異世界オルガ   作:T oga

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ナイツ&オルガ9.5

銀鳳(ぎんおう)騎士団が王女救出へ向けて動き始めた頃、ジャロウデク軍もまた、エルネスティ(マクギリス)達の居場所を探していた。

 

「グスターボ特務三佐!噂にあった『死神騎馬団』とおぼしき一団を確認しました!」

「おっ、マジか~」

「はっ!銅牙騎士団(地球外縁軌道統制統合艦隊)の情報通りです」

「ふっ……カルタのやつも隠密任務が板についてきたな」

 

部下の報告を聞いて飛空船(レビテートシップ)の船長席から立ち上がった男はグスターボ・マルドネス。

 

船橋に立つ彼の視線の先には異形の馬車の群れが見えた。

 

「あれが噂の『死神騎馬団』か~。まぁ、相手が何だろうと、このグスターボ・マルドネス様がぶちのめすことに変わりはねぇさ!」

 

異形の馬車──ツェンドリンプルを見ても彼はあまり驚きはしなかった。それは何故か……

 

グスターボの本当の名は『ガエリオ・ボードウィン』

 

自身が転生した理由や、転生前での自分がどのような男であったのかの記憶は定かではないが、自分が『ガエリオ』という名の男であったことなど、一部ではあるが転生前の記憶が残っているため、彼はツェンドリンプルを自身の搭乗機であったキマリストルーパーと無意識に重ねていたのだ。

 

 

空をゆくグスターボ(ガエリオ)達が銀鳳(ぎんおう)騎士団を見つけたのと時を同じくして、銀鳳(ぎんおう)騎士団側も迫りくる飛空船(レビテートシップ)の存在に気付いていた。

 

「ん?」

「どうした、ミカ?」

「何あれ?」

「ディータイチョ、船が空飛んでます」

 

三日月が空を見上げ、その後銀鳳(ぎんおう)騎士団の兵士の一人が飛空船(レビテートシップ)を見つけ指を差す。

 

報告を受けたディートリヒはその飛空船(レビテートシップ)を確認し、あることに気付く。

 

「ジャロウデクの紋章がある。つまりは敵ということだ!各員騎乗!戦闘準備!先頭車のエルネスティ達にも伝令を回せ!」

「伝令は俺の仕事だ……」

「任せたぞ!オルガ」

「んじゃ、バルバトス出るよ」

「先手必勝!砲撃開始!!」

 

滑腔砲を装備したバルバトスと、兵士達の赤いカルディトーレが荷馬車(キャレッジ)上から飛空船(レビテートシップ)目掛けて砲撃を浴びせる。

 

その砲撃を浴びても、グスターボ(ガエリオ)は余裕の態度を崩さなかった。

 

飛空船(レビテートシップ)を見てもビビんねぇとは、根性座ってんじゃねぇか!こっちも幻晶騎士(シルエットナイト)出すぜ~!」

 

そう言いながら、グスターボ(ガエリオ)も船橋を飛び出して、格納庫へと向かい、己の機体へと搭乗する。

 

次の瞬間、飛空船(レビテートシップ)の底面装甲が開き、クレーンで吊り下げられたティラントーが一斉に地上へと降り立った。

 

 

そして、ジャロウデク軍のティラントー部隊と三日月のバルバトス、ディートリヒのグゥエラリンデ、銀鳳(ぎんおう)騎士団のカルディトーレ部隊が相対した。

 

「盗んだ技術を使っての乱暴狼藉!その代償は高くつくぞ!!」

 

ディートリヒのグゥエラリンデと三日月のバルバトスが真っ先に先行する。

 

「ふん、このティラントーに真っ正面から挑むなど!身の程を教えてやろう!!」

 

ティラントーの操縦席(コクピット)で、騎操士(ナイトランナー)がほくそ笑む。

 

突出した防御力と強烈な筋力を誇るティラントーにとって、正面からの戦いはむしろ望むところであった。

 

事実、クシェペルカ王国の量産幻晶騎士(シルエットナイト)『レスヴァント』を相手に少数機で余裕をもって撃破してきたのだ。

 

