異世界オルガ   作:T oga

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ナイツ&オルガ1.5

西方暦一二七七年。エルネスティ(マクギリス)とアディ、キッド、三日月は騎士学科中等部へと進学していた。

入学直後から幻晶騎士(シルエットナイト)に関する知識を求め、この三年間で鍛冶師学科の授業を満足するまで履修し終えたエルネスティ(マクギリス)は現在、高等部の騎操士学科の授業に紛れ込み始めていた。

 

高等部の騎操士学科の授業から自らが所属する中等部の教室へと帰ってきたエルネスティ(マクギリス)はそこでクラスメイトから野外演習について聞かされた。

 

「野外演習?」

「あぁ、なんか二週間後にやるらしいぜ」

「魔獣と戦って実戦経験を積むために騎士学科の中等部と騎操士学科の高等部が合同で遠征に向かうそうよ」

「なるほど」

 

ライヒアラ騎操士学園は実習と実戦を重視する。

騎士学科中等部と騎操士学科高等部が向かう先は比較的小型の魔獣────プルーマが生息すると言われる森林地帯であった。

 

そして、その二週間はあっという間に過ぎていき、エルネスティ(マクギリス)達が野外演習に出発する日が訪れた。

 

「オルガ、なんでいんの?」

学園長(ラウリのオッサン)からの仕事だよ。教師と一緒に学生の護衛だ」

「そっか」

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

ライヒアラ騎操士学園・騎士学科の一行が馬車に揺られ、目的地であるクロケの森に到着したのは、日の落ちた時刻であった。

 

「よーし、荷物を降ろしたら各班まずはテントを作れー!それが終わったら夕食にするぞ」

 

教師の号令一下、生徒達が寝床となるテントを設営する。

 

エルネスティ(マクギリス)達の班(エルネスティ(マクギリス)と三日月、アディ、キッド、そして引率役としてオルガ・イツカ)は他の班よりも早めにテントの設営を終えていた。

アディ、キッドはその後、他の班の設営を手伝いに行き、エルネスティ(マクギリス)と三日月、オルガは野営地の外れへと足を向けた。

 

「おい、マクギリス。どこに行くんだよ?」

「ノルマはこなしている。サボりではない」

「どこに行くのかって聞いてんd……!」

 

ピギュ

 

「え"え"っ!?」

「うるさいなぁ」

「勘弁してくれよ……」

 

 

中等部の野営地の隣、そこは高等部の騎操士学科の生徒達と彼らの幻晶騎士(シルエットナイト)の駐屯地になっている。

片膝をつく形の駐機体勢をとる真っ白な幻晶騎士(シルエットナイト)を目にしたエルネスティ(マクギリス)はこう呟きを漏らす。

 

「やっと会えたな、バエル……。いや、新しい時代の夜明けだ!目を醒ませ、アグニカ・カイエル!」

「は?」

「あんた、何言ってんの?」

「おい、そこの銀色、……マクギ……いや、エルネスティか?」

 

その時、エルネスティ(マクギリス)達の背後から声がかかる。エルネスティ(マクギリス)達が振り返るとそこにいたのは、真っ白な幻晶騎士(シルエットナイト)────アールカンバーの騎操士(ナイトランナー)であるライヒアラ騎操士学園・高等部の騎操士学科の生徒、エドガー・C・ブランシュであった。

 

「エドガー先輩!じゃあ、これがエドガー先輩のアールカンバーですね!」

「ああ、アールカンバーが俺の物になってもう二年だからな。修理と改修が積もってこうなった。……って、オルガと三日月じゃねぇか……!?」

「あんた……」

「俺だよ、昭弘だ。昭弘・アルトランド」

 

モビルアーマー『ドレイク』との死闘で再度、命を落とした昭弘・アルトランドはこのセッテルンド大陸でエドガー・C・ブランシュに転生していたのだ。

 

オルガ、三日月と昭弘は九年振りの再会を果たした。

 

「おぉ、昭弘!」

「あのモビルアーマーとの戦いの後、どうなったのか心配していたんだが、大丈夫だったようだな」

「ああ、なんとかな」

「昭弘も元気そうでよかったよ」

「ありがとな、三日月」

 

