異世界オルガ   作:T oga

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祝福オルガ2

俺は佐藤和真(サトウカズマ)

 

トラック(本当はトラクター)に引かれそうになった幼女を助けて、(本当は助けなくても幼女が引かれることはなかった)事故で死んでしまった(本当は引かれると思ったことによるショック死)。その後、死後の世界で女神アクアと出会い、そのアクアと、なんやかんやあって俺達と行動を共にすることになったオルガと一緒に異世界へとやって来た。

 

異世界生活一日目は冒険者ギルドに登録して、オルガが神様からもらったという金を使って、全員の武器を揃えるところまでやった。(金が少なかったので最低限の装備のみだが……)

 

そして、宿屋で宿泊して、今日が異世界生活二日目だ!

 

「おはようございます」

「さて、じゃあ早速討伐クエスト行きましょう!」

「おっ!いいねー!」

 

ということで、最初のクエストだ!

 

 

〈3日間で「ジャイアント・トード」を5匹討伐せよ(1日目:クエスト達成率0/5)〉

 

 

「何やってんだぁぁっ!」

 

雲一つない晴れやかな青空の下、オルガの叫び声が響き渡る。

 

「どうした、オルガ?」

「スキルポイントがないから、ミカを召喚出来ねぇ」

「はぁ?」

 

オルガが『召喚士』の癖に何も召喚出来ないことが分かったその瞬間、ふいにオルガが姿を消した。

 

ふと、ジャイアント・トードの方を見てみると、ジャイアント・トードの口の端から、二本の足が見えた。

 

「って、食われてんじゃねえええええ!」

 

その時、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ、お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

 

俺はショートソードで、オルガを捕食中のジャイアント・トードに止めを指す。

 

「助かった」

「いや、いいけど」

「それで、アクアはどこにいったんだ?」

 

……そういえば、さっきからアクアの姿が見えない。

 

ジャイアント・トードを良く見てみると、一匹のジャイアント・トードの口の端から何かがぷらんと生えている。

 

……あれはアクアの足だ……。

 

「アクアー!お前も、食われてんじゃねえええええ!」

「食われんじゃねぇぞ……」

 

ヴァアアアアアア!!パン!パン!パン!

 

 

 

街に帰還した俺達は、真っ先に大衆浴場へ行って汚れを落とし、冒険者ギルドにてカエルもも肉の唐揚げを食べながら、作戦会議をしていた。

 

「あれね、二人じゃ無理だわ!(課題提示)」

「二人ってアクアは何もしないつもりか!(叱責)」

「当たり前でしょ!私は女神よ!(ドヤ顔)」

「はぁ、……ならどうする?(丸投げ)」

「仲間を募集しましょう!(安直)」

「仲間ったって……駆け出しでロクな装備もない俺達とパーティ組んでくれるやつなんて居ると思うか?(冷静な分析)」

「散々考えた()けど、それ以上のやり方が思い付かねぇんだ」

「なにも不安がる事ないわよカズマ!仲間なんて募集かければすぐよ!なにせ、私は最上級職の『アークプリースト』よ?あらゆる回復魔法が使えるし、補助魔法に毒や麻痺なんかの治癒、蘇生だってお手のもの。どこのパーティも(のど)から手が出るぐらい欲しいに決まってるじゃない。カズマのせいで地上に堕とされ、本来の力とは程遠い状態とは言え、仮にも女神よ!ちょろっと募集かければ「お願いですから連れてって下さい」って(やから)が山ほどいるわ!分かったら、カエルの唐揚げもう一つよこしなさいよ!」

 

と言って、俺の皿から唐揚げを奪い取る自称女神を、俺とオルガは不安気(ふあんげ)に眺めていた。

 

 

そして、翌日。

 

「募集の貼り紙、見させて頂きました」

 

俺達に声をかけてきたのは、黒マントに黒いローブ、黒いブーツに杖を持ち、長い黒髪の上にトンガリ帽子を被った典型的な魔法使いだった。

まるで人形の様に整った顔をした赤い瞳のロリっ子である。

 

「誰なんだよ」

 

オルガがそう聞くと、その少女はバサッとマントを(ひるがえ)して自己紹介を始めた。

 

「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業(なりわい)とし、最強の攻撃魔法『爆裂魔法』を操る者っ!」

「……冷やかしに来たのか?」

「ち、ちがわい!」

 

女の子の自己紹介に思わず突っ込んだ俺に、その子は慌てて否定する。

 

いや、めぐみんってなんだ?

 

「……その赤い瞳。もしかしてあなた、紅魔族(こうまぞく)?」

 

アクアの問いにその子はこくりと頷くと、アクアに冒険者カードを手渡した。

 

「いかにも!我は紅魔族随一(ずいいち)の魔法の使い手、めぐみん!我が必殺の魔法は山をも崩し、岩をも砕く!……という訳で、優秀な魔法使いはいりませんか?」

 

その前に、俺は気になっていることを聞いてみた。

 

「あのさ、仲間にするのはいいし、こっちもありがたいんだけど……その眼帯はどうしたんだよ?怪我でもしてるならアクアに治してもらったらどうだ?」

「……フッ。これは、我が強大なる魔力を抑えるマジックアイテムであり……。もし、これが外される事があれば……。その時は、この世に大いなる厄災がもたらされるだろう……」

「厄祭戦じゃねぇか……」

「いえ、違います」

「勘弁してくれよ……」

 