ティラントーは何の捻りもなく真っ正面から突っ込んでくるバルバトスの一撃を同じく正面から迎え撃ちにいった。

ティラントー自慢の装甲で横薙ぎに振られたバルバトスのメイスを腕で押さえ、攻撃を弾いてからの反撃(カウンター)が狙いだ。

 

しかし、もちろんティラントーの騎操士(ナイトランナー)の思った通りにはならない。

 

バルバトスのメイスを押さえようとしたティラントーの腕部装甲は砕け散り、機体ごと吹き飛ばされる。

 

「ば、馬鹿なっ!」

「邪魔」

 

三日月は一言そう呟いて他のティラントーも狩りにいった。

 

その横を魔導噴出推進器(マギウスジェットスラスタ)を起動させたディートリヒのグゥエラリンデが駆け抜け、圧倒的な速度に任せて、両手に持つ双剣がティラントーを斬る。

 

初手で虚をついたバルバトスとグゥエラリンデはそのまま、圧倒的な強さを見せ、ジャロウデク軍のティラントー部隊を全滅まであと一歩というところまで追い込んだ。

 

「やるじゃん。腑抜けの人」

「腑抜けの人はやめろっ!私は二度と騎士の矜持(きょうじ)を捨てはしないと誓ったのだ。このくらいやってみせるさ」

「ふーん。まぁ、足引っ張らないでね」

「…………」

 

 

残ったティラントー部隊の小隊指揮官が驚愕を噛み殺し、後退に転じる号令を出そうとした時、彼のティラントーの隣に()()()()()が降ってくる。

 

それは──白き悪魔(バルバトス)によって破壊された部下のティラントーの……叩きつぶされた『腕』だった。

 

「ヒイィィ…」

 

声にならない悲鳴とともに後退(あとずさ)る小隊指揮官の操縦桿を握る手には汗が滲み、心臓は早鐘を打つように激しく鼓動する。

 

そんな彼の後ろから、溌剌(はつらつ)とした若い男の声とともに一機の幻晶騎士(シルエットナイト)飛空船(レビテートシップ)から飛び降りてきた。

 

「ここは俺っちの出番だぜぇぇ!!」

「グスターボ特務三佐!」

「とっとと退きな!お前らじゃ無理だ」

 

ジャロウデク軍の増援にやってきたその黒い機体はジャロウデクの汎用幻晶騎士(シルエットナイト)とはまた違った異質な姿の幻晶騎士(シルエットナイト)だった。

 

その機体を異質たらしめているのは『剣』だ。

剣とは多くの幻晶騎士(シルエットナイト)が標準装備として携行している武器であるが、この機体──ソードマンはその剣を()()()()()()装備していた。

 

そんな突飛な特徴をしたソードマンにディートリヒは目を剥き、絶句した。

 

「なっ……何だ、それは?……そんなに剣ばかりつけて、どういうつもりだ!?」

 

ディートリヒのその問いにグスターボ(ガエリオ)は至極当然の事のようにこう答えた。

 

「んなもん決まってっだろ!『剣は強い』!『強いのいっぱい持ってるやつがいっぱい強い』!当たり前じゃねぇか!」

 

拡声器で響き渡ったグスターボ(ガエリオ)の声を聞いた三日月が反応を示す。

 

「その声、チョコの隣の……」

「ガエリオ・ボードウィンだ!」

「……ガリガリ?」

「貴様、わざとか!!」

 

三日月とグスターボ(ガエリオ)がそのようなやり取りをしている間にディートリヒのグゥエラリンデが動いた。

 

「三日月!こいつの相手は私が受け持つ!お前は残りのティラントー部隊をやってくれ」

「やれんの?」

「やってみせるさ!」

「……んじゃ、任せた」

 

 

白き悪魔(バルバトス)は再びジャロウデク軍の兵士達に悪夢を見せるために後退していったティラントー部隊を追い、

双剣の紅の騎士(グゥエラリンデ)連剣の黒い騎士(ソードマン)が激突。二機の騎士は息つく間もなく斬撃の応酬を繰り広げ始めた。

 

