異世界オルガ   作:T oga

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P.D.331年。火星連合代表自治国『クリュセ』

「てめぇ、ライド!なんでクリュセを……お嬢を狙う!何が目的だ!」
「火星の王になる。団長がなりたかったものを俺も目指すんだ」
「それがなんでお嬢を狙う事になるんだよ!?」
「今の火星連合の指導者はクーデリア・藍那・バーンスタインだ……。彼女を殺せば、俺たち鉄華団が火星の王になれるんだ……。団長を目の前で殺されたあの光景を見たチャドさんなら俺の気持ちわかってくれると思ったのに……」
「ライド……、お前は間違ってる……!」
「目を醒ませ!ライド。今のお前はオルガの亡霊に取り憑かれているにすぎない!」
「アジーさんまで、俺を否定するのか!!……もういい、鉄華団の邪魔をする奴は皆……潰す!」





ナイツ&オルガ2

クロケの森では陸皇亀(ベヘモス)とライヒアラ騎操士学園・高等部の生徒達との戦いが続いていた。

 

金属同士が衝突する重々しい打撃音が響き、一機の幻晶騎士(シルエットナイト)が吹き飛ばされ、宙を舞う。

 

「ぐぁっ!」

「大丈夫か!?」

「昭弘、前!」

「何っ!」

 

吹き飛ばされた味方機に一瞬、気を取られたエドガー(昭弘)のガンダム・グシオンリベイク・アールカンバーを陸皇亀(ベヘモス)の尾が襲う。

(むち)のようにしなる陸皇亀(ベヘモス)の尾を避けきれないと直感したエドガー(昭弘)はアールカンバーを下がらせながら左手の盾で尾を防ぐが、防ぎきれず、盾が弾き飛ばされてしまった。

 

「くっ!盾をもっていかれたか!」

「まだだ、炎の息吹(ブレス)が来るぞ!」

 

ヴァアアアアアア!!

 

その時、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ……。お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

 

「昭弘、生きてる?」

「あぁ、どうにかな……。しょうがねぇ……死ぬまで、生きて……命令を果たしてやろうじゃねぇか!!」

 

エドガー(昭弘)が死を覚悟して、陸皇亀(ベヘモス)に向かっていこうとしたその時、不気味な笑い声が森の奥から聞こえてきた。

 

「あははははははっ!ふっははははは、いましたいました。見ぃつけた~!!」

 

狂気じみた哄笑(こうしょう)とともに紅い幻晶騎士(シルエットナイト)──グゥエールが戦場へと現れる。

 

「ディートリヒ、戻ってきたのか?」

 

エドガー(昭弘)のその問いには答えずにグゥエールは戦場を見渡せる小高い丘に立つと両手を広げ、こう宣言する。

 

「聴け!ギャラルホルンの諸君!今、三百年の眠りから、マクギリス・ファリドの下にバエルは甦った!」

 

「チョコ?」

「マクギリスじゃねぇか……」

「……飛翔しろ!バエル!」

 

瞬間的に速度を上げたグゥエールは走りながら抜剣し、陸皇亀(ベヘモス)の脚部──装甲の薄い関節部を斬りつけようと試みるが、斬る事は出来ず、剣は跳ね飛ばされてしまった。

 

斬れないと判断したエルネスティ(マクギリス)はただちに後方へ跳躍し、跳ね飛ばされた剣を拾いに戻る。その後、先程と同じ脚部の関節を狙い、突きを穿つ。

 

しかし、その手応えは彼の予想以上に固かった。

 

(ふむ、ほとんど刺さっていないな……。関節を破壊する事は出来なかったが、甲羅を攻撃するよりはまだましか)

 

そう思考し、クスッと笑みを浮かべるエルネスティ(マクギリス)はこう呟きをもらす。

 

「これは持久戦になりそうですね。……ならば、見せてやろう!純粋な力のみが成立させる真実の世界を!」

 

激情に猛る巨獣と紅き騎士の輪舞(ロンド)が今、幕を開けた。

 

 

(む……うぅ……?)

