異世界オルガ   作:T oga
<< 前の話 次の話 >>

3 / 13
異世界オルガ3

「【トランスファー】」

冬夜の無属性魔法【トランスファー】によって、冬夜の魔力が俺に流れ込んでくる。

「これくらい魔力が増えればいい?」
「あぁ、多分大丈夫だろ」

俺は自分の魔力量が多くなったことを確認する。
……よし、これならいけるだろ!

「【ミカァ!】」

俺は召喚魔法でミカを呼び出す。魔方陣から『ガンダム・バルバトス』のパイロット、三日月・オーガスが現れる。

「よう、ミカ」
「オルガ。どうしたの?」
「いや、お前をずっとこっちに居れるようにしようと思ってよ。冬夜に頼んで俺の魔力量を高めてもらったんだ」
「へぇ~、そっか、ありがとう」

通常、術士が魔物を召喚し、存在を保つときはその術士の魔力が必要になる。
そのため、召喚した魔物がずっとこちらの世界に存在し続けると、術士は魔力切れを起こしてしまう。

しかし、俺はミカをずっとこっちに居られるようにしたかった。
だから魔力量が無限にある冬夜の魔力を【トランスファー】で分けてもらって、その魔力を使い、ミカをずっとこっちに居られるようにしたのだ。

俺の顔を見て、ミカがこう聞く。

「どうしたの?オルガ」

俺は小さく笑っていたようだ。

「これで生まれ変わってもミカと一緒だな」
「うん。俺も嬉しいよ。それに……」

ミカは魔方陣を出てきて、歩き出す。

「体も元通りに動くようになったし」
「そうか。そりゃあ、よかった」





ミカもこちらに来れたところで、俺たちは王都の街を散策することにした。
体が元通りに動くようになったミカのリハビリも兼ねて、だ。

「どうしたんだろ?あの子」

エルゼがそう言って、指差した方向を見てみると、そこにはキョロキョロと辺りを見渡す小さな狐の獣人の女の子がいた。女の子は今にも泣きそうな目をしていた。

……迷子か。

冬夜が狐の獣人の女の子に声をかけにいった。

「あの、どうかしました?」
「じ、実は連れの者とはぐれてしまって……待ち合わせの場所は決めておいたんですけど」

やっぱり迷子か。めんどくせぇな!

「ああ、分かったよ!連れてってやるよ!!」
「ここがどこかもわからなくて……」
「連れてきゃいいんだろ!」
「えっ?」
「途中にどんな地獄が待っていようと、お前を……お前らを……俺が連れてってやるよ!」
「……何キレてんの?オルガ」


冬夜の無属性魔法【サーチ】で女の子が決めていた待ち合わせ場所の位置を調べて、そこまで案内する。

スマホの地図を頼りに歩くと、待ち合わせ場所が見えてくる。
その場所にいた獣人の女性を見ると、女の子はその女性目掛けて走り出した。

「お姉ちゃん!」
「アルマ!心配したのよ!」
「ごめんなさい」

俺は隣にいたミカと拳を合わせる。

「終わったな」
「うん」


「会えて良かったです。それじゃ」

冬夜が獣人の姉妹に別れを告げ、俺たちは王都のギルドへとやって来た。

「ここが王都のギルドでござるか~」
「依頼の数も多いです」
「この依頼はどう?」

冬夜がそう言って、俺たちに依頼書を見せてくる。えっと……。

デュラハン一体討伐。報酬は銀貨10枚か。悪くねぇな。


「八重、そっちに行ったぞ!」
「承知!」

崩れかかった城壁を盾にしながら、デュラハンが八重に近づいていく。
デュラハンがその手に持つ禍々しい大剣を振りかざし、それを八重が刀で捌く。

俺は八重と切り結んでいるデュラハンを捉えた。今だ!

