違うクラスの女の子に目をつけられたんだが   作:曇天もよう

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本当に投稿が遅れてしまってすみません
なかなか書く機会がない+リアルが忙しい+モチベーションの低下で3ヶ月もサボってしまいました
次はもう少し早く出したいな…とだけ思ってます
遅れましたが、有栖誕生日おめでとう!


答え合わせ

「草木が鬱陶しいな…」

 

夏の日差しが木々の隙間から差し込み、初夏特有の肌にまとわりついてくるような暑さが身に応える中、桐生は草木を掻き分けて目的地に向かって突き進んでいた。

腰はどの高さのある草むらをかき分けて進むは一苦労かかるもので、さらに上空から降り注ぐ暑い日差しが余計に桐生の体力を奪っていた。ある程度進んでは休憩。またある程度進んでは休憩をしながら道無き道を一心不乱に進んでいるとようやく草木の高さが低くなった、開けた場所に出ることができたのであった。

そして、そんな開けた空間に、待ち合わせをしていた人物、橋下と神室が丸太に腰をかけて待っていた。

 

「遅かったな。何かあったのか?」

 

腕を組んで少し不満そうな様子で、桐生を迎える橋下。神室も同じく不満そうであったが、神室は何も言わず近くにあった岩に場所を変えて体重をかけながら、こちらを見ていた。

 

「すまない、想定外の騒動が起きてしまって抜け出せなかったんだ。遅れてしまって申し訳ない」

 

桐生が遅れてしまった要因。それはDクラスの中で騒動に理由があった。それはDクラスの女子生徒、軽井沢恵の下着が盗まれたという事件であった。それは男女間で一触即発の状況に陥るのには十分すぎる事件であった。

互いに相手を疑い、売り言葉に買い言葉状態。そのため、迂闊に抜け出そうとすることは、より一層疑いを濃くすることになってしまうことになってしまう。それを回避するために、いろいろしていたのだということを、橋下と神室に説明する。

二人は話を聞くと、遅れてしまった内容が内容なので、致し方ないことであると、この場は納めてくれたのであった。

 

「まあ、まだ今日時間内だから、そのことはいいとして。早く終わらせないと、葛城派のやつらに疑問に思われるし、さっさと用件だけ終わらせない?」

 

神室は桐生に今回やってきた目的をはやく果たすように促す。

そもそもこの密会、要するに桐生と橋下、神室の接触は極秘にしなければならないことであった。ただでさえ試験の内容上、他クラスともなる険悪になっており、対立関係になっている。

そんな他クラスの生徒同士の密会ともなれば、自分のクラス内での立場が怪しくなる。そのため、早めにこの話を終わらせておこうと思ったのだった。

 

「ああ、そうだな。単刀直入に答えから言わせてもらうと、Aクラスのリーダーは戸塚 弥彦。そう俺はこの4日で判断した」

 

「…ほう。理由は?」

 

二人ともそれを聞いて眉ひとつ動かさず、その考えに至った理由を聞く。桐生も橋下に促されたように、この4日間で判断するに至った根拠を述べる。

 

「色々判断するポイントはあったが、やはり最初の洞窟の接触が大きかった。あのとき、葛城と戸塚が色々と話をしていたが、その時に葛城がクラスカードを持っていた。それが今回の判断において大部分を占めている」

 

「しかしそれだと葛城がリーダーだとは思わないか?カードを持っている人物こそリーダーだろう?」

 

「普通なら俺もそう判断したと思う。もしもあのカードを持っていたのがDクラスのやつで、俺がAクラスの立場だったとしたら…そう判断した可能性もありえる。だが…」

 

「だが?そこから何か分かることがあったの?」

 

橋下の後ろの方で黙って聞いていた神室も不思議そうな表情を浮かべながら理由を催促する。

そんな二人の視線に少し緊張感が増してきて桐生の心臓の鼓動が早まるのが感じられた。そんな不安になりそうな感情を忘れるため、一度呼吸をし、呼吸を整えてから、改めて意見を桐生は話し始めた。

 

「…クラスのリーダーカードを持っていたのはAクラスの中でも警戒心が強く、常に周りを気にしている葛城だ。もし葛城がリーダーだとしたならば、葛城は絶対にそれを他人が見えるような場所で見せびらかすはずがない。それくらい慎重な男だ。なんせ、情報が外に漏れないように洞窟にカーテンをして外からの目視による情報の漏洩を対策するくらいだ。そんなやつが人前でカードを見せびらかすような行動をするとは思えない」

 

桐生は他クラスの主な人物の特徴について神室から情報を仕入れていた。そのため、Aクラス2大巨頭である葛城もまたその例外ではなかった。

葛城は攻撃的、革新的な坂柳とは相反する、防御的、保守的な考えをしている。常に他クラスを警戒していて、わずかにでも付け入る隙を与えようとはしない。また、自分から攻撃を仕掛けることは少なく、あくまでも自分たちが攻撃された時の反撃として打って出るくらいであった。

それほどに慎重な葛城がわざわざ見せつけるようにカードを人前で見せるとは桐生は思えなかった。そうなった時、あの行動がなんだったのか考えると、自分のように隠れて見ていた人物にフェイクを入れるためだったと考えるのが妥当だと思ったのだ。

 

「なるほどな。だが、それだけでは葛城1人が候補から消えただけだ。他にも可能性はありえるんじゃないか?例えば俺なんかでも十分にありえるとは考えなかったのか?」

 

「橋下の言う通り、葛城が消えただけだ。だが、他にも判断に足ることはある」

 

