異世界オルガ   作:T oga

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※本小説はニコニコ動画のMADのノベライズ化です。
動画を見ていること前提で話が進むので、先に動画を見ることをオススメします……が動画が消されてしまいました。残念です……

URL:http://sp.nicovideo.jp/watch/sm32086920



第2章 祝福オルガ (元動画:メガネ脚フェチケモナー、原作:この素晴らしい世界に祝福を!)
祝福オルガ1


俺は二人の神を殺した罪で二つの呪いを受けた。

 

世界神を殺した罪で『死を引き寄せる呪い』を

 

恋愛神を殺した罪で『同じ異世界にずっと滞在出来ない呪い』を

 

だが、たとえ呪いを受けようとも、俺は止まらない……止まれない。

 

「俺は止まらねぇからよ、お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……」

 

 

 

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

冬夜の世界から旅立った俺は真っ暗な場所に立っていた。

 

……ここで待ってれば、女神が次の異世界へ連れて行ってくれると神の爺さんは言っていたのだが、いくら待ってもその女神とやらは現れない。

 

 

仕方なくその場で数分間待っていると、真っ暗な場所に二つの椅子がどこからともなく現れた。

片方は高価そうな白銀の椅子。もう片方は普通の茶色い椅子だ。

 

「ここは……?」

 

茶色い椅子の方にはジャージ姿の少年が座っており、急に連れてこられたからか困惑しているようだった。

近くで立っている俺にも気付いていない。

 

佐藤和真(サトウカズマ)さん。ようこそ死後の世界へ」

 

その少年の後ろから水色の髪を(なび)かせ、優雅に歩いてきた羽衣(はごろも)(まと)う少女が声をかける。

 

彼女が神の爺さんが言っていた『女神』だろう。

 

水色の女神は高価そうな白銀の椅子に腰掛けた後、もう片方の茶色い椅子に座っている少年へとこう告げる。

 

「貴方はつい先程不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、貴方は死んだのです」

 

この少年もまた、望月冬夜と同じく『転生者』であった。

 

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

 

そして、俺と転生者の少年『サトウ カズマ』は女神アクアと共に異世界へと転移した。

 

なぜ、女神も一緒になって転移してきてしまったのかというと……。

 

《貴方は記憶を引き継いだまま人生をやり直せる!しかもなにか一つだけ好きなモノを持って!》

《……じゃあ、あんた》

 

と、カズマが異世界転生の特典に『女神 アクア』を選んだからだ。

 

 

「あ……ああ……ああああっ」

「なんて声……出してやがる!」

 

『駆け出し冒険者の街 アクセル』という街で目覚めた後、女神が奇声を発しながら、カズマに掴みかかった。

 

「ああああああああああああーーっ!」

「うおっ!なっ、なんだよ!やめろ、やめろよ!分かったよ、悪かったって」

 

涙目でカズマの首を絞めようとする女神の手を振り払いながら、カズマはそう言う。

 

「ってかそんなに嫌ならもういいよ、帰ってもらって。後は俺とオルガでなんとかするから」

 

面倒くさそうにシッシと手を払うカズマを見て、女神は手を戦慄(わなな)かせる。

 

「あんた何言ってんの!?帰れないから困ってるんですけど!」

「ああ、分かったよ!連れてってやるよ!!連れてきゃいいんだろ!」

 

カズマに責任を追求する女神に対して、俺は半分キレぎみにそう答える。

 

「どうやってよ!?」

「死ねば神界に戻れるだろ!」

 

冬夜との決闘の後、死んだ冬夜を連れ戻すために自殺して神界へ行ったことがある。

 

その経験から俺はそう言ったのだが、女神はそれを否定した。

 

「だから無理なのよ!自分で異世界に降りたなら帰れるけど、私はカズマの異世界転生の特典で連れてこられたからカズマが魔王を倒してくれないと帰れないの!神は元々死なないし!」

 

……神は死なない。そうだった。

 

世界神を殺した時も、恋愛神を殺した時も、奴等はすぐに生き返った。

 

神は殺す事は出来ても、死ぬことはないのだ。

 

 

「どうすんの!?ねぇ、どうしよう!私これからどうしたらいい!?」

 

女神は泣きながら取り乱し、頭を抱えてバタバタしている。

 

その状況を見かねたカズマは女神にこう言う。

 

「おい女神、落ち着け。こういうときの定番はまず酒場だ。酒場に行って情報収集から始めるもんだ」

「ああ、酒場の近くに冒険者ギルドがあるはずだ。冬夜の世界はそうだったし、この世界も多分同じだろ。そこでギルド登録すりゃあいい」

 

俺もカズマの意見を肯定して、二人で酒場を探し始めた。

 