相手より優位な位置を狙うために、より強力な一撃を相手に浴びせるために、互いに目まぐるしく動き回るこの二機の戦い方はある意味で似通っていた。

 

共に極端に攻撃に偏重した型を持ち、さらに研ぎ済ました必殺の一撃よりも嵐のような連撃を好む。

 

「こいつ!バカだが、使い手だな……っ!」

 

グスターボ(ガエリオ)の戦い方を見たディートリヒが思わず、そう口にする。

 

実際には互角に見える二機の戦いであったが、実はディートリヒのグゥエラリンデの方がやや押され気味であった。その差は魔力貯蓄量(マナプール)の使い方の差だ。

 

グスターボは転生前、ガエリオ・ボードウィン(ヴィダール)であった頃──かつてジュリエッタに「綺麗…」だと「あなたの太刀筋はとても復讐を起因としているとは思えませんでした。強くとても美しい」とそう言わせた頃の戦い方を活用し、魔力貯蓄量(マナプール)に出来るだけ負担のかけない動きをしている。

 

対するディートリヒは双剣による連撃と背面武装(バックウェポン)による射撃を使い分ける戦術。

 

背面武装(バックウェポン)の法撃により魔力(マナ)を消費しているディートリヒのグゥエラリンデの方が先に動きが鈍くなるのも当然の結果であった。

 

「ははははっ!そんなすっとろい動きじゃ、俺っちの相手は務まらないぜっ!」

 

徐々にソードマンの剣の連擊に押されていくグゥエラリンデ。

 

「……くっ!このままでは……」

「フッ……。そろそろ決着つけっちまおうかね!」

 

その時、ディートリヒはソードマンの頭上から飛翔してくる()()を視認した。

 

それと同時にオルガの獅電も遅れて出撃してきた。

 

「すまねぇ、遅れた!だが、そろそろアイツが来るぞぉ!」

「あぁ……こちらでも確認した」

 

グスターボ(ガエリオ)はまだ()()には気付いていないようだ。

 

オルガの獅電を見て、グスターボ(ガエリオ)はこう言った。

 

()()増えたところで俺っちのソードマンには敵わねぇよ!」

「確かにオルガが増えたところで対した戦力ではない」

「おい!」

「だがな……」

 

グゥエラリンデの操縦席(コクピット)の中でディートリヒが不敵の笑みを浮かべる。

 

「何考えてんのか知らねぇが……俺っちは攻めるのみだ!!」

 

ソードマンが突っ込んでくる。

 

それをオルガの獅電がアサルトライフルを片手に迎え撃つ。

 

グゥエラリンデは少し後退。

 

 

そして──

 

 

ソードマンがアサルトライフルの射撃を回避しながら突撃し、オルガの獅電を斬りつけようとする。

それをパルチザンで防御し、鍔迫り合いの状況になった時、その頭上から()()が勢いよく落下してきて、ソードマン──ではなく、オルガの獅電に剣を突き刺した。

 

「何やってんだぁぁぁ!!」

「あっ、間違えましたw」

 

その時、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ……。お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

 

「な、何が起こった?今のは」

 

グスターボ(ガエリオ)がその状況に混乱して、そう口にする。

 

そして、空から降ってきて、目の前に立つ幻晶騎士(シルエットナイト)──『ガンダム・バエル・斑鳩(イカルガ)』を見たグスターボ(ガエリオ)は敵意を向けた。

 

「キサマか……俺の邪魔をしたのは!」

 

その操縦席(コクピット)に座る騎操士(ナイトランナー)エルネスティ・エチェバルリア(マクギリス・ファリド)はこう言った。

 

「君の相手は……私がしよう」

 

二本の真・バエルソードを構えた斑鳩(バエル)がソードマンと対峙する。

 

「君には我々──銀鳳(ぎんおう)騎士団が追い求める理想(バエル)を具現化する為の(いしずえ)となってもらう!」

 

そのエルネスティ(マクギリス)の言葉にグスターボ(ガエリオ)が反応する。

 