「何があるの?早く教えてちょうだい」

 

「今から話すさ。まず、この試験に有栖は参加していない。そして、Aクラスは2大派閥による対立の激しいクラスであることを加味すると、今回の試験を実質的に取り仕切っているのはリーダーが健在する葛城派閥と思っていい。そうなると、有栖の派閥に入っているAクラスの生徒は必然的に候補から外れる。それだけで橋下たちの可能性はないんだ」

 

桐生の語る理由に橋下も神室も納得がいったようで静かに頷いていた。そんな2人の様子を見て内心ガッツポーズをとりながら、戸塚にリーダーを絞った理由を続けて話す。

 

「それで戸塚に絞りきった理由だが、まず葛城がリーダーを任せるなら自分の信頼する人物に絶対するはずだ。クラスの命運を担う人物だからな。信頼しきれてない人物をリーダーにするほど大胆な策は葛城にはできない。そうすると、葛城派閥の中でもカーストの高めな人物になってくる。この時点でほぼ2.3人に絞れるんだ。さらに、そのうち怪しかった2人を尾行したりしていると、戸塚は常に複数人で行動をしており、常に中心にいたんだ」

初日に葛城の行動を見かけた桐生は、即座に葛城派の主要人物に狙いを絞っていた。そのため、島の全体像を把握するように歩き回りながら、戸塚などの行動もマークしていたのだ。

その4日間で怪しいと思ったのが戸塚なのであった。

 

「これが俺の判断した理由の全てだ。こんだけ力説しておいて間違えていたら恥ずかしいものだが…」

 

自信満々で話した桐生だったが、話し終わると少し不安な気持ちがこみ上げてきた。少し緊張した面持ちで神室と橋下の様子を伺う桐生。そんな緊張した様子の桐生の肩を手で叩いて笑いながらその推理が正解だと橋下は桐生に伝えた。

 

「そう心配そうな顔をするなよ。正解だ。よくこの4日で見破ったな。流石は坂柳が見出した他クラスの生徒、と言ったところだろうか」

 

橋下から伝えられた正解という結果。これに安心した桐生は大きく息を吐いて

 

「…本当に4日間で根拠をもって当ててくるなんて思わなかった」

 

「そんなに俺のこと期待してなかったのか…」

 

「そうだぞ。それは失礼ってやつじゃないか、神室?まあ、俺も内心は当てれるか微妙に思っていたけどな」

 

「橋下もかよ…。まあ、橋下とこうして具体的に行動を合わせてやるのは初めてだから、疑う気持ちは分かるけどさ…」

 

桐生は目に見えるように落ち込んでおり、肩を少し落としていた。そんな桐生の背中を橋下は叩いて励ましていた。

 

「それでさ、Dクラスにうちのクラスのリーダーを当ててもらうってことになってるけど、これで私たちの仕事は終わり?」

 

落ち込んでる様子の桐生を放っておいて神室は橋下にやるべきことが全部終わったのか質問する。質問を受けた橋下は桐生の肩を叩くのをやめてその答えを話し始める。

 

「ああ。そうなるな。これ以上俺たちにできることは何もない。下手に行動して俺たち坂柳派が被害を被るのもゴメンだからな。そんなことしたら坂柳から何をされることか」

 

そう話す橋下の顔は少しめんどくさそうな顔を浮かべていた。察するに、まだどちらの派閥に付くか悩んでいたときにされた手段などを思い出しているんだろう。坂柳は自身のためなら様々な手段を使って必ずゲットしてくる。そのため、橋下もすごいことをされたんだろう、そう桐生は思ったのだった。

そして、神室も同じように苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。同じように強引な手段をされたのだろう。神室は坂柳を特に嫌っているため、とても顔が引きつっていた。

 

「じゃあ、俺も下手な行動はとらない方がいいな。こうして繋がっていることがバレたら俺もクラス内で吊るし上げになりそうだからな。正直そんなにクラスの中に仲のいいやつはいないが、それでも日常生活に悪影響が出るからそれは避けておきたい」

 

「それが懸命な判断だろうな。まあ、もうじきこの特別試験も終わる。その試験の結果発表の時に驚いている様子の葛城を見て楽しませてもらうとするかな」

 

そう言うと、橋下は悪そうな顔を浮かべて笑っていた。それほどお互いに嫌い合っているということなのだろうか、そう思っている時に神室が急に桐生の後ろの方向をじっと見始めた。

 

「どうした?何かあったか?」

 

急な神室の態度に少し訝し目をした橋下だったが、何かに気がついたのだろうか、急に桐生との距離をとって警戒し始める。

何があったのか咄嗟に分からず困っていた桐生だったが、耳を澄ますと自分の後ろの方から草木を掻き分けるような音がし始めた。

 

桐生もその自体に気づき、橋下たちと距離をとって警戒心を高める。そうしていると草木を掻き分けていた張本人が姿を現したのだった。

 

「お、お前は…!?」

 

桐生も思わずその人物の登場に声を出して驚いてしまう。しかしそれも仕方なく、その人物はその場にいた全員を驚かせるのには十分すぎた。どっしりとした大きな身長。肩幅が広くガッチリとしているため、そこから醸し出される威圧感は他の生徒の比ではなく、立っているだけで気が弱い生徒なら黙りこくってしまうくらいであった。

 

「こんなところで何をしているんだ?橋下、神室?」

 

草木を掻き分けてやってきた乱入者、それは現在Aクラスを取り仕切っている人物である葛城康平その人なのであった。

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