篝火(かがりび)の明かりが揺らめく中で、談笑を交える鉄華団。その談笑が終わるタイミングを見計らってエルネスティ(マクギリス)エドガー(昭弘)にこう尋ねた。

 

「エドガー先輩は見回りですか?先輩お一人で?」

「はぁ……、相方のディートリヒが面倒がってな」

「誰だ、そいつは?」

 

ディートリヒ・クーニッツ。ライヒアラ騎操士学園・騎操士学科の騎操士(ナイトランナー)の一人。エドガー(昭弘)の同級生であるが気分屋な性格のため、待機任務を面倒がり、盛大に愚痴を漏らしているらしい。

 

「奴の愚痴に付き合うのも面倒になったのでな。気分転換がてらこいつを見に来たんだ」

「先輩も幻晶騎士(シルエットナイト)が好きなのですか?」

「まぁ、お前ほどじゃないが、多分好きなんだろうな」

 

そう言ってエドガー(昭弘)は愛機────『ガンダム・グシオンリベイク・アールカンバー』を見上げる。

 

「こいつは俺の武器であり、鎧であり、かけがいのない相棒でもある」

「良くわかります!僕も早く相棒(バエル)を手に入れたいです!」

 

恍惚(こうこつ)とした表情でそう言うエルネスティ(マクギリス)を見たエドガー(昭弘)はこう提案する。

 

「どうだ、乗ってみるか?」

「えっ?」

「操縦しろ、とは言わない。(くら)に跨がってみるだけだ」

「いいのか、昭弘?」

「エルネスティならまぁいいか、と思ってな」

「ありがとうございます!」

 

エドガー(昭弘)の許しを得たエルネスティ(マクギリス)は『ガンダム・グシオンリベイク・アールカンバー』の操縦席(コクピット)へと足を踏み入れる。

 

「三百年だ……。もう休暇は十分に楽しんだだろうアグニカ・カイエル。さぁ、目醒めの時だ!」

 

操縦席(コクピット)(あぶみ)に足を伸ばすエルネスティ(マクギリス)だが……。

 

「目醒めの時だ……」

 

エルネスティ(マクギリス)の身長が平均以下の為、足が(あぶみ)まで届かない。

 

「目醒めの……」

「やはり、(あぶみ)には届かないか……」

「はぁ……」

「どうした?」

「……聴け!今、三百年の眠りから、マクギリス・ファリドの下にバエルは甦った!」

「あんた、何言ってんの?」

「甦ってねぇぞ……」

 

 

 

中等部の野営地へと戻り、夕食を摂った後、テントで就寝したエルネスティ(マクギリス)達を目覚めさせたのは、緊急を知らせる鐘の音だった。

 

「どうした?何があった?」

「バエルが甦ったのか?」

「アディ、おい起きろ!」

「う~ん、エルく~ん……zzz」

「オルガ、チョコ、キッド!アディも起きて!なんか嫌な予感がする」

 

その後、やってきた教師の説明によると、突如として大量の魔獣(プルーマ)が出現し、夜間演習中の騎士学科中等部三年生が襲撃を受けたとの事であった。

 

 

「一年、二年は荷物を持たずに直ちに避難しなさい!高等部は幻晶騎士(シルエットナイト)で前進!襲撃された三年生の生徒達の救援に向かえ!」

 

避難誘導をする教師の声が響く。

 

「ミカ、やってくれるか?」

「いいよー」

 

三日月も『ガンダム・バルバドスルプスレクス』を呼び出し、高等部と共に三年生の救援へ向かう。

オルガは中等部一年生である三日月を救援に向かわせる為、教師に説明する。

 

「俺たちの班は学園長(ラウリのおっさん)から緊急時の単独行動が認められてる。エルネスティとアーキッド、アデルトルートも高等部と一緒に三年生の救援に向かわせるぞ。幻晶騎士(シルエットナイト)より、俺らのが早ぇしな」

「うむ、わかった」

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

「【大気円刃(エアロリッパー)】!」

 