 

陸皇亀(ベヘモス)とグゥエールの戦闘の最中、『彼』が意識を取り戻す。

 

彼の視界に広がるのは薄暗い空間。ぼんやりとしていた意識がハッキリするにつれて、にわかに無理な体勢をとっていた全身を痛みが襲う。

 

「ぐっ……こ、ここは……」

 

狭き空間でなんとか体勢を整えようとしていると、目の前の壁に押し当てられるような独特の圧力が彼に襲いかかった。

この圧力の正体は慣性──騎操士(ナイトランナー)ならば誰でも感じた事のあるお馴染みの感覚だった。

 

(ここは幻晶騎士(シルエットナイト)操縦席(コクピット)か?……たしか俺は……)

 

そこまで考えて彼──ディートリヒ・クーニッツは記憶にある最後の光景を思い出した。

 

(そうだ。エルネスティが目の前に現れて、それで……)

 

完全に記憶を取り戻したディートリヒは慌てて体勢を立て直し、座席の後ろから首を持ち上げるが、その時に彼の目に入ったものは幻像投影機(ホロモニター)に写った陸皇亀(ベヘモス)の姿だった。

 

「ぎゃああああああ!」

「あっ、おはようございます先輩。今は戦闘中なので、出来ればお静かにお願いしますね」

「お前っ!なんてことを、正気なのか!?いや、そもそもなぜ戦っている!?」

「私の言葉はアグニカ・カイエルの言葉」

「はぁ?」

「バエルは甦った!」

 

エルネスティ(マクギリス)の言動に混乱を覚えるディートリヒ。

エルネスティ(マクギリス)はそんな彼に()()()()をかけた。

 

「【バエル、アグニカ・カイエル、バエル、アグニカ・カイエル、バエル、アグニカ・カイエル、バエル、アグニカ・カイエル、バエル、アグニカ・カイエル、バエル、アグニカ・カイエル、バエル、アグニカ・カイエル、バエル、アグニカ・カイエル、バエル、アグニカ・カイエル、バエル、アグニカ・カイエル、バエル、アグニカ・カイエル、バエル…………】」

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

陸皇亀(ベヘモス)とグゥエールが戦い始めて数時間が経過した頃。

オルガ、三日月とエドガー(昭弘)達、高等部三年生が一時撤退し、援軍を要請していたクロケの森から最も近くに位置する街『ヤントゥネン』の守護騎士団が現場に到着した。

 

ヤントゥネン守護騎士団の幻晶騎士(シルエットナイト)──カルダドアを見たディートリヒは歓喜する。

 

「カルダドア!援軍だ!守護騎士団が来てくれた!」

「予想よりも少し早い。鉄華団の差し金か」

「紅の騎士!よくぞ、健闘した!」

「私の言葉はアグニカ・カイエルの言葉。あなた方もギャラルホルンの一員と名乗るのであれば、ただ私に従えばいい」

「ギャラル……ホルン?」

「まずは保有する地上戦力を全て、私に差し出して頂く」

「我がヤントゥネン騎士団の幻晶騎士(シルエットナイト)を総動員しても百機にも満たない。果たして師団級魔獣に対抗出来るものか……」

「バエルを手に入れた私はそのような些末事で断罪される身ではない」

「何を言っているのだ?」

 

エルネスティ(マクギリス)はヤントゥネン守護騎士団の全員に伝えるように拡声器を使い、こう宣言する。

 

「革命は終わっていない!諸君らの気高い理想は決して絶やしてはならない!アグニカ・カイエルの意思は常に我々とともにある!ギャラルホルンの真理はここだ!皆、バエルの下へ集え!」

「良くわからんが、皆!バエルに続け!」

「「「「うおおおおおおおおおお!!」」」」

 

守護騎士団のカルダドアが陸皇亀(ベヘモス)に向けて、突貫する。

しかし、やはり傷一つつける事が出来ず、蹂躙されてしまった。

 

「くっ……ならば……!対大型魔獣用破城鎚(ハードクラストバンカー)、用意!」

 

対大型魔獣用破城鎚(ハードクラストバンカー)』とは巨大な金属の塊を杭の形状に成型させた大型魔獣(モビルアーマー)用の決戦兵器だ。

四機もの幻晶騎士(シルエットナイト)が持ち上げてようやく動かせるその破城鎚(はじょうつい)はその名の通り、堅牢(けんろう)な城壁すら容易に打ち砕く程の破壊力を持っている。

