!

俺は叫びながら、海へと潜っていく。
そして、海底遺跡が見えてきたところで息が続かなくなり……希望の花が咲いた。

「【俺は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」


俺が意識を取り戻すと、冬夜とリーンが海底遺跡にどうやって行くかを話し合っていた。
他の皆は遊んでいる。

「ねぇリーン、海の中で活動出来る魔法ってないの?」
「聞いたことはあるけど、興味なかったから覚えてないわ」
「そこは覚えといてくれよ……」
「主!」

冬夜とリーンの会話に琥珀が割って入る。

「水中で活動したいのですか?」
「何かいい方法ある?」
「あらゆる水を操り、主たちの悩みを解決出来る者に一つ心当たりが」
「誰なんだよ。そいつは」

俺がそう聞くと、琥珀は自信満々にこう答えた。

「この白帝と同格の存在、玄帝です!」


ということで、俺たちは何があるかも分からない海底遺跡を調べるためだけに北を守護する神獣『玄帝』を召喚することにした。

「【冬と水、北方と高山を司る者よ、我が声に応えよ。我が求めに応じ、その姿をここに現せ!】」

冬夜が玄帝の召喚詠唱を唱えると魔方陣から黒い大蛇に巻きつかれた巨大な亀がその姿を現した。

「あっらぁ? やっぱり白帝じゃないのよぅ。久しぶりぃ、元気してた?」
「久しぶりだな、玄帝」
「ん、もう、「玄ちゃん」でいいって言ってるのにぃ、い・け・ず」

軽いな……。なんだこの蛇。喋り方が元のグシオンのパイロットに少し似てる。誰だっけなあいつ……。……そうだ!ブルワーズのクダル・カデルだ!
……そういえば、俺の召喚魔法って昭弘と『ガンダム・グシオンリベイク』も召喚出来るのか?

「それでそちらのお兄さんはぁ?」
「我が主、望月冬夜様だ」
「主じゃと?」

ギョロッと亀の方が冬夜を見た。まるで値踏みするような視線を向けている。その容貌から厳ついおっさんか爺さんの声を想像していたが、聞こえてきたのは女性的な声だった。若干キツめの印象ではあったが。

「このような人間が主とは……落ちたものだな、白帝よ」
「なんとでも言うがいい。じき、お前たちの主にもなられるお方だ」
「……よかろう、冬夜とやら。お前が我らと契約するに値するか、試させてもらう」
「いいけど、何すんのさ?」
「我らと戦え。日没までお前が五体満足で立っていられたのなら、力を認め契約をしようではないか」
「わかった。じゃあやろうか」

冬夜はそう言って、『ブリュンヒルド』を構える。
そして【スリップ】の効果が切れるのをスイッチにして別の【スリップ】が発動する自己保持回路を【プログラム】して、銃弾に【エンチャント】し、発砲した。

その時、俺は悟った。冬夜との付き合いも長くなってきて、あいつが何を考えているのかがなんとなく分かるようになってきた。……分かりたくはねぇがな……。

あいつが今、しようとしているのは『神獣虐待』だ!
俺は気がつくと、玄帝を庇って銃弾を受けていた。

「う"う"っ!」

ヴァアアアアアア!!

「俺は止まれねぇからよ、お前が止めねぇかぎり、俺は回り続けるッ!……だからよ、止めて……くれよ……」

俺は無限【スリップ】を受けながら、冬夜に止めるように頼むが冬夜は……。

「なwにwやwっwてwんwのwwwオルガwww」

と笑い続けている。うぜぇ……。


そんな俺の姿を見た玄帝は冬夜に畏れを抱き、冬夜との契約を認めた。

そして、冬夜は俺を無視して、玄帝と共に海に潜って行った。

「……止めて……くれよ……」


その後、俺は無限【スリップ】を抜け出すために……自ら銃を俺に向けて撃ち、希望の花を咲かせた。

「【俺は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」





11話が遅くなりそうなので、10話を早めに投稿しました。