便利な言葉「そして」
その日、シュレベール城に御前会議を中断させるほどの
「アルチュセール
「なんだと!?」
かつてオルガ達がP.D.世界で戦ったハシュマルやカズマ、アクア達の世界で戦ったデストロイヤーと同タイプのプルーマ随伴型モビルアーマーである。
そして、
砦へと二機の
その姿を見た駐機場にいた者たちは例外なく、心底から驚愕した。
何しろ現れたのは、黄金に輝く獅子の意匠を
この『
「先王陛下とエムリス殿下!?こんな所までいらっしゃるとは、一体どのようなご用件でしょうか!?」
駐機場へ飛んできた
「どうした、マクギリス?んな慌ててよ」
「ん?何で王様がいんの?」
「違うぞ、三日月。元王様だ」
「シノ……言葉使いに気を付けろよ。先王陛下だ」
「固っくるしいんだよ、ユージンは」
「仕方ねぇだろ、お前らが死んじまった後に俺はお嬢のボディーガードやってたんだ。言葉使いとかはそりゃ気にするだろ」
騒ぎを聞きつけた面々が集まってくる。
やがて、十分に人が集まったのを見計らってアンブロシウスはこう口を開いた。
「エルネスティよ、いや、
アンブロシウスは厳しい表情のままそう叫んだ。
その並々ならぬ気迫に満ちた様子を感じとった
「……会議室で詳しく聞きましょう」
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工房の隅に作られた会議室に
そんな中でアンブロシウスがこう話し始めた。
「先に言っておく。今より話す事は一切の他言無用である。……端的に言おう。
「モビルアーマー、じゃねぇか……」
「あれは……天使だ。その群れはプルーマと呼ぶらしい」
「うむ、確かに古文書にはプルーマと記載されておったな。……その
「何っ!?エイハブ・リアクターの生産地だと!!?」
「エーテル・リアクターだよ、オルガ」
「すいませんでした……。それで、止める方法は!?」
「起動してしまった以上、破壊するしかない。出来るものならな……」
その言葉を聞いたオルガはすぐに行動に移す。
「くっ……ミカ、急ぐぞ!」
「うん」
「
「分かった」
「よっしゃあ!」
「了解」
「任せてよ!」
オルガの指示にチャド、シノ、アジー、ラフタが答える。
同様に
「
「はっ!」
「ユージンさんはヘルヴィさんの三番中隊に入って下さい!!」
「おう!こういう時のために
「
「わかった」
そこにハッシュの声が響く。
「三日月さーん!バルバトスルプス、来ました!」
「止めるよ、アルフヘイムに行く前に」
「頼んだぜ、遊撃隊長」
「うん」
そして、
その呟きをオルガが耳にする。
「……アグニカ・カイエルはモビルアーマーを倒して、ギャラルホルンを築いたのだ」
「は?」
「この状況下でこそ、私が本当に望んでいたバエルを手に入れられるかもしれない!」
「あんた、正気か?」
それぞれの思惑が交差する中、
約三時間後──
ガチャガチャと無機質な音が森中にこだまする。
森の奥から涌き出るように現れるプルーマをチャドのランドマンロディとオルガ、ラフタ、アジーの獅電が迎え撃つ。
「耐えろ!お前ら!!」
「あと少し……あと少しで!!」
「あと、ちょっと!何とかなる!!する!!」
「あぁ、この調子なら……!」
辟邪を駆るハッシュも同様に事に当たっていたが──
「くっそ……前に出過ぎた!この機体、やっぱ地上戦のデータが少な過ぎて、まだセッティングが……」
辟邪のコンソールを弄っているその時、コクピット内に警告音が響く。
ハッシュが機体操作に今だ慣れず、生じてしまった隙をついて死角から接近したプルーマが襲い掛かって来た。
その状況にハッシュは既視感を覚える。
(これじゃ、俺が前死んだときと全く同じじゃねぇか……。このままじゃ、また死んじまう……。怖ぇぇ!!)
──その時、襲い掛かってきたプルーマが何者かに振り払われた。
思わず閉じた目を恐る恐る開いた時、ハッシュの目の前にあったのは──白い悪魔の後ろ姿だった。
「生きてる?」
「三日月さん!!」
(やっぱ、かっけぇなぁ……)
ハッシュの三日月への忠誠心がさらに強まった瞬間であった。
「フィリア、ユンフ、ゼルクス!俺達も彼らに続くぞ!!」
エリックの目の前にはシノのガンダム・フラウロスと石動のヘルムヴィーゲ・リンカーがプルーマを破壊していく光景が映る。
以前の模擬試合で負けてから、彼は
(いつか俺も彼らのように強く……)
そう心の中で願いながら、自身の朱色のカルダトア・ダーシュを駆り、戦い続けるエリックはふと、迫る
これまでに戦っていた
(ん?)