()()()だと……。まさかキサマ……!」

 

そして、拡声器で聞いたグスターボ(ガエリオ)の声にエルネスティ(マクギリス)も反応する。

 

「ん?その声……まさか……!」

 

 

この異世界(セッテルンド大陸)で彼らは再会を果たした。

 

 

「マクギリスゥゥゥゥ!!!!」

「ガァエリオォォォォ!!!!」

 

 

過去の遺恨を叫びにのせて、両者共に激しくぶつかり合う。

 

グスターボ(ガエリオ)のソードマンは跳躍し、落下の勢いにのせて、手に持つ二本の剣を振るった。

 

エルネスティ(マクギリス)斑鳩(バエル)はそれを真・バエルソードで受ける。

 

ソードマンはそのまま二本のサブアームを展開し、サブアームに持つ二本の剣で斑鳩(バエル)を突き穿つが、斑鳩(バエル)はそれを素早く回避し、一度距離を取る。

 

ソードマンはすぐさま距離をつめ、手に持つ二本の剣と四本のサブアームに持つ剣を合わせた計六本の剣で連続突きを繰り出した。

 

それを斑鳩(バエル)の高機動ですべて避け、捌きながらエルネスティ(マクギリス)はこう口を開く。

 

「何故死んだのか、転生の理由は知らんが……。俺の行く手を阻むのならば、今度こそ殺してやろう!」

「やはり、お前の目には俺は見えない。お前には俺の言葉は届かない」

 

両機とも頭突きを繰り出す。

 

「俺を見ろ!!」

 

そして、ソードマンの膝部にあるドリルニーを展開。

 

しかし、そのドリルニーも難なく避けられ、斑鳩(バエル)は空高く飛翔。

 

斑鳩(バエル)は太陽の影となり、グスターボ(ガエリオ)は少し目を瞑る。

 

「くっ……」

 

その一瞬が斑鳩(バエル)の勝機となった。

 

太陽を背に空から舞い降りる斑鳩(バエル)の真・バエルソードの一刺はソードマンの操縦席(コクピット)を穿つ。

 

しかし、エルネスティ(マクギリス)操縦席(コクピット)を突き、操縦者を殺すことが大の苦手であった。

 

転生前もガエリオ、イオクという二人の機体の操縦席(コクピット)を刺し穿っておきながら、その両者とも生き長らえていた。

 

──そして、それは今回も同様であった。

 

 

「…………あと、少し右にズレていたら即死だったぜ……」

 

四本のサブアームでソードマンに刺された真・バエルソードを引き抜き、後退するグスターボ(ガエリオ)

 

「ちっ…!」

「エルネスティでも倒しきれないか……」

 

ディートリヒがそう言った直後、三日月から通信が入る。

 

《雑魚は片付いた。そっち手伝うよ》

「ふっ……」

 

その三日月の通信にエルネスティ(マクギリス)は笑みを浮かべた。

 

 

そして、ジャロウデク軍にも通信が入ってきていた。

 

その通信を聞いたグスターボ(ガエリオ)は額に汗を滲ませる。

 

「何っ!ティラントー部隊が全滅だとっ!……ちっくしょう!……さすがにこのまま逃がしてくれるはずもねぇよな……。まぁずいねぇ……。……とりあえず船を戦域に戻せ!それまでは何とか俺っち一人で時間を稼ぐっ!!」

 

そう言ってグスターボ(ガエリオ)が剣を構えたその瞬間、()()()()()()予想外な事態が発生した。

 

突如、何の前触れもなく、希望の花を咲かせて倒れていたオルガの獅電が大爆発を起こしたのだ。

 

ヴァアアアアアア!!