魔法現象に特有のやや甲高い飛翔音を残し、【大気円刃(エアロリッパー)】の魔法が魔獣(プルーマ)を切り裂く。

 

「すり抜けた魔獣が来ます!前列、盾構え!」

 

凛とした女性の声────生徒会長の指示に従い、騎士学科中等部三年生の生徒達が盾を構え、魔獣(プルーマ)を止める。

 

「止まるんじゃねぇぞ!その先に俺はいるぞ!」

 

その生徒達の前に現れたオルガが魔獣(プルーマ)の攻撃を全て吸い取る。

 

「う"う"っ!」

 

ヴァアアアアアア!!パン!パン!パン!

 

魔獣(プルーマ)の攻撃を全て吸い取ったオルガはカウンターで魔獣(プルーマ)を倒す。

 

「なんだよ……。結構当たんじゃねぇか……」

 

その時、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ……。お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

 

「生徒会長!第二波来ます!」

「……っ!」

 

オルガが復活するよりも先に森の奥から再び魔獣(プルーマ)の群れが現れる。

 

(どうしてこんなに魔獣が?まさか、近くに師団級魔獣でもいるというの!?)

 

生徒会長はこの異常な魔獣(プルーマ)の数に師団級魔獣(モビルアーマー)の存在を疑い始める。

そう生徒会長が逡巡(しゅんじゅん)した刹那……。

 

「生徒会長っ!?」

「えっ!?」

 

魔獣(プルーマ)が生徒会長へ襲いかかる……。

 

「いやっ!」

 

その時、銀髪の小さき騎士が空から現れた。

 

「……【火炎弾丸(ファイヤトーチ)単発拡散(キャニスタショット)】!」

 

銀髪の騎士────エルネスティ(マクギリス)は【身体強化(フィジカルブースト)】で空を駆け、上空で身をひねるようにして、魔獣(プルーマ)へと向けて多数の【火炎弾丸(ファイヤトーチ)】の魔法弾を一斉に撃ち放つ。

 

「エルネスティくん!」

「生徒会長!ここは任せろ!行くぜ、【真空衝撃(ソニックブレード)】!」

「姉様、ここは任せて!【雷撃投槍(ライオットスパロー)】!」

「俺もいるぞ!」

 

そこにキッドとアディも駆けつけ、魔獣(プルーマ)達を殲滅していく。

 

「皆さん、落ち着いて馬車の方へ!」

 

 

そして、エルネスティ(マクギリス)達が援軍に来て数分が経過した頃(その間、オルガは希望の花を咲かせ続けた)、奴は現れた……。

 

────師団級魔獣(モビルアーマー)。『陸皇亀(ベヘモス)』である。

 

「し、種別確認!陸皇亀(ベヘモス)、師団級魔獣です!」

「下級生が避難し終えるまで我々が奴を足止めする」

 

遅れてやってきた高等部騎操士学科の生徒達が陸皇亀(ベヘモス)と対峙する。

エルネスティ(マクギリス)とアディ、キッドは中等部三年生の護衛についた。

 

「昭弘ももういいよ」

「ふざけるな、お前が残ってんのに俺が退けるか!」

「そう、じゃあ足引っ張んないでね」

「俺のアールカンバーの実力、お前に見せてやる!」

 

「エドガー・C・ブランシュ!ガンダム・グシオンリベイク・アールカンバー!」

「三日月・オーガス。ガンダム・バルバトスルプスレクス」

「「行くぞ!」」

 

 

そして数分後、陸皇亀(ベヘモス)との戦いは──泥沼化していた。

 

十分に勢いのつけた陸皇亀(ベヘモス)の突撃を受ければ、幻晶騎士(シルエットナイト)の機動性をもってしても逃げられる保証はない。その為、騎操士(ナイトランナー)達は誰かが狙われそうになる(たび)に逆側から集中放火を浴びせ、注意をそらす事で時間を稼いでいた。しかし、彼らの攻撃は陸皇亀(ベヘモス)に何の損傷も与えられずにいた。まさに泥沼化である。

 

その状況を壊したのは騎操士学科高等部三年生のディートリヒ・クーニッツであった。

 

