「……
《
フレームギアを操作するためコクピットに備え付けられたスマホの音声とともに、空中に浮かぶレギンレイヴの折り畳まれた背中の翼が開き、羽根のような水晶板が外れた。左右合わせて十二枚の長い水晶板が機体の周りに規則正しく並ぶ。
「
《
長い板状だったものが一瞬で球体に変化し、水晶の球となって衛星のようにレギンレイヴの周りを回転し始める。この
「いけっ!」
弾丸のように十二個の水晶球がドレイクへと飛んでいく。
球体となった
「
《
次に十二個の水晶球は十二本の剣へと形を変化させる。水晶の剣が縦横無尽に飛び回り、凹み、歪んだドレイクの装甲をズタズタに切り裂いていく。
グワァァァァァ!!!
ドレイクも黙ってやられている訳ではない。
全身から放電し、
「くっ……ならっ!【グラビティ】【スリップ】!」
「これで、最後だ!」
冬夜がレギンレイヴの二本の剣を納刀しながら、そう言うと、打ち落とされた全ての
「
《
十二本の水晶剣が次々と腕に重なっていき、やがて大きな水晶の
そのままレギンレイヴは空中へと飛び上がり、その後、急降下しながらドレイクへ向けて落ちていく。
「【アクセルブースト】!」
そして、【アクセル】と【ブースト】を併用したレギンレイヴが
その圧倒的な力にオルガと三日月は驚愕する。
「何なんだ……こいつは……」
「すごいな」
そんな語彙力を失った感想を漏らす二人の前にレギンレイヴは鎮座し、そのコクピットから冬夜が降りてくる。
「昭弘さんとシノさん、リオンさんは……間に合わなかったか……ごめん」
「いや、大丈夫だ。あいつらも神の爺さんのとこに戻っただけ、またいつか会える」
「そうだね」
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その頃、マクギリス・ファリドは……。
(カルタ、アルミリア……ガエリオ……。オリガ殿、アルマ……すまない……)
暗く深い闇の中、死の間際に彼は傷付けてしまった者達や異世界で愛そうとした女達の顔を思い浮かべていた。そして、懺悔の言葉を口にする。
(……皆、幸せにしてやれなくて、すまなかった……。そして、ガエリオ。お前は俺にとって……)
ただ理想のみに生きた最初の人生とは違う。やり直そうと誓った二度目の人生も……終わってしまった。
そして、再び彼が目を醒ました時、視界の端に写ったのは己の小さな手脚だった。首は据わっていないし起き上がることも出来ない。
彼は女性に抱きかかえられており、その腕の中で泣き叫んでいた。
その状況から彼は察する。
(……私は、赤ん坊になっているのか?)
輪廻転生。死んであの世に還った魂が、この世に何度も生まれ変わってくる、という考え方。
Post Disaster世界でも信じてはいなくともその考え方自体は知っているものは多い。
「ああ、泣かないで、エル。いい子いい子」
彼を優しく抱く女性────セレスティナ・エチェバルリアの胸の中で彼は眠気を覚え、静かに瞳を閉じた。
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ドレイクを倒した後、オルガと三日月は冬夜からとある話を聞かされる。
「何っ!一つの世界にモビルアーマーが三体も!」
「うん。名前は
「冬夜はどうすんの?」
「僕はちょっと色々あって、向こうの世界の『ブリュンヒルド王国』って国の国王になっちゃってさ、あまり自由に動けないんだ。今もお忍びで来ちゃってるから、ユミナたちに見つかる前に早く戻らなきゃいけないんだよ」
「ああ、わかったよ。行けばいいんだろ!」
「うん。よろしく」
そして、オルガと三日月も新たな異世界へと旅立つ事になった。
「【
そして、舞台は新たな異世界『セッテルンド大陸』へ。
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「オルガ・イツカ、三日月・オーガス、両名。セッテルンド大陸への転移を確認。モビルアーマーを集めた甲斐がありましたね」
「報告、ありがとう。でだ、君はこれからどうするのか──それをボクに教えて欲しい」
「アンタに言われた『試練』の準備ですよ。必要なのは『ユージン・セブンスターク』『チャド・チャダーン』『アジー・グルミン』『ガエリオ・ボードウィン』でしたか?」
「うん。それで間違いない。でも『ガエリオ・ボードウィン』に関しては彼女に任せるから君は手出し無用だよ」
「お姫さんに?」
「その後は彼女もセッテルンド大陸に転移させる。彼女がいればマクギリス・ファリドも安らげるだろう」
「……わかりました。最後までアンタの『強欲』に付き合ってやりますよ」
「君ならやってくれると信じてるよ、ライド・マッス君」
次回から、ナイツ&オルガです。
お楽しみに!
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