 

その時、再び希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ……。お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

「……っ!?」

「何っ…!?」

「何だ!?目潰しか!?」

「どういうことだよ、こりゃ!!?」

 

戦場に居た三日月、エルネスティ(マクギリス)、ディートリヒ、そしてグスターボ(ガエリオ)がその爆発に巻き込まれる。

 

しかし、この爆発には全くと言っていいほど威力がなく、その代わり周囲には数歩先も見えない程の黒く濃い煙が立ち込める。

 

「後退です!下手に撃っては同士討ちになりかねません!まずは煙の外まで後退を!!」

 

エルネスティ(マクギリス)は視界を失ったことで、敵の奇襲を警戒し、防御を強め、後退していった。

味方の位置も把握出来ないこの状況では、迂闊に法擊することも出来ない。そう判断しての後退だ。

 

「だが、助かったぜ。ここは仕切り直しだ!」

 

グスターボ(ガエリオ)もまた戸惑いながらも、退く好機と見て、撤退を始める。

 

そんなグスターボ(ガエリオ)のソードマンの背後から隙を狙っていたかのごとく、突風が吹き荒れる。

 

戦場に横たわっていた煙が風に乗って吹き飛んでいった。

 

「なっ……これは、空飛ぶ船が戻って来たのか!?」

 

エルネスティ(マクギリス)が警戒していた奇襲はなかった。

 

その代わり銀鳳(ぎんおう)騎士団の前に現れたのは、ジャロウデク軍の飛空船(レビテートシップ)の姿だった。

 

低空で飛ぶ飛空船(レビテートシップ)から垂らされたクレーンの鎖を掴み、グスターボ(ガエリオ)のソードマンはそのまま空へと舞い上がる。

 

「おい、紅いの!アンタなかなかだったぜ!それにマクギリス!!お前を倒すのはこの俺だ!!今度やる時まで死ぬんじゃねぇぞ!」

 

飛空船(レビテートシップ)はソードマンを船内に収めると、起風装置のうなりも高らかに速度と高度を上げ始めていた。

 

銀鳳(ぎんおう)騎士団もそれを黙って見ているつもりはない。

 

三日月のバルバトスは滑腔砲、ディートリヒのグゥエラリンデは背面武装(バックウェポン)で、エルネスティ(マクギリス)斑鳩(バエル)もバエルビームで飛空船(レビテートシップ)を撃ち落とそうと試みるが……逃げられてしまった。

 

「空飛ぶ船か……。あんなものが相手だとすると……」

 

ディートリヒはグゥエラリンデの操縦席(コクピット)の中で隣に立つ斑鳩(バエル)を見ながら、こう独りでに呟く。

 

「何か有効な武器をエルネスティに用意してもらう必要があるな……」

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

飛空船(レビテートシップ)に乗って、ソードマンの操縦席(コクピット)から降りたグスターボ(ガエリオ)は格納庫で待っていた一人の女性から、徳利(とっくり)を投げつけられる。

 

それを受け取り、中の酒を一気に飲んだグスターボ(ガエリオ)にその女性が声を掛けた。

 

「珍しく追い込まれてたね。ガエリオ」

「ありゃ、アンタの仕業か。カルタ」

 

その女性の名はケルヒルト・ヒエタカンナス(カルタ・イシュー)

四年前。カサドシュ砦に運び込まれたテレスターレが奪取された事件──『カサドシュ事変』を引き起こした銅牙騎士団(地球外縁軌道統制統合艦隊)の団長を務める女性である。

 

「いつから船に乗ってた?」

「さーてね」

「フン……余計なマネを!」

 

そう言ってグスターボ(ガエリオ)ケルヒルト(カルタ)へと中の酒を飲み終えた徳利(とっくり)を投げ返す。

 

「だが、今日は感謝しておく!二度目はないぜ……」

 

そう言い残し、船橋へと戻っていくグスターボ(ガエリオ)の背中を見送りながら、ケルヒルト(カルタ)はただ笑みを深くしたのであった。

 

 




今回はナイツ&オルガ9の後半部分に追加カットを多数盛り込んだ感じになりました!

ソードマンは原作では確かサブアームは二本だったと思うんですが、このナイツ&オルガでは、斑鳩(バエル)と同じくサブアームを四本に変更しています。

そして、キマールの武装であるドリルニーも追加してます(笑)

次回も今回同様早く投稿出来るようにガンバラナイト!


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