「はーはっは!何だ、このデカブツめ!図体ばかりデカくても、手も足も出ないじゃないか!何が師団級だ、この程度なら私一人で退治してやる!」

 

ディートリヒはそう吼えた。その巨体から放たれる威圧感に押され、すくんでしまったからこそ彼は現在の自分の優位を自分自身に言い聞かせていた。それは彼自身を奮い立たせる為の方法であったが、あまりにも時間稼ぎがうまく行き過ぎた事によって油断が生じてしまった。

 

「待てよディー!」

「待ってろよ……」

 

油断禁物と他の生徒(とオルガ)が口にするが、ディートリヒはこう思考し、単身突撃してしまう。

 

(この魔獣はデカいだけのウスノロだ。大して恐れる事はない!)

 

実際には一回でも陸皇亀(ベヘモス)の突撃が当たれば、幻晶騎士(シルエットナイト)は破砕されかねないのだが、この巨獣を足止め出来ているという事実が彼の判断を鈍らせていた。

 

「はーはっは!はーはっは!」

「待てって言ってんだろうが!」

 

その時だった。突如、動きをゆるめた陸皇亀(ベヘモス)が大きく息を吸い込む。

そして、その直後、その口から猛烈な炎の息吹(ブレス)が唸りを上げて放たれた。

 

ヴァアアアアアア!!

 

その時、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ……。お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

 

オルガの死────人の死を初めてその目で見たディートリヒは悲鳴を上げて逃げ出した。

 

「ヒッ、う、うわっ……。うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「ディートリヒ、何処へ行く!?」

「逃げた奴は放っとけばいいよ。それでどうするオルガ?」

「……全員、正面は避けろ!まずは回避を優先するんだ!あと少し、あと少しだけ粘ってくれ!」

「俺はどうすればいい、オルガ?」

「ミカの使いどころはちゃんと考えてある」

「そっか」

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

陸皇亀(ベヘモス)の魔法の暴威により、オルガ達が窮地に陥っていた頃。

 

エルネスティ(マクギリス)達は中等部の生徒を全員送り出し、最後の馬車へと飛び乗っていた。

彼は走る馬車の後部から遠ざかる戦いの様子を見ている。

 

(鉄華団ならば、この状況を打破してくれるはずだ。……ん?)

 

そう思考するエルネスティ(マクギリス)の視界の端に紅い影がよぎった。

急いで振り向き、その正体を確認した彼の表情が驚愕に彩られる。

 

紅い影────それはディートリヒの幻晶騎士(シルエットナイト)『グゥエール』であった。

 

「アディ、キッド。ここは任せます」

「えっ?エル君?」

「どこ行くんだよ、エル?」

 

エルネスティ(マクギリス)はその問いには答えず、馬車から飛び出し、森の奥へと消えていった。

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

真夜中の暗い森の中を紅い幻晶騎士(シルエットナイト)が駆ける。

周囲には森が広がるばかりで何者の姿も無い。

紅い機体は脇目も振らず、速度を緩めずにまるで何かに追い立てられる様に全力で駆けていた。

 

そして事実、紅い幻晶騎士(シルエットナイト)────グゥエールとその騎操士(ナイトランナー)、ディートリヒ・クーニッツは完全に追い詰められていた。

 

ディートリヒを駆り立てているのは恐怖の感情だった。

陸皇亀(ベヘモス)にオルガが殺される光景が彼の脳裏にこびりついて離れない。

 

しかし、突如としてグゥエールの動きが止まる。魔力貯蔵量の枯渇(バッテリー切れ)だ。

 

「動けぇ……、動けぇ……」

 

動かないと分かったディートリヒはひとまず陸皇亀(ベヘモス)に追われていない事を確認し、荒れた呼吸を落ち着ける。

 

いざ立ち止まって少しでも冷静さを取り戻すと、次に彼を襲ったのは猛烈な後悔の感情だった。

 

「俺は皆を見殺しにした?……で、でも!仕方ないんだ!あの場にいたんじゃ、無駄に殺されるだけだ!無駄死にすべきじゃないんだ!……皆を見殺しにした訳じゃない……」

 