意味分かんない事言ってるオルガは無視して、俺はめぐみんに確認してみる。

 

「ようは封印みたいなものか」

「まぁ、嘘ですが。単にオシャレで着けているだけ…………、あっあっ、ごめんなさい、引っ張らないで下さい!やめっ……ヤメロォー!」

「あのね、彼女達紅魔族は生まれつき高い知力と強い魔力を持ってて、大抵は魔法使いのエキスパートで、みんな変な名前を持ってるわ」

 

めぐみんの眼帯を引っ張ってる俺にアクアがそう説明した。それに対し、オルガは……。

 

「フミタンじゃねぇか……」

 

やはり、意味分かんない事を言っていた。

 

 

「あー、ちょっとやめて下さい。あー、でも離したらそれはそれで痛そうだから、そのままゆ~っくり私の元に戻して下さい。いいですか?ゆっくりですよ?ゆっくりってば、ちょっt……」

 

俺はめぐみんの眼帯から手を離す。

 

「ア"ァ"ァ"ァ"!!イィッ↑タイ↓メガァァァ↑」

 

 

〈3日間で「ジャイアント・トード」を5匹討伐せよ(2日目:クエスト達成率2/5)〉

 

 

俺達はめぐみんを連れて、ジャイアント・トード討伐クエストのリベンジに来ていた。

 

「爆裂魔法は最強魔法。その分、魔法を使うのに準備時間がかかります。準備が整うまで、あのカエルの足止めをお願いします」

「分かったよ!やるよ!」

 

オルガが銃を片手にジャイアント・トードの群れに突っ込んでいく。

 

ヴァアアアアアア!!パン!パン!パン!

 

「……なんだよ。結構当たんじゃねぇか」

 

おっ、オルガが一匹倒したぞ。

 

 

オルガがジャイアント・トードの相手をしている間にめぐみんは魔法の詠唱を始める。

 

「黒より黒く、闇より暗きしもの、我が真紅の咆哮(ほうこう)を望みたもう。覚醒の刻来たれり、無久の境界に落ちし(ことわり)。無形の歪みと成りて現出せよ!」

 

めぐみんの杖の先に光が(とも)った。

膨大な光をギュッと凝縮(ぎょうしゅく)した様な、とても眩しい小さな光。

 

めぐみんが赤い瞳を鮮やかに輝かせ、カッと見開く。

 

「【エクスプロージョン】!」

 

平原に一筋の閃光が走り抜ける。

 

 

めぐみんの杖の先から放たれた光は、オルガが戦っている戦場へと一直線に向かう。

 

その魔法がジャイアント・トードに届いたその瞬間、一匹のジャイアント・トードがオルガを頭から丸呑みした。

 

「離しやがれ、ヴァアアアアアア!!」

 

オルガを頭から丸呑みしたジャイアント・トードにめぐみんの放った魔法が直撃。

 

その時、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ、お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

 

爆炎が晴れると、オルガとジャイアント・トードのいた場所には巨大なクレーターが出来ており、その爆発の(すさ)まじさを物語っていた。

 

「……すっげー。これが魔法か……」

 

俺がめぐみんの魔法に感動していると、地中から一匹のジャイアント・トードがのそりと()い出てきた。

 

雨も降っていない上に水源もないこの平原で、太陽の下、このカエル達はどうやって乾かずに生存出来ているのだろうと疑問に思ってはいたが、まさか地中とは予想外だった。

 

「めぐみん!一旦離れて、距離をとってから攻撃を……」

 

そこまで言いかけて、俺は動きを止める。

 

俺の目の前でめぐみんが倒れていた。(その先のクレーターの中心にはオルガが倒れていた)

 

「ふ……。我が奥義である爆裂魔法は、その絶大な威力ゆえ、消費魔力もまた絶大。……要約すると、限界を超える魔力を使ったので身動き一つ取れません。……あっ、地中からカエルが湧き出るとか予想外です。……ヤバいです。食われます。すいません。ちょっと、助けて」

 

俺とアクアが、めぐみんを助けに行こうとしたその時、めぐみんの魔法が作ったクレーターの中心に倒れていたオルガがポケットから冒険者カードを取り出して、スキルポイントを割り振った。

 

そして……その場でこう叫ぶ。

 

「【ミカァ!】」

 

その叫びと共に、巨大なロボットが地中から現れ、めぐみんを食べようとしたジャイアント・トードをメイスで叩き潰した。

 

《ねぇ、次はどうすればいい。オルガ》

《決まってんだろ……行くんだよ。ここじゃない何処(どこ)か……俺たちの本当の居場所に》

《うん。行こう!俺たち……みんなで!》

 

 

 

 

クエスト達成の報告をした後、俺達はオルガの召喚した三日月さんと一緒に大衆浴場へとやって来ていた。

 

俺と三日月さんは先に風呂から出て(すず)んでいたのだが、その時、一人の金髪の女騎士が声をかけてきた。

 

「すまない、ちょっといいだろうか?」

「……なんでしょうか?」

「私の名はダクネス。クルセイダーを生業(なりわい)としている者だ。私を、是非、パーティに加えてもらえないだろうか」

「もう盾役は間に合ってます」

 

 




元動画と話が変わっているけど、メガネ脚フェチケモナーさんからは自由に書いていいって言われてるから問題ないよねっ!

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