 

その対大型魔獣用破城鎚(ハードクラストバンカー)を計四基用意し、陸皇亀(ベヘモス)を左右に挟み込むような形で、破城鎚(はじょうつい)を打ち込む陣形を保つ。

 

「穿てぇぇ!」

 

騎士団長の指示の下、破城鎚(はじょうつい)を抱えた幻晶騎士(シルエットナイト)が一斉に走り出す。

 

しかし、その破城鎚(はじょうつい)陸皇亀(ベヘモス)に命中する事はなかった。

 

陸皇亀(ベヘモス)はあろうことか、顔を下へ向けて、全力で炎の息吹(ブレス)を放ったのだ。

至近距離の地面へと放たれた炎の息吹(ブレス)は荒れ狂うままに大地を(えぐ)り、岩石を撒き散らしながら爆発する。

命中を目前にした破城鎚(はじょうつい)部隊はそれを避ける暇などなく、爆発に巻き込まれてしまった。

 

 

それから数時間後、決定打を無くしたヤントゥネン守護騎士団は為す術なく──全滅した。

 

「……彼らの協力が得られないのは想定外だった」

 

グゥエールの操縦席から拡声器を閉じる事も忘れ、そのように呟くエルネスティ(マクギリス)

そのエルネスティ(マクギリス)の呟きを耳にしたオルガはグゥエールの外部装甲を外から開け、操縦席(コクピット)に座るエルネスティ(マクギリス)を殴りつけた。

 

「てめぇの無駄な演説のせいで死ななくてもいいはずの騎士団のやつらが死んだ!十把一絡(じっぱひとから)げにすんじゃねぇ!」

「バエルを手に入れた私はそのような些末事で断罪される身ではない」

「あんた正気か?……こいつはバエルじゃねぇぞ……」

 

オルガはエルネスティ(マクギリス)に真実を叩きつける。しかし、エルネスティ(マクギリス)はグゥエールをバエルと呼び、真実を認めない。

 

「勘違いしないで欲しい。アグニカ・カイエルの意思は常に我々とともにある!」

 

オルガはエルネスティ(マクギリス)を再び殴りつける。

 

「こいつは……こいつはバエルじゃねぇぞ……」

「バエルを持つ私の言葉n……」

 

なおもグゥエールをバエルと呼ぶエルネスティ(マクギリス)をオルガは何度も、何度も殴りつけた。

 

 

オルガに殴られ続けたエルネスティ(マクギリス)は『彼女』の声を幻聴()く。

 

《おかしいわ……。マッキーの言ってることはすべておかしいわ……》

 

(アルミリア……。全く、困った女だ……)

 

 

オルガを操縦席(コクピット)から追い出したエルネスティ(マクギリス)はグゥエールを加速させる。

 

「私は今、機嫌が悪くてな。少々、八つ当たりに付き合ってもらう!」

「おいっ!そいつと一緒に俺も降ろせっ!……って、何を、お前っ、やめっ!……むーーーーりーーーー!!!!」

 

跳躍しながら抜剣したグゥエールは眼球を狙い、突きを穿つ。しかし、陸皇亀(ベヘモス)はグゥエールの剣が直撃する前に瞳を閉じ、眼球を守った。

グゥエールの一撃は眼球を穿つ事は出来ず、硬い(まぶた)に阻まれて剣が砕けてしまった。

 

エルネスティ(マクギリス)は鉄華団に助けを請う。

 

「……鉄華団ならば、この状況を打破出来るはずだ」

「あんたが俺らの力をあてにするってんなら、俺らのやり方に従ってもらう」

「ああ……それでいい」

 

作戦指揮が再びオルガへと戻る。

しかし、オルガにももう作戦などなかった。

オルガが放った一言はただ「奴に突っ込む」それだけだった。

 

「敵に突っ込むの?」

「ああ……ミカ、露払いを頼めるか」

「もちろん。それがオルガの命令ならね」

 

三日月はオルガを信頼している為そう言うが、他の生徒達は違った。

 