「なんでこの二人頼もしいの?あっ、それと二人共、私の名前はアクアよ。女神様って呼んでくれてもいいけど、出来ればアクアって呼んで。でないと人だかりが出来ちゃって魔王討伐の冒険どころじゃなくなっちゃうわ。住む世界は違っても一応私もこの世界で(あが)められてる神様なの!」

 

そんな感じでべちゃくちゃ話しながら、女神……アクアも俺たちの後ろをバタバタとついてきた。

 

 

街行く人に冒険者ギルドの場所を聞いて、教えてもらった道を進むと大きな建物が見えてきた。

 

「邪魔するぜ~」

 

冒険者ギルドへと入ると食べ物のいい匂いが(ただよ)ってくる。

 

生前はクリュセやイサリビの食堂で鉄華団の団員みんなでこんな風に(めし)食いながらバカ騒ぎしてたな。

 

などと懐かしんでいるところに、金髪のウェイトレスが愛想良く出迎える。

 

「いらっしゃいませー。お食事なら空いてるお席へどうぞー!お仕事案内なら奥のカウンターへ」

「ありがとう」

 

カズマがウェイトレスにお礼を言って、俺たちは奥のカウンターへと足を向けた。

 

 

「おい!見掛けねえ顔だな!」

 

奥のカウンターへ三人で向かうと、荒くれ者の男が話かけてきた。

 

「俺は……鉄華団団長、オルガ・イツカだぞ!」

「いや~俺たち遠くから来たばかりで今この街についたところなんだよ。俺たちも魔王軍と戦う冒険者になりたいんだ((イケボ」キリッ

「ああ、そうかい。命しらずめ……。ようこそ、地獄の入り口へ!ギルド加入の受付ならあそこだ」

 

親切な荒くれ者が指差した方向にいた受付の女性に声をかける。

 

「はい、今日はどうされましたか?」

「えっと、冒険者になりたいんですが……」

「わかりました。ではまずこちらの書類に必要事項の記入を願います」

 

俺たちが書類に名前や年齢等を書き終わると、受付の女性は冒険者の説明を始めた。

 

「冒険者とは街の外に生息するモンスター……人に害を与えるモノの討伐を請け負う人の事です。とはいえ、基本は何でも屋みたいなものです。……冒険者とはそれらの仕事を生業(なりわい)にしている人達の総称。そして、冒険者には『職業』というものがございます」

 

職業?冬夜の世界の冒険者ギルドにはそんなものなかったけどな……。

 

カズマが言うには、ゲームによくあるもので、ようは戦闘スタイルを選ぶものらしい。

 

「そして、これが登録カード。冒険者がどれだけの討伐を行ったかも記録されます。レベルが上がるとスキルを覚えるためのポイントが与えられるので、頑張ってレベル上げをして下さいね」

 

登録カードは分かる。冬夜の世界にもギルドカードがあった。それと同じようなものだ。

 

次に受付の女性は水晶を持ってきた。

 

「では、こちらの水晶に手をかざして下さい。それであなた方のステータスが分かりますので、その数値に応じてなりたい職業を選んで下さいね」

「ああ、分かったよ!」

 

カズマとアクアが触った時は何ともなかったのだが、俺が水晶に手をかざした瞬間、ふいに水晶が爆発して、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ、お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

なぜか、俺が触った時だけ水晶が爆発したが、俺たち三人のステータスと職業は決まったようだ。

 

俺は筋力と魔力が平均以上、知力と幸運が平均以下で生命力が最低レベル。それ以外は普通。職業は多少選べたのだが『召喚士』にした。

 

カズマは知力が平均以上で幸運が非常に高い以外はどれも普通。職業は基本職である『冒険者』。

 

そして、アクアは……。

 

「はっ!?はああああっ!?何です、この数値!?知力が平均より低いのと、幸運が最低レベルな事以外は、残り全てのステータスが大幅に平均値を超えてますよ!?特に魔力が尋常じゃないんですが、あなた何者なんですか……っ!?」

「えっ!?そ、そう?なになに、私が凄いってこと?」

「凄いなんてものじゃないですよ!?高い知力を必要とされる魔法使い職は無理ですが、それ以外なら何だってなれますよ?……最初からほとんどの上級職に……!」

 

ということでアクアはあらゆる回復魔法と支援魔法を使いこなす『アークプリースト』を選んだ。

 

 

「さあ!今日から冒険者生活よ!」

「上機嫌だな」

「お前、心底嫌がってただろ」

「……そうだったかしら?」

 

こうして、俺たちの素晴らしい異世界生活が始まった。

 

 




メガネ脚フェチケモナーさんに許可を頂いたので、祝福オルガも書くことにしました。

デスマオルガの前にこちらをお楽しみ下さい!


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