異世界オルガ   作:T oga

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祝福オルガ3

「なあ。聞きたいんだが、スキルの習得ってどうやるんだ?」

 

カエル討伐の翌日。ギルド内の酒場で昼食をとっている時、ふいにカズマがそう聞いた。

 

「オルガは昨日、三日月さんを召喚するとき、なんか冒険者カードを触ってたよな」

「ああ、カードにある習得可能なスキルを選んだんだ」

 

俺が今、習得可能なスキルは

 

悪魔召喚(バルバトスルプス) 習得ポイント26

悪魔召喚(バルバトスルプスレクス) 習得ポイント41

悪魔召喚(グシオンリベイク) 習得ポイント17

悪魔召喚(グシオンリベイクフルシティ) 習得ポイント28

悪魔召喚(フラウロス) 習得ポイント37

 

昨日はスキルポイントを1ポイント使って『悪魔召喚(バルバトス)』を習得したのだ。

 

 

「カードの『習得可能スキル』って欄だよな。そこ何も書いてないんだけど……」

 

カズマはそう言って、カードを俺たちに見せる。

カズマの冒険者カードには確かに習得可能スキルが無かった。

 

それを見ためぐみんがカズマにこう説明する。

 

「初期職業と言われる冒険者は誰かにスキルを教えてもらうのです。まずは目で見て、そしてスキルの使用方法を教えてもらうのです。するとカードに習得可能スキルという項目が現れるので、ポイントを使ってそれを選べば習得完了なのです」

「なるほど……それなら誰かスキル教えてくれよ」

「じゃあ盗賊スキルなんてどうかな?」

 

カズマがスキルを教えてもらおうとした時、横から突然、声をかけられた。

 

声のした方を見ると、隣のテーブルに二人の女性がいた。

 

カズマに声をかけたのは頬に小さな刀傷がある革の鎧を着た身軽な格好の銀髪の少女。

もう一人は重そうな鎧を着た金髪の女騎士だった。

 

少し話を聞くと、銀髪の盗賊はクリス。もう一人の金髪の方は昨日ミカとカズマが会ったっていう俺たちのパーティに入りたがった女騎士で名前はダクネスというらしい。

 

 

アクアとめぐみんはこのまま酒場で昼食を食べているとのことなので、俺とミカとカズマはクリスとダクネスについていって、冒険者ギルドの裏手の広場へとやって来た。

 

「盗賊系のスキルには色々あるけど、特にあたしの一押しはこれ!行くよ、良く見てて」

「ウス!よろしくお願いします!」

 

カズマにそう説明したクリスは手を前に突き出して、こう叫ぶ。

 

「【スティール】!」

 

クリスがそう叫んで手を握ると同時に俺はなぜか頭が軽くなったような感覚を覚えた。

 

最初は気のせいかと思っていたのだが、すぐに気のせいではないと気づいた。

 

クリスが握った拳を開くと、そこには…………俺の前髪があった。

 

「あっ!オルガの角」

「何やってんだぁぁっ!!」

 

その後、カズマはスティールを無事覚えることができ、俺の前髪も蘇生魔法で回復させた。

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

「緊急クエスト!緊急クエスト!街の中にいる冒険者各員は至急冒険者ギルドに集まって下さい!繰り返します!街の中にいる冒険者各員は至急冒険者ギルドに集まって下さい!」

 

カズマがクリスにスティールを教えてもらった日の午後、街中に大音量のアナウンスが響いた。

 

「なんだ?」

 

宿屋で休んでいた俺たちは冒険者ギルドへと向かうため、外に出る。

俺たちの目の前には街中を悠々(ゆうゆう)と飛び回るキャベツの姿があった。

 

 

〈全員参加クエスト 街に飛来したキャベツを全て収穫せよ〉

 

 

「は?」

 

俺とカズマが困惑していると、アクアがこう説明した。

 

「あのね。カズマ、オルガ。この世界のキャベツは飛ぶのよ。味が濃縮してきて、収穫の時期が近づくと、簡単に食われてたまるかとばかりにね」

 

そのアクアの説明を聞きながら、冒険者ギルドに到着した俺たちは、次にギルド職員の説明を聞く。

 

「皆さん、突然のお呼び出しすいません!もうすでに気づいてる方もいるとは思いますが、キャベツです!今年もキャベツの収穫時期がやって参りました!今年のキャベツは出来が良く、一玉の収穫につき一万エリスです!」

「一万エリス!?」

 

カズマがその値段に驚く。

 

「すでに街中の住民には避難して頂いております。では皆さん、出来るだけ多くのキャベツを捕まえ、ここに納めて下さい!くれぐれもキャベツに逆襲されて怪我しないように気を付けて下さいね」

 

その言葉を聞いた冒険者たちは一斉に駆け出していった。

 

「よし、じゃあ俺たちも始めるか」

「うん!キャベツの収穫ならあっちの世界で桜ちゃんと良くやったしね!」

 

珍しくミカが笑顔だ。

キャベツが街から離れ、平原までやって来たタイミングで俺は悪魔召喚スキルを使う。

 

「【ミカァ!】」

「違うっ!それじゃ収穫出来ない!」

 

 

カズマに(さと)され、バルバトスでの収穫を諦めた俺とミカは生身での収穫を始めた。

その頃、カズマはダクネスにこう言われていた。

 

「カズマ、ちょうどいい機会だ。私のクルセイダーとしての実力、その目で確かめてくれ」

 

 

「はあああぁぁぁぁぁ!!」

 

ダクネスがキャベツの群れに突っ込んでいく。

そして、ダクネスが剣を振るおうとした時、剣がダクネスの手からすっぽ抜け……俺の胸を貫いた。

 

「わかってる」

 

その時、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ、お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

「騎士の(かがみ)だ!」

「あんなになってまでキャベツたちを守るなんて!」

「皆、誤解してるぞ!」

 

 

〈スペシャルボーナス キャベツ大豊作〉

 

 

このキャベツ収穫にもう一人の転生者 フミタン・アドモスも参加していたのだが……。

 

それに気づいたのは、それから数日後だった。

 

 

 




悪魔召喚のスキルポイントは鉄血のオルフェンズでのガンダムフレームの初戦闘回の話数となっています


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