自らの思考に振り回されていたディートリヒは、突如聞こえてきた音で我に返った。

 

圧縮空気を噴出する鋭い音。幻晶騎士(シルエットナイト)操縦席(コクピット)へ乗り込む為、胸部装甲を外部から開閉する時の音だ。

その音とともに外の空気が操縦席(コクピット)内に広がり、操縦席(コクピット)を外部から開けた張本人が姿を現わす。

 

「やっと見つけましたよ。先輩」

 

その声の主は月光に冴える銀髪の少年────エルネスティ・エチェバルリアであった。

 

「単刀直入にお伺いします。先輩は逃げ出したのですよね?」

「くっ!?……あぁ、くそっ!そうだ!生き延びる道を選ぶ方が利口なのだ!」

「よかった」

「……えっ?」

「先輩からなら僕も遠慮なくグゥエールを強奪(お借り)出来そうです」

 

エルネスティ(マクギリス)銃杖(ガンライクロッド)を引き抜く光景を最後にディートリヒの意識は途絶えた。

 

 

「我慢して下さいね。森に放り出して行く訳にもいきませんから。さてと……」

 

気絶したディートリヒにそう言ったエルネスティ(マクギリス)はグゥエールの操縦席(コクピット)に乗り込み、銃杖(ガンライクロッド)を二丁用意する。

 

左右のコンソールを破壊し、その下から操縦桿へと伸びる銀製の配線──銀線神経(シルバーナーヴ)を引っ張りだし、それを用意した二丁の銃杖(ガンライクロッド)に巻き付ける。

 

銃杖(ガンライクロッド)魔力(マナ)を伝えやすいホワイトミストーで作られている。そこに銀線神経(シルバーナーヴ)を直結する事で、銃杖(ガンライクロッド)自体を簡易の入出力端末としたのである。

 

「ぶっつけ作業のぶっつけ本番もいいところですけど、成功させるしかありません」

 

幻晶騎士(シルエットナイト)は大気中のエーテルを魔力転換炉(エーテルリアクター)魔力(マナ)へと変換し、銀線神経(シルバーナーヴ)はその魔力(マナ)を用いて魔法術式(スクリプト)を制御システムたる魔導演算機(マギウスエンジン)へと伝達する。大気中のエイハブ粒子を用いてエイハブリアクターを動かすモビルスーツとは異なり、幻晶騎士(シルエットナイト)はエーテルがなくとも魔力(マナ)さえあれば動くのである。

 

つまり、銀線神経(シルバーナーヴ)に直接魔力(マナ)を送り込み、頭の中で魔法術式(スクリプト)を組んでしまえば、幻晶騎士(シルエットナイト)は動かす事が出来るのだ。

 

また、幻晶騎士(シルエットナイト)の操縦桿と(あぶみ)幻晶騎士(シルエットナイト)の動きを分かりやすくイメージさせる為のもの。

頭の中で幻晶騎士(シルエットナイト)を動かすイメージが固まっていれば、別に操縦桿と(あぶみ)を使わなくとも、幻晶騎士(シルエットナイト)を動かす事が出来る。

 

そのエルネスティ(マクギリス)の仮説はグゥエールが動く事で立証された。

 

 

エルネスティ(マクギリス)魔力(マナ)を吸い、幻晶騎士(シルエットナイト)が再び大地に立つ。

 

「聴け!ギャラルホルンの諸君!今、三百年の眠りから、マクギリス・ファリドの下にバエルは甦った!」

 

《バエルだ!アグニカ・カイエルの魂!》

《やったぞ、みんな!作戦は成功だ!我々の勝利だ!》

《そうだ。ギャラルホルンの正義は我々にあり!》

《うおおおおおおおおおお!!》

 

エルネスティ(マクギリス)の脳内にはそのような幻聴が響き渡っていた。

 

 




ナイツ&オルガはこの後もこれくらいの長さになると思われます。長いですけど、飽きないように作りますのでお許しを。

また、なろう系以外の異世界オルガ作品のノベライズについて活動報告の方に記載させて頂きました。


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