「何言ってるか分かってるの?相手は師団級魔獣なのよ。がむしゃらに突っ込んでいって勝てる相手じゃないわ!」

「無理だ、むりむりむり!!」

 

しかし、そんな生徒達をエドガー(昭弘)が一蹴する。

 

「だったら、他に策はあるのか?……ないだろう。だったら団長の指示通り、死を覚悟し、突っ込むより他はあるまい」

「無茶を言ってんのは分かってる。だが、やるしかねぇ!お前らの『命』って名前のチップをこの作戦に賭けてくれ!」

 

 

───その時だった。

 

 

(うな)れっ!ギャラクシーキャノンッ!!発射ぁっ!!」

 

陸皇亀(ベヘモス)がどこからか来た砲撃の雨に突如、曝される。

 

「なんだ!?」

 

オルガのその問いに懐かしい声が返ってくる。

 

「准将ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「っ!?……石動か!?」

「待たせたな!てめぇら!」

「シノ!」

「ヒーローのお出ましだ!」

「その声……ユージン!?」

「俺もいるぜ!」

「チャド!」

「それにタービンズも一緒だぜ!」

「ごめんごめん、装甲の換装に時間かかってさ~!」

「……っ!ラ、フタ……なのか!?」

「うん。久しぶり、昭弘……」

「あたしもいるんだけど、仕方ないね。……まぁ、遅れた分の仕事はするよ」

「アジーまで、……なんでいんの?」

転生した理由(その話)は後、まずは陸皇亀(ベヘモス)を倒すよ」

 

懐かしい面々を前にエルネスティ(マクギリス)とオルガ、三日月、エドガー(昭弘)の士気が上がる。

 

「さーて、反撃開始と行くかぁ!」

 

 

幻晶騎士(シルエットナイト)より幾分か性能の良いモビルスーツの攻勢により、陸皇亀(ベヘモス)は徐々にだが確実に傷をおっていった。

 

「やったぞ!どうだ化け物め!」

 

グゥエールの操縦席(コクピット)の後ろからディートリヒがそう吼える。

 

「とどめを、准将!」

「さあ、大詰めです!」

 

グゥエールが陸皇亀(ベヘモス)にとどめを刺そうとしたその時、エルネスティ(マクギリス)とディートリヒをガクッと沈み込むような感覚が襲う。

 

「な、なんですか!?」

「機体が軋みをあげている……!」

 

機体の首をめぐらせて脚を確認してみると、関節の各部が異常な軋みをあげ、装甲の隙間からは結晶筋肉(クリスタルティシュー)の欠片がこぼれ落ちていた。

 

「なるほど……。これは所謂(いわゆる)、金属疲労。残りの魔力(マナ)も二割を切っています」

「何っ!?」

「足を止めるなぁ!」

 

グゥエールが動けないことを悟ったオルガは単身、陸皇亀(ベヘモス)へと向かっていく。

それを見たユージンはオルガを止めようとするが、彼はもちろん止まらない。

 

「生身じゃ無理だ、また死んじまうぞ!」

「死なねぇ!!死んでたまるか!このままじゃ……こんなところじゃ……終われねぇっ!!」

 

陸皇亀(ベヘモス)の前に立ち、オルガはこう叫ぶ。

 

「【ミカァ!】」

 

その叫びとともに、彼の目の前の地面から砂塵を巻き上げ、『ガンダム・バルバトスルプス』が再召喚された。

 

バルバトスルプスは召喚と同時に、ツインメイスを陸皇亀(ベヘモス)へと投げつけ、ふい打ちで陸皇亀(ベヘモス)の目を穿つ。

 

「おい!武器を投げてどうする!」

 

グゥエールの操縦席(コクピット)の後ろからディートリヒが慌ててそう言うが、その声は三日月には聞こえていない。

 

「あそこだ!あの剣を使え!」

「借りるよ」

 

三日月のバルバトスルプスは石動のヘルムヴィーゲ・リンカーの持つバスターソードを借り、そのバスターソードで陸皇亀(ベヘモス)を叩き斬る。

陸皇亀(ベヘモス)の反撃がくると、それを事前に察知して避け、再びバスターソードで叩き斬る。その繰り返しだった。

 