それは……『旗』だった。
剣と盾、そして草木を示す葉を組み合わせたフレメヴィーラ王国の国旗。
その下には剣を抱き、翼を広げる銀の
その『旗』をエリックは知っていた──。
「援軍か!?」
「あぁ、あれは……!!」
その『旗』を掲げる青いカルディトーレ『トイボックス』が拡声器を使い、こう宣言する。
「
その
「彼らが集った……。
そして──
「突撃!」
到着した
トイボックスが乗る
「三番中隊、砲撃用意!」
そして、次にヘルヴィの号令でツェンドリンプル部隊が動く。
「先行する騎士団長周辺の魔獣を一掃する」
「了解っ!!」
そのツェンドリンプル部隊のうち一機を操るのは、最近、魔法と
ヘルヴィ、ユージン達の駆るツェンドリンプルが魔法で砲撃する。
その法撃はオルガの獅電の戦闘区域に真っ直ぐ向かい──
ヴァアアアアアア!!
その時、希望の花が咲いた。
「【俺は止まらねぇからよ……。お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」
「よっしゃ、行くぞ!金獅子の初陣だ!!」
停車した
その中の一機、エムリスの『
「くらえっ!!
エムリスがそう叫びながら、操縦桿に備わったトリガーを押し込むと、
これこそが複数の
「あれはまさか……ビーム兵器!?」
チャドは勘違いしているが、
放たれた轟風はまさに獣王の咆哮のごとし。
その
その威力にエムリスは満足げな様子で高笑いをあげるが……
「はっはっはっは!見たか!!……っておい!!
「それはまぁ、威力相応の代償といいますか……」
そう笑う
「エルネスティ!ここは任せよ!お主はクイーンを探せ!好きに暴れてこい!!」
「そうか、ではお言葉に甘えさせてもらおうか」
それを見ていたオルガはシノへ向けてこう告げる。
「シノォ!マクギリスの援護頼む!」
「おうよ!んじゃ俺は砲撃ポイントに向かうぜ」
「頼んだぞ!!」
プルーマを叩き潰しながら、
その途中──
「ん?」
アディが何かを感じ取った。
アディの駆るツェンドリンプルの真上から巨大な
「ぎゃああああ!!」
「うわっ!?お、おい!」
急旋回するアディのツェンドリンプルに引っ張られるキッドのツェンドリンプルと
急旋回の後、急停止した
「なんだよ、急に」
「あ、あれ……」
「……あっ!」
目の前に立つ
六本の歩行脚と二本の
その吊り下げられているものは『
人間でいう『赤色骨髄』と似たような器官である。
つまり、この
まさにプルーマの『巣』そのもの。あるいは『群れ』そのもの。
そんな
「女皇……陛下……?」
「おっきぃ……」
「かなり特殊なタイプのモビルアーマーのようですね……」
「どうする、エルくん?」
「素直に弱点を狙いましょう!」
多少乱雑に撃ったところで、この大きさの的を外すことなどない。朱の法弾が垂れ下がった腹部へと直撃する。
やがて
それまで泰然としていた
「おっと、女皇陛下がお怒りのようですね。一旦、距離を取りましょうか」
それを見た
しかし、その勢いは遠距離から放たれた砲撃によって、殺された。
「
シノのガンダム・フラウロスの放ったギャラクシーキャノンが
その一瞬を
「ふっ……数奇な巡り合わせもあるものだな……」
「ギャラルホルンの始祖であるアグニカ・カイエルが戦った
そのワイヤーを括りつけた
「俺の勝ちだ!!」
そして、
数日後──
先王アンブロシウスは
その褒美とは……
「本当ですか!!?」
「
そんな事を先王アンブロシウスは知るよしもない。
「
そして──
西方歴一二八一年。
フレメヴィーラ王国には、
そんな心地良い気候の中で、オルフェシウス砦だけが熱気に包まれていた。
そこかしこで怒号のごとき指示が飛び交い、普段よりも一層慌ただしげな様子で
「ゆーっくり降ろせーっ!傷つけたら承知しねぇぞ!!」
「吸排気機構の取り付け完了!」
「
「ありがとうございます!!」
その謝罪の言葉が聞こえてきたのは、熱気の源である一機の蒼き
声の主は
「主転換炉から
この機体は二基の
先王アンブロシウスより伝えられ、
二体の強大な
「やっと会えたな……バエル」
その
蒼き機体の腕が、足が、己の力を確かめんとするように動き出す。
「三百年だ……。もう休暇は十分に楽しんだだろうアグニカ・カイエル。さぁ、目醒めの時だ!」
この機体の名は──
「ガンダム・バエル・
読んで頂いてありがとうございます。
なんとか、オルガの命日に投稿出来ました。良かった……
この場を借りて、また宣伝をば
本日、インフィニットオルフェンズの公式外伝「三無を束ねし、煌めきの雲海」の0話が投稿されました!!
↓こちらから読めますので、是非ご一読下さいませ。
https://syosetu.org/novel/185357/
また、本日完結した「殺戮のオルガ」もノベライズされることが決定しました!
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=210475&uid=164288
この2作品も含めて、これからの異世界オルガノベライズも読んで下さると幸いです。
だからよ、止まるんじゃねぇぞ……