「【ミカァ!】」

『ガンダム・バルバトス』をLv4(第4形態)で召喚する。

ミカの操る『ガンダム・バルバトス』Lv4は刀をデュラハンに突き刺して、その命を奪う。

「終わりましたね」
「疲れたでござる~」

リンゼが安堵の呟きを洩らし、八重が地面に座り込む。

「昔の王都って言っても何にもないな……」

冬夜がそう呟く。
元々、この廃墟は千年以上前の王都だったそうだ。
だが、辺りを見渡しても、あるのは穴だらけの城壁と町の形をかろうじて残す石畳と建物、そして完全に崩壊した王城らしき瓦礫のみであった。

なんだよ……。隠し財宝とかねぇのかよ……。

俺がそう思ったとき、エルゼが全く同じことを言い、それに冬夜が弁便した。

「王の隠し財宝とかあったら面白いのにね」
「確かに、一理ある。【サーチ:歴史的遺物】」

冬夜が【サーチ】で財宝を探す。

「引っかかった……」
「どっ、どっちでござるか?」
「……あっちの方から感じる」

どうやら反応があったようで、その反応のある方向を冬夜が指差す。
俺とミカもそちらを見ると、そこには瓦礫の山があった。

「何あれ?」

ミカが瓦礫の間からほんの少し見える何かを指差して、そう呟く。

「何だありゃ」

俺は手で持てる瓦礫をひとつひとつ剥いでいく。

すると、そいつの全貌がほんの少しだが見えてきた。こいつは…………!

「モビルアーマーじゃねぇか!!」

モビルアーマーとは俺たちの世界で厄祭戦の引き金となった殺戮兵器。
人工密集地を優先的に狙うようプログラミングされており、俺たち鉄華団がクリュセで見つけた『ハシュマル』もイオクとかいう馬鹿が誤って目覚めさせてしまい、農業プラントを一瞬で焦土に変えた危険な兵器だ。

「なんで今まで発見されなかったんだ?」

それになんでモビルアーマーがこの世界に?

「大きいな、何だこれ?」
「モビルアーマーっつってんだろ!」
「「「大きい!」」」
「無視すんなよ!」

冬夜たちがモビルアーマーに近づいていく。

「でも、この瓦礫どうしたら?」
「待ってろよ!」
「任せて、下さい!!」
「待てって言ってるだろ!!!」
「【炎よ爆ぜよ、紅蓮の爆発、エクスプロージョン】!!」

リンゼが爆裂魔法で瓦礫を吹き飛ばす。…………その衝撃でモビルアーマーが起動した。

「勘弁してくれよ……」


起動したモビルアーマーが暴れまわる。

「まずい!逃げるぞ!【ゲート】」

冬夜が【ゲート】を開いて、そこにエルゼ、八重、リンゼ、ミカそして冬夜が飛び込んでいく。

「待ってくれ!」

俺も慌てて【ゲート】まで走る。
しかし、俺が飛び込む前に【ゲート】が閉じた。

「勘弁してくれよ……」

俺は逃げ遅れた……。





【ゲート】で安全な場所へ避難した僕たちはそこから、一キロくらい先にいるモビルアーマーを狙う。

「【エンチャント:ロングセンス、ブースト】」

僕はリンゼに【ロングセンス】を与え、一キロ先のモビルアーマーを確認出来るようし、また魔法の威力を【ブースト】で底上げした。

「リンゼ!」
「分かりました!」

リンゼは魔法の詠唱を始める。

「【炎よ爆ぜよ、我が真紅の咆哮を望みたもう。覚醒の刻来たれり、無久の境界に落ちし理。無形の歪みと成りて現出せよ】!」

魔法は詠唱呪文が長いほど、その威力が増していく。
リンゼはエクスプロージョンの長詠唱を唱え、確実にモビルアーマーを破壊するつもりなのだ(オルガ含めて)。





……逃げ遅れた俺はモビルアーマーから逃げながら、呪文の詠唱をしていた。

おそらく、冬夜は安全な場所へ避難してから、【ロングセンス】かスマホでモビルアーマーの位置を確認しながら、長距離高威力魔法を喰らわそうという魂胆なのだろう。

ということは俺はその長距離高威力魔法に巻き込まれて、死ぬ。

魔法がこちらに届く前に俺はよみがえるための呪文を唱えなければいけない。


「【俺は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!】」

「【紅蓮の爆発、エクスプロージョン】!!」

「【……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」





三連休は時間があるからよ、お前らが読み続けるかぎり、俺は書き続けるッ!
……だからよ、(読むのを)止めるんじゃねぇぞ……。