「こんなもんかよ、お前の力は」

「なんだ!?あれが幻晶騎士(シルエットナイト)の動きだと!?」

「これが、厄祭戦を終わらせた力……」

 

そして、陸皇亀(ベヘモス)が弱りきったところにとどめを刺す為、三日月のバルバトスルプスはバスターソードを水平に構える。

 

「これなら……殺しきれる」

 

三日月のバルバトスルプスは陸皇亀(ベヘモス)のもうひとつの目をバスターソードで突き穿ち、両目を無くした陸皇亀(ベヘモス)はついにその動きを停止した。

 

 

昇ってきた朝日を浴び、陸皇亀(ベヘモス)の死骸の前に荘厳と立つガンダム・バルバトスルプスを見て、エルネスティ(マクギリス)は三日月・オーガスに300アグニカポイントを譲渡しようと心に決めるのであった。

 

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

 

そして、陸皇亀(ベヘモス)との死闘の後、鉄華団とライヒアラ騎操士学園の生徒達の前にはボロボロになったグゥエールが倒れていた。

 

エルネスティ(マクギリス)の行った無理な動きにグゥエールが耐えきれず、自壊してしまったのだ。

 

「ダメだ。開かねぇ……」

 

オルガが外部装甲を開こうと試みるが、グゥエールの装甲は剥離し、結晶筋肉(クリスタルティシュー)も粉砕されてしまっていた。

 

そんなグゥエールを見たエドガー(昭弘)黙祷(もくとう)を捧げ、こう言葉を紡ぎ始める。

 

「エルネスティ、いやマクギリス。今度こそは、と思った三度目の人生だったはずだ。それがこんな形で終わってしまうとは……。この世界でなら、お前ともこれからやり直せると思っていたのだがな……。それに、許してくれディートリヒ。俺はお前が逃げ出したものと誤解していた……。まさかエルネスティを援軍に連れてきてくれるとは……。二人とも良くやってくれた。お前達が犠牲になって俺達を……」

 

 

──その時、ふいに外部装甲が開いた。

 

「は?」

 

突然グゥエールの操縦席(コクピット)からエルネスティ(マクギリス)とディートリヒが飛び出してきた為、外部装甲を開けようとしていたオルガがエルネスティ(マクギリス)達の下敷きとなってしまう。

 

「う"う"っ!」

 

その時、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ……。お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

 

「やれやれ、正面装甲が歪んでいて開かないなんて。おかげで外に出るのに苦労しました。……って、ええと?皆様、どうなされたので?」

「え?」

「……何やってんだ、マクギリスぅぅっ!!」

 

そんなオルガの叫び声が青く澄んだ大空に響き渡った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「彼らは無事合流出来たみたいだね。良かった、良かった。ライド・マッスの演技力も大したものだよ……。やはり、彼は面白い存在だ」

「あの……」

「なんだい。アルミリア・ボードウィン──いや、アルミリア・ファリドかな?」

「今の私の名はモンタークだと前にも言いました。それより、私の声はマッキーに届きましたでしょうか?」

「ああ、その事か。届いたよ、届いたとも。彼も自分の異常性に少しは気づいたんじゃないかな」

「貴女に……言われたくはありませんが……」

「魔女とはそういうものだよ。ボクは悪い魔法使いなんだぜ?……と、そんな事よりも『試練』の話だ。ガエリオ・ボードウィンはどうした?」

「…………」

「……君には荷が重かったか。やはり、ライド君にやらせた方がいいかな?」

「いえ、私がやります……」

「出来るんだね?」

「……はい」

「────期待しているよ。ボクの知識欲を満たす為にも」

 




いつもの事ではありますが、元動画から多少改変させてもらっています。


援軍に来たユージン達の搭乗機は

石動→ヘルムヴィーゲ・リンカー
シノ→ガンダム・フラウロス
ユージン→オルガ専用獅電改(王様の椅子)
チャド→ランドマン・ロディ
ラフタ、アジー→獅電(テイワズ仕様)

となっています。


ユージンが乗ってきたオルガ専用獅電改は次回からオルガに返却される予定です。



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